封建領主
(原題:Feudality)
発売年 |
2012年 |
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プレイ人数 |
2~6人 |
プレイ時間 |
60~90分 |
対象年齢 |
10歳以上 |
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デザイナー |
トム・ワム |
ゲーム概要
昔々のお話です。プレイヤーは西洋ファンタジー世界の地方封建領主として、未開拓の更地にポンと放り出されます。
そこに新たな施設を建設していって、領国を発展させてください。
この国の王様はぶっちゃけボンクラであり、増税や戦争などを思いつきで実施していきます。なんとか凌いでご機嫌を取りましょう。
なお、このゲームでは8面ダイスを2個使用します。施設の稼動や戦闘など、重要局面では必ずダイスを用いるのでご了承を。
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得点ボードと購入品置き場。タイルも置いてみた。 |
その他コンポーネント |
ルール(概略)
コンポーネントの特徴
- 領国経営カード(プレイヤーボード)は番号の振られた8×8の64マスで構成され、草原・川・山といった地形が描かれている。
下部は、獲得資材の保管場所。- 6枚(両面仕様)用意されているプレイヤーボードは、地形が全部バラバラ。各自好きな物を使用する。
- 繰り返しになるが、8面ダイスを2個使用。青・白の1個ずつあり、この色も重要な意味を持つ。
- ボードに配置していくタイルは、様々な特殊能力を有する。資源や勝利点獲得効果の他、兵士などもいる。
これを布袋に入れ、必要に応じてランダムで取り出し補給する。- この他、ボードに初期配置する「城」タイルがある。大きさはボードの4マス分で、ここに要塞化タイル(塔・砦・城郭・要塞)や兵士を配置する。
- ランダムイベントカードが50枚用意されている。全枚使用するが、ゲーム中に全ては使い切れないだろう。
- 使用するリソースは5種類。キューブは資源1個分、同じ色の大きいコマは3個分に相当。
- プレイヤーコマを各自2個ずつ使用。1つは得点表示用、もう1つはプレイヤーボードに目印として置く。
セットアップ
- 先手プレイヤー(シニアプレイヤー)を決め、手番サマリの書かれたシニアプレイヤーシールドを受け取る。
- 中央に得点ボードを配置し、各プレイヤーは自分の色を決めて、ボードの「1点」の位置にプレイヤーコマを置く。
- 先手プレイヤーから順にプレイヤーボードを選び、「城タイル」「塔タイル」「森タイル」を受け取って自由に配置する。
- 「山」地形を覆うように城タイルを配置した場合は、トンガリの数だけ「鉄」を獲得する。
- 塔タイルは、城タイルの上のマスに置く。
- 各プレイヤーは、初期リソース「食料」「石材」「木材」「鉄」「金」を3個ずつ受け取る。
- 初期タイルを獲得する。
- 要塞化タイル以外のタイルを全て布袋に入れる。
- プレイヤーの人数×2+1枚のタイルを袋から出して購入トレイに並べる。
金の星印付きのタイルは、ここでは並べない。出たら別のものと交換する。
- 先手プレイヤーから順に1個ずつ、次は逆順で1個ずつ、コストを払わずに獲得してプレイヤーボードに配置していく。
- イベントカードは全てシャッフルして山をつくっておく。リソース類は、盤の外で待機。
初期配置例。「羊飼い」は、川の上にセットすると食料を生む効果が+1される。
プレイ上のポイント
- 手番の流れは以下の通り。詳細は後述する。
- 1. ダイスを振る
- ダイスを2個振り、ダイスの色・番号とボードのそれを照合した「交点のマス」に、プレイヤー全員がプレイヤーコマを置く。
その後、各自が
そのマスの周囲8マスからいずれか1つ
の施設を選び、効果を得る。
- ゾロ目、またはいずれかのダイスで「8」の目が出た場合は、効果を得た後でもう1チャンス発生。条件が合う限り何度でも繰り返される。
- 2. イベント発生
- イベントカードを1枚めくり、指示に従う。
ゲーム開始直後の1ターンのみ、イベントは起こらない。
- 3. タイル購入
- プレイヤー人数×2枚のタイルが並び、その中から1枚を選択して自分のボードに配置する。コストが設定されていたら支払う事。(支払えない場合は購入できない?)
- 要塞化タイルを購入するのもこのタイミング。1レベル上のものを1枚だけ、タイル購入権を放棄した上でコストを支払うと購入できる。
要塞化タイルは全て同じ場所に積み重ねて、防衛力は一番上に置かれているタイルの値を参照する。
- 4. アクションフェイズ
- 5. 食料供給
- ボードに配置したタイルの枚数に応じて食料を供給する。重なっている要塞化タイルも全て計上する。
支払えない場合は、支払い可能になるまでタイルを廃棄する。
- 6. 手番を次のプレイヤーに回す
- タイルには、配置制限を有するものや、配置された地形に応じて効果量の変わるものがある。
この関係で、「最初に配られる森タイルは川沿いに置くのが良い」とされている。- 鉱物を採掘できるタイルは山地形限定が多い。初期配置で山を潰して鉄資源を受け取るのは、ほどほどに。
- アクションフェイズ
- アクションは、自分のボードの任意の施設を稼動させるか、特殊アクション(付属のサマリカードに概要が記されている)の「秘密の不倫関係」「他領地の破壊工作」「他領地と戦争」「他国と戦争」の計5種。
ここから2つを選んで実行する。- 同じ施設を2回動かしても良いが、戦争は同一手番で2回行なってはならない。不倫は何度でもお好きに。
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勝利点を生じさせる施設を任意で稼動させる事はできない
。
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特殊アクションについて |
- 戦争
- 小国・大国・他プレイヤー(自分より勝利点の少ないプレイヤーのみ)から相手を選び、自国の兵士を任意の数だけ派遣して、8d2+自軍戦力で相手の防衛力を上回ればOK。
勝てば勝利点や資源などを得(プレイヤーが相手の場合は、負けた相手から奪う)、負ければ勝利点を失う。- プレイヤーが防戦する場合は、要塞化タイルと自軍の総戦力=防衛力となる。ダイスは振らない。
- 戦争終了後は、戦争を仕掛けたプレイヤーが派遣した兵の1人1人に対し、確率1/2の生死判定を行う。死亡した兵士タイルは盤外に戻す。
- 大国との戦争後には「
全面戦争
」イベントが発生。
- 即時で8面体ダイスを振り、全プレイヤーがそのポイント分の兵士を派遣。足りない場合は勝利点-1し、可能な限りの兵を派遣する。
- その後、「防衛力8 VS 8d2での勝利判定」「参加した兵士の生死判定」を行なう。
勝利した場合は、兵士を派遣したプレイヤーは勝利点+1。
- 戦争関連は色々と細かいルールがあるのだが、とにかく「大きなダイス目を出せばOK」「参加した兵は死ぬ可能性あり」と覚えておけばいいだろう。
- 不倫
- 8d2の値で9以上を出したら勝利点+1、4以下だったら-1、それ以外は何もなし。
なにやら妖しげな響きのアクションだが、これ以外に特別な動きはない。
- 破壊工作
- まず8面ダイスを1個振り、出た目の数だけ「金」を支払う。
任意のプレイヤーを1人指定し、手番最初のダイス投擲と同じ要領で「交点のマス」を出し、周囲も含めた9マスにタイルが含まれていたら、手番プレイヤーがそこから1枚選んで破壊する。 金を支払えなかったり、出目の周囲に何もなかったりしたら、何もなし。- 敵陣に投石機を向けて大雑把にブチ壊そうとしているようなイメージだろうか。
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- その他のポイント
- リソース類は
同色4個を任意の1個にいつでも変換できる
。これで食料供給しても可。
- 全面戦争とイベントカードによる戦争(王を巻き込む戦争)で勝利した時、騎士を派遣していたプレイヤーは追加で勝利点+1。
- 城マスには、同種のタイルは同じマスに配置する。袋に1枚しか存在しないパワー4騎士「wolf」を、騎士と一緒にしてはいけない。
- 手番プレイヤーが任意で行なうアクションは、勝利点がマイナスになる可能性のあるものは選択できない。
- イベントカードの内容を一部紹介。
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イベント例 |
- 魔物が襲ってきた!系
- 手番プレイヤーがプレイヤーを1人選択し、敵(「固定値+8d2」など)からの防衛戦(自軍総力+要塞化タイル)を行なう。
勝利すると勝利点+1、負けると-1。
- 王様の気まぐれ増税系
- カードに指定された資源を捨てる(謙譲する)。供出できなかったプレイヤーは減点される。
- 戦争系
- 王様が戦争を宣言。詳細はカードに記されているが、基本的には前述の「全面戦争」に近いイベントが発生する。
- その他
- 兵士を国王主催の大会(死ぬ危険の無い8d2投擲勝負)に出場させる、捨て札になった過去のイベントカードがデッキに全復帰する、女王様が何か資源をくれる(女王様は優しい)、ネズミが出て
食料供給が1個余計にかかる
、笛吹きが現れてネズミが去る(
こっちが先に出た場合は無効
)など。
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終了条件・得点計算
- 誰かが規定点に達した時に終了トリガーが引かれる。
その後、全員に1回ずつターンが回ってゲーム終了。最も得点の高かったプレイヤーの勝利。
ゲームの流れ
- 初期配置
- プレイヤーの手番
- ダイス投擲、施設稼動
- イベント発生
- タイル購入
- アクションを2回実行
- 食料供給
- 手番を次のプレイヤーに回し、2を繰り返す
ダイス、イベント、タイル購入。ここまでは参加者全員に影響があり、その後に手番プレイヤーの任意アクション、そして食料供給。
手番を移し、終了条件達成まで以下繰り返し。
コメント
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プレイ感と感想について |
- ゲーム性
- 箱庭経営ものに、多種のイベントカードを加えてゲーム展開に彩りを添えている。
一見『カタン』にも似た「マップに自分の領地を配し、ダイス目に応じて当選判定」システムが目を引くものの、実際に大きな特徴となっているのは「勝利点を取る時こそダイス目が命」という、むしろ『カタン』とは正反対の設計思想だろう。最低値2・最大値16とブレ幅の大きい出目で点が増えたり減ったりする事に一喜一憂する、平たく言えば運ゲー。
- 絵柄
- デフォルメの強い漫画的な絵。珍妙ではあるが嫌う人は少ないどこか間の抜けた絵柄であり、馬鹿王のアホ執政やプレイヤー間の戦闘要素があってもギスギスしない雰囲気作りがなされている。配色は王様が暖色主体で温かみがあり、逆にボードは緑・水色主体で目に優しい。
絵ではないが、リソース類の大コマの形が個性的なのも好ましい。
- 難易度
- 揺らぎが大きすぎて測定不能。
リソースマネジメント要素を見た場合、消費に対する生産の度合いが大きく、「任意の施設を」自手番で2回動かせる関係で食料工面の心労も軽い。資源不足に悩む局面はほとんど無く、適当にやっててもなんとかなる程度には簡単。
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イベントカードの絵柄一例。お世辞にも賢そうとは言えないがお茶目な王様。
欠点
- 「勝ち」にかかる達成感はあまり無い。
後半は他人の振るサイコロでも1点2点3点と調子よく入り始め(もちろん運が悪ければゼロ)、場合によっては山場らしきものもなく実にあっさりゲームが終わる。 配置や作戦の云々以上に運ゲーとしての度が過ぎるようで、決着がつく段における唐突感・台無し感はかなりのもの。
- プレイヤーボードは12パターンも用意してくれているのだが、その分厚みがペラい。
お勧めタイプ
勝敗にこだわる遊び方にはおよそ適さないほど運要素の強いゲームである事を踏まえると、所要時間が長いし、プレイは少し複雑。逆に言えば、運に転がされながら気楽に遊ぶゲームとしては複雑な動きを楽しめる。ほんわかとした絵柄も、ゲームの雰囲気とよく調和している。
しかし結局のところ、「ここは工夫されている」「この要素は新しい」と特筆して褒められる点の少なさから、2012年作品としては真ん中より上の方向で考える事が難しい。
ダイスの気まぐれに大きく依存した箱庭ゲームである本作を「ゆるふわ」路線と許せる人は普通に楽しめるが、そうでない人の目には「グズグズ」と映り、大きな減点となるだろう。
【お勧め度:★★★☆☆-----】
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【このゲームのイメージ図】 箱庭の中で色々やるゲーム。 だいたいの要素にダイスがかかっている。 戦争以外の要素は乱暴なまとめ方だが わりとこんな感じ。 |
その他
- ダイスを振り直す能力を持つ「魔法使い」は、ゲームバランスを保つため「1人のプレイヤーは2枚以上建ててはいけない」とする追加ルールが推奨されている。
最終更新:2013年03月29日 14:08