第二回放送案D◆0gJkLQg5CY


諸君、第二放送の時間だ。
二度目の放送となれば、細かいルールや前置きは不要だろう。
簡潔に用件のみ述べさせていただく。
今回の禁止エリアは、


H-3
G-1
C-4


以上だ。
続いて、今回の脱落者に移る。




以上12名だ。
第一放送の時と比べると人数自体は減っているが、状況の変化を加えて考えるとペースは落ちていないと言える。
素晴らしい。この一言に尽きる。
ぜひともこの調子で次の放送まで奮闘してほしい。
誰かが一人命を落とすたびに、君は望む願いに一歩近づくのだから。
では、次の放送でまた会おう。




広川は放送設備のスイッチを切った。
モニターの隅に目をやると、メールが届いている。
開封する。


ご苦労。引き続き業務を遂行するように。


その短い二文だけがあった。
わざわざメールにせずとも、直接口で言えば済むことなのに、と広川は呆れる。
が、すぐに彼は今それどころではないのだったな、と思い当たる。
メールの送り主――広川の役職上の上役は、今頃狂喜に舞い上がっているだろう。
なにせ、彼の仇敵が脱落したのだ。
かつて彼から全てを奪い、地獄に突き落とした憎き英雄(ヒーロー)が。
人一倍プライドが強い彼のこと、愉悦を抑えられない顔を広川に見せたくなくてメールという方法を選んだのは想像に難くない。
広川はため息を吐いてメールを閉じる。
別に広川は彼に興味はない。
目的のために協力しているだけであり、本心から彼に従っているわけではないのだから。
が、あまり私事にかまけすぎてこの殺し合いの運営にミスを生じさせられても困る。
広川は閉じたメールをもう一度開き、返信ウィンドウを開いて文字列を打ち込んだ。





ありがとうございます。須郷主任もあまりご無理を為さらないように。
それと、常務が近々一度ミーティングを行いたいとのことです。
大臣にはこちらから連絡しておきます。




メールを送信し、広川は席を立った。


【生存者 残り44人】
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最終更新:2015年10月18日 19:30