食える時に食うべし

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44話 食える時に食うべし 狼獣人――ウルフリングの女剣士、シェリー・ラクソマーコスは、 エリアB-7市街地にあるドラッグストア二階の事務室にいた。 時計に目をやれば午前4時20分を回っており、この殺し合いが始まってから、 4時間20分が経過した事になる。 短い時間だが、既に何人かの犠牲者は出ているに違いないと、 シェリーは事務机にある筆入れや謎の機械(パソコン)を興味深そうにいじりながら思った。 「っ……」 包帯を巻いた左肩は時々痛み、その都度シェリーは顔を歪ませる。 先刻、ドラッグストアより程近い男娼館での戦闘で負わされた傷だ。 銃撃によって受けた傷で貫通していないので弾丸がまだ体内に残っていると思われる。 剣士として刀剣の扱いに長けたシェリーにとっては手痛いダメージだった。 右肩、右腕は無事だが左肩は負傷のため余り自由が利かず、 これからは片手で剣を振るう必要があった。当然、両手持ちよりも攻撃力は劣る。 シェリーはデイパックから小型自動拳銃・FNブローニングM1910を取り出し手に取って眺める。 男娼館の戦闘で狐の青年(まだ未確定だが)とツナギ姿の人間の男の二人を手に掛けたが、 このブローニングM1910は後者から鹵獲した代物である。 同じく後者の男から奪ったデイパックの中には予備の弾倉と思われる物と、 説明書らしい紙が入っており、シェリーは紙を取って書かれている内容に目を通した。 「成程ね……」 おおよそは理解したので、シェリーはとりあえず、 壁に飾られた風景画に向け、M1910を右手で構え、引き金を引いた。 ぱんっ、という乾いた音が部屋の中に響き、風景画の中央に穴が空いた。 生まれて初めて拳銃という物に触ったシェリーは、 少し驚いた様子で銃口から煙を噴くM1910をまじまじと見詰める。 「飛び道具に頼るのは気が進まないけど、いざって時は使わせて貰うとするか」 腰ベルトにM1910を差し込み、シェリーは日の光が差し込み始めた窓に近付き外の様子を窺う。 そしてこの殺し合いに呼ばれている、自分の元愛人の部下、ドーラ・システィールの事を思い出す。 簡単にやられるような女ではないはずだが今どこで何をしているのか。 別に仲が良い訳ではないが一応共に戦った仲としては気になる所である。 殺し合いに乗っているのか、それともこの殺し合いを潰そうと動いているのか。 または既に誰かの手に掛かって死んでいるのか。 もっとも生きて出会えたとしても殺す事には変わりはないのだが。 そう言えば自分が最初に出会った主催者と同じ名字のクリス・ミスティーズと名乗った青年の事も少し気になる。 「腹ごしらえでもするか」 少し空腹を感じ始めたシェリーは、デイパックの中から適当に食糧を取り出し、 食事を取る事にした。 ◆◆◆ 茶色と白の毛皮を持った狼獣人の警官、須牙襲禅は、 エリアF-6、島役場の近くにある民家・秋沢家の中に身を潜めていた。 「いてて…」 時折、散弾を受けた右脇腹が痛む。 家の中にあった包帯を巻いて一応の処置としたが、 小さな鉛玉はまだ体内に残ったままなのが少し怖い。 「もう朝か、結構経つんだな」 壁に掛けられたアンティークな鳩時計の時刻に目をやりながら襲禅が言った。 午前4時25分。後1時間半もしれば第一回放送がある。 死者の発表については知り合いが一人もいないので余り重要ではない。 だが侵入すると首輪が作動するという禁止エリアの発表は聞き逃す訳には行かない。 うっかり禁止エリアに侵入して首輪が爆発して死亡、という無様な失態は、 襲禅は当然避けたかった。 デイパックから食糧のサンドイッチを取り出し、口の中に押し込む襲禅。 そしてこれからどこに行くかを考える。 今現在隠れている民家には自家用車が放置されているので、 それを使って遠出するのも良かったが、まだ南部市街地には、 調べていない個所、気になる個所があった。 その一つ、エリアG-8にあるという病院。 会場である島唯一と思われる医療施設なので、参加者も集まりやすいのではと推測する。 須牙襲禅巡査は、銃で人を撃ちたいだけだった。 今は殺し合い。殺人が認められる超法規的なゲームの最中。 ここならばいくら人を撃とうが、始末書を書かされる事もいけ好かない上司から 叱責を受ける事も、流れ弾を食らった一般人やその親族から非難や提訴を受ける事もない。 しかし、そのような好条件下にも関わらず未だ一人も仕留める事に成功していない。 その現状は少なからず襲禅を苛立たせていた。 学生服姿の少年と、銀髪の女性。二人共襲禅が戦った相手だが、 少年の方は自分から襲撃、女性は襲撃を受けたのだがどちらも仕留め損ねていた。 デイパックから食糧の韓国風焼き肉おにぎり、焼きおにぎりを取り出し、 包装を破きおにぎりを食べ始める。 腹ごしらえは重要である。特にいつ戦闘になるか分からない状況では。 食べられる時に食べておくのが得策だ。 食べながら襲禅は、次の自分の行き先を決定した。 エリアG-8の病院に。 【一日目早朝/B-7市街地:ドラッグストア二階事務室】 【シェリー・ラクソマーコス@FEDA】 [状態]:左肩に銃創(処置済)、食事中 [装備]:太刀 [持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、FNブローニングM1910(4/6)、 FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、元村憲章の水と食糧 [思考]: 0:面白そうなので殺し合いに乗る。 1:腹ごしらえをしておく。 2:とりあえず見付けた参加者から殺していく。 3:ドーラ・システィールについては保留。 4:銀色の人狼(シリウス)は今度会ったら絶対に殺す。 ※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。 ※クリス・ミスティーズの名前と容姿を記憶しました。 【一日目早朝/F-6島役場周辺の民家・秋沢家】 【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】 [状態]:右脇腹に散弾二発被弾(処置済)、食事中 [装備]:FNブローニングハイパワー(13/13) [持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×4) [思考]: 0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。 1:しばらく腹ごしらえをした後、G-8病院へ行く。 2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。 3:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。 4:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。 ※俺オリロワ開始前からの参戦です。 ※鈴木正一郎、日宮まどか(どちらも名前は知らない)の容姿を記憶しました。 |[[冷え込む空の下]]|時系列順|[[その思いは正義をも砕く]]| |[[冷え込む空の下]]|投下順|[[その思いは正義をも砕く]]| |[[男達の花園]]|シェリー・ラクソマーコス|| |[[Reply of bullet]]|須牙襲禅|[[奇妙なすれ違い]]|
44話 食える時に食うべし 狼獣人――ウルフリングの女剣士、シェリー・ラクソマーコスは、 エリアB-7市街地にあるドラッグストア二階の事務室にいた。 時計に目をやれば午前4時20分を回っており、この殺し合いが始まってから、 4時間20分が経過した事になる。 短い時間だが、既に何人かの犠牲者は出ているに違いないと、 シェリーは事務机にある筆入れや謎の機械(パソコン)を興味深そうにいじりながら思った。 「っ……」 包帯を巻いた左肩は時々痛み、その都度シェリーは顔を歪ませる。 先刻、ドラッグストアより程近い男娼館での戦闘で負わされた傷だ。 銃撃によって受けた傷で貫通していないので弾丸がまだ体内に残っていると思われる。 剣士として刀剣の扱いに長けたシェリーにとっては手痛いダメージだった。 右肩、右腕は無事だが左肩は負傷のため余り自由が利かず、 これからは片手で剣を振るう必要があった。当然、両手持ちよりも攻撃力は劣る。 シェリーはデイパックから小型自動拳銃・FNブローニングM1910を取り出し手に取って眺める。 男娼館の戦闘で狐の青年(まだ未確定だが)とツナギ姿の人間の男の二人を手に掛けたが、 このブローニングM1910は後者から鹵獲した代物である。 同じく後者の男から奪ったデイパックの中には予備の弾倉と思われる物と、 説明書らしい紙が入っており、シェリーは紙を取って書かれている内容に目を通した。 「成程ね……」 おおよそは理解したので、シェリーはとりあえず、 壁に飾られた風景画に向け、M1910を右手で構え、引き金を引いた。 ぱんっ、という乾いた音が部屋の中に響き、風景画の中央に穴が空いた。 生まれて初めて拳銃という物に触ったシェリーは、 少し驚いた様子で銃口から煙を噴くM1910をまじまじと見詰める。 「飛び道具に頼るのは気が進まないけど、いざって時は使わせて貰うとするか」 腰ベルトにM1910を差し込み、シェリーは日の光が差し込み始めた窓に近付き外の様子を窺う。 そしてこの殺し合いに呼ばれている、自分の元愛人の部下、ドーラ・システィールの事を思い出す。 簡単にやられるような女ではないはずだが今どこで何をしているのか。 別に仲が良い訳ではないが一応共に戦った仲としては気になる所である。 殺し合いに乗っているのか、それともこの殺し合いを潰そうと動いているのか。 または既に誰かの手に掛かって死んでいるのか。 もっとも生きて出会えたとしても殺す事には変わりはないのだが。 そう言えば自分が最初に出会った主催者と同じ名字のクリス・ミスティーズと名乗った青年の事も少し気になる。 「腹ごしらえでもするか」 少し空腹を感じ始めたシェリーは、デイパックの中から適当に食糧を取り出し、 食事を取る事にした。 ◆◆◆ 茶色と白の毛皮を持った狼獣人の警官、須牙襲禅は、 エリアF-6、島役場の近くにある民家・秋沢家の中に身を潜めていた。 「いてて…」 時折、散弾を受けた右脇腹が痛む。 家の中にあった包帯を巻いて一応の処置としたが、 小さな鉛玉はまだ体内に残ったままなのが少し怖い。 「もう朝か、結構経つんだな」 壁に掛けられたアンティークな鳩時計の時刻に目をやりながら襲禅が言った。 午前4時25分。後1時間半もしれば第一回放送がある。 死者の発表については知り合いが一人もいないので余り重要ではない。 だが侵入すると首輪が作動するという禁止エリアの発表は聞き逃す訳には行かない。 うっかり禁止エリアに侵入して首輪が爆発して死亡、という無様な失態は、 襲禅は当然避けたかった。 デイパックから食糧のサンドイッチを取り出し、口の中に押し込む襲禅。 そしてこれからどこに行くかを考える。 今現在隠れている民家には自家用車が放置されているので、 それを使って遠出するのも良かったが、まだ南部市街地には、 調べていない個所、気になる個所があった。 その一つ、エリアG-8にあるという病院。 会場である島唯一と思われる医療施設なので、参加者も集まりやすいのではと推測する。 須牙襲禅巡査は、銃で人を撃ちたいだけだった。 今は殺し合い。殺人が認められる超法規的なゲームの最中。 ここならばいくら人を撃とうが、始末書を書かされる事もいけ好かない上司から 叱責を受ける事も、流れ弾を食らった一般人やその親族から非難や提訴を受ける事もない。 しかし、そのような好条件下にも関わらず未だ一人も仕留める事に成功していない。 その現状は少なからず襲禅を苛立たせていた。 学生服姿の少年と、銀髪の女性。二人共襲禅が戦った相手だが、 少年の方は自分から襲撃、女性は襲撃を受けたのだがどちらも仕留め損ねていた。 デイパックから食糧の韓国風焼き肉おにぎり、焼きおにぎりを取り出し、 包装を破きおにぎりを食べ始める。 腹ごしらえは重要である。特にいつ戦闘になるか分からない状況では。 食べられる時に食べておくのが得策だ。 食べながら襲禅は、次の自分の行き先を決定した。 エリアG-8の病院に。 【一日目早朝/B-7市街地:ドラッグストア二階事務室】 【シェリー・ラクソマーコス@FEDA】 [状態]:左肩に銃創(処置済)、食事中 [装備]:太刀 [持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、FNブローニングM1910(4/6)、 FNブローニングM1910のリロードマガジン(6×5)、元村憲章の水と食糧 [思考]: 0:面白そうなので殺し合いに乗る。 1:腹ごしらえをしておく。 2:とりあえず見付けた参加者から殺していく。 3:ドーラ・システィールについては保留。 4:銀色の人狼(シリウス)は今度会ったら絶対に殺す。 ※参戦時期は少なくともコバルトを倒した後です。 ※クリス・ミスティーズの名前と容姿を記憶しました。 【一日目早朝/F-6島役場周辺の民家・秋沢家】 【須牙襲禅@俺オリロワリピーター組】 [状態]:右脇腹に散弾二発被弾(処置済)、食事中 [装備]:FNブローニングハイパワー(13/13) [持物]:基本支給品一式(食糧消費中)、FNブローニングハイパワーのリロードマガジン(13×4) [思考]: 0:殺し合いに乗る。人を撃ちたい。 1:しばらく腹ごしらえをした後、G-8病院へ行く。 2:銃はあってあり過ぎる事はないのでもっと欲しい。 3:学生服の少年(鈴木正一郎)に注意。 4:銀髪の女(日宮まどか)は次に会ったら絶対に殺す。 ※俺オリロワ開始前からの参戦です。 ※鈴木正一郎、日宮まどか(どちらも名前は知らない)の容姿を記憶しました。 |[[冷え込む空の下]]|時系列順|[[その思いは正義をも砕く]]| |[[冷え込む空の下]]|投下順|[[その思いは正義をも砕く]]| |[[男達の花園]]|シェリー・ラクソマーコス|[[修羅が騒ぐ]]| |[[Reply of bullet]]|須牙襲禅|[[奇妙なすれ違い]]|

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