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第三回定時放送~最後の希望~  ◆0zvBiGoI0k



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「―――バーサーカーは強いね」






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「遠藤様、織田信長の爆破信号が受け付けません!さらに制限も解除されたものかと……!」

「【ホール】の『 』にて阿良々木暦が原村和と接触した模様です!
 今のところ問題ありませんが重要な質問が出される前に対処を……!」

「遠藤様!会場外からの爆発で【A-7】の櫓が崩壊しました!「穴」は即座に封鎖しましたが
 さらなる衝撃では決壊の可能性も……!」

「【敵のアジト】に続いて【政庁】も崩落しました!結界の綻びが強くなっています……!
 ご指示を、遠藤様!」

「会場内に我々の知らない女がいます遠藤様!資料によると魔術師蒼崎橙子とのことですが、
 首輪もなくこのままでは外部からの介入を招く恐れも……!」

「お前ら黙れ!!!俺は聖徳太子じゃないんだぞっ……!」



薄暗い指令室の中、矢継ぎ早の質問を投げかける黒服達を一喝する遠藤。その顔にはかつてない焦りが見える。
末端の黒服などよりは遥かに多くの異世界の知識を持っているとはいえ、
この立て続けの事態は完全に遠藤の許容を超えていた。

「結界関連はインデックスに任せている。そこから忍野なりに指示を与えるだろう……!
 崩壊した施設に関してはひとまず機械による修正でいい……!物理的な穴埋めから優先するんだっ……!
 織田信長と女は……今は手は出さなくていい、だが監視は怠るなよ。原村和に対しても同様だ……!」

それでも必死に平静を保ちつつ指示を与える遠藤。その場しのぎであるが
どれもまだ決定的にこのゲームを破壊される要因にはなっていない。
ここは冷静になるのが重要……!クールに……!努めてクールに徹するべきっ……!


「……それと、「フレイヤ」の準備をしておけ。いいか……!あくまで準備だけだぞ……!」

この場に集う黒服に、電流が走るっ……!
その言葉の意味を誰もが知っているからこそ、その重大さが分かるっ……!



「ん……俺だ」

懐から軽快な着信音を鳴らす携帯を取り出す遠藤。
この場でわざわざ携帯を使う必要があるのかは疑問だが黒服達は答えない。

「―――――――――――――――分かった。それならどうにかなるんだな?
 ……いいだろう」

携帯を切り、黒服達に向き直る遠藤。その顔は些かながらも余裕を取り戻していた。

「追加の命令だ。ここからはお前たちも楽にはできんぞ?
当たれば天国外れれば地獄、落ちたくなければ各々の仕事はしっかりこなせっ・・・・・・!」



◇―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『インデックスです。ゲーム開始より18時間が経過しました。第三回定時放送を開始します。
 放送は一度きりですのでお聞き逃がしのないようにご注意下さい。
 例によって放送内容の質問、応対等は受け付けませんのでご了承下さい。

 ………………

 …………

 ……

よろしいでしょうか。それでは連絡事項をお伝えします。まず電車の復旧についてです。
【B-4】駅から【C-6】駅間 、【F-5】駅から【D-2】駅間の電車の復旧が完了しました。
ただし【C-6】から【F-5】の区間に関しては現在復旧作業中です。
中継地点の【D-6】駅の復旧は放送より1時間後、午後7時からになります。

続いて、禁止エリアの発表です。
3時間後、午後9時以降より立ち入り禁止エリアが3つ増加します。
今回の閉鎖エリアは【B-5】【E-2】【G-3】の3箇所です。
禁止エリアに入った場合、数秒後に首輪が爆発しますので侵入することのないようご注意下さい。

次に、前回の放送から今回までの間に死亡した参加者を発表させて頂きます。
読み上げる順番はこちらで死亡を確認した順番からです。

【トレーズ・クシュリナーダ】
【伊藤開司】
【明智光秀】
【神原駿河】
【アーチャー】
【ヴァン】
【海原光貴】
【伊達政宗】
【張五飛】
【平沢唯】
【バーサーカー】

以上、11名です。残りは27名となりました

私からの連絡事項は以上です。それでは最後に遠藤から皆様にメッセージがあります』


『やあこんにちは。いや、それともこんばんはかな?
 いけないな、この時間帯はどうも挨拶の選択に困る……!
 まあどうでもいいことだな。

 改めてごきげんよう……!遠藤だ。
 首輪換金制度はどうだったかな?施設の特別サービスは満喫したかね?
 強力な武器を手にすることができたなら幸いだ……!
 ……何人の首を刈った?親しい者だったかっ……?憎い者だったかっ……?
 どちらにしろ首輪を得られたのなら結構だ……!有効に使い道を選びたまえ……!

 いよいよバトルロワイヤルも中盤戦っ……!
 この放送を聞いている者も僅か27人……!半分以下にまで減ってしまったっ……!
 放送の度にパフォーマンスを考えている俺にとっては嘆かわしいものだが、
 お前たちにとってはむしろ福音……!ゲームの終了に近づいてきてる証……!
 優勝までもうひとふんばり……!是非とも奮起してくれたまえっ……!

 ……それにしても、だ。我々が汗水垂らして造った施設があちこちで倒壊するという事態が相次いでいる。
 当事者達にはよくわかるだろうが実に節操無いな……!
 所構わず施設を潰していくのは結構だがこちらの身にもなって欲しいな……!
 電車が止まってお前たちだって困っただろう?公共物は大事にしないと他の皆の迷惑になるじゃないか……!
 電車に限ったことじゃない……!何でも壊せばいいなんて考えてる奴がいたら止めておいてやれ……!
 取り返しのつかないことになるかもしれないからなっ……!

 ……ん?『やけに親切だな』と思ったか?
 なに、ここまで生き残った運の良いお前達へのプレゼントというやつさ……!
 自分で倒したビルに潰されて死亡……!なんてヘボイ結末は俺達にしても望んではいないしなっ……!

 ああ、施設といえば言い忘れていた……!前回の放送通りにこの放送よりギャンブル船、
 および各地にある無人販売機の商品が追加されるっ……!
 今までは銃か剣みたいな化け物連中にはクソの役にも立たない物ばかりだったが
 今度からは少しはマトモな物が買えるハズだっ……!
 商品追加は今後も放送毎に増えていく。施設はマメに見ておくことだな……!

 それでは今回の放送はこれまでだ……!1人でも多く死に、1人でも多く次の放送を聞く者がいることを期待して、
 諸君らの顛末を見届けるとしようっ……!』



◇――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『―――諸君らの顛末を見届けるとしようっ……!』

放送が終わる。哄笑する男の声と共に殺し合いは3度幕が開く。
1人で住むには大きな部屋の中で彼女―――宮永咲もまたその声を聞いていた。

現在の状況について彼女が知ることは多くない。
自分の知り合いも含めた多くの人間達を強要させた殺し合いが行われてるということ。
主催側の中には咲の大切な友人、原村和も加えられてるということ。
そして今の自分は、原村和を思い通りに操るための人質の身であること。

そのどれもが自分にとって信じられず、耐えられない事態。
部屋に備え付けられているテレビからは会場に設置されていると思われる監視カメラより殺し合いの状況がリアルタイムで配信されている。
リモコンで映像を切り変えられ、いつものテレビ番組みたいな気軽さで人の死に様を見れてしまう。
電源はもう長いこと付けていない。開会式での龍門渕透華の死が頭に焼き付いている。
決して見まいとして、それでも会場にいる部長、
竹井久をはじめとした友人知人の安否を気にせずにはいられずリモコンに手をとってしまい、
久が見知らぬ女性に突き落とされた光景を目にした瞬間に、即時電源を落とした。
既に何度嘔吐したのかも知れない。

……ここに閉じ込められてまだ1日も経ってないというのに激しい疲労感がある。
これほど1日が長く感じられたことはない。
無駄に贅沢な食事も出されるが喉を通らない。ベッドに浴室も完備されているが眠気はより強い恐怖で失せてしまう。

「原村さん……」

原村和とは会話も許されていない。正確には申請をすれば可能らしいが今までその選択肢は放棄している。
会っていったい何を話せというのか。だいじょうぶか、ごめんなさいか、がんばってか。
麻雀の才能を抜けばただの高校生でしかない咲にはどう彼女に向き合えばいいのか分からない。
生きていても彼女の、皆の負担にしかならないのなら、いっそ―――



「どうしたのサキ?まるでこれから死ににいくみたいな顔じゃない」

思考の外から、小さく、けれど響く声が届いた。



「イリヤちゃん……」

―――多分泣きそうになってる―――顔を上げた咲の前には雪の妖精のような白い少女―――
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンがにこやかな笑顔で立っていた。

咲とイリヤが会うのはこれで初めてではない。ゲームが開始された直後から、
たびたび咲の部屋を訪れて話をしている間柄だ。
付き添い人を付けてならあてがわれた部屋を出て隣の部屋―――自分以外の人質に会いに行くことも許されていた。
ただし長居してられない時間制限というのもあり、いわば囚人の面会のような感じだった。

「―――嘆こうが死のうが現実は何も変わりはしないわよ。同じ時間なら少しでも有意義に使いなさい」

「……うん、ありがとう…」

見た目にそぐわぬ態度で咲を嗜めるイリヤ。自分よりも小さな子供に慰められるというのは情けないものだが、
少ない時間でのイリヤとの交流は咲には僅かな拠り所となっていた。

「それで、読んで一応基本的なルールは憶えたんだけど、少しやってみない?」

手には麻雀のルールブックが握られている。何故かイリヤの部屋にあったため暇潰しに読んでいたらしい。
咲にとって慣れ親しんだ麻雀を通して彼女はイリヤとの親交を深めていた。

「……ゴメン、イリヤちゃん。その、人数が……」

元々麻雀を打つ気ではないのもあるが、そもそもの根本的な問題があるので口ごもってしまう。

「……?ああそっか、4人でするものなんだっけコレ。ミサカ、アナタはマージャン出来る?」

イリヤは扉の前で身じろぎもせず立ち尽くす少女へと声をかける。
つられて咲も視線の先の「付き人」を見る。
どこかの学校の制服。短めの茶髪。冷めた、というより感情のない瞳。その佇まいは人よりも人形のよう。

「ミサカ達にはほぼ全てのギャンブルのデータが入力されているので麻雀を行うことが可能です、
とミサカは期待に応えてみます。
ですが麻雀は4人で囲むのが原則でミサカを加えても3人ですので麻雀は出来ません、
とミサカは淡い希望を砕いてみせます。
加えてあなた達にはミサカへの命令権限を所有してないためその指示には従えません、
とミサカはとっておきのダメ出しをかけます」

「あらそう。残念ね」

目線を変えずに不思議な文法を使うミサカという女性に、イリヤはそつなく対応する。
何だか手慣れてるな、と咲は思った。

「それじゃあアナタへの命令権を持つ「上位個体」に伝えてくれない?マージャンをしたいから2人連れて来てって」

上目づかいにねだるイリヤに、決して目を合わせることなくミサカという少女は、しばらく黙りこむ。

「……………………………………………………認可されました。
 ですがローテーションの問題により現時点では無理です。
 それと来るのはミサカではないミサカの2人です、とミサカはさりげないフォローを入れます」

「そう、それじゃ今の内に復習でもしておこうかな」

ソファに体を預けルールブックを開いて楽しげに読むイリヤ。
その姿は、やはり見た目相応の少女の挙動だ。
そんなアンバランスさも、殺し合いをしているこの中で平然としていることにも、
咲が覚えているのは畏怖ではなく安堵だった。
孤島に1人置き去りにされたような孤独と絶望感、その中で手を差し出されたことは今の彼女にとっての救いだった。

「サキ、これなんて読むの?大陸語って読みにくい字が多いのよねー」

「あ、えっと、それはですね―――」


何をすればいいかは何も分からない。けどこの時間は大切なものにしたいと。
最後の希望を胸に咲はそう思った。





□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



咲とイリヤの立場は決して対等なものではない。彼女は人質としてここに連れて来られているわけではないのだ。
この会場で彼女の為に殺し合いに乗ろうとする者はいない。1人は頼まれずとも殺戮に身を焦がすだろうし、
他もむしろより主催陣への反抗を志す切欠になるだろう。

彼女がここにいる理由はただひとつ。だがそれは彼女自身にとってはもはやどうでもよいことだった。
彼女は知っている。この場に喚ばれた同じ世界の者の中で最も未来(さき)の時にいる彼女は。
元いた世界での結末を。聖杯戦争の終局を。

自分もただここで破滅を待つ気はない。あの黒衣の魔術師の余計な入れ知恵で動き辛くなっているが、
ここを抜け出す算段は付き始めている。実行には程遠いが縮める手がないわけでもない。
超能力者(レベル5)のクローン体、明らかに異常なその存在もイリヤにはあまりにも慣れ親しんだ感覚だ。

彼女が心に宿す思いはみっつだけ。その内ふたつは戦火の果てに消えてしまった。
そして最後のひとつ、一番強い思いは小さく、それでも確かな火を灯している。



衛宮士郎。憎み、けれどそれ以上に愛しい人の名。
既に彼を守護する剣は折れ、残るのは頼りない幻想のみ。
それを新たな剣に昇華できる時は近く、だが彼の理想を貫くにはまだ足りない。
恐らく遠くない己の死より、それによりもたらされる災厄より、
手の届かぬ外で彼の命が潰えることが何より恐かった。

それはあまりに儚い灯火。けれど決して失いたくない最後の希望。
絶望に抗うため、冬の聖女はその時を待っている。





[?-?/???/第三回定時放送終了後]
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[状態]:健康
[服装]:私服
[装備]:咲-Saki- ラブじゃん♥ マホちゃんの必殺技完成!
[思考]
基本:主催者の手から逃れる。シロウに会いたい。
1:麻雀のルールを覚える。麻雀を通して咲と交流を深める。 
2:妹達(シスターズ)に興味。上手く利用して脱出の糸にしたい。 「上位個体」と接触したい。
3:―――バーサーカーは強いね

[備考]
※参戦時期はアニメ終了、聖杯戦争終結後です。
※人質とは別の目的で帝愛に拉致されています。
※サーヴァントの魂が回収されてるかは不明。

【咲-Saki- ラブじゃん マホちゃんの必殺技完成!@咲-Saki-】
麻雀の基礎を知るために必要なことをマホちゃんと一緒に勉強する、麻雀ガイドブック。
【咲-Saki-】世界の人物の紹介もされている。
定価900円。

【宮永咲@咲-Saki-】
[状態]:健康
[服装]:清澄高校夏服
[装備]:
[思考]
基本: 今はどうすればいいかを考える。
1:イリヤちゃんに麻雀を教える。麻雀を通してイリヤちゃんと交流を深める。
2:原村さんに会いたい。けど何を話せばいいの……?
3:イリヤちゃんに慰められてばかりで、ちょっと情けない。
[備考]
※正確な参戦時期は不明。原村和と親密な関係になった以降からです。
※原村和を従わせるために帝愛の人質にされています。





■――――――――――――――――――――――――――――――――――




ただ、機械の駆動音が鳴る場所に彼女はいた。
意識はない。今の彼女はただ命令を下すだけのコンソールに過ぎない。

名はラストオーダー。ミサカ20001号。最終信号・打ち止め。
妹達(シスターズ)を制御、統率する機能を持つ上位個体。
その彼女はウイルスを注入され、帝愛の意のままに妹達を操る装置へと身を落としている。
だから彼女は今の状況を知らない。知っていても肉体が反応できない。
出来ることは自分の為に命を駆ける「あの人」を、閉ざされた深い思考の海で思うだけ。
それが彼女の最後の希望(ラストオーダー)。希望が叶う時は、まだ遠い。





[?-?/???/???]
【打ち止め(ラストオーダー)@とある魔術の禁書目録】
[状態]: ウイルス注入、意識不明
[服装]: 全裸
[装備]:
[思考]
基本:思考停止
[備考]
※正確な参戦時期は不明。一方通行と交流を深めた時期。
※ウイルスコードにより帝愛の意思通りに妹達を制御しています。

【妹達(シスターズ)@とある魔術の禁書目録】
超能力(レベル5)者、御坂美琴の体細胞クローン。能力はレベル2~3程度の「欠陥電気(レディオノイズ)」。
総数は不明。00000号(フルチューニング)、00001号~10031号は欠番。
「ミサカネットワーク」という特別な通信機構で情報や意識、記憶を共有している。
荒耶宗蓮が作った魔術師の暗示対策(目を合わせない、過度に接触しない等)、
ギャンブルその他のバトルロワイヤル運営に必要なデータを入力されている。
現在、上位個体である打ち止めによって全固体が制御されている。



最終更新:2010年03月09日 22:08