(駄目だ……死ねない……! 僕は、俺はこんなところでは―――)

 生き残れ、と。ギアスの光が瞳に宿る。だが、それで何が出来るというのだろう。
 手足は石化し、敵は最速のサーヴァント。こんなときに生きるために取れる行動なんて、ない。


(糞、俺は、俺は、俺は――――生きなきければ――――っ!?)


 それでも、無情に死は迫る。
 生きなければという脅迫も、生きたいと言う望みも全てを打ち砕く黒い死が。
 死ぬ。全ての思いを。全ての未来を。全ての夢を喰らう。


 ……ああ。
 ――-そうか、俺は死ぬのか。
 死んで、いいのか―――。

 だが。
 奇跡は、起こる。




「枢木殿おぉぉぉおぉおおぉぉぉぉおぉおおおおおおおおっっ!!!」




 神速一閃。誰もが予想しなかった方向からの、誰もが予想もしなかった人間による一撃。
 すさまじい速度での突進。そして、思い切り振り上げた右腕を力任せに振りぬいただけの技量もない単純な攻撃。
 だが、驚くことにその一撃で、スザクが全力の蹴りを持っても揺らがなかったライダーが、地をこすりながら弾かれ後退する。


「――――真田、さん?」


 その情熱、純粋さ。彼に被って見えて、思わずスザクは呟いてしまう。
 真逆。彼は死んだはずだ。レイ・ラングレンがそう告げた。
 目の前のこの女たちに殺されて、死んだ。
 短い付き合いだったが、彼の真っ直ぐな瞳は嫌いじゃなかった。
 自分には、すこし重かったが。それでも、きっといいものだった。
 でも、死んだ。ならばもう彼は登場することは出来ない。
 それこそが、この世界の真理。
 では―――?


「残念ながら違うぞ、枢木殿。忘れたのならもう一度名乗ろう。
                ―――神原駿河。主な武器は加速装置だ」


 そう言って彼女は首だけ振り向くと、無駄に格好よく笑った。

以上、前回破棄したSSより一部抜粋です。
タイトルは「消せない罪」だったのですが、この部分だけでは意味がわかりません。
このパートは、折角呼び方が同じだから乱戦中とかに幸村と被って見えたりしたら面白いかな、と思って書いていました。
また、全てを投下しないのは、これ以後どこかで使うつもりがあるネタや、すでに徒物語で使用したネタが混じっているためです。

なお、その使ったネタと言うのは、

  • ルルーシュ気絶&計算違い(但し、気絶はほぼ完全な自爆だった……)
  • モモ、初めての殺人
  • 憂、亀甲縛り(これは神原に直接やられていた)

などでした。

以上、完全に余談です。
お目汚し失礼いたしました

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最終更新:2010年01月05日 11:07