ロンドン(London)

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ロンドン

(原題:LONDON)
発売年 2010年
プレイ人数 2~4人
プレイ時間 90分
対象年齢 ?歳以上
デザイナー Martin Wallace

ゲーム概要

1666年、ロンドンは炎に包まれた。
4日にも渡る大火によって焦土と化したロンドンは、翌年に「再建法」を成立。復興を目指し、大規模な都市計画を始動させた。
ロンドンの土地を買い上げ、町に施設を充実させつつ、復興につきまとう貧困の問題も解決していこう。
そのための資金はいくらあっても足りないが、心配はいらない。借金をし、都市を見事甦らせてから返済すればいいのである。
コンポーネント

ルール(概略)

コンポーネントの特徴
  • メインボードには、ロンドンの町を元にした区分けが描かれている。
    マップでロンドンを東西に分断しているテムズ川の存在も、ゲームに絡んでくるので注意。
    下部はカードディスプレイ。プレイ人数に応じて使用枠は変動する。
  • 系統によって茶・青・ピンク・灰の4色に分けられた、大量のカードがある。これがゲーム中のメイン要素。
    • 灰色はおじゃまカードの「貧民」。
    • 建物ではなく、使って捨てるタイプのカードもある。建物カードとは情報の構成が全然違うのですぐわかるだろう。
  • これ以外のパーツで目を引くのは、貧困ポイントを示す黒キューブと、10金・ 40金 と用意された借金タイル。
    その他に細かいチップ類やお金もあるが、(作者の傾向からすると)わりとすっきりとまとまったコンポーネント構成。

建物カード略図


プレイ上のポイント
  • このゲームの経営は「建物を建てる」「作った町を動かして効果を得る」「土地を買う」事で発展していく。
    そのさなかでお金が入用になったら、 いつでもいくらでも借用書を作ってお金を受け取って良い
    • ちなみに、この借用書の返済機会は ゲーム最後にのみ巡ってくる 。返済額は10金→15金、40金→60金(レートは同じ1.5倍)。
      用立てたお金で得た利益は、極力そちらに振り向けよう。

  • プレイヤーは手番で1枚カードを引く。
    その後、「建築」「町の活性化」「土地の購入」「3枚ドロー」からアクションを1つ選択する。
    • カードを引く
      • 山札、またはカードディスプレイから、1枚選んで引く。
      • アクションで3枚ドローを選んだ場合、「カードを1枚選んで引く」事を3回繰り返す。
        つまり、1枚ごとにどちらから引くかを選んで良い。
    • 建築
      • 手札から好きな数の建物カードをプレイし、自分の町に建築する。
        建築の基礎コストとして、その建物と同じ色のカードを1枚、手札からカードディスプレイに置く。下段左側の枠に表示がある建物は、そこに指定されたコストを追加で支払う。
      • 建物が建つと、そこには「スロット」の概念が生じる。これについては後述する。
    • 町の活性化
      • 自分の町の建物カードのトップに対し、好きなものを任意の数だけ選んで、1枚ずつ順に下段中央の枠に描かれた効果を得る。
        適用順は自由。また、追加コストを要する建物を動かす場合は、それを支払う。
        効果を得た後、下段右の枠に「裏返す」のアイコンがある建物カードは裏向きにする。この状態の建物は、何の効果も発揮しない。
      • 傾向としては、「茶系はお金獲得、青系は勝利点獲得、ピンク系は特殊」の効果が多い。
      • アクション終了後、貧困ポイントが増加する。これも重要なので詳細は後述。
    • 土地の購入
      • メインボードの中央にある「シティ」に隣接した誰のものでもない土地を1つ、指定の金額で購入する。
        自分の色のマーカーを購入した土地に置き、その場所に書かれた枚数のカードを引く(ボードから引いても良い)。
        以降、誰かに買われた土地に隣接した土地が購入対象に加わる。
      • 土地はテムス川を境に分断されており、橋でつながった土地のみが隣接していると見なされる。
        橋を使って土地を広げる際は、追加コスト1金を支払う。
  • 手札上限は9枚。手番終了時に、超過分は調整する。
  • 「建物スロット」について
    • 建物は横一列に並べて建てる。1つの建物が置かれたらスロットが「1つ」、2つ並べば「2つ」と増えていく。
      1手番では、同一のスロットに複数の建物を建てる事はできない。
    • 次回以降の手番では、今ある建物スロットに対して 上書き で建築しても良い。ただし、一度増えたスロットは減らす事ができない。この点は、下記の貧困に強く影響する。
  • 「貧困ポイント」について
    • 貧困ポイントが増えるのは、主に町の活性化アクション。
      建物の効果を得た後、「手札の残り枚数+町のスロット数」だけ増加する。
      このポイントは、 ゲーム終了時にマイナス点となる
    • 土地を購入していると、ボードに置かれているマーカーの数だけ増加量が軽減される。軽減量の方が増加量より多ければ、活性化アクションに伴い貧困ポイントは減少する。

  • その他のポイント
    • カードディスプレイは二段構造になっている。
      先に上段、満杯になったら次に下段を使い、下段も満杯の状態で更にカードを置こうとした時、下段のカードが上段へずれる。この時、上段にあったカードは押し出されてゲームから除外される。
      カードを引く時は、ディスプレイの上段と下段のどちらを選んでも良い。
    • 町の活性化では、効果は任意で1枚ずつ解決していく。
      解決順によって結果の変わるカードはたくさんあるので要注意。
    • 「貧民」という、何の効果も無いカードがある。
      背景色は灰色で、通常の建築コストには使えない。普通に捨てる事もできず、少し特殊な方法を用いないと手放せないお邪魔カード。
      • 捨てる方法は「手札上限から溢れさせて捨てる」「建物の特殊効果を利用する」「建築時の追加コストとして『カード1枚』を要求された時に支払う」など。

終了条件・得点計算
  • 建物カードが全てなくなったら、各プレイヤーが1回ずつアクションを行って終了。
    ゲーム終了後に、借用書の返済が可能となる。余った手札は貧困ポイントとなる。
  • 以下の要素が勝利点として計上される。
    • 勝利点チップ……ゲーム中に建物効果などで手にした点数を加算。
    • 建築済みの建物カード……自分の町に建てたものを全て表返して加算。
    • 土地……所有している土地は、メインボードに表示された点数が加算。
    • 鉄道……鉄道マーカーが置かれた自分の土地1つにつき+2。
    • お金……?金につき+?。
    • 借用書……マイナス点。額面10金あたり-7。
    • 貧困ポイント……マイナス点。最も貧困ポイントの低いプレイヤーとの差分に応じて点が引かれる(メインボード参照)。

ゲームの流れ
  1. カードを引く
  2. アクション選択
    1. 建築
    2. 町の活性化
    3. 土地の購入
    4. カードを3枚ひく
  3. 次の手番プレイヤーへ移して1へ戻る
手番がきたらまずカードを引き、次にアクションを選ぶ。手番を移して以下繰り返し。
建物を建てて、動かしてお金を稼いで、土地を買って……という流れが基本。だがいくらでも借金できるので、順番が多少前後しても構わない。

コメント

+ プレイ感と感想について
プレイ難度
実はけっこう簡単。というのも、建築に必要なコストが単純だから。動くリソースはお金と貧困の2種類で、あとはカードが回るだけ。
もっとも、特殊効果を持つカードばかりはその都度見て覚える以外に仕方ない。接するにあたって壁となりうるのはここ。
難易度
「手札枚数」が肝という独特のハンドマネジメント要素があり、また建物は基本「使い捨て」で、建てた場所はスロットとして残る。これらは無駄が多いほどマイナス点に結びつき、よくある建築ものの中でも一風変わったプレイ感を持っている。難しいと言えば難しい。
ただし点数配分はけっこう大胆で勝利点へのアプローチ手段も多く、プレイヤー間の優劣をカウンティングで推し量るのはおよそ無理。自分の戦略を信じつつ「当たって砕けろ」といった直感的な進め方でも、特に問題は無いと思われる。そういう意味で、体感としての難易度はキツくない。
借金
金回りが悪くて土地が買えず、自由度が狭められて展開がつまらない……このゲームにそんな心配は無用。必要な時に必要なだけ借りて、どんどん使おう。土地が多ければその分強気になれる。
とにかく建物カードの種類が多く、カード巡りの運で勝敗の分かれやすいゲームではあるが、勝ち負けを抜きに考えても、素直に遊んで面白い。そんな安心の最低保障付きである。

欠点

  • (借金が上策かはさておき)コストの支払いが容易なので、強い戦術はカードを拾えればすぐに成立する。
    知識の差は結果に表れやすい方で、カードの種類や使い方をよく知らない内は本来の味が出にくい。コンボゲー特有の欠点である。
  • 2人プレイにおける収束性がやや薄く、建物カードの物量の多さから最終盤で展開がダレる可能性あり(解決策としての2人用バリアントルールを後述する)。

お勧めタイプ

借金ゲー万歳。そんな人には、土地の取りあいと建物コンボを簡単プレイで楽しめる本作がお勧め。ゲーマーの好む要素がしっかり盛られているのに、プレイに踏み切らせるハードルは低い。
重量級に手が届きそうな勢いのプレイ時間を要するけれども、プレイ自体に煩雑さがほとんど無いのですぐ慣れるし、体や脳の負担も大きくない。しっかりしているのに取りまわし良し、の優良タイトル。

【お勧め度:★★★★★★★☆☆-】


その他

  • 2人用バリアント
    • 土地を買ってカードをドローする時、同じ枚数をデッキから捨て札に回す。
    • カードディスプレイの流れをスムーズにする擬似多人数バリアントである。
      2人では楽に手にできていた「お目当てのカード」を流されてしまう確率が高く、場の点数配分は更に揺らぎ、ゲーム終了までの尺が縮む。経営の更なるスマート化を求められるだろう。
  • 土地ゴロ防止バリアント
    • カード上限に引っかかって捨て札をする際は、1枚あたり貧困ポイントを1個受け取る。
    • ゲーム序盤に借金をしまくって土地を買い占めるプレイの防止策。それで特定プレイヤーが必ず勝てる……というほどの抜け道戦略ではないそうだが、ゲームバランスが一瞬で大きく偏る事態ではあるので、ひとつの調整法としてBGG利用者から提唱された。

  • 本作のテーマと貧困ポイントについて
    • 手札として使用する建物カード。本作の作者は、これは「建物」であると同時に町の「住民」を表している、と言う。
      土地を買ったら、住民(カード)が増える。プレイヤーはそこに住む人の面倒を見なければならない。
      町に建物を建てていき、職にあぶれている人を極力減らす。そうしないまま(手札に残したまま)町を動かすと、貧困者が溢れる。
      住民を持て余さないように気をつけ、上手く建物が最大限の効果を発揮したら、跡地にどんどん新しい建物を増やすのだ。
      なんの気なしに遊んでいる分には「焼け跡からの復興」というテーマ性とプレイ実感はなかなか結びつかないが、それをスマートに表現するべく試行錯誤された様子が伺える。



改定履歴

+ 改定履歴
  • 13/06/28[お勧め度変更] 「★★★★★★★☆--」→「★★★★★★★☆☆-」。
    コンボゲーの好き嫌いを抜きにしてゲーム全体を見ると、総合的な調いっぷりは良作群にあっても頭一つ抜けている…と思えるようになった。それを損なうほどに重大な欠点もない。
最終更新:2013年09月11日 22:58