君はこの国の首都を知っているだろうか?
おそらく大多数の人が「東京」と答えるだろう。
だが、それは正しくもあり、また間違いでもある。
今のこの国の首都は、「ネオサイタマ」という。
20世紀初頭、世界は謎の侵略者によって滅びの危機に瀕した。
空に突如として巻き起こった黒雲の内より来たるもの。黒鋼の装甲を纏い、既存の兵器を凌駕する圧倒的な火力と機動性を備えた異形の兵器たち。
人類との一切の意思の疎通を拒み、天災のように触れるもの全てを薙ぎ払い始めたソレは、「ネウロイ」と呼称された。
各国は保有する軍事力で応戦を試みるも、核兵器など一部の例外を除いた既存の兵器はネウロイに歯が立たず、次々と壊滅させられていった。
だが……人類は、狩られるのを待つだけの無力な存在ではなかった。
鋼の身体を持たずとも、天駆ける翼を持たずとも、ネウロイに抗う者たちが現れたのである。
古代・平安時代をカラテによって支配した半神的存在「ニンジャ」。
人のカタチをしていながら人にあらざるモノ。都市の闇に潜み人を喰らう「喰種(グール)」。
古来より自然の中に棲まい、様々な伝承にその姿や伝説を残す「妖怪」。
彼らは本来、ネウロイと同じく人に仇成す存在である。だがネウロイは彼らにも容赦なくその牙を剥いた。
対話も通じず、圧倒的な戦力で万物を滅ぼさんとする侵略者を前にして、彼らは本意ならず人間に手を貸す姿勢を見せた。
もちろん、人間も黙って守られていた訳ではない。
幾つかの国がネウロイに滅ぼされ少なからぬ犠牲は出たものの、侵略者との交戦データは生き残った人類に確かに引き継がれた。
そして生み出されたのが、既存の技術体系とは一線を画する超兵器――「ストライカーユニット」、そして「モビルスーツ」である。
ストライカーユニット。人が生み出した機械の箒。
女性にのみ発現する力「魔力」を動力に、大仰な翼やエンジンを必要とせず個人が自在に空を舞うは、「ウィッチ」と呼ばれる魔女。
女たちだけを死地に送り込んでなるものかと、男でも操れるネウロイに通用する兵器も開発された。
それがモビルスーツ。鋼の身体を持つ機械仕掛けの巨人だ。
ストライカーユニットのように極端な小型化はできず、小さなビルほどのスケールが必要とされた。
当初は図体だけのハリボテと揶揄されたものの、実戦投入された72機の試作機――通称「ガンダム・フレーム」のモビルスーツたちは戦場にある変化を齎した。
動力炉であるエイハブ・リアクターから発せられるエイハブ・ウェーブが、ネウロイの瘴気と対消滅を起こすという現象が確認された。
そして、人が本来眠らせている潜在能力を覚醒させ、自在に操る者たちもいた。
修行によって己の生命エネルギー=法力を高め、怪異を滅する法力僧。その一大門派、「光覇明宗」。
表向きは仏門の一派であるが、彼らは長年妖怪やニンジャ、喰種との血で血を洗う闘争を続けてきた生粋の戦闘組織であった。
光覇明宗が対妖怪に特化した組織であるならば、喰種専門の組織もある。それが喰種対策局、通称「CCG」。
法力僧のような特異な力はないが、確保した喰種の赫子を武器として打ち直し、喰種自身の武器で喰種を狩る者たち。
また、生まれついて、あるいは何らかのきっかけにより特異な力を持つ者もいる。
生命エネルギーが作り出すパワーある像(ヴィジョン)、「スタンド」。そして、スタンドを操る「スタンド使い」。
彼らは光覇明宗の法力僧とは違う思想・方法で生命エネルギーを戦う力とし、妖怪の一種とされる吸血鬼との戦いを繰り広げていた。
ここで一つ、補足がある。
来訪者は、ネウロイだけではなかった。
東京湾に突如新たな大陸諸島が出現したのだ。その中の一つの島に形成されていた国家との接触に成功した日本政府は、その国家の便宜上の名を「ヤマト」と決定した。
独立行政区に指定されたヤマトは、人間と酷似していながらも獣の耳や尾を持つ亜人種が治めていた。
亜人たちの文明は人間に比べ非常に原始的であったものの、それ故かその身体能力は人間とは比較にならないほどに高いものであった。
人間社会の協力要請には頑として応じず、ただ自国の防衛のみを行っていたヤマトであるが、それを咎める国は存在しなかった。
何故ならば、ヤマトには「仮面の者(アクルトゥルカ)」と呼ばれる修羅の如き将軍たちがいたからだ。
彼らはときに山を斬り、ときに海を割り、ときにモビルスーツをも凌ぐ巨躯となってネウロイと戦った。
人間と連携こそしなかったものの、人間に牙を剥くこともなく自衛を続けるヤマトに脅威は少なく、また構っている余裕もないと放置されたのだ。
また、ヤマトの近隣には「トゥスクル」という小国家もあったが、ネウロイはなぜかトゥスクルへの侵攻だけは避けていた。
新大陸諸国は独自にネウロイへの応戦を始めていたが、そこで日本政府は交渉に割く余力が尽き、意識を戦争に向けねばならなくなる。
トゥスクルや他の国家との接触を果たせぬまま、日本政府は波濤のような戦争に巻き込まれていった。
「ウィッチ」、「モビルスーツ」、「スタンド使い」、「光覇明宗」、「CCG」、「ニンジャ」、「喰種」、「妖怪」、「アクルトゥルカ」。
集った力は比類なく研ぎ澄まされ、また侵略者を駆逐するという目的のために団結し、巨大な一つの槍と化した。
多種多様な力、意志による猛烈な反撃が始まり、長きに渡る戦いの末、ネウロイに制圧された領土は徐々に奪還されていった。
やがて、残存するネウロイが集結し人類に挑んだ一大決戦が勃発した。
短くも熾烈な、神々の最終戦争を思わせる消耗戦が始まり……終わる。
主力の大部分を喪失したネウロイは人の棲まわぬ海上へと存在圏を押しやられ、人類はついに勝利したのだった。
後の世に「厄災戦」の名で語られる大戦争、人々は勝利に沸いた。だが、一部の賢者たちは気づいていた。ここからが、本当の地獄であると。
各国はこの決戦により深刻な打撃を受け、既存の世界体制は完全に崩壊した。混乱する世界情勢。
その裏には、人間社会の蚕食を狙うニンジャや喰種、妖怪、そして人間でありながら乱を肯とする犯罪者組織……通称「黒の組織」の影があったことが言うまでもない。
激化する権力闘争が全世界的な武力衝突に発展するまで秒読みとされたある日。世界に、高らかに角笛の音色が鳴り響く。
突如として世界にその存在を示した組織の名は「ギャラルホルン」。
厄災戦において活躍した軍人・企業・財力を温存した一部の富裕者などが中心となり、地球の混乱を鎮めるべく結成された武力組織であった。
ギャラルホルンはニンジャでも喰種でも妖怪でもない、人間の組織である。
彼らは個体としてはそれらに及ばずとも、培ってきた智恵と、生み出してきた道具があった。
モビルスーツ。厄災戦においてネウロイに勝利する一因となった力が、今度は同じ人間に向けられたのである。
ギャラルホルンが所有するモビルスーツの戦力は強大だった。これにはさすがの異形存在たちも方針を転換せざるを得なかった。
なお、当初は生き残ったウィッチたちもギャラルホルンに所属していたが、彼女たちは人間に銃を向けることを良しとせず、次々に去っていった。
魔女たちは祖国に帰還し、国防といずれ再来するかもしれないネウロイとの戦いに備え、後進を育て始めた。
武力を以って世界秩序を為さんとするギャラルホルンの方針は、当然ながら大反発を招く。
軍事力を失った各国は民間に国防の任を託し、PMC……民間軍事会社が全世界に勃興した。
中東、前世紀より紛争が続く地域では少年兵たちが中心となって結成された傭兵会社すら存在したという。
日本もまた、その変革の波に呑み込まれる。
ニンジャや喰種を駆逐するという名目で内政干渉を仕掛けてきたギャラルホルンを拒否すべく、日本政府は体制を大幅に改変した。
首都を東京から巨大都市「ネオサイタマ」に遷都し(と言っても、ネオサイタマは旧東京の領域をも内包するものであるが)、徹底的にギャラルホルンと争う姿勢を明確にしたのだ。
日本だけに手を取られている訳にもいかず、ギャラルホルンも強行手段を取ることを断念した。こうして、日本は「扶桑皇国」と名を変え、独自の道を往くこととなる。
ギャラルホルン他、他国の干渉を拒絶した扶桑皇国はネオサイタマに都市機能を集約させた。
杜王町、米花町、納鳴村、ヤマトや未開の諸島国家などの各自治体を飲み込み、移動型都市「学園艦」の母港機能さえも付加し、ネオサイタマは空前の発展を遂げる。
だがこの判断、当然ながら尋常の人間によるものではない。
巨大ニンジャ組織「ソウカイヤ」あるいは「ソウカイ・シンジケート」を率いるニンジャ、「ラオモト・カン」。
武闘派の喰種組織である「アオギリの樹」を統率する「隻眼の喰種」。
日本海の海中に没し、虎視眈々と復活の時を待つ大妖怪、「白面の者」。
各国の裏社会で暗躍する黒の組織のボス、数多くのスパイを身内に抱えるも決して正体を掴んだ者はいない「あのお方」。
彼ら、平和を疎む者達の介入があったことは非公式ながらギャラルホルンの上層部も認めざるを得ない事実である。
ともあれネオサイタマは、扶桑皇国の首都として歴史を刻み始めた。
華やかに発展する都市。順調に業績を伸ばす企業。そして、成功の陰で虐げられる人々……。
民衆の目を負の面から逸らさせるには、手頃な餌を放り投げてやればいい。
戦争に疲れた人々は娯楽に飢えていた。その人々が夢中になったものが、アイドル、そして戦車道である。
年頃の少女たちが歌って踊り、笑顔を振りまく。見ている者は釣られて笑顔になり、彼女たちのファンとなる。
仕事や学業に消耗した人々を癒やし、明日への活力を生み出す存在としてアイドルは聖女のように高貴なものとされた。
特殊装甲技術を用いた戦車やモビルワーカーを用いた実戦さながらの戦車戦は、作り物では得られない臨場感と迫力に満ちていた。
また、精神やチームワークを養うに最適な行程であるため、瞬く間に全国の学び舎で教育として取り入れられもした。
そして、ときは21世紀。
ネウロイの脅威も今は昔。
人々は平和を謳歌し、その裏で繰り広げられる血みどろの暗闘を未だ知らずにいた……
(グググ……フジキド! 起きろ、起きるのだ……!)
(む……ナラク……?)
内なる声に促され、フジキド・ケンジ……ニンジャスレイヤーは覚醒した。
はっ、と飛び起きジュー・ジツを構える。フジキドの視界いっぱいに、横たわる数多くの人間たちがいた。
空の見えない巨大なホール。その中心に、フジキドを含め何十人もの人間が打ち捨てられていた。
あまりテレビ番組を見ないフジキドでも名と顔が一致する者が何人もいる。
人気絶頂のアイドル、今年の戦車道大会で優勝を果たした大洗女子学園戦車道チームの隊長、果てはギャラルホルンの名家「セブンスターズ」の御曹司まで。
(なんだ……何が起こった、ナラク!?)
(わからぬ、ワシも今しがた目覚めたばかりよ。だが心せよフジキド、この場、尋常ならぬアトモスフィアに満ちておるぞ!)
赤黒のニンジャ装束を纏いしニンジャを殺すニンジャ、それがニンジャスレイヤー。
過日、マルノウチ・スゴイタカイビルにて発生したニンジャの抗争において妻子を失い、復讐を誓った男である。
彼の中にはもう一つ、ナラク・ニンジャという邪悪なニンジャソウルが存在する。
フジキドとナラク、全ニンジャを殺すという目的を共有するこの二人こそがニンジャスレイヤーである。
「ムッハハハ! ようやくお目覚めか、ニンジャスレイヤー=サン!」
「こ……この声は……!」
仰ぎ見る、そこには巨大なスクリーンが今まさに点灯したところだった。
「ラオモト・カン……!」
ニンジャスレイヤーの双眸が限界まで引き絞られ、憎悪の炎を燃やし始める。
ラオモト・カン。ソウカイヤの首領にして、マルノウチ・スゴイタカイビルの抗争を主導したニンジャ。妻子の仇!
「ムッハハハ! ムッハハハ! 良い良い、小虫に相応しい下賤な目よ! 所詮貴様はブッダの掌で踊るモンキーに過ぎぬ!」
「黙れ! ニンジャ殺すべし、今すぐに貴様を殺す、ラオモト=サン!」
「遊んでやりたい気持ちは山々だが、今はそうも言っていられんのでな、少し寝ておるがいいわ!」
「……グワーッ!? これは……麻痺毒!」
突如、ニンジャスレイヤーの頚部を強烈な違和感が襲う! いつの間にか彼の首には、否! 彼だけではなく、この場にいる全員の首に金属製のリングが嵌められている!
首輪から飛び出した針がニンジャスレイヤーの肌を刺し、致命的な毒を流し込む!
「グ……ググ……グワーッ! 動けぬ……!」
「ムッハハハ、安心せいニンジャスレイヤー=サン。その麻痺毒は一度だけの使いきりよ。致死量ほど盛ってはおらん。この場だけオヌシを大人しくさせるものなのでな」
ブザマにも地を這い荒い呼吸を繰り返しながら、フジキドは憎悪と殺意に塗れた目で中空のラオモトの顔を睨みつける。
だが邪悪なニンジャはそれ以上フジキドに構うことなく、眼下で彼らのやり取りを見守っていた群衆へと気を吐いた。
「ワシの名はラオモト=カン! 貴様らにはこれから殺し合いをしてもらう! ムハハハハハハ!」
どよどよと、困惑と恐怖が広がっていく。
この場にいるのはフジキドと同じく、何らかの手段で突如拉致された者ばかりであった。
そして、見るからにヤクザであるラオモトから理不尽なオーダーを下されている。混乱するのも当然であろう。
「おい、アンタ! ふざけたことを言ってるんじゃあないぞ!」
やがて、一人の男が立ち上がってラオモトの映像に拳を振り上げた。
ヒゲを生やしたスーツの男。かつてのフジキドと同じサラリマンのようでもあり、それにしてはだらしない印象を受ける冴えない男。
彼の名を、フジキドは知っている。「毛利小五郎」。幾つもの殺人事件を解決した名探偵だ。
彼の足元には子どもと思しき若い娘と、幼い少年がいた。
どうやら大人ほど投与された薬が抜けて身体の自由を取り戻すのが早いらしく、二人は声も出すのも辛そうだった。、
不安そうな娘を「心配するな、俺がついてる」と勇気づけ、小五郎は声を張り上げる。
「殺し合いだと!? こんなことをしてただで済むと思ってるのか! 今すぐ俺たちを解放しろ!」
「貴様は確か……モウリ・コゴロウ=サンと言ったか。フーゥム、ディテクティブ……探偵とな」
「俺を知ってるなら話が早い。やい、俺を拉致したのならすぐに警察がこの場所を割り出すぞ! 俺は警察に顔が利くってことも当然知ってるだろ!」
「ムハハハ、デッカーどもがいくら束になってこようと物の数ではないわ。ワシを誰だと思っておる」
「誰だろうと知るか! 降りてこい、一発ぶん殴ってやる!」
子どもを危険に晒されているためか、探偵の男は語気も荒くラオモトを挑発した。
そしてニンジャスレイヤーの鋭敏なニンジャ視力は確かに捉えた。ラオモトの眉が不快げに顰められたことを!
その瞬間。フジキドの脳裏に、あの夜の光景が蘇った。
ニンジャの軍勢に全てを蹂躙される。妻も、息子も、己の命さえも……
「モウリ=サン、止せ!」
「まだ立場を理解しておらんようだな。丁度いい、貴様でデモンストレーションをするとしよう」
「ヤメロ! ラオモト=サン、ヤメロー!」
ままならぬ身体に鞭打って何とか立ち上がり、叫ぶニンジャスレイヤー。
だが……一歩遅かった。
パ ァ ン
軽い、風船を割ったような破裂音。
次いで……フジキドの目前で、花が咲いた。
赤い、血の華が。
宙を舞い、フジキドの手の中に落ちたのは。
先ほどまで確かに生きていた、娘を守ろうとした父の残骸。
毛利小五郎の、切断された頭部だった。
「お……おっちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
小五郎の近くにいたメガネの少年が絶叫した。
いち早く事態を理解した少年の叫びで周囲も何が起こったか悟り、ホールは一気に騒然となった。
悲鳴、怒号、知り合いを呼ぶ叫び声が交錯し、誰が何を言っているのかもわからない。
そんな中フジキドは、手の中にある小五郎の瞳にそっと指を添え、瞳を閉じてやった。顔を上げる。
首から上を失って血を吹き上げる小五郎の身体を呆然と見上げ、不意にこちらに振り向いた少女と、目が合った。
「…………ッ」
フジキドは、掛ける言葉も見つけられず、ただ歯を食い縛るしかなかった。
「ムハハハハハハ! これで分かったであろう、貴様たちはワシの言った通りにするしかないと!
殺し合うのだ、最後の一人になるまで! 生き残った者には褒美をやろう! ワシが何でも望みを叶えてやるぞ! ムッハハハ!
……ふむ、喉が渇いたな。おい、サケを持て。なに、進行? ワシに意見するなど貴様は何様のつもりだ!」
「アバーッ!?」
アワレ主君に提言した執事ニンジャはテウチされて爆発四散!
「貴様らには各自一つ、基本的な道具の入ったバッグを与える! また、中には特別な武器、あるいはドウグを幾つか紛れ込ませておる!
それを使ってせいぜい多く殺すことだな! ……後は各自に配布したマキモノを読んでおれ!」
スクリーンはブラックアウトし、ホールに一瞬の沈黙が舞い降りる。
(いかんフジキド、気を散らすな! 何らかのジツを受けておるぞ!)
ナラクに言われるまでもなく、ニンジャスレイヤーの指先が0と1の数字に分解され虚空に溶けていく。
ニンジャスレイヤーだけではなく、視界に移る全員が0と1の風となってその姿を崩していく。
痛みはない。フジキドのニンジャ直感力はこれが攻撃ではなく、どこか別の場所へ移動させるためのトランスポーテーションめいた作用であることを看破していた。
故に、ニンジャスレイヤーは恐れることなく、片膝をついた。
そしてニンジャ装束の一部を引きちぎると、手に抱いていた小五郎の首へ恭しく巻きつけていく。
死者への礼儀。かつてのフジキド・ケンジと同じく、父親として家族を守ろうとした男への共感、そして誓い。
「モウリ=サンの娘よ。約束する、ラオモト・カンは必ず私が殺す。モウリ=サンの仇は私が取る。故に、オヌシは……」
フジキドの言葉が末尾を結ぶことなく、毛利小五郎の娘もまた消え去った。
ホールに一人立ち尽くすニンジャスレイヤーは、ヘルファイアめいて燃え上がる憎悪と殺意を双眸に込め、立ち上がる。
「ニンジャ……殺すべし!」
妻子の仇。罪なきモータルを弄ぶ外道。
邪悪なニンジャ、ラオモト・カンを討つという必殺の意志を胸に、ニンジャスレイヤーもまたホールから姿を消した。
――バトル・ロワイアル……ビギニング――
【毛利小五郎@名探偵コナン 死亡】
【主催】
【ラオモト・カン@ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン】
最終更新:2016年07月01日 23:53