母親という立場にある者は,その立場になったその瞬間から気苦労が絶えないものである。
特に子の幼いうちは一番大変である。もちろん,紡ぎ手たちも人間であるのだから,
子孫繁栄のための性の営みをすることだってある。
甘美な快感に浸り,愛する相手と一夜を過ごす。その時は普通の人間と何も変わらない。
その営みのために子を授かった紡ぎ手もいる。これは,そんな女紡ぎ手のお話。
彼女は子育てのために,紡ぎ手としての活動を一時的に休止していた。
まだ乳飲み子の幼い紡ぎ手候補に振り回されながらも,
愛する夫や我が子との一時を過ごしていた。
だが,その一時は,御標によって一瞬で崩される。
ある時,彼女が授乳中に絵本を読み聞かせていたところ。絵本も終わりがけ,
本来は結末を示すページに,通常の絵本とは思えない絵と言葉が浮かび上がる。
―「子は伽藍となり,夫婦の愛を壊すのでした。めでたし,めでたし」
それと共に浮かんだ絵は,小さな黒き怪物が大人の男女を襲うものであった。
直後。その子をほつれが取り巻き始める。紡ぎ手としての力を使いつつも,
一人では太刀打ちできないと判断した彼女は,君たちに支援を要請したのであった…
モノトーンミュージアムRPG「絵本の中の絵空事」
―かくして,物語は紡がれる。
最終更新:2015年03月06日 00:57