残酷な策略の中で――《第三回定時放送》 ◆SDn0xX3QT2



インデックスです。
 バトルロワイアル開始より十八時間が経過しました。三回目の定時放送を開始します。
 一回目、二回目の放送と同様、内容の問い合わせには応じられませんので、お聞きのがし無きようにご注意ください。


 ………………。


 よろしいでしょうか。それでは連絡事項を伝えます。


 島内に設置された自動運行の列車ですが、現在は区間運転となっております。
 午後八時に【B-4】エリアの駅を出発する列車より、全線での運転を再開する予定です。
 また、【D-6】エリアの駅が禁止エリアとなりましたので、代替として【C-6】に仮設駅を設けました。
 全線での運転再開後は、【B-4】エリアの駅から【D-2】エリアの駅の区間を片道二時間程度で走行する徐行運転となります。
 なお、線路の一部が禁止エリアとなっておりますが、列車の車両内部は例外的に禁止エリアとなりませんのでご安心ください。

 作業の進行に遅れがあった場合は、運行再開が先送りになる可能性もあります。
 詳しくは各駅構内の電光掲示板を参照ください。


 続いて、禁止エリアの発表です。
 三時間後の午後九時以降、【B-3】【C-1】【F-7】の三ヶ所が新たに立ち入り禁止エリアとなります。


 次に、第二回定時放送から現在までに死亡が確認された参加者を発表させて頂きます。

 【トレーズ・クシュリナーダ
 【伊藤開司
 【明智光秀
 【神原駿河
 【アーチャー
 【ヴァン
 【海原光貴
 【伊達政宗
 【張五飛
 【平沢唯
 【バーサーカー

 以上十一名です。

 では続きまして、本バトルロワイアルへの新たな参加者を発表致します。

 【ジョシュア・ラングレン】
 【武田信玄】
 【ティエリア・アーデ】

 繰り返します。

 【ジョシュア・ラングレン】
 【武田信玄】
 【ティエリア・アーデ】

 以上三名が、参加者としてこの放送の終了と同時に会場内のどこかに転送されます。


 参加者の追加に伴い、会場内の三ヶ所に一枚ずつ『ドロップアウトカード』を配置致しました。
 お手元のデバイスをご覧ください。現在デバイスに映し出されているカードが『ドロップアウトカード』です。

 『ドロップアウトカード』を使用されると、即時にバトルロワイアルから離脱、その後の元の世界への帰還を保証させていただきます。

 カードの使用方法については、カード裏面に記載しておりますのでそちらをご確認ください。
 『ドロップアウトカード』は、【火口】【吊り橋】【トンネル】の三ヶ所に一枚ずつ置かれています。


 では、これで三回目の定時放送を終了致します』



   ◇  ◇  ◇



原村和は、自室で放送を聞いていた。

これはおかしい――そう思いながら。

今までと異なり遠藤抜きで放送が行われたことも気になるが、それ以上に気になることが和にはあった。
質問対応マニュアルと五分ほど前に黒服から届けられた資料、そして参加者の現在地を示すモニターを眺めつつ、
静かに思考を巡らせる。

参加者の追加とドロップアウトカードの導入。
これについては事前に説明があった。
第三回放送から第五回放送のいずれかの放送のタイミングで参加者の追加が行われる。
追加される参加者の人選とドロップアウトカードの設置場所に関しては
その時の状況を見て決定するので、参加者の追加が発表される放送の開始直前に改めて連絡する、と。

連絡は、予定の中では最も早いタイミング――第三回放送直前に和へと届いた。
宮永咲が参加者として会場に送られることはないと言われていたが、それでも不安で、
和は真っ先に追加される参加者の名前を確認し……咲の名前が無いことに安堵するのと同時に、
追加参加者となった三人の情報を見て疑問を抱いたのだ。
ドロップアウトカードの設置場所を知り、和の疑問は更に大きく強いものへと変わった。

 (これでは、バトルロワイアルの進行が阻害されてしまうのでは………)

和は参加者の追加が行われると聞いた時、殺し合いを促進するための手段なのだろうと思った。
途中参加者は体力を消耗していないぶん他の参加者より有利に殺し合いを進めることが可能になる。
だから、確実に殺し合いに乗る人間を投入することで、ゲームの進行を早めることが目的なのだろうと考えたのだ。

しかし、追加される参加者は人質として身柄を拘束している者の中から選抜し、
支給品の入ったデイパックを渡して会場に転送、
その際に主催側と取引や契約は行わず、会場内では他の参加者と同等の自由は保証されると説明された。
つまり、追加参加者は、ゲームへの参加は強制されても、殺し合いに乗ることを強制はされないということだ。

そして、実際に参加者となったジョシュア・ラングレン、武田信玄、ティエリア・アーデの三人。
手元の資料を見る限り、和には彼等が積極的に殺し合いに乗るタイプとは思えなかった。
殺し合いに乗らない参加者が三人増えれば、それだけでバトルロワイアルの終了は遠くなる。

更に、ドロップアウトカードの配置場所を考えれば、参加者の位置が現状よりも分散することが予想される。
そうなれば参加者同士が遭遇し難い状況となり、必然的に戦闘等が発生する確率も下がる。死亡ペースは落ちるだろう。

 (何か、あまり早く優勝者が決まってしまっては困る事情でもあるのでしょうか……
  そうだとしても、ただゲーム終了を引き延ばしたいだけにしてはリスクのある方法という気がしますが……)

まず思いつくのは、武田信玄とティエリア・アーデの存在だ。
真田幸村刹那・F・セイエイが死亡している以上、信玄とティエリアには脅しに使える人質はいないはず。
そんな人間を、首輪は嵌められているとはいえ、人質でいるよりは自由の効く参加者という立場にすれば、
主催側に危険を及ぼす可能性は充分に考えられる。


 (私に与えられている情報が全て真実だとすれば、参加者の追加投入とドロップアウトカードの導入は
  冒す必要のないリスクをわざわざ冒しているような行為に思えるのですが……さすがに考えすぎでしょうか)


そこまで考えて、和はいったん思考を切り替える。
帝愛の思惑は気になるが、咲の安全のためには、自分の役割を果たさねばならない。

黒服に渡された質問対応マニュアルの追加分――ドロップアウトカードについての項目に目を通す。

 ・ドロップアウトカードは、カードとカード裏面に記載されたアイテムを同時に首輪換金ボックスに投入することで使用可能。
  投入時点でその効力が発生する。
 ・カードと同時に投入するアイテムは、カードごとに異なるものが指定されている。
 ・基本的にカードの効力は使用した本人に発生するが、カード・指定のアイテムと同時に5000万ペリカを投入することで、
  カードを使用することで与えられる権利を他の参加者に譲渡することができる。

―――ここまでは、国士の間のノートパソコン起動直後の時点で回答可能な項目となっている。
カードの現在地と使用済みかどうかも同様。
カードの所持者も、起動後一回目の放送を越えれば回答可能となっているので、既に答えることができる。
それぞれのカードに書かれたアイテムが何なのかを答えられるのは国士の間のノートパソコン起動後、三回目の放送以降。
指定アイテムの内容は追加参加者の情報を収めたファイルに記載されていた。
他にもいくつかの項目が列挙されている。
最後の項目は『ドロップアウトカード使用時にペリカを所持している場合、そのペリカを用いた主催側との交渉が行えるか』。
これについては、起動後四回目の放送以降回答できるとされている。

 (先程の放送でもこの部分は明確にはされていませんでしたね)

報酬などいらないからこの殺し合いから逃げ出したい、何としても生還させたい相手がいる、というケースならば
ペリカで交渉が行えるかどうかに大した意味はないかもしれない。
だが、蘇生させたい相手がいる場合などには、交渉が行えるかどうかは重要なことだ。
そもそも『即時にバトルロワイアルから離脱、その後の元の世界への帰還を保証』という含みのある言い方に
引っ掛かりを感じる参加者は少なからずいるだろう。

 (この質問は、早い段階で答えてしまった方がいいような気がしますが……
  指定されているアイテムを見る限り、カードを使用させる気はあまり無いようですから
  交渉ができるか否かなど答える必要は無いということでしょうか?)

帝愛のやり口に憤りを感じながら、和は追加参加者についての項目も確認していく。

 ・追加参加者は三人とも、他の参加者と同様に開会式の映像と定時放送の内容を知っている。
 ・ジョシュア・ラングレンは、一日目午後五時までD-6エリア駅構内とその周辺の映像(音声無し)が確認できる状況下にあった。
 ・武田信玄は、一日目午後五時まで政庁内部の映像(音声無し)が確認できる状況下にあった。
 ・ティエリア・アーデは、一日目午後五時まで敵のアジト内の映像(音声無し)が確認できる状況下にあった。

追加参加者について現時点で回答できる項目は『第三回放送以前に与えられていた情報に関して』のみ。
おそらく、誰も質問してこないであろう内容だ。


一通り確認を終えた和は、デスクに置いたカップに手を伸ばし、ゆっくりと口元へ運ぶ。
冷めたココアは、お世辞にも美味しいとは言えない。
だが、温かければ美味しいと感じたのだろうかと考え、こんな時に何かを美味しいと感じることなど無いだろうと思ったら急に
ココアの温度など、どうでもよくなった。




【???/飛行船・原村和の部屋/1日目/夜】

【原村和@咲-Saki-】
[状態]:健康
[服装]:私服
[装備]:エトペン@現実
[道具]:デスクトップPC×数台、会場監視モニタ×数台、質問対応マニュアル(電子ファイル)
   質問対応マニュアル追加分(追加参加者とドロップアウトカードに関するもの)
[思考]
基本:帝愛に従い、咲さんを救う
1:役割(麻雀・サポート窓口)をこなす。
2:咲さんが心配。一目だけでも無事な事を確認したい。
3:参加者の追加やドロップアウトカード導入の目的は何なのでしょう……
4:どうせ打つなら守る為の麻雀を打ちたい。
5:忍野メメを警戒。従ってはいるものの、帝愛は許せない。
[備考]
※登場時期は最終回の合宿終了後です。
※基本的に自分の部屋から離れられません。部屋に監視カメラがついていることを知っています。
※参加者が異世界から集められていることを知っています。
※以下の事柄はSOA!(そんなオカルトありえません)と思っています。
 ・死者が蘇る。


【質問について】
  • 現在回答可能
参加者の居場所
 ※但し一回の放送ごとに利用できるのは一人までで、居場所が分かるのも二人までです。
ドロップアウトカードの基本的な使用方法
ドロップアウトカードの現在地・所有者・使用済みかどうか
 ※ドロップアウトカード関連の質問について、一度に答えられる範囲に制限があるかは他の書き手氏にお任せします。
追加参加者(ジョシュア、信玄、ティエリア)が、ゲーム開始後第三回放送までの時点で把握している情報について

  • 時間経過により回答可能になる質問
原村和についての質問
 →国士の間のノートパソコンを起動してから三回目の放送以降(第五回放送以降)回答可能
各ドロップアウトカードに記載された、ドロップアウトカード使用に必要なアイテム
 →国士の間のノートパソコンを起動してから三回目の放送以降(第五回放送以降)回答可能
殺し合いに巻き込まれた理由、殺し合いの目的
 →国士の間のノートパソコンを起動してから四回目の放送以降(第六回放送以降)回答可能
ドロップアウトカード使用時にペリカを所持している場合、そのペリカを用いた主催側との交渉が行えるか
 →国士の間のノートパソコンを起動してから四回目の放送以降(第六回放送以降)回答可能



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最終更新:2010年04月01日 01:04