遥かなる戦い、開幕(オンステージ)  ◆7f10fc0yk2



人類がその生活圏を宇宙にまで広げた時代。
世界は三つの勢力に分断されていた。

軽量高出力を実現する鉱石『サクラダイト』と人型機動兵器『ナイトメアフレーム』を擁する絶対君主国家『神聖ブリタニア帝国』。
『ロームフェラ財団』を経済的な母体とし、『十字教』や『時計塔』と呼ばれる強力な魔術結社を影に持つ連合国家群『AEU』。
『天子』を中心にユーラシア各国主席を元首としてまとまった『人類革新連盟』。

文化、技術に大きな差異を持つそれらの国家群は、それぞれが独自に『軌道エレベーター』とそれに伴う大規模な『宇宙太陽光発電システム』を実現させたことにより、危ういバランスを保っていた。
一方、いずれの国家群にも所属できなかった小国・地域は貧困にあえぎ、武力衝突や内戦に陥る国家も数多く見られた。

宇宙では、人類が宇宙で生活するための多目的建造物『コロニー』に居住する人間と、各国家群との間に深刻な溝が存在していた。
武装支配による不満は非暴力・非武装を訴えるコロニー側の代表『ヒイロ・ユイ』の暗殺により決定的となり、反抗する意志を持った一部のコロニー居住者はついに『オペレーション・メテオ』を発動。
秘密裏に開発した5機の『MS(モビルスーツ)』を『ガンダム』と名付け地球に送り込んだ。

時を同じくして、私設武装組織『ソレスタルビーイング』が活動を開始。『GUNDOM』の文字が刻印がされた『MS(モビルスーツ)』を有する彼らは、全世界からの紛争根絶を掲げ、あらゆる戦争行為への武力介入を行い始める。
同時に発生した二つの『ガンダム』による武力行為は、世界を混乱の渦に陥れた。

混迷を深める世界の中で、ブリタニア統治下にある旧日本もまた混迷のただ中にあった。
ブリタニアとの侵略戦争『極東事変』の結果、属領となった『トウキョウ租界』を除く大部分の文化レベルは大きく後退。
超人的な身体能力を持つ『戦国武将』達が覇を競い、一方で『ヨロイ』と呼ばれる独自の駆動機械を持つならず者どもが争いを続ける無法地帯と化していた。

『トウキョウ租界』の内側では『帝愛グループ』の経済支配のもと、娯楽として全地域的に『麻雀』の競技人口が増加。
一応の安寧がもたらされた。
だが、占領統治の開始とほぼときを同じくして、新たに『イレブン』と名付けられた旧日本人への差別問題が発生。
日常的に横行するそれらは決して無視できるものではなかった。
唯一、西東京の三分の一を占拠し、外部とは完全に隔離された巨大都市『学園都市』のみが強力な自治権の獲得に成功し、本当の平和を享受しているかのように見えた・・・・・・。

『ブラックリベリオン』・・・・・・反ブリタニア最大勢力『黒の騎士団』による一大反抗作戦が失敗に終わってから約一年後。
皇歴2018年。

トウキョウ租界の一角に位置する『アッシュフォード学園』で普通の学生としての日々を過ごす少年、ルルーシュ・ランペルージが何者かに拉致されたところから、物語は始まる・・・・・・。




「この世界は、歪んでおる・・・・・・!」
「ロ、ロローーーー!!」

耳をつんざく悲鳴が俺の口から出たものだと、しばらく理解することができなかった。
首から上を吹き飛ばされたロロの体がぐしゃりと音を立てて倒れる。重力に従っただけのその動きからは完全に人間というものが消えていた。
殺されたのだ、俺の弟は。わけも分からぬまま、映像でしか見たことのなかったブリタニア皇帝の手によって。

「望まれておらぬ・・・・・・!修正・・・・・・されねばならぬ・・・・・・!」
「貴様ァ!よくも俺の弟を!」

たまらず俺は叫んだ。ブリタニア皇帝は相も変わらず演説めいたことを続けている。相手がどれ程偉いかなんてことや、今がどういう状況かなんてことは、頭から消し飛んでいた。

「ルルーシュか・・・・・・。相変わらず愚かな奴よ・・・・・・」
「なに・・・・・・?」

壇上からギロリと睨みつけられて、俺は怒りのままに振り回していた足を止めた。
怖くかったわけではない。立ち止まったのは、皇帝がまるで俺を知ってるかのような口振りだったからだ。皇帝の視線にはその名にふさわしい威圧感や圧迫感があったが、突然拉致され、さらに弟まで殺された俺の怒りを押さえきることはできない。
もっとも、普段から「世界を変えることなんてできない」と無気力めいたことを考えていた俺にこれほどの力があることが、自分でも驚きだった。
俺の気がそれたのをいいことに、皇帝がまたしゃべり始める。もう俺のことなど眼中にはない。

「歪みの根本こそが貴様等よォ!なればこそ・・・・・・!生き残るために争わねばならぬ・・・・・・!
戦い抜き、最後の一人となり、唯一生き残った世界こそ、存続を許されるのだ・・・・・・」
「またそれか・・・・・・!」

俺は拳を握りしめた。皇帝の言ってることはまったく理解できない。
いや、皇帝に限らず、今起きているのは理解できないものばかりだ。
登校中に拉致され、次に目を覚ましたとき薄暗くてだだっ広いだけの何もない場所に運ばれていた。正面にだけ舞台のように一段高い場所があり、イメージとしては学校の体育館が近い。
だが、そこに現れたのは学校教師なんかとは比較にならない権力を持った男、神聖ブリタニア帝国第98代皇帝その人だった。
この時点で既に意味が分からない。理解力には多少の自信があるが、世界の三分の一を握っているとまで言われる男とこんな形で巡り会うような事態をどう理解しろというのだ。

そして奴は、おもむろに口を開くと今のと同様の言葉を吐いたのだ。うるさいばかりで要領を得ない説明で、何が言いたいのかさっぱり分からなかったが、どうしようもなく強い一つの意志だけは伝わってきた。
即ち、俺たちに殺し合いをしろと。
言い忘れていたが、俺が運ばれてきた場所には他にも何十人かの人間がいた。
アッシュフォード学園での生活では決してお目にかかれない化け物じみた奴から普通の学生まで多種多様だが、事情は同様らしい。
同じように拉致され偶然近くにいたロロに会えた他は、薄闇のせいもあって見知った顔は見つけられなかった。
そのロロも失ってしまった。俺が、半ば混乱に押される形で皇帝に食ってかかったせいだ。
反感を買い殺されるのは本来俺の方だった筈だ。だが皇帝は俺ではなく、俺を必死で押し止めてくれていたロロを殺した。
これで黙れ。そう言うかのように。

ロロを殺したのは、いつの間にか俺たちの首に巻き付けられていた首輪の爆発だ。
爆弾が内蔵され逃げることも歯向かうこともできない。そういう趣向らしい。
ロロの首輪がいとも簡単に起爆させられたのは、威力を誇示する意味もあったのだろう。事実、俺同様に騒いでいた連中も今はぴたりと静まっている。
恐れを含んだ沈黙は、あたかもここにいる全員が殺し会えという意味不明の命令を受け入れたかのように見えた。
そして、弟を殺されたにも関わらず、この後に冷静な思考をし続ける自分が少し恨めしい。

「――世界の修正とは如何に」

うなだれる俺とは全く対照的な、氷った刃物のような冷たさと、鋭さを併せ持った声がした。

声のした方を見る。それほど距離が離れているわけでもないのに、周囲の薄暗さは声の主が長身で痩躯の男であることとぐらいの情報しか与えてくれなかった。
その男の周りだけ、闇が一層濃く見えたのは、おそらく気のせいだと思う。

「『根元』に挑む魔術師よ・・・・・・お主なら、分かるのではないか?」
「"抑止力"を阻む術を持つ、と?」
「儂こそが・・・・・・"抑止力"よ」

これまで通りの、理解できない言葉。だがそれを聞いたとき、男の体がわずかに揺れたように見えた。もっとも本当にそうだったかは分からない。
およそ動揺とはほど遠く見える男だけに、少しの動きが大げさに見えただけの可能性もある。

「"霊長"、か」
「否。既に言ったであろう。これこそが、存続を望むこの星そのももの意志よ・・・・・・」
「およそ"霊長"の望む向きと真逆である。噛み合わねば"抑止力"といえど、たやすく噛みつかれるぞ」
「無意識の集合など恐れるに足らぬわ。そのための"アーカーシャの剣"、そして"ラグナレクの接続"よ」

その言葉を最後に、男が一歩下がった。再び闇と同化する寸前の表情は何かを諦めたようにも、逆になにがしかの覚悟を決めたようにも見えた。
俺を含めて、もう他に声を上げる者はいない。
皇帝から最後の説明が行われた、戦場へは自動で移送されることと、同時に渡される荷物に武器、食料、詳細なルール等が含まれること。

「ではこれより、『バトルロワイアル』を開始する・・・・・・!
各々奮起し、健闘するがよい・・・・・・!」

最悪の舞台が、始まった。


【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュR2  死亡】
【残り六十四人】

登場キャラ
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
荒耶宗蓮 @空の境界】

主催
【シャルル・ジ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】

※ルールブックにはテンプレートで定められた以上のことや、何かしらの特別ルールは書かれておりません。



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最終更新:2009年10月23日 00:55