予約合戦には負けたがssは既に書きあげてあるんだぜ!
・・・書き手枠を使った登場人物がいるから今後も使えないしな
「不幸だ―――――っ!!!」
彼、
上条当麻は不幸に愛されているとしか思えない男だった。
ドラマかなんかによく出てくる不幸な過去持ちの主人公が10人がかりでも不幸比べで負ける気はしない。
不幸番付なるものがあればぶっちぎりのNo.1だ。その自信が彼にはある。
そう。なぜなら。だって。
彼は今、鉛色の巨人にパワフルすぎる握手を求められているのだから。
「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」
響く咆哮、轟く爆音、唸りを上げる鋼鉄の腕。
巌のような拳が大地を抉りとり障害物を悉く粉砕する。
直径30cmはあるかという木々がボーリングのピンよろしくぶっ飛んでいく。
(なんでだ?なんでだ?なんでだ?どうして一体こうなったんだ!?)
不幸なことにはわりと慣れているはずの彼をして理解不能なこの状況。
身の丈3mはありそうな巨人と命をかけた鬼ごっこ。木々が生い茂り足元はおぼつかず、それも暗闇の中でのデッドレース。
これはいったい何の冗談だ。悪夢としか言いようがない。
とりあえず現状を把握すべく当麻は思考を巡らせる。
だが事の発端は極めて単純で、そもそも思考の余地などない。
あのふざけた野郎をぶん殴って
インデックスを助け出す。そう決意し、林の合間からひょいっと顔を出したら例の巨人とモロにバッティング。
本能的に死を直感した当麻は全力で回れ右、全力で逃亡を図ろうと試みたところ巨人が話し合いもクソも無いくらいに殺気バリバリで当麻を追いかけてきた、とそういうわけだ。
簡単にいえば“気が付いたらなんかこんな状況でしたプーン(笑)”
(笑えねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!)
当麻は絶体絶命を体現するようなこの状況でそんな妄想をしてしまった自身に猛烈にツッコミを入れたくなる。
しかしそれは後だ。後回しだ。今そんな余計なことに気を回せばその瞬間にでも車に轢かれた蛙よろしくぺっちゃんこだ。
まずはあの力加減を知らないアイアンジャイアントを静止させよう。最もあの様子を見る限りでは説得は果てしなく無理そうではあるが。
「は、はぁいそこの困った巨人ちゃん、なんだかスキンシップが激しすぎや・・・・・・おぉっ!?」
そのセリフを言い終わるか言い終わらないかのうちに巨人の腕が弾き飛ばした木片がすさまじい勢いで当麻の頬を掠めていく。
もう説得は諦めよう。幸いにもここは森の中、向こうは図体がでかい分動きも取りにくいはずだ。
だがそんな常識が、その狂戦士には通じるはずが無かった。
もとより根本からのスペックが段違いなのだ。ちょっと不思議な力があるというだけの高校生と、歴史に名を刻んだ半神半人の大英雄では比べる方が酷というものだろう。
加えて障害物など無いかのように振る舞う巨人と異なり、当麻は木々を迂回しつつ足元にも気を配らねばならない。
100mは離れていた距離があれよあれよと縮まっていく。当麻の背後に絶望が迫る。
(くそっ、何か、何かないのか!?)
当麻はその手に持ったデイバックの中に手を突っ込み、状況を打開するような物が無いかを確認する。
そして見つけた。この巨人を無効化するようなアイテムを。それを取り出そうとして、
「がっ!?」
蔓状の下草に足を絡め取られ激しく転倒する。
受け身も何もあったものじゃない激しい転倒。それは致命的なまでのタイムラグだ。
巨人は瞬く間に追いつき、当麻が現状を認識することよりも速くその剛腕が―――
「え?」
振り下ろされる、事は無かった。
わけもわからず突き出した右手。それに宿る力を巨人は本能的に直感した。
当麻は知る由もないが、巨人の体はそれ自体が強力な宝具なのだ。
十二の試練を乗り越えたことによって与えられた神の祝福。その冒険の数だけ死を無効化する蘇生宝具、ゴッドハンド。
当然異能の力であるそれは当麻の右手に触れれば問答無用でぶち壊される。
この場においては右手で触れている間のみ無効化する程度に抑えられてはいるものの、自身を守る鎧が一瞬でも消滅することを巨人は嫌悪した。
結果として、咄嗟の防御行動が当麻をわずかに生き長らえさせた。
その僅かな間に、当麻はデイバックからあるものを取り出し巨人に投げ付ける。
「■■■■■■■■■■■■■■■■!!??」
スタングレネード。175デシベルの炸裂音とと8000000カンデラの閃光が巨人の視界と判断能力を奪う。
苦悶の声を上げ、周囲を薙ぎ払う狂戦士。その暴風を掻い潜り、当麻は脱兎の如く逃げる。
スタングレネードの効果はそう長持ちしない。一刻も早く離れなければ命懸けで稼いだこの時間が水泡に帰す。
10m、20m。危機的状況に陥ったときのみ発動するという火事場の馬鹿力というものか、ぐんぐん巨人との距離が開いていく。
そして、
「・・・マジ、か」
唐突に林は終わりを告げ、当麻の目の前は見通しのいい草原だった。
こんなだだっぴろい場所では、あの怪物から逃げ切れるはずがない。
「―――だからって、諦められるかよ!」
一瞬でも弱気になった自分を叱咤し、当麻は草原を突っ切るべく深呼吸をした。
その直後に轟音が響く。巨人が状態を回復したのだ。
ここで殺されるわけにはいかない。彼は、インデックスを助けなければいけないのだから。
「らあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
背後に迫る死の恐怖。それを振り払い当麻は疾走する。
学園都市でチンピラどもに追い回されながら鍛えた自慢の健脚だ、そう楽々と追いつかせるものか。
だが、確認するまでも無く、もう巨人はもうその射程に当麻を捕えていた。
見ればその手にはへし折られた大木が突撃槍のように構えられている。
右手に触りたくないというのなら触らずして殺すまで、ということだろう。
(万事休す、か)
そう、もう彼に道は無い。
なぜならば、彼は不幸だからだ。こんな殺し合いに巻き込まれたことも不幸なら、開始直後に参加者中屈指の戦闘力を持つ狂戦士に出くわしたことも不幸だ。
そして何よりも、こんな右手を持って生まれてきてしまったことが不幸なのだ。
彼はあの巨人ならば例えおもちゃでも人を殺せるだろうな、とぼんやり自身を貫かんとする槍を見ていた。
そして槍が当麻を貫くその瞬間に、ラッキーは起こった。
どこからか銃声が響き、暗闇を切り裂いて飛来した五つの弾丸が槍を撃ち抜き軌道を逸らす。
それだけではなく、防弾チョッキすら打ち抜く威力の銃弾が巨人に襲いかかる。
「■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!」
だがそんなものに屈する狂戦士ではない。手にした巨木を振りかざし、その悉くをはたき落とす。
そしてざり、ざり、と靴の音を響かせながらやってきた一人の男が、厳かな口調で当麻に語り出した。
「男は毎日がテストだ。男は欲望に、夢に、運に、全てに自分を試される」
巨人は動かない。否、動けない。虚空から現れた黄金の鎖がその体を縛りあげる。
「そこから逃げない男だけが、ラッキーを手にすることができる」
見事に割れた尻アゴに金髪リーゼント。鍛え上げられた褐色の筋肉に、見る者の目を奪う奇抜な衣装。
不幸に愛された男、上条当麻の危機を救った張本人。その名は―――
「少年。お前は、ラッキーだ」
ラッキー・ザ・ルーレット。幸運に愛された男だった。
【D-3/林の切れ目/1日目/深夜】
【ラッキー・ザ・ルーレット@ガン×ソード】
[状態]:健康
[服装]:アニメ第1話登場時の服装
[装備]:天の鎖@Fate/staynight、トイソルジャー@とある魔術の禁書目録 残弾数20
[道具]:デイバッグ、ランダム支給品×1
[思考]
基本:???
1:少年(当麻)を助ける
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]:疲労
[服装]:制服
[装備]:無し
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考]
行動方針:殺し合いなんかさせるものか。主催者をぶん殴ってインデックスを助け出す
1:誰だか知らんがありがとう
[備考]
※幻想殺しについて
魔術、超能力など異能の力は触るだけで無効化されます。ただしサーヴァントや幽霊など存在自体が異能の者については、触れている間のみ身体能力が低下します。
その他、宝具なども触れている間のみその効力を失わせ、手を離せば能力は回復します。
【
バーサーカー@Fate/staynight】
[状態]:天の鎖による拘束、命のストック 残り12個
[服装]:腰巻のみ
[装備]:木の槍
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考]
行動方針:皆殺し
1:目の前の2人を殺す
[備考]
※バーサーカーの理性について
狂化していない場合のみ、ある程度の思考能力を有します
※十二の試練について
一般的な拳銃弾程度は完全に無効化。死亡してもその場で蘇生。状態を健康にまで回復させ、回復したダメージの度合いに応じて魔力を消費します。
バーサーカーの耐久力を大きく上回るダメージを受けた場合は複数の命のストックを消費して蘇生、状態を健康にまで回復させ、魔力を大きく消費します。
魔力が無い場合も蘇生はできますがダメージは回復しません。
ただし、首輪が爆発した場合は蘇生できません。
また、一度バーサーカーを殺害した攻撃には耐性が付き、ダメージをある程度軽減します。
※狂化について
発動はバーサーカーの任意。戦闘終了と同時に解除されます。
狂化中は身体能力が倍化し、魔力を徐々に消耗していきます。
最終更新:2009年10月28日 21:52