「病院/3時33分33秒」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「病院/3時33分33秒」(2010/01/31 (日) 11:09:23) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
43話「病院/3時33分33秒」
エリアF-3、病院二階の休憩所に、椅子に座りながらぼんやりと天井を眺める、
病院という場所に良く似合う白衣姿の男――宮田司郎がいた。
すぐ脇には鞘に収められた、かなり大振りの刀が立て掛けられている。
(この殺し合いが始まってから、この病院内を探索して回ったが、
応急処置に使えそうな物以外は特に何も無かったな…)
病院は5階建てで、決して大規模では無いが、それでも一人で回るにはかなり難儀な広さ。
宮田は殺し合いが始まってすぐに殺し合いに乗る事を決めたが、
その前にこの病院内を調べ使えそうな物が無いがどうか探る事にした。
ところが。
(いやそれ以前に、入れる部屋がほとんど無かったんだが)
病院内には多くの部屋があり多くの扉が存在したが、そのほとんどが固く施錠されている、
ノブが破壊されている、向こう側で何かが突っ掛かっている、どかせるのも億劫になる程大量の荷物で塞がれている、
といった理由で開けられなかった。
そのため入れて調べられた部屋は全体の部屋数に対しごく僅かだったのだ。
もっとも無理に入ろうとも、鍵を探そうとも思わなかったが。
結局、包帯や消毒液など応急処置に使えそうな物を調達し、
全部は見ていないとは言え探索で疲れたので二階休憩所で休んでいた。
ふと外に目をやれば夜空は、まだ暗いが大分明るくなっている。
「夜明けが近いな…」
時刻を確認すると午前3時33分を指している。
この殺し合いが始まっておよそ3時間33分経過したという事だ。
恐らく死人も何人か出ている事だろう、そして自分と同じように「やる気」になっている者は何人いるのだろうか。
宮田は人を殺す事自体には何ら抵抗感は無い。
なぜなら――。
両手を自分の目の前に翳し、何度も拳を握り締めたり開いたりを繰り返す。
それはまるで「あの時」の事を反芻するかのように。
宮田の顔は至って無表情。その様子から彼の内心を推し量るのは至難。
そしてふと宮田は自分の座る椅子に立て掛けた刀を手に取った。
(中々重い。だが――扱えない程では無いな)
鞘から引き抜き、外から僅かに漏れる光を反射する鋭い刃を覗き込む。
接近戦ならば中々優秀かもしれないが相手が銃を持っていた場合は、逃げるか、
不意を突くという戦法を取るしか無いだろう。
出来る事なら飛び道具――銃火器――も欲しい所だ。
ただ、宮田は優勝したい訳では無い。ただ、殺し合わなければ死ぬ事になる、
特に知り合いもいないので殺し合いを躊躇する必要も無い、というのが彼がルールに則る理由である。
死ぬのが怖い訳でも無いようだが。
刀を鞘に収め元の位置に立て掛け、宮田は椅子に深く腰掛けてテーブルの上の支給品の水を飲む。
(もう少し明るくなったらここを出て、参加者を探しに行くとしよう。
まあ…もしかしたら待っている間に来訪者が来るかもしれんがな)
◆◆◆
宮田の予測は的中する事になりそうである。
病院を目指し歩く一人の参加者の男がいた。和服に身を包み右手に刀を持った――曽良である。
彼はE-3にて参加者を一人殺害した後、獲物を求め、地図上で近くにあり目立つ存在だった病院を目指していた。
獲物を探す理由はただ一つ。
(芭蕉さんを優勝させる。もう迷わない。芭蕉さん以外は、全員殺す)
自分の師匠のためである。
(病院…多分名前の響きからして医療施設か何かだろうな。
怪我を手当てしたい奴が集まってくる可能性はおおいにある)
曽良は右手に装備した抜き身の刀――焔薙の刀身を見詰める。
ぎらりと光る刃。これを振り下ろせば簡単に人は殺せる。
この刀は曽良がE-3で殺害した参加者から奪った物だ。
更にデイパックの中には自身の支給品であるネイルハンマーとスペツナズナイフもある。
特にスペツナズナイフはかなりの速さで刀身を射出する、至近距離なら避けられる可能性は低い優れ物である。
その威力は既に一回、曽良は自分の目で見て実感していた。
「さて、行くとするか……」
肌寒い風が吹く市街地の路上を、曽良が病院を目指して歩く。
曽良の予想も当たってはいた。現在病院には一名、他参加者がいるのだから。
【一日目/黎明/F-3病院二階休憩所】
【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:アインの刀@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、応急処置セット(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。但し優勝したい訳でも無い。
1:明るくなるのを待つ。
2:他の参加者を見つけ次第、殺す。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。
【一日目/黎明/F-3病院周辺市街地】
【曽良@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:顔面打撲、鼻血、背中に針の痕、精神不安定(軽度)、決意、F-3病院へ移動中
[装備]:焔薙@SIREN
[所持品]:基本支給品一式、スペツナズナイフ(2)、ネイルハンマー@SIREN(血痕付着)
[思考・行動]:
0:芭蕉さんを生き残らせる。そのために他参加者を殺す。絶対に。
1:病院へ向かう。
2:芭蕉さんとは会いたくない。でも生きていてほしい。
[備考]:
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。
|BACK:[[夢のまた夢]]|&color(yellow){時系列順}|NEXT:[[嬉しさ噛み締める]]|
|BACK:[[夢のまた夢]]|&color(yellow){投下順}|NEXT:[[嬉しさ噛み締める]]|
|BACK:[[月下幽鬼]]|宮田司郎|NEXT:|
|BACK:[[DEMENT]]|曽良|NEXT:|
43話「病院/3時33分33秒」
エリアF-3、病院二階の休憩所に、椅子に座りながらぼんやりと天井を眺める、
病院という場所に良く似合う白衣姿の男――宮田司郎がいた。
すぐ脇には鞘に収められた、かなり大振りの刀が立て掛けられている。
(この殺し合いが始まってから、この病院内を探索して回ったが、
応急処置に使えそうな物以外は特に何も無かったな…)
病院は5階建てで、決して大規模では無いが、それでも一人で回るにはかなり難儀な広さ。
宮田は殺し合いが始まってすぐに殺し合いに乗る事を決めたが、
その前にこの病院内を調べ使えそうな物が無いがどうか探る事にした。
ところが。
(いやそれ以前に、入れる部屋がほとんど無かったんだが)
病院内には多くの部屋があり多くの扉が存在したが、そのほとんどが固く施錠されている、
ノブが破壊されている、向こう側で何かが突っ掛かっている、どかせるのも億劫になる程大量の荷物で塞がれている、
といった理由で開けられなかった。
そのため入れて調べられた部屋は全体の部屋数に対しごく僅かだったのだ。
もっとも無理に入ろうとも、鍵を探そうとも思わなかったが。
結局、包帯や消毒液など応急処置に使えそうな物を調達し、
全部は見ていないとは言え探索で疲れたので二階休憩所で休んでいた。
ふと外に目をやれば夜空は、まだ暗いが大分明るくなっている。
「夜明けが近いな…」
時刻を確認すると午前3時33分を指している。
この殺し合いが始まっておよそ3時間33分経過したという事だ。
恐らく死人も何人か出ている事だろう、そして自分と同じように「やる気」になっている者は何人いるのだろうか。
宮田は人を殺す事自体には何ら抵抗感は無い。
なぜなら――。
両手を自分の目の前に翳し、何度も拳を握り締めたり開いたりを繰り返す。
それはまるで「あの時」の事を反芻するかのように。
宮田の顔は至って無表情。その様子から彼の内心を推し量るのは至難。
そしてふと宮田は自分の座る椅子に立て掛けた刀を手に取った。
(中々重い。だが――扱えない程では無いな)
鞘から引き抜き、外から僅かに漏れる光を反射する鋭い刃を覗き込む。
接近戦ならば中々優秀かもしれないが相手が銃を持っていた場合は、逃げるか、
不意を突くという戦法を取るしか無いだろう。
出来る事なら飛び道具――銃火器――も欲しい所だ。
ただ、宮田は優勝したい訳では無い。ただ、殺し合わなければ死ぬ事になる、
特に知り合いもいないので殺し合いを躊躇する必要も無い、というのが彼がルールに則る理由である。
死ぬのが怖い訳でも無いようだが。
刀を鞘に収め元の位置に立て掛け、宮田は椅子に深く腰掛けてテーブルの上の支給品の水を飲む。
(もう少し明るくなったらここを出て、参加者を探しに行くとしよう。
まあ…もしかしたら待っている間に来訪者が来るかもしれんがな)
◆◆◆
宮田の予測は的中する事になりそうである。
病院を目指し歩く一人の参加者の男がいた。和服に身を包み右手に刀を持った――曽良である。
彼はE-3にて参加者を一人殺害した後、獲物を求め、地図上で近くにあり目立つ存在だった病院を目指していた。
獲物を探す理由はただ一つ。
(芭蕉さんを優勝させる。もう迷わない。芭蕉さん以外は、全員殺す)
自分の師匠のためである。
(病院…多分名前の響きからして医療施設か何かだろうな。
怪我を手当てしたい奴が集まってくる可能性はおおいにある)
曽良は右手に装備した抜き身の刀――焔薙の刀身を見詰める。
ぎらりと光る刃。これを振り下ろせば簡単に人は殺せる。
この刀は曽良がE-3で殺害した参加者から奪った物だ。
更にデイパックの中には自身の支給品であるネイルハンマーとスペツナズナイフもある。
特にスペツナズナイフはかなりの速さで刀身を射出する、至近距離なら避けられる可能性は低い優れ物である。
その威力は既に一回、曽良は自分の目で見て実感していた。
「さて、行くとするか……」
肌寒い風が吹く市街地の路上を、曽良が病院を目指して歩く。
曽良の予想も当たってはいた。現在病院には一名、他参加者がいるのだから。
【一日目/黎明/F-3病院二階休憩所】
【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:アインの刀@FEDA
[所持品]:基本支給品一式、応急処置セット(調達品)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。但し優勝したい訳でも無い。
1:明るくなるのを待つ。
2:他の参加者を見つけ次第、殺す。
[備考]:
※初日0:00にサイレンを聞き、意識を失った直後からの参戦です。
従って幻視能力は目覚めていません。
【一日目/黎明/F-3病院周辺市街地】
【曽良@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:顔面打撲、鼻血、背中に針の痕、精神不安定(軽度)、決意、F-3病院へ移動中
[装備]:焔薙@SIREN
[所持品]:基本支給品一式、スペツナズナイフ(2)、ネイルハンマー@SIREN(血痕付着)
[思考・行動]:
0:芭蕉さんを生き残らせる。そのために他参加者を殺す。絶対に。
1:病院へ向かう。
2:芭蕉さんとは会いたくない。でも生きていてほしい。
[備考]:
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。
|BACK:[[夢のまた夢]]|&color(yellow){時系列順}|NEXT:[[嬉しさ噛み締める]]|
|BACK:[[夢のまた夢]]|&color(yellow){投下順}|NEXT:[[嬉しさ噛み締める]]|
|BACK:[[月下幽鬼]]|宮田司郎|NEXT:[[病院血戦]]|
|BACK:[[DEMENT]]|曽良|NEXT:[[病院血戦]]|