幻想~造られた幻想、壊れた幻想~

34話 幻想~造られた幻想、壊れた幻想~


「……よかった音無さんはまだ生きている…」

直井文人は放送を聞き終わり少しだけ安心した表情を見せた。
しかし、その表情もすぐに冷たい表情へと変わる。

「……まだ後31人減らさなくてはならないんだ…気を抜くな…!」

直井は民家から拝借した包丁を持ち、歩き始めた。



    ◆       ◇



「……よし、OKだ…行くぞ日向」
「あ、はい…分かりました」

所変わって土方と日向の二人。
放送を聞き終わって、民家から出ようとしていた。

「こんなに死人出たようじゃ、動かない訳にはいかねぇ…」

土方は外に出て周りを見回す。
誰もいない、そう思われる。

「おい、日向…日向?」

後ろを振り向く、するとそこには信じられない状況になっていた。
喉を切り裂かれて即死になっている日向と、包丁を持った男。
一瞬で事情を理解した土方は棍棒を直井に向かった叩きつけようとする。
しかし、それをよけられてしまい、直井は土方に急接近しこう言い放った。

『お前は、僕の言うとおりに動く操り人形だ。
僕に逆らおうなんて思うな、僕に服従しろ』

土方の眼から徐々に光が失われていった。
そして、終わった時には土方はその名の通り『操り人形』となっていた。

「これをやる…音無さんと僕以外の参加者を殺すのを手伝え」
「……」

無言で受け取り歩き出した。
直井は口元をゆがませて土方について行った。

「…すみません、音無さんを生き残らせるためには…仕方が無いんです」

【日向秀樹@AngelBeats! 死亡】



    ◆       ◇



「のび太君…くそ……」
「……大丈夫か?」
「うん…なんとしても生きて帰って…のび太君を死ぬなんて事を無くさせる…!」
「……(無かったことにさせる?)」

いちろとドラえもんはD-3で放送を聞いていた。
いちろにとっては安心できる事だったが、ドラえもんにとっては最悪の放送であった。

「行きましょう…早くとおこを探したいし…」
「え?とおこ?」
「いや、何でも無いよ…」

あえて隠しておくことにした。
もしこれで勘づかれたら大変だ。

「……あれは!?」
「人がいる…?ね」
「とおこおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「え!?ちょっと待って!」

いちろはドラえもんを無視して走って行ってしまう。
それをドラえもんが追いかける。
一体いちろはどんな光景を見たのか…。



    ◆       ◇



「なあ、山崎さん…アンタいつまでついてくるんだ?」
「え!?酷いじゃないか!危ないでしょ!?」
「私みたいな高校生に頼っても無駄よ…?」
「くっ…そうだけどさ…」


放送後…さっさと逃げるとおこを山崎が追いかけていたのだ。
傍から見ればストーカーなのだが、気にしないでおこう。

「あれ…人が…いや、あれは土方さんだ!!おーーい!!」
「……あれ?」

山崎が走っていったのを見送る。
しかし、一つだけ違和感を感じた。
なっぜ、向こうは一切の反応を見せてこない?
普通だったら手を振るくらいしてもいいはずだ。

「良かった!土方さんがいればこんな事態…って、あれ?その人は誰ですか?」

山崎が直井を指さして言う。
そして、返事する間もなく土方は手に持っていた包丁で山崎を斬りつける!

「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
ひ、土方さん!洒落になんないッスよ!?」
「…………」
「え…?なんで話してくれないんで…?」
「……!」

もう一度土方が包丁で切り付けてくる。
もう、それを山崎が避ける事は無かった。

「………くそ、すみません…局長…」
「……!?」

局長と言う言葉を聞き、土方が少し表情を曲げた。
それでも、すぐに無かった事のようにし、山崎に包丁が刺さった。

「良くやりました…では、あそこの女もやってください」
「……」
「や、やめろ!来るな!」

とおこは腰を抜かして、動けなくなっている。
土方がどんどん近付いて行く。
そして、すぐ目の前になった時に、とおこが小さくつぶやいた。

「助けて…いちろ……」
「……」

土方は、それでも容赦なく少女を刺した。
彼女からどんどん血液が抜けていくのが見えた。
罪悪感もなく、ただ立っていた。

「とおこおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

いちろが走ってくる。
しかし、それはもう遅かった。
地面には倒れて、血を流しているのが見えた。

「テメェ!よくもとおこに…ガは…?」
「……」

容赦なくいちろを刺す。
今度はためらいもなくだ。
七不思議を殺してきた彼も、幾度も戦いを切り抜けてきた男には勝てないのだ。

「よし、いいだろう…ここには用が無いから行くぞ」
「……」

ここに、最凶の手駒を手に入れた戦士が生まれたのである。

【山崎退@銀魂 死亡】
【鈴木とおこ@いちろ少年忌憚 死亡】
【佐々木いちろ@いちろ少年忌憚 死亡】

【午後/D-3住宅街西側】
【直井文人】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(0~1)
[思考・行動]
基本:音無さんを死なせない。
1:音無さんを見つけたい…。
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は本編最終回後です。
【土方十四郎】
[状態]精神操作中
[装備]包丁(現地調達品)
[所持品]基本支給品、棍棒、素麺セット(残り三人分)、マヨネーズ(現地調達・2.5本)
[思考・行動]
基本:直井文人に従う。
[備考]
※参戦時期は未定です。
※願いがなにかは不明です。



   ◆       ◇



「な、なんでこんなことになっちゃったんだ!」

ドラえもんはすぐにその場から離れていた。
いちろが殺された時点で感じた、恐怖。

「ジャイアンはまだ生きているんだ…!早く見つけないと」

ドラえもんはその足で再び走り出した。

【午後/D-3住宅街】
【ドラえもん】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、不明支給品(1~2)
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出、そして脱出したらこの殺し合いを事前に止める。
1:とにかくここから離れたい。
2:ジャイアンと合流する。
[備考]
※願いは不明です。
※参戦時期は未定です。

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最終更新:2011年07月21日 22:19
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