(このお話は、もし上条さんが序盤のギャンブル船メンバーに加わっていたらという話です)



 上条当麻がギャンブル船ギャンブルルームの扉を開く。
 そこに居るのは妙に項垂れた顔の黒服が一人のみ。
「……ギャンブル船、エスポワールへようこそ」
「は、はぁ……っていうか、こんな所でギャンブルなんてする奴居るのかよ」
 黒服は無言のまま。
 彼はつい先程、カイジ、利根川の二人組に完膚なきまでに敗北したばかりであった。
 当麻は思いつく限りの事を黒服に訊ねるのだが、彼からまともな返答が得られる事は無かった。
 それでも彼を殺し合いをさせている連中の仲間と見なしていた当麻は、引き下がる事なく強い口調で問い詰める。
 とうとう根負けしたのか、黒服は項垂れた顔を上げる。
「俺に何を言っても無駄だ。どうせ俺は……」
 そこで黒服ははたと気付く。
 眼前に居る小僧の間抜け面に。
『この小僧を上手くしとめられれば、先の失策を埋める事が出来るかもしれない』
 いや、最早これがラストチャンス。是が非でもコイツをギャンブルにて仕留めるしかない。
 俄然息を吹き返す黒服。
 彼は頭脳をフル回転させ、如何にして当麻を誘い込むかにその全霊を傾ける。
 手段を選んでいる余裕なぞ、彼には残っていなかった。

「俺こんなカジノみたいな所で遊んだ事ねえんだって。そもそも金も持ってねえしな」
「そこでコレだ」
 黒服が懐より取り出したのは一枚のプラスチックカード。
「ライフパッキー。もし君が望むなら、今手持ちの道具と交換してやろう」
 パッキーカードと言えばパチンカーならすぐにぴんと来るのであろうが、生憎未成年の当麻はすぐにはこれが何だかわからない。
 道具ねえ、とバッグを漁る当麻。
 そこで、黒服は突然大声を上げる。
「そ! それは……その地図を見せてもらっていいか?」
 しげしげと地図を眺めると、大きく頷く黒服。
「うん、これならパッキー一枚分になる」
 余りに興味津々である事、そもそも地図が無いと困る事から当麻は地図をひったくって取り返す。
「ま、まだ交換するなんて言ってないだろ!」
 黒服は片眉を潜めながら、事務所にあるコピー機を用いて地図のコピーを用意する旨伝え、何とか交換してもらえないかと頼む。
「い、一枚じゃ嫌だぜ」
「わかった。なら二枚、これでどうだ?」
「五枚! これ以上ビタ一文まかんねえぞ」
「それは多すぎだ! せめて三枚で……」
「じゃあ四枚! 地図のコピーは絶対取ってくれよ」
「…………仕方無い。それで手を打とう」
 交渉成立。実にちょろい相手であると当麻に見えぬ所でほくそ笑む黒服。
 渋々といった顔で、黒服はこのパッキーを使用出来るパチンコ台の説明を行ない始めた。


「せっかくだから俺はこの台にするぜ!」
 内の一台に目をつけた当麻は、パッキーの使い方を教えてもらいパチンコを開始する。
「一応、説明書きが書いてある説明書はここに置いておくぞ」
「あー、色々サンキューな。これで勝てば便利な道具とかもらえんだよな」
「もちろんだ。上手くすれば機動兵器すら入手可能だろうし、劇的な効果が望める治療薬も手に入る」
「おっし! パチンコの鬼と呼ばれた上条さんの絶技、見せてやるぜ!」
 ちんちんじゃらじゃら、パチンコ特有の音が鳴り響く。
 黒服は邪魔にならぬよう席を外し、当麻一人がパチンコ台を食い入るように見つめている。
「貴方は何をしているのですか?」
「あ? 見てわかんねえのかよ。パチンコだパチンコ」
「……そうではなく、こんな所で何故パチンコをしてるのかと聞いているのですが」
「それがな、運良くパッキーっての手に入れられたんで……」
 そこではたと気付いて振り向く当麻。
 体の半分以上ある巨大なリュックを背負った少女がそこに居た。
「……誰?」
「レディを相手にそんな失礼な聞き方がありますか」
「…………ごめんなさい。上条当麻と申しますが、そちらはどちらさまで?」
「見ず知らずの人に名前を教える程、不用意ではありません」
 このクソガキ、といった感想が露骨に顔に出る当麻。
 そ知らぬフリで少女、八九寺真宵はパチンコ台に目をやる。
「パチンコ、得意なんですか?」
「いや、そもそも始めてだし。ま、タダ同然で手に入ったカード使ってるだけだしな。負けても損は無いって話だ」
 ふーん、と真宵は側にある小冊子を手に取る。
 しばらくの間、無言の時間が過ぎるが、とりあえず小冊子に目を通したらしい真宵が当麻に問う。
「カードってこれですか?」
 真宵が開いたページを覗き込む当麻。そこには、ライフパッキーの詳細な説明が書かれていた。

『ライフパッキー:使用者の命をパチンコ玉に換算したもの。表示量全てを使い切った時、使用者は死亡します』

 二人は無言で顔を見合わせる。
 少しぎこちない表情で当麻は笑う。
「い、いやこんな危ないのじゃないって。俺のは……えっと……」
 小冊子を穴が空くほど覗き込む当麻は、しかし、そこに救いを見出す事が出来なかった。
「…………」
「…………つまり、この出てる数字がゼロになったら貴方は死ぬと」
 ガタンと席を立つ当麻。
「ふざけんなあああああああ! あの黒服騙しやがったなちくしょおおおおおおおお!」
 真宵は至極冷静なまま小冊子に目を落とす。
「あ、でもこれ、席を立たなければゼロになっても続行出来るみたいですよ」
 即座に着席する当麻。
「あれ、でも、ゼロになる前だったら退席出来ます?」
 椅子を蹴って立ち上がる当麻。
「ああ、意味ありませんね。一度使い始めたら数字は自動で減っていくみたいですし。ゼロになるか一枚目を一杯にするしかないみたいです」
 おずおずと席に着く当麻。
「しかし、凄いルールですね。これ、打ち続ける限り、マイナスは幾らでも計算されるみたいです」
「……いやマイナスだと席立った瞬間死んじまうんじゃねえの?」
「試してみます? ほら、後少しでマイナス突入ですよ」
「へ? …………うおおおおおおお! マジだあああああああ!」
 真宵は小首をかしげる。
「そういえばついさっきカイ・イイジさんがここで大勝してましたけど、あの人パチンコも得意なんでしょうか」
「マジか! そ、その人は今何処に!?」
「船の何処かに居ると思いますが、あの人がやったのはカードゲームとかでしたよ」
「あーもう何でもいい! その人勝ったってんなら金、っつーかペリカ持ってんだろ!」
「ええ、一億幾ら勝ったみたいです」
 思わず噴出す当麻。
「億て!? よ、よし! この際土下座でも何でもするからその人に助けてもらおう! 悪いが呼んで来てくれるか」
 真宵は、お互いのおかれた状況を踏まえ、冷静に判断を下した。
「アイスが食べたいです」
「お前ここでそういう事言うかあああああああ!」
「出来ればハーゲンダッツで」
「足元見すぎでしょお嬢さあああああああん!」
 結局、ハーゲンダッツを何とかして手に入れる約束をさせられる当麻であった。
 ちなみに、当麻がこれは来るという予感の元選んだ台は、斜めってる目が印象的な『沼』と呼ばれる台であった。オリジナル版であるので、彼の勝利は不可能と思われる。


 緊急事態という事で、当麻のパチンコ台の回りにエスポワールに居た九人が集まる。
「愚か極まれり、ですわね」
 とは白井黒子の言。
「騙されたってんなら仕方無いさ」
 と善人衛宮士郎はのたもーた。
「騙された、か。それすら疑わしいものだ。欲に目が眩んだのを誤魔化しているだけだろう」
 実にクールな反応は利根川幸雄だ。
「困っている人を前に平然とそういう事口にする所が、俺は気に食わないって言ってるんだ」
 こちらも善人伊藤開司が食ってかかる。
「ふむ、迷者不問とならず、人を頼ったのは良い判断であろう」
 偉そうな口調を幼女ボイスで発する天江衣
「そうだな、辛うじてだがまだ間に合ってはいる。……このライフマイナス四十というのなんだ?」
 グラハム・エーカーは誰にともなく問いかける。
「えっと、一ライフが命一つ分みたいだから……四十死分? そんなのあるのか?」
 台の横にある説明書きを見ながら秋山澪
「遊戯に命を賭けるとは……未来の人生はそんなにも退屈で満ち溢れているのですか?」
 しげしげとこれを眺める明智光秀
 彼らを前に、当麻は超下手にへりくだって言った。
「お説御尤もでございますが、何卒、この愚かで哀れな子羊をお救い下さいませ……いやホント、こんな馬鹿な事で俺まだ死にたくないって……」
 ルール説明を読み返していた真宵は、ふむふむと頷きながら皆に告げる。
「一ライフ当たり一千万ペリカ相当らしいですから、マイナス四十ですと四億ペリカになります」
 全員一瞬の無言。
 黒子は、んー、と大きく伸びをする。
「さて、では今後の行動方針ですが。情報収集と仲間を増やす、この二つを分散して行なうというのはどうでしょう」
 利根川はうーむと首を捻る。
「それは船に残るチーム含め、最低三つのチームに分かれるという事か? 賛同しかねるな。第一……」
 カイジが二人を窘める動きを見せると、当麻はほっと安堵の息を。
「おいおい利根川、お前は慎重すぎだ。仲間を集めるんなら急ぐ必要がある。手遅れの仲間と出くわすハメになっちまったらどうすんだ」
「手遅れの仲間って誰だ! 誰の事だあああああああ!」
 ぎろっと黒子と利根川が当麻を睨む。
「貴方の事ですわ」
「貴様の事だ」
「すんません。マジすんませんでした」
 カイジがうむーと首を傾げる。
「いやさ、それでも四億ってのは、なあ。他のギャンブルも鉄骨渡りは絶対にやっちゃ駄目だしさ、あ、このEカードってのはどうなんだ?」
 利根川は憮然とした顔である。
「……止めておけ。同じ手は二度通じんし、相手も相応の用意をしてあるだろう」
 説得力があるんだかないんだかな発言を他所に、光秀は鉄骨渡りに興味を示している。
「説明を見る限りでは、コレ随分と簡単に思えるのですが……っと、こちらの扉ですか」
 扉を開くと、そこは船とはまるで別の場所と繋がっていた。
 がらがらぴしゃーんと鳴り響く雷鳴。
 此方と彼方を結ぶは二本の鉄骨。
 そこがビルの屋上だとわかるのは、彼方のビルまでの距離が広すぎるせいであろう。
 しかし、出てすぐの場所から、ビルの底を見出す事は出来ない。
 そう、これが、これこそが、鉄骨渡りである。
 衛宮士郎が至極当然な感想を漏らす。
「船の中? これが魔法って話か? いやそれ以前に、これを渡れと? 正気……か?」
 何処か揶揄するような顔で利根川は笑う。
「カイジは渡ったがな。どうだ、もう一度やってみるか?」
「ふざけんな! こんなもの! 出来れば二度と見たくなかった!」
 秋山の澪さんは、扉を出るのすら躊躇する始末。
 真宵は訳知り顔でそんな澪の後ろに居る。
「うーむ、正に怪異」
「だ、大丈夫、か、な? その、扉を潜ったら二度と戻って来れないとか……」
「ありえますね」
「ひいいいいいいい!」
 グラハムはビルの下を覗きこみながら呟く。
「ふむ、落ちたら命が無いのはまあ、当然だろうな」
 光秀もまた同じく下を覗きこんでいる。
「高所に相応しく風も強いですね。うっかりバランスを崩す人も、確かにこれなら居るかもしれません」
 二人は、鉄骨の上から下を覗きこんでいた。
 カイジの口が、顎が外れんばかりの勢いで開く。
「おいいいいいいいい! 何さっさと渡りにかかってんだ! そいつは洒落じゃ済まないんだぞ!」
 ものっそい驚いた衣は、鉄骨の端まで走り寄る。
「グラハム!」
「衣、君はそこで待っているんだ。何、すぐに戻るから心配するな」
「し、しかし! 余りに軽佻浮薄過ぎぬか!?」
「並みの人間ならばそうだろう。だが! 私は誰か! そう! グラハム・エーカーにとってと前置きがあるのなら! この程度の困難、フラッグを用いるまでもない雑事であると断言出来よう!」
 恐る恐るだが、澪は扉の中に入り、光秀に向け声をかける。
「あ、危ないですよ。そ、そそそその、えっと、落ちたりしたら……落ちたり……」
 自分で想像して怖くなったらしい。ビルの端から下を見る事すら出来ない澪だ、想像するだけで足の震えが止まらなくなっている。
「ふふふっ、澪さんはお優しいですねぇ。まあ見ていてくださ……いえ、見るのも恐ろしい御様子ですし、扉の内でゆっくりしていて下さい」
「ででででもっ」
「こんな矢も弾も飛んで来ない場所で、倒れる私ではありませんよ」
 心配顔の面々を他所に、光秀もグラハムもすいすいと鉄骨を渡っていく。
「光秀、君も軍属か?」
 下の名前で呼ばれた事に少し驚くも、光秀は笑顔で返す。
「ええ。やはり戦場を知らぬ者の仕掛けでしょうね、これは。修羅場を演出しているようですが、遊戯の域を出ていませんよ」
「まったくだ。しかし光秀、君も随分と戦場が似合いそうだな」
「お嫌いですか? 戦場」
「いや、好ましいと言ったのさ。かの地こそ、男子の本懐、その巣窟。死を賭してこそ、命は輝きを増すものだ」
「素晴らしい、実に素晴らしいですよ……グラハム、そう呼んでも?」
「構わんよ、それが私の名だ。さて、後ろで待つ者をこれ以上やきもきさせるのも何だ。そろそろ本気で行くか?」
「そうですね。はらはらが背なより感じられて、何やらくすぐったい気がする現状も捨てがたいですが、正直、このままでは退屈に過ぎます」
 二人は、鉄骨の上を猛然と走り出した。
 背後より悲鳴やら絶叫やらが聞こえるのが、何とも愉快で二人は笑い出してしまう。
「はははっ! 早いな光秀! 私が追いつけないなどと、一体どんな鍛え方をしてきたんだ!」
「ふふっ、ではこういうのは如何で?」
 後ろで澪が気を失い、残る一同蒼白になってしまったのは、光秀が鉄骨の上を手をつかず前転側転後転を繰り返しながら渡り出したせいだ。
『何してんだああああああああああああ!』
 皆の声がハモる中、光秀の芸当に大笑いしているグラハムと、くるくる回っている光秀は、あっという間に鉄骨を渡り、渡りきった先にある最後の罠、扉を開けた瞬間の気圧差からの突風も、くるりと後ろに宙返りする事で何なくクリアしてしまう。
 常在戦場メンタルを装備した軍人の恐ろしさを、これでもかと思い知らされる一行であった。


「ふむ、一回で得られるペリカは一千万のみですか」
 寿命がダース単位で縮んだ気分の常識能力メンツは、つかれきった顔で二人の帰還を出迎えた。
 グラハムはふう、と一息漏らす。
「手間ではあるが仕方あるまい。一人二十往復といった所か」
「いえ、これどうも向こう岸に行ければいいだけみたいですし、私一人でやりますよ」
「いいのか?」
 そこで、常識能力メンツからちょびっとだけ外れたもう一人が口を出す。
「……わかりました。そういう事ならわたくしも手を貸しますわ。正直、そこの同じ人間と認めるのに多大な労苦を必要とするよーな進化しそこねた猿の為に手間をかけるのは剛腹極まりないのですが」
 白井黒子さんである。
 士郎はちょっぴり冷や汗を垂らしていたり。
「お前、彼には容赦無いな」
「アレとは面識がありまして。このような場でなければ、問答無用で退治する類の輩ですわ」
 黒子のやっていた事を聞いていた士郎は、何となく犯罪者絡みなのかなぁとか考えたのだが、黒子基準でいう所の許しがたき違反行為を行なっていただけとは流石に察せずである。
「でも、どうすんだ? あの鉄骨、軽々と渡ってたけどまともに行ったらかなりキツイと思うぞ」
「それこそ、どうとでもなりますわ」
 すたすたと鉄骨の端まで歩いて行き、次の瞬間、黒子の姿は向こうのビルの中へと移動していた。
 眼を見張る一行を他所に、さっさと向こう岸よりペリカを手に入れ戻って来る黒子。
「次のペリカを用意するのに少し時間がかかるみたいですわね。怠慢ですわ、さっさと次を用意してくださいまし」
 士郎が隣を見ると、光秀はもう走って渡る事すらせず、ぴょーんと一っ飛びで向こう岸に渡ってしまっている。
 大したものだと笑っているグラハム以外は、世の中って不公平なんだなーとしみじみ思うのであった。
 いやまあ、一人だけ、地獄のようにヘコんでいる者もいるのだが。
 利根川がぽんとその肩を叩く。
「まあ、あれだ。気にしたら負けだぞ」
「……お、俺達の苦労は……命賭けの勝負が……」
 無論これは、鉄骨渡り最初の達成者、伊藤開司君であった。


 まずは土下座だろう、そう考えていた当麻は人目を憚らずへへーと頭を下げる。
「わたくしめのような愚かで哀れな者を、良くぞ救い出してくださいました。感謝感激でわたくし前が見えませぬ」
 ほう、と利根川。
「では、その感謝を態度で示してもらおうか」
「は?」
 余ったペリカで、利根川はこんなものを購入していた。
「感謝の心が留まる事を知らぬなら、どんな事でも出来るはずだな。それが例え『焼き土下座』であろうと!」
 自分がやられてキツかったことを平然と他人にも強要出来る辺り、帝愛所属の経歴は伊達ではないのだ。
 っつーかこんな無駄遣いすなと。
「出来るかあああああああああ!」
 黒子曰く。
「やってくださいまし」
 真宵さんも。
「是非やるべきです」
 光秀殿は。
「いいですねぇ、苦労が報われる気がいたします」
 そしてこれをとめるべき面々の内、まずはグラハム。
「凄いなグラハム! やっぱりグラハムは凄いぞ!」
「ははは、軍人ならばこの程度、ましてや私はグラハム・エーカーなのだからな!」
 衣とじゃれている。
 人の尊厳、その守護者たらんとするカイジ君は。
「……人が、平等でないのは……知っていた……っ! それでも、心の奥底が憎悪に沸き立つこれは……っ! 紛れも無く嫉妬心……っ! ああ、俺は今嫉妬している……っ! 何より、あの時何故こいつらが居なかったのだと……っ! 意味の無い事を考えずにはいられない……っ!」
 心の葛藤を抑えるのに必死な模様。
 澪は気絶中。例え起きていたとしても、焼き土下座ましーんを見れば結果は一緒であろう。
 唯一残った希望の光、衛宮士郎は、おずおずと皆に申し出る。
「……せめて、この説明書きの十秒だかじゃなくて、一瞬でも額ついたらオーケーにしてやろうよ」
 その程度を主張するのが限界であるようだった。

「ぎゃあああああああああああ!」

 実に楽しそうな、バトルロワイアルの一こまであった。

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最終更新:2011年09月08日 12:20