呪いのミイラ(Fluch der Mumie)

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呪いのミイラ

(原題:Fluch der Mumie)
発売年 2011年
プレイ人数 2~5人※
プレイ時間 30~45分
対象年齢 8歳~99歳
デザイナー
※内一人はミイラ担当

ゲーム概要

勇気ある4人の探険家たちがピラミッドへ宝探しに向かいました。
これを迎え討つのは、ピラミッドに眠る王のミイラ。ミイラは目が見えませんが、人間の気配を察知して追いかけてきます。
探険家たちはミイラの猛攻をかいくぐり、また他の者に遅れを取らぬよう急いでお宝を集めます。
宝を巡る人間たちとミイラの戦いの始まり始まり。
コンポーネント(一部)

ルール(概略)

コンポーネントの特徴
  • このゲームのボードは、外箱・内箱と中仕切りを使って 垂直に立てる 。本作の最も特徴的なスタイルがこれ。
    • プレイヤーの中からミイラ役を1人選出し、探険家側とはボードを挟んだ反対側に回ってプレイする。
  • ボード上を動かすミイラコマ(白)と探険家コマ(カラー)は 磁石 であり、ボードにくっつく。
    • ミイラは探険家と違ってボードの逆側からコマを操作するため、専用のミイラつまみが付いている。つまみとミイラコマを磁石でくっつけ、ボードの両面で連動させる……という仕組み。
箱の俯瞰図(左)・メインボード(右)

ミイラコマを真横から
  • メインボードには、それぞれ色分けされた宝物の絵が描かれている。両面とも内容は同じ。
  • 探険家側とミイラ側は、それぞれ専用の6面体サイコロを使用。
    • 探険家用には「1, 2, 3, 4, 直進, ミイラ 」、ミイラ用には「1, 1, 2, 2, 3, 3」の目が用意されている。
プレイ上のポイント
  • 探険家側の各プレイヤーは、残機となる「アンク」(お守り)チップと、5色の宝物カードを各色1枚ずつの計5枚を受け取る。これは非公開情報であり、各人のクリア目標となる。
  • ミイラは「棺の間」、探険家はスタート地点から行動開始。
    コマはマスからはみ出したり、枠線に被さったりしない位置に置くこと。
  • 手番の回ってきたプレイヤーは、サイコロを振り、出た目に応じてコマを進める。
    • 探険家はサイコロを5個同時に振り、出た目の中から好きな目を選んでコマを進める。「直進」は、壁・ミイラ・他の探険家などの障害物の手前まで直進する。
      目が気に入らない場合は、何度でも振り直して良い。
      • ミイラの目が出たサイコロは、即時でミイラ役に渡す。以降のサイコロは、減ったまま振る事になる。
      • 出目の選択はハッキリと宣言 すること。これはミイラ側の貴重な行動指標となる。
    • ミイラはサイコロの出目に、「探険家に渡されたダイスの個数」分を加えた数だけ動ける。
    • 探険家は自分のターンの開始時に、「ミイラに渡したダイスの解放」を宣言できる。
      その場合、ミイラにはその場で「解放するダイスの個数」分だけ動けるexターンが発生し、その後サイコロは探険家に返される。
      • 5個のサイコロが全てミイラに渡されてしまった場合は、5歩分のexターンとサイコロ解放が自動的に発生する。
  • ミイラコマと探険家コマが同じマスに入ると、探険家はミイラに「パチッ♪」と捕まってしまう。
    その場合、探険家は自分のアンクチップをミイラに渡し、コマを「棺の間」へ動かす*1
  • 探険家が自分の手札に対応した宝物マスにぴったり止まると、その宝物を取得した扱いになる。
    • 獲得した事を宣言し、該当する宝物カードをプレイヤー全員がわかるように出す
      これにより、自分の勝利に一歩近づくと共に、正確な現在位置がミイラにバレる。

  • その他の注意事項
    • 探険家は直進の目を選ぶ時、必ず1歩以上進まなければならない。
    • 移動のキャンセルは認められない。一度枠をまたいだなら、たとえミスであっても移動力はきっかりマイナスされる。
    • 探険家は選んだサイコロの目を使い切らないといけないが、1手番内に行ったり来たりを繰り返すのはOK。
    • 1つのマスには1つのコマしか止まれない。数字を選んだ場合に、探険家は他の探険家を通り越して先のマスへ進む事はできる。ミイラはダメ。
    • その他の隠蔽工作(盤操作のフェイクや視線外し)は、常識的な範囲内でOK。

終了条件・得点計算
  • 全ての宝物を集め終えた探険家か、または規定数のアンクを獲得したミイラが現れたら、そのプレイヤーの勝利。

ゲームの流れ
  1. スタートプレイヤーの探険家からサイコロを振る
    1. ミイラの目が出たらそのサイコロをミイラに渡す
  2. 出た目の中から好きなものを選び、それに従ってコマを進める
    1. 宝物を獲得した探険家は、宣言をしてカードを開示する
    2. 宝物を全て回収したプレイヤーは勝利する
  3. 探険家側がサイコロを振り終えたら、ミイラがサイコロを振って移動する
    1. 移動した結果探険家を捕獲したら、その探険家コマを棺の間へ送る
    2. 規定数のアンクを獲得したプレイヤーは勝利する
  4. 1へ戻る
細々と書いてあるけれど、基本的に「順にサイコロを振って動く」だけなので判りやすいはず。

コメント

+ プレイ感と感想について
ゲーム性
ダイスを使った宝探し+かくれんぼ&鬼ごっこ。探険家側はステルスを工夫し、ミイラ側はヒントを元に推理力を働かせて勝ちへとつなげるゲームである。要求される頭脳・運・度胸の配分が絶妙。
ついでに、要所要所で「他人を囮にする」などの軽い友情破壊行為も垣間見られ、ゲームとしての懐の広さを伺わせる。
コンポーネント
探険家側から見た「ミイラの動きの怖さと気持ち悪さ」、ミイラ側から見た「手探り感、捕獲の気持ちよさ」、共に好感触。コンポーネントに磁石を用いたアナログゲームならではのギミックが良い味を出している。
テーマ・アイデア
「追う者」「追われる者」に役割を大きく分け、更に個々のプレイヤーもお互い敵同士として対立構造を平等にして、狭いフィールドに押し込める。ついたてで位置を秘匿してロールプレイの臨場感を際立たせ、また双方に必要な情報を片面ずつに分けて集約させる(高い記憶力を要求するでもなく、メモを取らせる事もしない)。
そんな秀逸なアイデアの数々もさることながら、すべてを違和感なくひとつのゲームにまとめたテーマのチョイスとの併せ技で「お見事」。

欠点

  • 明確な欠点ではないのだが、ミイラ側の(心理的な)難易度が少し高め。
    バランスとしては全員そこそこ平等、むしろ「鬼」役のミイラは比較的強いとはいえ、ゲームの中核を担う位置付けであるため、ダイス運を始めに旗色の悪い時はかなり凹まされる。

お勧めタイプ

「迷路の中でかくれんぼ」。身近なテーマを一歩昇華させた、コミカルで親しみやすい遊びである。ゲーム内容・コンポーネント共にアイデアや仕掛けに一工夫あり、一度接してみるよう自信を持ってお勧めできる。
大人数でプレイすると卓の片側に大勢固まるプレイスタイルになるので、ノリやすい馴染みのメンバーを揃えて遊ぶと内容との相性が良い。短いプレイ時間ながら盛り上がる要素満載で、見栄えもする。ある時は手に汗を握り、またある時は罵声と高笑いの飛び交う、明るくも腹黒いゲーム模様を楽しめるだろう。

【お勧め度:★★★★★★★☆☆-】


FAQ

Q:探険家です。このゲーム、ミイラ強すぎです。
A: さしものミイラもエスパーではありませんので、時には宝物の回収よりもステルスを優先してみたらいかがでしょう。全力で身を隠された場合、位置の判らない誰かに1人でも勝ち抜けられたら負けるミイラは焦るはず。また、あちこちで「取った」「俺も取った」と続々名乗り出られるのも対処に困るパターンです。
ところで、隣の芝は青いという諺があります。一度ミイラの気持ちになって、盤の裏側を想像してみるのもいいかもしれませんね。案外博打で動いてる局面があるものです。
Q:ミイラです。探険家を全然捕まえられなくて泣きそうです。
A: このゲームは「ミイラVS探険家」ではありませんよ? 侵入者共もライバル同士です。薄情者による裏切り行為がミイラ側に利する事は多々あります。思いがけずexターンを5歩もらったり、1ターンに6~7歩走ったりする高機動ミイラだって、あり得ないシチュエーションではありません。
財宝の守護は忍耐が命です。絞り込むヒントを辛抱強く探しましょう。
Q:アンクチップがなくなりました。暇で仕方ないのですが。
A: 宝物目掛けて一直線の猪はマンガでも読んでてください。
もっともこれはアナログゲームなので、何度でも復帰できるルールに改変してもいいかもしれませんね。ミイラさんにとっては有利な話ですし。
最終更新:2013年02月19日 13:04

*1 時々このペナルティを「宝物回収のショートカットワープ」として利用する不届きな探険家がいるようです。