秦(Qin)

(原題:Qin)
発売年 2012年
プレイ人数 2~4人
プレイ時間 20~30分
対象年齢 8歳以上
デザイナー Reiner Knizia

ゲーム概要

時は2000年以上遡ります。
あなたは中国の戦国時代で帝国領主として、辺境の村を取り込みながら国を拡大していきます。
自領地となった土地には、帝国の威厳の証であるパゴタの塔(仏教の塔)を建設してください。
隙あらば自分の国・村への侵略を狙う隣国をさばきつつ、規定数の塔を最初に建て切って秦時代の栄光を築き上げたプレイヤーの勝利です。
コンポーネント

ルール(概略)

コンポーネントの特徴
  • マス目の描かれたメインボードには、占領対象の「村」、侵入不可地形の「水源」などが描かれている。
    ボードは両面仕様であり、片面は比較的整地の進んでいる「鳳凰の面」、もう片方は複雑な地形の多い未開の土地「獅子の面」。
  • プレイヤーの手札であるタイルは、3色で分類された「国」の2マス分が1枚に収まっている。
    タイルは2マスに各色を割り当てた6パターンがそれぞれ12枚ずつ、計72枚を使用。
  • パゴタの塔コマは、各色24個用意されている。プレイ人数に応じて使用する個数は変動*2する。
    • 塔コマは積み重ねられる構造。

プレイ上のポイント
  • パゴタの塔残数は公開情報である。
    未使用分は確実に箱に戻し、他のプレイヤーから手元の数が見えやすいよう適当に積んでおくこと。

  • 手札として、最初にタイルがランダムで3枚ずつ配られる。
  • スタートプレイヤーから順に、ボードのマス目にそって手札からタイルを置いていく。
    タイル配置時の主なルールは以下の通り。
    • 新しいタイルは、必ず 既存の国マス*1の四辺に隣接する形 で配置すること。
    • 国となったマス、村マス、水源マスの上には配置できない。
  • タイルを置き、後段に示すコマの処理が済んだら、手札を1枚補充して手番終了。
タイルの置き方(マップは適当)

  • タイルを配置した時に、まだ誰のものでもない2つ以上の同色マスが隣接した場合は、そこを手番プレイヤーの国としてタイルの上に塔コマを1つ置く。
    2つの国が新たに成立した場合はそれぞれに置く。
    • 一度成立した国*3は、その後も同色の国タイルが隣接すればそれを自国領としていく。
    • 国を形成するマス数が5以上となったら、その国は「大国」となる。塔コマを追加で1つ、既存のコマの上に積み重ねる。ちなみに、どれだけ国を広げても2個以上のコマが乗る事はない。
  • 塔コマの乗った国が誰のものでもない村に隣接したら、プレイヤーは村に塔コマを1つ置いて占拠する。
    • 村は、現在の所属国 よりも多く のパゴタの塔を有する国が新たに隣接してきた場合、そちらに占有権が移る。
      同じプレイヤーの物である複数の国が村の各辺に隣接した場合、塔の数はすべて合わせて計算する。
      • 占有権を失ったプレイヤーは、取り除かれた塔コマを手元に引きとる。
  • 塔コマの乗った同色の国がタイルの配置によって合流した場合、元あった国土が より広い 国は狭い国を吸収合併して、1つの大国となる。
    吸収したプレイヤーは塔コマを1つ積み重ね、吸収されたプレイヤーは国を失ってコマを引き取る……と、大規模なアドバンテージ変動が起こるイベントである。
    吸収合併絡みの補足事項は以下の通り。
    • 最大多数プレイヤーが複数現れる場合は、 合流する位置にタイルを置く事自体が禁止
    • 大国は絶対に他の国に吸収されない 。このケースでも、吸収が起こる形でのタイル配置は禁止(拡張は可)。
2ターン目略図(手番を控えたCさんは涙目)

終了条件・得点計算
  • いずれかのプレイヤーがパゴタの塔コマを置き切ったら即座に終了。そのプレイヤーの勝利となる。
  • 誰もコマを使い切れなくとも、以下の条件でゲームが終了する。
    この場合は、手元の塔コマの数が最も少ないプレイヤーの勝利(タイは同着)。
    • 草原マスがなくなり、タイルの配置が不可能になる
    • タイルを全て使い切る

ゲームの流れ
  1. 各プレイヤーに手札を3枚ずつ配る
  2. スタートプレイヤーから順に、タイルを配置する
    1. 配置後の国の状況に応じて、パゴタの塔コマをやり取りする
    2. いずれかのプレイヤーがコマを使い切ったら終了
  3. 2を繰り返す
省略している2の部分こそがゲームの肝な訳だが、パゴタコマの置き・戻しが発生する点では一緒なので「流れ」としてはこんな感じ。シンプル。

コメント

+ プレイ感と感想について
ゲーム性
自陣を広げる際の動きはわりと素直。しかし置き方を工夫すると敵の侵略を阻止する事も可能で、3色の2マス1セットというシンプルなタイル構成が立派に「攻防」を成立させている。
ただし手札は3枚しかなく、仮に何か作戦を思いついても都合よく実現できるかどうか、その見通しは決して明るくない。自分の行動は相手に便乗される危険がつきまとう、安心のクニツィアゲーである。
それだけに大国はやはり強く、常に有効手を打てるとは限らないもどかしいルールの中に安定感をもたらす「軸」となる。
プレイ難度
低い。タイルは全6種類、能力だなんだというギミックも一切なく、手札の3枚から1枚選んで盤に置くだけ。
また、人数が増えても感覚は特に変わらない。遊びやすさ良好。
収束性
ざっくり言うと1手番1個くらいのペースで調子よくコマは使われ、相手を「上回る」事でしか村も国も乗っ取れないため同じ場所での取った取られたも延々とは続かない。あまりグダつかず、スムーズに展開しストンと収束するだろう。

欠点

  • 何となく手なりでプレイしているような気分に陥る事がある。ルールが平易である上、フィールドが広く中盤まではどう進めてもコマ数的には拮抗するためだろうか。

お勧めタイプ

めっちゃ簡単だから、緩く遊ぶもよし、少ない手札に悩みながら遊ぶもよし。
「条件達成したら即終了」タイプなので大詰めでのツモ運の影響力はそれなりに大きいが、序~中盤に形成されたマップ状況が後になって奪い合いの焦点になるなど、立ち回りには十分な工夫の余地がある。時には運を天に任せつつも流動的な盤面を楽しむ、懐の広い良ゲーと思われる。
上手く表現するのは難しいが、大国を作り上げると点数的な側面(コマ2個分)以上の堂々たる存在感を示す事が、国盗りものの陣取りとしては爽快感がありバランスも取れていて面白いところ。

【お勧め度:★★★★★★★☆--】

【このゲームのイメージ図】
引いたタイルの使い道は、
攻めか守りか用無しか。
大国の存在は攻防共に強力。

最終更新:2013年05月15日 00:28

*1 ボードに描かれている初期配置の国を含む。

*2 2人では24個、3人では19個、4人では15個。ちょっと覚えにくい。

*3 TBGLの和訳では「国の発見」と表現している。