オープニング

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一人の少女、瑪蝕麻織は、どうしてこんなことになってしまったのか、試行錯誤しながら考える。 思えば昨日は普通通りに家に帰り、普通通りに本棚を漁り小説を読み、普通通りに床につき、普通通りに起床し、普通通り制服に着替えて、普通通りに登校するはずだった。 だが、彼女が目覚めた場所は、奇妙な白い部屋。 その密室で、彼女はパイプイスに腰掛けていた。尻に痺れを覚え、股の部分が若干汗で蒸れていることから、かなり長い時間この座り心地の悪いパイプイスに座っていたことが推測できる。 麻織の他にも、人は何人もいた。この広く、何もない白い部屋に、均等に割り振られたパイプイスは30ほどあり、イスはすでに、自分と同じような、今の状況に困惑する者たちで埋まりきっていた。 「ここ……どこだ?」 「俺に聞くなよ。」 「不味いよォ……朝から大事な会議があるのに……」 「これなんかの撮影?ドッキリ企画?」 反応は多種多様だった。だが、麻織は敢えて落ち着くという選択肢を選ぶ、なぜかそうでなければいけないと、直感で理解したからだ。 麻織が人知れず、自分の心に、そうまじないを掛けていた時に、急に耳を劈くようなサイレンが部屋中に響き渡る。 喧しく響くサイレンは、縦横無尽に移動し、壁にぶつかって跳ね返りで、部屋にくまなく音は行き渡り、その場にいる多くの人々に言い知れぬ不安と不快感を与える。 「はーい。全員揃いましたね」 突然何もない白い壁が、自動ドアの開閉音のような音と共に、緑色のマントを羽織り、同色の頭巾で顔を隠した数人の男が入ってきた。 「皆様。どうかご静粛に。企画説明は穏便に済ませたいので」 中央に佇む男が口を開くと同時に、その男以外の者は、奇妙な首輪を両手に携えて迫ってくる。 「ちょっと何だよ!訴えんぞクソが!」 麻織の少し前に座っている男は、緑マントたちに抵抗を見せようとしたが、その緑マントは片手でその男を抑え付け、まるで一切の支障がないかのように簡単に首輪を彼の首に取り付ける。 その様子を見て、他の人々の反応は多種多様だった。束の間の抵抗を見せる者も数人いたが、ほとんどは緑マントにされるがまま、もちろん麻織も首輪を取り付けられることに抵抗はしなかった。 「31人全員揃いましたね。ではこの企画の簡単に説明いたします……」 「貴方たちには、今日「殺し合い」をしてもらいます。」 誰も予想だにしなかった。彼らの言う「企画」がここまで狂ったゲームだということを。 暫く辺りは完全に沈黙した。 「ふ……ふざけるな!何が殺し合いだ!マジでふざけるな!ブッ殺すぞ!」 その沈黙を破ったのは、麻織の少し首輪装着に反抗した男である。 「…………貴方は今、自分の置かれた状況を理解していますか?「殺す」と言う単語が孕む熱意はこのゲームに傾けて欲しかったです。では……一つお聞きしましょう。貴方はこのゲームに参加したいですか?参加したくないですか?」 「う……うるせえ!!参加なんてしたいわけないだろ!」 「俺もだ!」 男が、緑マントに反旗を翻したのを皮切りに、次々と参加者は立ち上がり、この流れに便乗しようとする。 その様子に中央の緑マントは、ふぅ……と小さなため息をつくと、袖からスイッチのような機械を取り出した。 「残念です。ですが30人のほうがキリがいいでしょうね。」 緑マントがスイッチを押すと同時に、楢橋の首輪は凄まじい爆音と共に爆発し、彼の喉仏から上は、吹き飛ばされた。肉片や血潮が辺り一面に降り注ぐ。 「…………酷い……」 麻織の頬に、べっとりとした血潮が飛んできた。麻織はもちろんそれに恐怖を憶えたが、それ以上に心中に孕んでいたのは理不尽過ぎる緑マントたちへの怒り。 絶叫が飛び交う以上空間の中で、恐怖による震えをじっと抑え付けて、麻織は耐えた。 今は耐えるしかないと、悲しいが痛感せざるを得なかった。 「では、これより簡単にルールを説明します。このゲーム「バトルロワイアル」に複雑なルールは殺し合い以外はほとんどございません。6時間ごとに死亡者の名前を放送いたします。後に参加者名簿もお渡ししますのでもし死ななければ参考のほどに……」 「そして6時間ごとに「禁止エリア」を3つ島内に設置します。そのエリアにいた場合はまことに残念ですが、30秒以内にエリアを出られぬ脚の遅い方は命を諦めてください。後から立ち入った場合は、即座に爆殺致しますので禁止エリアに立ち入ることはおやめください。」 「尚、あなた方は殺し合わぬことも不可能です。24時間以内誰も死ななかった場合もさきほどの参加を放棄したクズと同様の道を辿ります。最後に、ゲームの制限時間は3日間ですので3日以内に生存者が一人以下にならなかった場合も全員を爆殺することとなります。」 「以上のことを踏まえて、せいぜい死なぬよう骨身を尽くして全力で殺しあってください。私からは以上です。では、出口で地図、食料、参加者名簿等とひょっとしたら武器かもしれない「何か」が入っているデイパックを受け取って番号順にさっさと出て行きやがってください。」 「尚、このエリアは10分後に禁止エリアと化しますので、さっさと出て行ったほうが身のためですよ。」 「では~っ。散々長々とルール説明を致しましたが、基本は殺し合いですので……せいぜい頑張って!生き残ってください!私からは以上です!」 「では、名簿の番号順に名前を呼びますので呼ばれ次第早急に前に出てきてください。尚、この施設内での戦闘行為はご法度とします。では、朝比奈耀三さん!」 メガネの少年が呼ばれる。彼は素直にバックパックを受け取り、先ほど緑マントが通ってきた通路を通り、外に出る。次に呼ばれたのは背の高い妖艶な美女。 「瑪蝕麻織さん!」 彼女も、あっと言う間に呼ばれた。 「私は…………こんなゲームに染まったりしない……」 少女の決意とは無関係に、無情のゲーム「バトルロワイアル」は、開幕した。 |&color(cyan){GAME START}|時系列順で読む|Next:[[オレオレ詐欺には気をつkて]]| |&color(cyan){GAME START}|投下順で読む|Next:[[オレオレ詐欺には気をつけて]]| |&color(cyan){GAME START}|朝比奈耀三|Next:| |&color(cyan){GAME START}|瑪蝕麻織|Next:|
一人の少女、瑪蝕麻織は、どうしてこんなことになってしまったのか、試行錯誤しながら考える。 思えば昨日は普通通りに家に帰り、普通通りに本棚を漁り小説を読み、普通通りに床につき、普通通りに起床し、普通通り制服に着替えて、普通通りに登校するはずだった。 だが、彼女が目覚めた場所は、奇妙な白い部屋。 その密室で、彼女はパイプイスに腰掛けていた。尻に痺れを覚え、股の部分が若干汗で蒸れていることから、かなり長い時間この座り心地の悪いパイプイスに座っていたことが推測できる。 麻織の他にも、人は何人もいた。この広く、何もない白い部屋に、均等に割り振られたパイプイスは30ほどあり、イスはすでに、自分と同じような、今の状況に困惑する者たちで埋まりきっていた。 「ここ……どこだ?」 「俺に聞くなよ。」 「不味いよォ……朝から大事な会議があるのに……」 「これなんかの撮影?ドッキリ企画?」 反応は多種多様だった。だが、麻織は敢えて落ち着くという選択肢を選ぶ、なぜかそうでなければいけないと、直感で理解したからだ。 麻織が人知れず、自分の心に、そうまじないを掛けていた時に、急に耳を劈くようなサイレンが部屋中に響き渡る。 喧しく響くサイレンは、縦横無尽に移動し、壁にぶつかって跳ね返りで、部屋にくまなく音は行き渡り、その場にいる多くの人々に言い知れぬ不安と不快感を与える。 「はーい。全員揃いましたね」 突然何もない白い壁が、自動ドアの開閉音のような音と共に、緑色のマントを羽織り、同色の頭巾で顔を隠した数人の男が入ってきた。 「皆様。どうかご静粛に。企画説明は穏便に済ませたいので」 中央に佇む男が口を開くと同時に、その男以外の者は、奇妙な首輪を両手に携えて迫ってくる。 「ちょっと何だよ!訴えんぞクソが!」 麻織の少し前に座っている男は、緑マントたちに抵抗を見せようとしたが、その緑マントは片手でその男を抑え付け、まるで一切の支障がないかのように簡単に首輪を彼の首に取り付ける。 その様子を見て、他の人々の反応は多種多様だった。束の間の抵抗を見せる者も数人いたが、ほとんどは緑マントにされるがまま、もちろん麻織も首輪を取り付けられることに抵抗はしなかった。 「31人全員揃いましたね。ではこの企画の簡単に説明いたします……」 「貴方たちには、今日「殺し合い」をしてもらいます。」 誰も予想だにしなかった。彼らの言う「企画」がここまで狂ったゲームだということを。 暫く辺りは完全に沈黙した。 「ふ……ふざけるな!何が殺し合いだ!マジでふざけるな!ブッ殺すぞ!」 その沈黙を破ったのは、麻織の少し首輪装着に反抗した男である。 「…………貴方は今、自分の置かれた状況を理解していますか?「殺す」と言う単語が孕む熱意はこのゲームに傾けて欲しかったです。では……一つお聞きしましょう。貴方はこのゲームに参加したいですか?参加したくないですか?」 「う……うるせえ!!参加なんてしたいわけないだろ!」 「俺もだ!」 男が、緑マントに反旗を翻したのを皮切りに、次々と参加者は立ち上がり、この流れに便乗しようとする。 その様子に中央の緑マントは、ふぅ……と小さなため息をつくと、袖からスイッチのような機械を取り出した。 「残念です。ですが30人のほうがキリがいいでしょうね。」 緑マントがスイッチを押すと同時に、楢橋の首輪は凄まじい爆音と共に爆発し、彼の喉仏から上は、吹き飛ばされた。肉片や血潮が辺り一面に降り注ぐ。 「…………酷い……」 麻織の頬に、べっとりとした血潮が飛んできた。麻織はもちろんそれに恐怖を憶えたが、それ以上に心中に孕んでいたのは理不尽過ぎる緑マントたちへの怒り。 絶叫が飛び交う以上空間の中で、恐怖による震えをじっと抑え付けて、麻織は耐えた。 今は耐えるしかないと、悲しいが痛感せざるを得なかった。 「では、これより簡単にルールを説明します。このゲーム「バトルロワイアル」に複雑なルールは殺し合い以外はほとんどございません。6時間ごとに死亡者の名前を放送いたします。後に参加者名簿もお渡ししますのでもし死ななければ参考のほどに……」 「そして6時間ごとに「禁止エリア」を3つ島内に設置します。そのエリアにいた場合はまことに残念ですが、30秒以内にエリアを出られぬ脚の遅い方は命を諦めてください。後から立ち入った場合は、即座に爆殺致しますので禁止エリアに立ち入ることはおやめください。」 「尚、あなた方は殺し合わぬことも不可能です。24時間以内誰も死ななかった場合もさきほどの参加を放棄したクズと同様の道を辿ります。最後に、ゲームの制限時間は3日間ですので3日以内に生存者が一人以下にならなかった場合も全員を爆殺することとなります。」 「以上のことを踏まえて、せいぜい死なぬよう骨身を尽くして全力で殺しあってください。私からは以上です。では、出口で地図、食料、参加者名簿等とひょっとしたら武器かもしれない「何か」が入っているデイパックを受け取って番号順にさっさと出て行きやがってください。」 「尚、このエリアは10分後に禁止エリアと化しますので、さっさと出て行ったほうが身のためですよ。」 「では~っ。散々長々とルール説明を致しましたが、基本は殺し合いですので……せいぜい頑張って!生き残ってください!私からは以上です!」 「では、名簿の番号順に名前を呼びますので呼ばれ次第早急に前に出てきてください。尚、この施設内での戦闘行為はご法度とします。では、朝比奈耀三さん!」 メガネの少年が呼ばれる。彼は素直にバックパックを受け取り、先ほど緑マントが通ってきた通路を通り、外に出る。次に呼ばれたのは背の高い妖艶な美女。 「瑪蝕麻織さん!」 彼女も、あっと言う間に呼ばれた。 「私は…………こんなゲームに染まったりしない……」 少女の決意とは無関係に、無情のゲーム「バトルロワイアル」は、開幕した。 |&color(cyan){GAME START}|時系列順で読む|Next:[[オレオレ詐欺には気をつけて]]| |&color(cyan){GAME START}|投下順で読む|Next:[[オレオレ詐欺には気をつけて]]| |&color(cyan){GAME START}|朝比奈耀三|Next:| |&color(cyan){GAME START}|瑪蝕麻織|Next:|

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