第三回定時放送 黒幕/白幕 ◆MwGEcqIDcI
「いやーどうもどうも。お久しぶりだねぇ、言峰神父。」
「……まさか君が代理で来るとはな。まあいい、これが第三回放送の原稿だ。確認したまえ。」
「ふんふん。うん、問題ありません。確認お願いできるかな?風斬くん。」
「あ、はい。………え?」
「いや、そこじゃなくて。」
「ご、ごめんなさい。………はい、これなら大丈夫だと思います。」
「あは、おめでとう、合格♪うちの連中も喜ぶと思うよ。」
「特に君が、だろう?ロイド博士。」
「ハハハ、そりゃあまあ。あれ?そういえば今日はディートハルトくんいないんだ?」
「何、ついさっき会長から呼び出しがあってな。今は私が代わりを務めている。」
「あー、放送最後のあれ。遠藤くんが死んだからってあんなことしなくたっていいのにねぇ。」
「参加者の半数以上が死にゲームは折り返しに入った。ここまで生き残った者への褒美だそうだ。
それに、会長らしいとも思わんかね?」
「ごもっとも。じゃ僕たちは帰るけど、ゲームの方は引き続きよろしく。行くよ、風斬くん。」
「はい。って、ちょっと待ってくださーい!」
# # #
「ゲームの方は引き続きよろしく、か。ならば余計な口出しは慎んでもらいたいのだがな。」
誰もいなくなった待合室で
言峰綺礼は一人ぼやいていた。
ロイド・アスプルンドと風斬氷華がこの待合室を訪ねてきたのは、巨大機動兵器の投入切り上げ、
つまり第三回放送以後のヨロイ・ナイトメア・モビルスーツのペリカ交換開始の旨を確認するためであった。
きっかけは第二回放送時の「首輪交換制度」開始にある。
この制度は相次いで結界が破壊され
荒耶宗蓮までもが死んだ結果、
首輪の魔術礼装を担当していた魔術師が首輪の不具合で解除される危険を避けるために提案した。
しかしこれをどこからか聞きつけた――否、誰が聞きつけたのか見当はついている――学園都市出身の科学者たちが強く反発した。
「首輪換金制度」には参加者の実力差の開きを大きく加速させる性質があったためだ。
そもそも学園都市出身者にかかわらずこのゲームに関わった科学者の多くは会場設備の整備のために呼ばれており、
それが終わった後はゲームの進行を会長の部下や結界などを担当する魔術師に委ね、各々の研究やデータの採集に興じていた。
そして学園都市出身者が主に行っていたのは、人が限界状況で発するAIM拡散力場の情報の集積。
参加者が限界まで力を発揮するのを見るには、参加者間の実力差は小さい方が好ましい。
50m走のタイムを計るならより近い脚力の人同士で走らせた方がよい結果がでやすいのと大体同じである。
一方、「首輪交換制度」はペリカが担っていた実力差を均衡にする役割を崩すものだった。
通常ペリカを得る手段は初期支給品やギャンブルによる入手などに限られる。
何の力もない参加者に麻雀を始めとしたギャンブルに秀でたものを混ぜたのは、
現代のギャンブルには縁のないサーヴァントや戦国武将のような強者よりペリカ獲得の面で優位に立たせるためでもあった。
だが「首輪換金制度」が導入されれば、むしろ強者がペリカを得やすい状況が現出する。
学園都市出身の科学者にしてみれば都合の悪い話だった。
こうして両者の議論が高まる中、ロイドらメカニック系の科学者集団が提案したのが「巨大機動兵器の早期導入」である。
公的には、強者の多くは扱えず一般人よりのパイロットの参加者は扱える兵器をペリカ交換の対象とすることで実力差の均衡を図るために。
私的には、「異世界機動兵器の相互実戦データを早く取りたい」という熱望のために提案された。
結局これが妥協点となり、双方の合意がなされ今に至る。
それにしても、と言峰は思う。
「あの二人をよこす必要はあったのか?」
どこへともなく言峰は問いかける。
この会場を作って以来科学者サイドはこのゲームから遠ざかっていた。
一方でそれは会長の思惑に近づけないことも意味する。
だからこそ≪科学側≫の中に保険をかけておく者がいてもなんらおかしくはない。
そしてこの主催側がいる施設も建造したのは科学側の人間である。
つまり、おそらくはそういうことなのだろう。
当初当事者間で内密に話し合いがなされていた「首輪換金制度」の情報が漏れたのは。
「聞いているのだろう?アレイスター・クロウリー。
この天空要塞ダモクレスがお前の「窓もドアもない部屋」そのものと化している。違うか?」
言峰綺礼の発した言葉は何の返事も受け取ることなく部屋の片隅へと消えていった。
# # #
廊下に足跡が響いていた。向こうから歩いてくるのは二人。
眼鏡をかけ白衣を着ただらしない雰囲気を醸し出している男はロイド・アスプルンド。
元の世界ではナイトメアフレーム研究の第一線に立っていた研究者である。
同じく眼鏡をかけ学校の制服を着た優等生のような雰囲気を醸し出している少女は風斬氷華。
元の世界では学生―――ではなく、AIM拡散力場が生み出した現象であった。
二人は待合室から研究室に戻る途中だった。
ロイドはいつも通りの気を抜いているのかいないのかわからない笑顔を見せながら先を進む。
氷華は普段と比べるまでもないほど陰鬱な表情でやや顔を俯かせながら少し斜め後ろをついてゆく。
そして不意に「はあ……」とため息をついた。
「どうしたの?」
先を進んでいたロイドがどこか楽しげに振り向いた。「もしかして上条くんと
インデックスちゃんのこと?」
「あ、いや、そんな」
氷華ははっとして立ち止り顔を上げた。すると―――「大当たり♪」
上半身を屈め覗き込むようにこっちを見るロイドの顔があった。
氷華はぼーっとしていたが、少しすると諦めたように顔を下げまた歩き始めた。
「はあ………やっぱりわかりますか?」
「そりゃそんなに思いつめた顔されればねえ。」
「………だって私、友達を見捨ててこんなところでゲームに協力してるんですよ?」
友達―――
上条当麻、インデックス。氷華を「化物」ではなく「人間」として扱ってくれた二人。
「こんなことしてていいわけが……」
沈痛な声に、まいったなあ、とでもいうように右手で頭をかきながらロイドは答える。
「だけど君一人じゃ何もできないでしょ。今はただ待つしかないと思うよ。
上条くんは駄目でもインデックスちゃんを助けるチャンスは巡ってくるかもしれないんだし。」
「分かってます。でも、待っているだけなんて………。」
しばし無言。
しばらくして思い出したように氷華が口を開いた。
「そういえばロイドさんも知り合いが参加させられてるんですよね?」
「スザクくんのこと?」
へぇ、覚えてたんだ、というように笑って二の句を告げる。氷華の期待とは正反対の言葉を。
「もちろん生き残って欲しいと思ってるけど、今は異世界のオーバーテクノロジーの研究が大変だからねぇ。」
絶句。
「そんな、あなたは人より研究を取るんですか!?」
「うん」
「うん、って……そんな。」
「僕はもうとっくの昔に選んじゃってるから。……あれ?」
意気消沈した氷華を置いてロイドは廊下左側の窓に近づいて行った。
窓の先は吹き抜けになっており、下にはホールが見える。
「どうしたんですか?」気を持ち直した氷華が声をかけた。
「ほら、あそこに見えるのディートハルトくんじゃない?」
「あ、本当ですね。黒服もこんなにたくさん…、……っ!」
「例のあれここで収録するみたいだね。ん、どうしたの?」からかうような目線をロイドは氷華に向けた。
「い、いえ、別に。」
言えない。こんな何でもありの場所で、同じ顔をした赤い髪の黒服が整列してた程度で声をあげそうになったなんて。
でも―――
「ん、もう放送の時間だ。ちょっとここで眺めていこうか。
君は初めてでしょ?会長を見るのは。」
こうして赤髪が並んでいるのを見てると、まるで鏡を見ているようで―――
「あの…ロイドさん。どうして私はここにいるんですか?」
なんとなく聞いてしまった。
「それは哲学的な問い?それとも科学的な問い?」ロイドはおどけた様子で問い返す。
「………」
答えない。欲しい答えは多分両方。
「それはもしかしたらさ」
道化は笑って答えた。
「ここは天国だからかもしれないよ。」
# # #
日のあたる昼と漆黒の夜の狭間、
沈んだ夕陽がかすかにその光を届かせる夕暮れに、
無機質な放送がどこからともなく鳴り響く。
「こんばんは、インデックスです。
ゲーム開始から18時間が経過しました。第三回の定時放送を始めます。
お聞き逃しないようご注意ください。
まずこちらからの連絡事項をお伝えします。
電車の運行状況ですが、【C-6】に仮設駅を設置され、二時間前より、
【B-4】駅~【C-6】駅間と【F-5】駅~【D-2】駅間の運転が再開されました。
申し訳ありませんが全路線の復旧はもうしばらくお待ちください。
また第三回放送より巨大機動兵器のペリカ販売機が設置されます。
今回は全く異なる設計思想に基づく機動兵器四種類がそれぞれ一機のみ販売され、
該当の販売機は各施設のうち四ヶ所に設置されますが、どの機体が購入できるかはランダムとなります。
品切れとなっても商品の補充は行われません。
高価な商品となりますので、販売機を見つけられた方はよくご検討した上でお決めください。
次に禁止エリアをお伝えします。三時間後より、
【】【】【】
以上の三つのエリアが禁止エリアに追加されます。誤って侵入しないようくれぐれもご注意ください。
続いてこの六時間の間の死亡者をお伝えします。
以上11名です。残りの生存者は26名となります。
最後に帝愛会長シャルル・ジ・ブリタニア様からお言葉がございます。
皆様、身を正し静かに空を見上げてお待ちください。」
# # #
黄昏た空の中、ぼんやりと、しかし次第にはっきりと巨大なスクリーンが現れた。
始めに一際高い演説台と整列した無数の黒服の姿が映し出され、
やがて演説台の階段を一人の男がしっかりとした足取りで登ってゆく。
男が演説台の前に立ち正面を向くと、画面はその姿を大きく映し出した。
悠然かつ堂々、覇気に満ち、見る者全てに畏怖を与える姿がそこにはあった。
帝王が口を開く。
# # #
遠藤は、死んだ。
彼奴は帝愛が催したたった一度のギャンブルにすら勝てぬ弱者であったからだ。
所詮この世は弱肉強食。人と人が戦い、争い、競う舞台である。
強者が弱者の全てを、命すらも奪いのもまた道理。
故に、一度とは言わぬ命の危険を生き延びてきた諸君らの健闘を認めようではないか。
しかぁし、このバトルロワイヤルは、世界の縮図。
強者は弱者を虐げ己が糧とせんとし、弱者は強者を羨み、妬み、僻み、恐れ、引きずりおろさんとするものだ。
考え直しておくがよい。群れて生きようとしているものどもよ。
親しい仲だと思っているもの。背中を預けられると思っているもの。
恋慕の情を抱いているもの。家族愛を信じているもの。
守ってやっているつもりになっているもの。
守ってもらっているつもりになっているもの。
その相手は皆、他人にすぎぬ。
己と違っておるがために、完全に理解し合えることはない。
そしてお前たちの理解の及ばぬ心の奥底には、必ず打算があるのだ。
ましてゲームの勝者はわずか一人である。
その相手が己と二人だけ生き残った時、どうなるか考えてみたことはあるか?
互いを信じるか、信じぬか。
そんな過程に意味などない。どのような過程を経ようと、一人だけが生き残るという結果が既に、決まっておるのだ。
お前たちが一日足らずの間に作った情などくだらぬ戯れにすぎぬ。
そしてこのゲームには刃向かわんとするものどもよ
その気概、意思、反抗心。それは自惚れというのだ。
キサマらはいつここにつれてこられた?
わかるまい。至極明快、これがわしとキサマらの力の差だ。
キサマらの友も、力も、権威も、家族も、命も、全てが我が手のうちにある。
殺し合え
その果てにわしが、キサマらにも、未来を、くれてやる
オォール・ハァイル・帝愛!!!
オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!
オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!
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オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!オール・ハイル・帝愛!
オール・ハイル・帝愛!!
【シャルル・ジ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュR2】
[状態]: ???
[服装]:ブリタニア皇帝の服
[装備]: ???
[道具]: ???
[思考]
基本: ???
1: ???
【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:ペンデックス?
[服装]:歩く教会
[装備]:???
[道具]:???
[思考]
基本:???
1:バトルロワイアルを円滑に進行させる。
【言峰綺礼@Fate stay/night】
[状態]:健康
[服装]:神父服、外套
[装備]:???
[道具]:???
[思考]
基本:???
1:サーヴァントの死体(魂)を回収する。
2:荒耶宗蓮に陰ながら協力する。
3:この立場でバトルロワイアルを楽しむ。
【ロイド・アスプルンド@コードギアス反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康
[服装]:眼鏡、白衣
[装備]: ???
[道具]: ???
[思考]
基本: 異世界技術の研究成果を持って元の世界に帰還する。
1: 異世界機動兵器の実戦データを採集する。
2: 同時に異世界技術の研究も進める。
3: 魔改造ランスロットにスザクくんを乗せてみたいなあ。
[備考]
※参戦時期は後の書き手にお任せします。
※風斬氷華の正体は知っています。
【風斬氷華@とある魔術の禁書目録】
[状態]: 現界中
[服装]:眼鏡、霧ヶ丘女学院の制服
[装備]: ???
[道具]: ???
[思考]
基本: 友達(上条当麻とインデックス)を助けたい。
1: 今は帝愛の指示に従う。
[備考]
※最終回終了後からの参戦です。
最終更新:2010年03月31日 00:04