グラン・クリュ
(原題:Grand Cru)
発売年 |
2010年 |
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プレイ人数 |
2~5人 |
プレイ時間 |
90分 |
対象年齢 |
12歳以上 |
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デザイナー |
Ulrich Blum |
備考 |
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ゲーム概要
プレイヤーはワイン蔵経営(ドメーヌ)を始めるようです。
まずは資金を得るべく、借金をしましょう。そのお金でブドウの木を買って畑に植え、収穫して熟成させたらワインの出来上がりです。丹精込めた商品をお金に代え、次の年に備えます。
1年の終わりにはワイン祭りが開催されます。これを盛り上げてドメーヌの名声が高まれば、それは何かと経営の助けになるでしょう。
高級品も普及品もワインはワイン。上手にやりくりして、フランスワイン畑の最高級格付け「グラン・クリュ」をもぎ取りましょう。
ルール(概略)
コンポーネントの特徴
- 共通のメインボードに示される情報は、以下の通り。
- 農園ボードに配置する物件(ブドウ・改良タイル)を競りにかける領域
- ブドウの品種ごとのワイン相場表示
- ワイン祭りに供出するワインキューブを置く領域
- 「名声」表示と、名声を消費して行う追加アクションの表示領域
- 「クレジット」表示
- 各プレイヤーには、自分のワイン農園ボードが配られる。
ここには、競りで購入した物件を置く領域と、収穫したブドウを保管・熟成させるタル領域が描かれている。
- ゲーム開始時に分配されるリソース類は
一切なし
。各プレイヤーは
好きな額のクレジット(借金)
をし、1クレジットにつき7金の元手を作る。
- クレジットは1年が経過してラウンド終了する際に、段階に応じた利子が発生する。
- 利子の支払いが終わった後は、再度クレジットが可能。即時で現金を欲している場合はここで補充する。
- 競りにかけられる物件は、ラウンドの最初に、プレイヤー人数と同数が並べられる。品揃えはランダム。
- 手元のお金は非公開プレイを推奨。
- ゲームは春・夏・秋・冬の4つのフェイズをこなしてブドウを買い付ける。
冬フェイズである条件を満たしたら1年経過のトリガーが引かれ、ワイン祭り開催。ボーナスの追加アクションを行ない、必要であればクレジットを処理(追加借金or返済)して次のラウンドに入る。- 1年終了のトリガーは、「誰かが自分の畑のブドウを全て収穫すること」。そのラウンドが短期に終わるか長期間続くかは、場の流れ次第となる。
条件が達成された後、それ以外のプレイヤーが1回ずつアクションを行なってから、ワイン祭りフェイズに移る。
- プレイヤーの取る主なアクションは以下の通り。スタートプレイヤーから順に各プレイヤーが1回ずつアクションを行なうと、季節が1段階移り変わる。
- 物件に入札する、または、入札されている物件の競り値を上げる
- 低い値をつけたプレイヤーは競りから外れる。7金払えば一発入札も可。
- 自分の入札した物件を購入する
- 改良タイルは、ワイン醸造や出荷に関するアクションを補強する様々な効果を持つ。1度使用した改良タイルは裏返され、そのラウンドでは使用不能になる。
- 自分の畑からブドウを収穫する(1回につき1金支払う)
- 完成したワインを出荷する(1回につき、1タル分から1種を任意の個数)
- 売上はワイン相場表示を参照する。1回出荷すると相場が1段階下がる。
- ブドウの品種を1つ選び、相場を1段階上げる
- ワインの出来るまで
- 競りでブドウの木を買うと、そのタイルには品種と同じ色のキューブが即座に1個乗る。また、ラウンド終了処理でも新しい実がつく。
- 1手番と1フランを使うとブドウを1個収穫できる。収穫したブドウはタル領域の左端に貯蔵される。
- ラウンド終了処理で、熟成中のワインが全て1段階ずつ右へ進む。
- キューブの色とタルに描かれたブドウの色が一致すると熟成完了。ワインとして出荷できる。
熟成期間は品種によって様々。
- ワイン祭り
- 出荷したワインはワイン祭りに供出され、その年に数多くのワインを送り出したドメーヌの名声が上がる。
- その後、名声ポイントを消費して追加アクションを実行できる。
スタートプレイヤーから各プレイヤーが順番にマーカーを置いてアクションを1つ選び、解決。一度誰かが選んだアクションは選択できない。
ちなみに、スタートプレイヤーを変更する手段は、この追加アクションにのみ用意されている。
- ラウンド終了処理
- まず、借金関係の処理を行う。各自のクレジット数に応じた利子を支払い、その後、可能であればクレジットを返済する。新たにクレジットを追加しても良い。
- 次に、ワインを1段階熟成させ、農園ボードの改良タイルを全て表返し、ブドウの木に同じ色のキューブを1個乗せる。
- 最後に新しい物件をメインボードに並べ、次のラウンドを開始する。
終了条件・得点計算
- ラウンド終了処理にて、プレイヤーの誰かがクレジットを返し終わるか、クレジットの上限を超えて破産するプレイヤーが出たらゲーム終了。その時点で全てのプレイヤーがクレジットを返済し、資産総額を算出する。最も総資産の高かったプレイヤーの勝利。
- 以下の要素が資産として計上される。
- 現金
- ブドウ・改良タイル(異種のタイル1種につき5フラン)
- タルで熟成中のワインキューブ(1個につき1フラン)
ゲームの流れ
- 各プレイヤーが1人ずつクレジット(借金)
- 競りにかける物件を表にしてメインボードに置く
- スタートプレイヤーからアクションを実行。1巡したら季節が1つ進む
- 冬になったら、誰かが自分の畑から全てのブドウを収穫するまで1人1アクションを繰り返す
- 1年が終了したら、ワイン祭りの結果に応じて名声を上げる
- 追加アクションフェイズ
- ラウンド終了
- 借金の利子支払い
- 借金の返済、または追加の借金を行う
- プレイヤーボードをクリンナップ(使用した改良タイルを表返す、ブドウ畑にキューブを置く)
- ワインの熟成が進む
- 借金を返し終わったプレイヤーが現れたら、決算して終了。現れなかった場合は2に戻る
まず借金。そして4手番+αをかけてワイン蔵運営。
概ねブドウが刈られたら1年が経過してワイン祭り。そこで追加アクションを得る。
利息を支払い、次の年の準備をする。この間に、ワインが1段階熟成。
……少し複雑か。
コメント
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- 難易度・ゲームバランス
- 農園経営に必要なタイルの入手に競りが必須で、「アクション数にゆとりが無い」「競り負けたら徒労、かつ一発入札あり」という設定がプレイに緊張感を持たせている。他にも、毎ラウンド借金の返済があって資金繰りはいつもカツカツ、どの戦術がどの程度の効果を上げるかは場合によりけりでド安定などせず、他のプレイヤーの動向次第でも戦局は大きく左右される。勝率を上げるコツを掴むのは非常に難しいと言える。
また、ゲーム終了タイミングの条件が独特で、総合的には分の悪いプレイヤーが駆け引きで勝つ事も可能。最後まで油断できないバランスである。
- テーマ
- ゼロベースからワイン蔵経営を始めるというテーマの再現度高し。ものがワインであるが故の「熟成」という要素が、雰囲気をよく表している。
借金に気をもみながらも高いワインほど熟成に時間がかかるじれったさや、安価なブドウを混ぜるなどといった工夫の余地がある点も、テーマやゲームバランスとの兼ね合いが程良い。
- ゲーム性
- お互いギリギリであるせいか直接的な妨害行為はあまり蔓延しない、黙々とした箱庭経営ものといった感じ。
しかし他人の動きは自分の儲けを揺るがしうる脅威であり、目立った干渉こそ無くとも絡みの要素は強い。
欠点
- ゲームの方でプレイヤーを選ぶほどに高い難易度自体が、ある意味では欠点。経営もので経営に行き詰まる事ほど辛い話は無いけれども、それが起こり得るという覚悟はいる。
- 改良タイルの能力にかなり強力なものがある。資金繰りに苦労するゲームにおける競り相場の知識は露骨に有利不利を分けるので、初心者と遊ぶ際は普段以上の配慮を心がけたい。
お勧めタイプ
ゲームシステムがテーマと調和し、プレイに歯応えもあり。中量級以上の経営ものが好きなゲーマーなら、かなりいい線行くのではないだろうか。
もっとも、1手番あたりの進行が遅く地味であるため、ゲーマーという前提条件が必要とも言える。改良タイルのシナジーが上手く回れば大儲けできるとはいえ、コンボを狙いに行って思惑が外れると悲惨。ブドウ1本搾るのにも1金を削られ毎ラウンド利子の返済に苦しむ……そんな展開をすら愛せるか?というマゾ向けの一面あり。
【お勧め度:★★★★★★☆☆--】
その他
- バリアントルール
- 2人でプレイする場合は、競りにおける不当な吊り上げを防ぐため、入札して購入しなかった場合はペナルティとして半値を支払う追加ルールが推奨されている。
FAQ
- Q:安めのブドウ中心の戦略で勝とうと思ったのですがジリ貧になりました。
-
A:
安いブドウから作るワインが薄利なのは当然です。そもそも、畑から最初のブドウを収穫するには、どの品種でも共通で「入札・購入・収穫」の最短3手番が必要。効率は良いはずありません。
改良タイルの効果を上手く使って安物の価値を引き上げる方法はありますが、そもそも本ゲームの最終目標は「
グラン・クリュ
」だ、という高き志を忘れずに。苦しくとも、いずれは高級品の醸造に手をつけましょう。
改定履歴
対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。
- 13/06/09[見解の乗換え] ネット上で確認できる範囲からすると、改良タイルの有効性や多人数プレイのバランスにバラつきがあるようで、ずばりシンプルに「バランスが整っている」と表現するのは適切でなさそう。お勧めタイプのポイントを「ゲームシステムとテーマの調和」に変更。
最終更新:2013年06月10日 01:57