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理想は高く、現実は低く

「うわぁ…」
「何があったんだ…」

壊れたスーパー入り口を、呆然と眺める。
まるで、車か何か突っ込んだような壊れかただ。
尋常な壊れ方では無い、と言うかこうやって壊れること自体、異常だ。

「…とりあえず入るか。これ以上、無駄に濡れることもない」

割れたガラス等が散乱する中歩いて行く。
壊れているのは入り口だけで、それ以外は普通だ。
店内は静かで、外から聞こえてくる雨の音と、2人の足音以外は何の音もしない。
むしろ、静か過ぎて気味が悪いくらいだ。

「気を付けろ、誰が隠れててもおかしくないんだからな」
「分かってます」

しかし、今の所誰の気配も感じない。
今まで、かなり神経をすり減らして来たのだ。
少し位、気を抜いても罰は当たらないハズだ。

「…ちょっと休もうか、地面に直接座ることになるがまあいいさ」
「ですね…精神的に、結構疲れてます」

壁にもたれかかり、深く溜息をつく。
少し眠気もあるが、今は眠る訳には行かない。
…少なくとも、このゲームを壊すまでは。

(しかし、どうすればいいのだろうか?首輪を外す方法すら分からないのに…)

首輪を外す…。
言うだけなら簡単だが、実際にやるのは並大抵の事ではない。
外すためのテクニックも無いし、方法も知らない。

「…さて、そろそろ中を見て回るぞ」
「分かりました…あっ」

佑馬が、急に黙り込む。

「どうした?」
「あ、あれ」

素直に指差す方向を見てみる。
見るとライフルらしき物を持っている男が見えた。
屋外と違い、店内は明かりが付いているお陰で相手の姿がはっきり見える。
全身を見てみても、別段変わった所はない。
…気圧される程の殺気を出していることを除けば。

「…こりゃ乗ってるな。あれほどの装備じゃ、まともにやりあっても勝ち目はない。逃げ…」

その時、足元にあったガラスの破片を踏み割ってしまった。
パリパリ…と、ガラスが割れる音が響く。
その音に気づいて、奴がこちらに近づいてくる。

「…たい所だが、やっぱ戦うしかないってか?」
「ど、どうしましょう」

相手は…ダッシュで近づいてくる。
もはや、細かい打ち合わせをする暇もない。

「1度しか言わないからよく聞け。俺があいつの気を引く。その内に逃げろ!」
「えっ、でも…」
「もう時間が無い!行くぞ!」

◆9QScXZTVAcが勢いよく敵の前に飛び出し、アイスソードを一閃する。
バックステップでそれを避けた後、素早く銃を構えてくる。

「佑馬は上手く逃げ切れたようだな、これでいい」

自分に向かってくる弾丸が、まるでスローモーションのように見える。
極限まで生命の危険を感じた時に見る光景は、ゆっくりに見えるとどこかで聞いたことがある。
今の、この光景がまさにそれなのだろう。走馬灯は…違うか。

「…うおおおおおおおお!!」

己の命が潰える前に、全ての力を込めて。
手に持つアイスソードを、敵に向けて投げた。






「…」

上半身に思いきり被弾し、吹き飛んだまま動かなくなった男を尻目に、壁に突き刺さるアイスソードを回収する。
刺さった部分は凍り付き、未だに冷気を発している。
…驚いたことに、かなりの力で壁に突き刺さったはずなのに、ヒビどころか傷1つついていない。

「…使えるな」

最期に相討ちを狙ったのか、どうせ死ぬならとやけくそで投げたのか。
どちらかは分からない。
だが、この剣は明後日の方向に飛んで壁に突き刺さっただけだった。
そのまま遺体に目もくれず、さっき逃げた男を追うために雨の降る外へ飛び出して行った。

【一日目・朝/A-3:スーパー前】
【矢部翼@オリジナル
[状態]:健康
[装備]:FN SCAR-L(3/30)
[所持品]:支給品一式、グロック18(33/33)、ワルサーP99(12/15)、SCARマガジン×3
      P99のマガジン×2、グロックのマガジン×2、アイスソード
[思考・行動]
基本:妹を殺させないために、全員殺害する。
1:逃げていった男を追う。
※◆9QScXZTVAcの遺体の傍にデイパックが2つ落ちています。

【◆9QScXZTVAc@非リレー書き手 死亡】
死因:射殺



雨の中、振り返ることもせず走り続ける。
何も持たずにとにかく走る。
自分のデイパックを、さっきのスーパーに置いてきたようだが、そんなことはどうでもよかった。
あの状況では、間違い無く…。

(9Qさん…!)

目には涙が浮かぶ。
自分が無力なばっかりに、自分だけ逃げることになってしまった。
今は、ただ逃げることしか出来ない。
それが、たまらなく悔しかった。

(…そう言えば、さっき、民家で…)

民家で出会った2人を思い出す。
9Qさんが、「xz氏」と呼んでいた人。
あの人は、確か銃を持っていた。

「…あの人に手伝ってもらってさっきの奴を殺す…!」

涙は、もう収まっていた。
その代わりに、目には暗い…「ドス黒い決意」の炎が灯っていた。
漆黒の狂気は、やがて人を蝕んで行く。
純粋であったころの「滝沢佑馬」は、もういない。

【一日目・深夜/A-3】
【滝沢佑馬@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:なし
[思考・行動]
基本:…絶対、許せない…。

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最終更新:2011年07月10日 22:16
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