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**或る貴公子の悲劇-3 「あのひとの髪は、烏羽玉のように深く黒くて」 「ああ」 「絹のように艶やかで」 「ああ」 「目元は…」 「ああ」  放心したように力なく、しかしとめどなく思いを口にする曹植。 それでも、最後には、 「兄上に謝らなくてはいけない。どうかしてた。 兄上があの人の夫だというだけで、胸にこみ上げてきて、 話すのが耐えられなくて、今朝顔を合わせた時に逃げてしまって…」 「…付いていってやろうか?」 「いや、大丈夫…です」  曹彰は弟の笑顔に安堵し、また前方に視線を戻した。

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