「…モ……モモ…モモ……」
自分の名前を呼ばれた気がして、私、
東横桃子は目を覚ましたっす。
「……せん、ぱい?」
目を開くと、私の前には先輩――
加治木ゆみ先輩が立っていたんす。
「先輩?……本当に先輩なんすか!?」
死んだと思っていた先輩が、今、私の目の前に立っている。
それが嬉しい半面信じられなくて、私は思わず問いかけました。
そしたら先輩は、私の肩に手を乗せてフフッと笑ったっす。
「ああ、私だ。モモの事が心配でな、来てしまった…」
「先輩……せんぱぁい!!」
先輩が言い終わらない内に、私は先輩の胸に飛び込んだっす。
それでギュウッと力いっぱい先輩の体を抱きしめると、先輩も私の肩を優しく抱いてくれたっす。あったかい。
「なあモモ……、私に何かして欲しい事は無いか?」
そのまま先輩に抱きついていると、先輩がそんな事を言ってきたっす。
「ずっと…ずっと私の側に居て下さい。いつまでも先輩とこうしていたいっす」
今の私の願いはそれだけでした。でも、先輩はゆっくりと首を振って言ったっす。
「それは、出来ないんだ。私は、もう死んでしまっているからな。ここに居られる時間も限られている」
あ……そうか。
ちょっとショックでしたけど、私も頭のどこかでその答えは予想していたみたいで、取り乱したりはしなかったっす。
「じゃあ……、キス、してもいいっすか?」
何か短い時間で出来ることをって考えて、私はそんな事を先輩にお願いしたっす。
「ああ、いいぞ」
もしかしたら軽蔑されるかもって、ちょっと心配したっすけど、先輩は快くOKしてくれました。
「それじゃあ……ん」
んちゅ
目を閉じて先輩に顔を寄せると、唇同士が触れ合う柔らかい感触が伝わってきたっす。
「ん……」
お互いの鼻の息がかかって少しくすったかったっすけど、私達はそのまま唇同士をくっつけた感触を楽しみました。
「ん、ちゅ」
えーっと、もしも恋人同士とかだったら、この後どうするんでしたっけ?
ここまで来ると欲が出てきて、私はとりあえず閉じたままだった口を少し開け、舌を先輩の上唇と下唇の間に割り込ませてみたっす。
「ふっ……ん」
先輩は少し驚いたみたいっすけど、拒絶したりはせずに私の舌を口の中へ受け入れてくれました。
「れろ……れろ……じゅる」
口を開けた状態なので垂れてくる唾液を啜りながら、私は先輩の口の中を味わったっす。
でも先輩、拒まれなかったのは嬉しかったっすけど……。
先輩は私にされるがままで、自分から舌を動かそうとはしてくれないみたいでした。
それが少しだけ不満で、私はちょっといたずらしてやれって思って、先輩の胸を揉んでみたっす。
むにゅ
「あふっ!?」
そしたら、今まで動かなかった先輩の舌が跳ねて、私はやったとばかりにそこへ自分の舌を絡めたっす。
れろれろ
むにゅむにゅ
れろれろ
むにゅむにゅ
そんな感じで先輩の胸を揉みながら、私は先輩とのディープキスを楽しんだんすけど……。
そろそろ息が苦しくなってきて、もったいないと思いつつも私は先輩から顔を離したっす。
「ぷはっ」
「……あ……あれ?」
そして目を開けた私の視界に飛び込んできたのは、先輩ではなくてゴスロリさん、もとい憂さんでした。