ブラックストーリーズ:50の“黒い”物語
(原題:Black Stories)
発売年 |
2004年 |
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プレイ人数 |
2人以上 |
プレイ時間 |
2~222分 |
対象年齢 |
12歳以上 |
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デザイナー |
Holger Bosch |
価格 |
日:2014年4月26日発売/1500円(税別) |
ゲーム概要
場に開かれる1枚のカードは、ある1つの事件について書かれている。
極限まで超圧縮されたその概要文は、どうしてそんな事になってしまったのか理解不能なものばかり。
真相を知るのは、場にただ1人のリドルマスター(出題者。以下「マスター」)のみ。
回答者はマスターに質問を繰り返し、事件の真相を解き明かす。
ルール(概略)
コンポーネントの特徴
- パッケージに入っているのは、説明書に相当する厚手の紙が1枚。50枚のカード。以上。
- 50枚のカードは、表側に事件概要、裏側に事件の真相が書かれている。
セットアップ
- 50枚のカードが入った箱を適当なところに置いておく
- 場に1枚、カードを表にして置く
プレイ上のポイント
このゲームのルールは、非常に数が少ない。
中には、参加者の裁量で多少左右させて良い要素もある。
- 回答者は事件について、マスターにどんどん質問をする。
- 回答者はY/Nで答えられない、「何」「どこ」「いつ」といった質問をしてはいけない。
厳守
。
- 質問に回数制限などはない。どんどん質問するべし。
- 質問を受けたマスターの対応はこんな感じ。
- 有効な質問に対して「はい or いいえ」で応じていく。
- 真相と無関係な質問、カードの記述からは特定できない質問については、マスターは「わかりません」と答える。
- マスターは適宜助け舟を出しても良い。
- 真相に近づく鋭い質問を受けた時は「いまのは良い質問です」などと教えると、重要な参考になる。
- 場が膠着してしまった時は、直接的なヒントを少しずつ出しても良いし、今までの回答や質問の中から重要なものを挙げたり、現時点での進捗状況を伝えたりしても良い。
- 回答を希望する回答者は「
回答します!
」と宣言すること。
- 回答は何度でもしてかまわない。間違えたとしても何のペナルティもない。
- というか、このゲームには
勝ち負けの概念が無い
。安心して自分の意見を述べるべし。
- 事件の内容または真相が、少々ブラック。
- 死人の出る不可解な事件の真相究明を中心に、よくある日常と思いきや実は…的なエピソードも満載。
- 概要文は突飛でも真相は荒唐無稽ではなく、ある程度現実的な感覚に即して意味や流れの通る真相が用意されている。
- 時々、(一応ブラックだが)ユーモア系もある。
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実際のカードより、事件の例 |
題:永遠のうたた寝
「男は車の中で眠り込み、そのまま溺れてしまった。」
えらく短い。
なんとなく、居眠り運転して海にでもダイブしたような印象を受ける文章でもある。
もちろん、事実はそんなにシンプルではない。
- 気になる点を挙げていくと…
- 男は一人か
- 「眠らされた」のか
- 山中か、街中か
- 性別(男)は重要な情報か
- 車は走行していたか
- 運転をしていたのは、溺れた男か
- 水に溺れたのか
- 男は死んだのか、(死んだ場合)死因は溺死か
- 文章によると「溺れた」のであって、「死んだ」とは限らない。また死んでいたとしても、直接の死因が溺死ではない可能性もある。全て質問で確かめておかなければならない。
- ある程度質問数が重なると発想の方向性が固まってくるので、マスターはそれとなく真相にむけて会話を誘導していく。
見当違いの質問が多ければ、ちょっとヒントを出すなどして。
- 正解を書いてしまうと、それを読んだ人はもうそのカードで遊べない。そのため、ここでは真相を伏せる。
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出題例 |
「食事をふるまったら、激怒された。」
はぁ。それが何か? という感じの文章である。
- 回答者は、真相に迫るべく手探りで質問責めをしていく。
-
Q:
食事をしたのは家族か
A:
いいえ
-
Q:
食事をしたのはお客さんか
A:
いいえ
- 前の質問と合わせて、「家族でも客でもない人に料理をふるまう?」という謎が深まる。また、明確に回答した=相手との関係についてカードに記載があるっぽい事もわかる。
-
Q:
食事がまずかったのか
A:
わかりません。ただ、特別まずかった訳ではなさそうです。
-
Q:
食べた人は、特定の宗教信者か
A:
わかりません。あまり重要ではないと思います。
-
Q:
メニューは重要か
A:
はい。非常に重要です。
- これで、メニューに問題があった事はわかった。宗教上の理由以外で。
-
Q:
料理はゲテモノか
A:
はい。鋭い質問です。
-
Q:
「回答します! 『ゲテモノ料理を出され、腹を立てたので怒った!』」
A:
違います。
- 真実を示す文章はたいてい、出題文とは比較にならないほど長い。回答が違っていたので質問を続けていく。
-
Q:
食事は何人…
A:
それはナシで。
-
Q:
食事は二人で?
A:
はい。
ちなみに、この例題で想定している物語は、有名な昔話「かちかち山」の冒頭シーン。
おばあさんを殺して成り変わったたぬきが、おばあさんの肉で作った汁をおじいさんにふるまった…というカニバ話である。
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終了条件・得点計算
回答者が真相に辿り着いたらそのゲームは終了。
全員が真相を知る権利を得て、場のカードを裏返す。
勝敗? 特にそういった話はない。
- 100%完璧な真相でなくとも、マスターの判断で「正解」であれば正解としても良い。
コメント
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プレイ感と感想について |
- ゲーム性
- ひたすら推理、そして対話。分類するとコミュニケーション系で、人との絡みを楽しむタイプ。
まったく意味不明だった出発点からだんだん真相に近づいていく過程は、推理ゲームのおいしいところばかり抽出したような感じで、とてもスタイリッシュ。
- プレイ難度
- とても低い。
多人数同時参加なので、自分だけでは自信が無い人でも筋道だった推理の組み立てに参加していける。ただ意見を出すだけでも役どころとして不足がなく、楽しい。
- ブラック
- 「ブラック」といえども対象年齢以下禁止のような有害性は無く、そこそこ万人向けと言える。中にはネタ話も。
欠点
- 一度真相を知ってしまったカードは、同じ面子では再利用不可能。
- 回答者として触れたカードは、次はマスター側になる事で使えなくもないが、その逆は無理。
- ゲームを買って、パッケージを開けて、コンポーネントを改める。この流れはゲーム趣味の楽しみの一部でもあるのだが、本作では我慢するしかない。
- 内容の黒さ故か、簡単でシンプルで楽しい会話ゲームなのに対象年齢が高い。回答側が12歳だと難しい・理解しにくい内容も含まれている気がする。
- オチの弱いカードもある。
- 「ブラック」と断言されている分、連続プレイをすると推理の方向性の似通った話に当たる事も。
お勧めタイプ
回答者側は一定以上の推理力、進行役にはゲーム的なセンス(ヒントのさじ加減など)を要求されるけれど、基本は「質問→返答(はい/いいえ)」だけで進む簡単なゲーム。
交渉だの友好だのが絡まないストレートな会話内容なので内向的な人でも問題なく、格別「推理もの好き」でなくても勧められると思う。
メインディッシュではなく箸休め的な存在として、良い仕事をする事が多い。
ただし、そのプレイを面白くするも台無しにするもマスター次第という側面を持つので、マスター役を引き受ける時に緊張するゲームではある。
【お勧め度:★★★★★★★☆--】
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その他
- お国柄によるニュアンスや慣習の違いといった理由で、日本語ローカライズ版はオリジナル版の内容と比べて、カード差し替えや細部修正などの変更点あり。
- ルールとして明記こそされていないが、説明書には「時間制限を設けるといい感じに焦れるよ」(意訳)と書かれている。
- オリジナル版が発売されたドイツでは、現在シリーズ第9弾まで発売中。
- 『ホワイトストーリーズ』や『ブルーストーリーズ』など派生作品も多数制作されている。同じカードを使いまわせないという欠点は、(言語の壁を乗り越えられるのであれば)買い足して解消してみては。
改定履歴
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改定履歴 |
- 14/08/17[お勧め度変更] 「★★★★★★★★☆-」→「★★★★★★★☆--」。
感じ方が大きく変わったわけではないが、さすがに基礎点8は多すぎたか、と思った。
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最終更新:2014年08月17日 09:02