EPISODE FINAL【大決着! 俺達の輝ける未来へ!】 ◆Vj6e1anjAc
――全ては終わる。
物語はここに終焉を迎える。
総勢64名の命が投げ込まれた、バトルロワイアルという名の殺人遊戯。
ベットは命、駒は己自身。
地図にすらない孤島に放り込まれての、命を賭けた殺し合い。
たった一枠の生き残りの座を求めて、死力を尽くして戦う者がいた。
殺人そのものに快楽し、嬉々として死骸を積み上げる者がいた。
ただ平穏な日常を望み、しかし何一つ為せず命を落とした者がいた。
そしてこの狂気の舞台にあってなお、人々の命を守らんとする者がいた。
そして、今。
物語は、終わりを告げる――
新春特別企画
アニメキャラバトルロワイアル3rd EPISODE FINAL
【大決着! 俺達の輝ける未来へ!】
長かった。
ひどく長い間、自分達は戦い続けてきたような気がする。
鋼のコックピットに身を預けながら、
刹那・F・セイエイは思考する。
たった2日間の殺し合いの、何と長く濃密なことか。
今この場に至るまでに、多くの命が喪われてきた。
もはや生き残った人間は、両手で数えるほどしかいない。
これだけの命しか救えなかった。それは紛れもない自分の罪だ。
ならばこそ、この戦いには絶対に勝たねばならない。
生きてソレスタル・ビーイングへ戻るためにも。
生きて人々を守るためにも。
生きて罪を償うためにも。
《Hey,どうした? さっさとおっ始めようぜ》
僚機からの通信に、我に返った。
「ああ……行こう」
ぐっ、と操縦幹を握る。
ぐい、とペダルを踏み締める。
鳴り響くエンジン駆動の音。乗り慣れたGNドライヴ搭載機のそれではない。
だが、それがどうした。
たとえ勝手が違おうが、それが負けていい理由になどなるものか。
こいつがどんな機体であろうと構わない。
生きるためならば、どんなじゃじゃ馬であろうと乗りこなしてみせる。
その機体の名を宣言し。
遂に刹那は僚機と共に、最後の戦場へと躍り出た。
◆
「刹那・F・セイエイ――グランヘッダー、未来を切り拓くッ!」
風を切り裂き舞い上がるのは、真紅の戦闘機・グランヘッダー!
煌々と照りつける陽光を反射し、炎のごとく燃え上がる勇者の翼!
「奥州筆頭
伊達政宗、ボディガンダーで推して参る!」
武将の名乗りと共に羽ばたくは、青き怪鳥・ボディガンダー!
鳥の翼が空を掴み、目にも留まらぬスピードで駆け抜ける!
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、パワーハンダーで行くぞ!」
若き皇帝を守護する翼は、橙の重爆撃機・パワーハンダー!
堅牢な装甲であらゆる攻撃を無効化し、俊敏な羽で自在に舞う!
「元吸血鬼
阿良々木暦! 名前がショボいぞナイスフッター!」
荒野を踏み砕き爆走するのは、緑の戦車・ナイスフッター!
どんな敵が相手であろうと、堅さとパワーで押し潰す!
そして最後に現れるのは、大いなる翼・ピンクアミーゴ!
巨大な桃色の双翼は、何者であろうと落とせはしない!
「フォーメーション、スタート!」
「「「「レッツゴー・エルドラドッ!!」」」」
気合一声。
機神飛翔。
ぴたりと重なった叫びと共に、天高く舞い上がる5つの機体。
1つに揃った5つの心が、今まさに無敵の巨人を降臨させる!
「僕が――」
ナイスフッターが身をよじり、巨人の下半身を成した。
「俺が――」
ボディガンダーが胴体を成し、ナイスフッターと1つになった。
「俺が――」
パワーハンダーが両腕を成し、ボディガンダーへと接続された。
「僕が――」
ピンクアミーゴの巨大な翼が、パワーハンダーの背中に開いた。
「俺が――」
そして、今。
グランヘッダーが頭部へと収まる。
煌くは黄金色の鋭利な角。
輝くは緑色のツインアイ。
5つのマシンが1つになり、今、究極の巨人が蘇る!
「俺達が――――――ガンダムだッ!!」
それは、最強の破壊神。
それは、勇気の究極なる姿。
我々がたどり着いた、大いなる遺産。
その名も、勇者王――――――エルドラⅤ!!!
「行くぞ、エルドラガンダムッ!」
ずぅん、と地響きを立てながら、全長57メートルの巨体が着地する。
確かに、エルドラⅤはガンダムの名を冠してはいない。
だが、そんなことが関係あるか。
世界から紛争を根絶し、恒久和平をもたらすために戦うガンダムと。
世界を闇に包む悪を、鉄拳制裁の名の下に打ち砕く勇者のヨロイと。
平和を願う2つの機体に、一体どれほどの違いがある。
平和を望むその魂は、紛れもなくガンダムの魂だ。
「ククッ、馬鹿め……そんなこけおどしで、このデビル遠藤に勝てるわけがあるかっ……!」
勇者の眼前に立ちはだかり、嘲笑うのはデビル遠藤。
漆黒の闇を纏う巨人の中で、黒服とサングラスの男が笑う。
その名も、起源覚醒アンリ=マユリボーンズガンダムゼロカスタム・オブ・バースデイフレイヤ弾頭搭載式っ……!
あらゆる世界の技術を結集させた、科学をも超える魔法の奇跡……!
格が違う……同じ合体ロボットでも、エルドラⅤとは月とスッポンっ……!
「そんなことはやってみなければ分からないし、やってもやらなくても死ぬんなら、やって死んだ方がまだカッコがつくさ!」
「そして、僕達には負ける気なんてこれっぽっちもありはしない……
僕達を待ってくれている人達のために、生きて帰らなきゃいけないから」
阿良々木暦が啖呵を切った。
黒桐幹也がそれに続く。
「ここまで来たからにゃ、もうまどろっこしいのはなしにしようや。最初からFinish blowで一気に決めようぜ!」
「フッ……いいだろう。頭の悪い突撃論にも、今日くらいは乗ってやる。ブッチエンジン、始動――!」
伊達政宗の提案に合わせ、
ルルーシュ・ランペルージがキーを叩く。
「トランザム――バァァァァーストォォォォッ!!」
刹那・F・セイエイが雄叫びを上げた。
瞬間、ほとばしるのは激烈なパワー!
エルドラⅤに電流走る!
今舞い踊るは電流火花!
膨大な熱量が塗装を剥がし、金色のボディを光り輝かせる!
その姿、まさに金色の破壊神。
目覚めるは黄金勇者・エルドラⅤ!
もはやⅤとソウルがごっちゃだ!
「この一撃で決着をつける! エル・インフェルノ・イ・シエロ、セット!」
「派手に行こうぜェッ!」
ぎゅん、と足元の車輪が回転した。
がしゃん、と腕部が変形した。
猛烈な地鳴りとエンジン音を伴って、エルドラⅤが爆走する。
赤熱と白熱の拳を構え、最強の勇者が巨悪へと挑む。
「ところがどっこい、これが現実っ……! 無駄なんだよ……お前達には、この俺に触れることすら不可能……!」
瞬間、爆音が世界を満たした。
燃え盛るアンリ=マユの闇。
ツインバスターライフルの奔流。
無数のGNファングの斉射。
闇より現れる使い魔の軍団。
雲霞のごときフレイヤ弾頭。
その他ありとあらゆる攻撃が、ごちゃ混ぜのカオスの嵐を形成し、エルドラⅤへと襲いかかる。
その一撃、まさに強力無比……! チートってレベルじゃねーぞと言わざるを得ない……!
吹き飛ぶ翼……砕け散る角……引きちぎれる左腕……!
まさに満身創痍……進むごとに傷を増やす、血反吐を吐くマラソンの様相……!
「エルドラガンダムッ――」
嗚呼、されど。
それでも勇者は止まらない。
たとえその身が砕け散ろうと、勇者は引き下がることを知らぬ。
右腕1つが残る限り、決して最後まで諦めはしない。
負けてたまるか。
諦めてたまるか。
全ての命を拳にのせて。
全ての想いを拳にこめて。
「――アルティメットォォォォォ―――――ッッッ!!!」
今、エルドラⅤの鉄拳が、悪を打ち砕き未来を照らす――――――!
「ば……馬鹿なぁ~~~っ!!」
ぐにゃあ~……!
デビル遠藤、爆散っ!
「勝った!! アニロワ3rd完ッ!!」
【アニメキャラバトルロワイアル3nd―――――――――――――完】
注:この作品はフィクションです。
実際のアニメキャラバトルロワイアル3rdの最終回とは一切関係ありません。多分。
最終更新:2010年01月03日 21:53