鈴谷樹里の――

(一体、何が起こっているの?)

自分の気力を振り絞り、必死に時間の流れに抗った。
そして、自分の果たすべき事をし、1980年から消失した…はずだったのだが。
気が付いたら、変な場所に集められて、今、コンビニの事務所にいる。

(どうして、こんなことに)

どんなに考えても分からない。
何故、自分はこんな所にいるのだろう。あまりにも異常事態すぎて、倒れてしまいそうだ。
あの妙な人間――なのかどうかも分からない奴――が言っていた。
「殺し合いをしてもらう」と。

「どうして、殺し合いなんかしなきゃいけないの…?」

いきなり、得体の知れない相手に呼びだされ、殺しあえと言われて、「はい」と言う人間がいるのだろうか?
多分、いるはずがない。
「最後まで生き残ったら願いを叶える」とも言っていたが…。
自分にはそんなもの必要無い。

「でも…私、一体どうしたら…」

何処かにいこうにも、土地勘なんて無い。
辺りも暗く、人の気配は無い。

「そうだ…名簿」

デイパックからPDAを出し、名簿を呼びだす。
たくさんの名前が並んでいる。
その中に…、吹原和彦と、布川輝良の名前を見つける。
2人とも、行方不明とされているが…実際は違う。
これは予測でしかないが…大方、2人ともクロノス・ジョウンターで過去に飛んでいたのだろう。

(その2人がここに…?一体、何故?)

2人も、自分と同じようにここに連れてこられたのかもしれない。

「…こればかりは、実際に会ってみないと分からないわね」

仕方無く、なぜこんなところに人が呼ばれているのかを考えてみる事にした。
幸い、ここには明かりもあるし、部屋もコンビニの奥なので人目にも付きにくい。
ゆっくり考えるには都合がいい場所だ。
とはいえ、誰も来ない訳では無いので油断はできないが…。

(…名簿を見てみる限り…たくさんの人が集められてるわね…どうしてかしら)

名前を数えてみる…40人。
これほどの人間を集めるなんて、並大抵の事では無いだろう。
それに、このデイパックに入っている道具。

(入ってたのはビン入りの酒4本と封筒、そしておかしな重い服。封筒の中には5万円が入っていた)

それぞれの説明書を読み流す。
ビン入りの酒は、どうやら「ウオッカ」とか言う酒のようだ。
封筒は、やはりただの封筒だった。中に5万円が入っている以外は。
重い服は「防弾チョッキ」らしい。読んで字の如く、銃弾を防ぐことが出来るらしい。
早速着てみるが、やはり重い。この重さでは、素早く動けなくなってしまうかもしれない。
しかし、自分の命には変えられない。

「このチョッキを除けば、誰でも堂々と入手出来る物ね…」

ウオッカも酒屋に行けば買えるし、封筒も文房具屋に行けば買える。
だが、このチョッキはどうだろうか?
こんなもの、誰でも買える物では無い。日本なら、なおさらだ。
つまり…これを仕組んだ人間は並大抵の人間では無い。
おそらく、大企業のトップかそれに近い人間が黒幕なのかもしれない。

「…でも、こんなこと考えても実際はどうなのか、確かめようがないわね…」

結局、何を考えても、空回りしてしまう。
ただ考えるだけでは、何も始まらない。特に、こんな状況では。
考えるだけではなく、行動も必要だ。
そう思っていた時、扉のドアノブが…。






ただの青年、矢島透は戸惑っていた。
せっかく、悪夢のような一夜から解放され、やっと日常に帰ろうとしていた矢先。
スーッ、と意識が遠のいたかと思ったら、訳の分からない場所へ連れてこられていた。

「僕はどうしたら…」

自分には、殺人などと言うたいそれた事をやる度胸などない。
しかし、当然ながらこんな訳の分からない所で殺されたくも無い。
行く当てもなくとぼとぼ歩いていると、前方にコンビニを発見する。
この暗い中で、唯一明かりが灯っている施設だ。

「誰かいるのかな」

とりあえず、店内を外から眺める。
…見る限り、誰も隠れていないし、何か仕掛けられているような気配もない。
安心して、店内へ足を踏み入れる。
ウイーン、と小さな動作音を鳴らし自動ドアが開く。
…普通なら、店員が「いらっしゃいませ」とでも声をかけて来るのだろうが、店内は静かだ。
中に入って店内を見ても、誰もいない。

「やっぱり誰もいなかったのかな…あれ?」

奥から声が聞こえてくる。
小さな声ではあるが、確かに人の声だ。
『このチョッキを…ものね…』

(誰か…いる?)

会ってみようか。
だが、もしも凶悪な人間だったらどうする?
既にこっちの存在に気づいているのではないだろうか?
…否定的な考えはいくらでも浮かんでくるが、肯定的な考えは浮かんで来ない。

(…会ってみよう。きっと悪い人じゃないはずだ)






「…名前は矢島透、大学生…でいいかしら」
「…はい」

いきなり出て来た大学生と特に目だったトラブルも無く何とか協力することができた。
ついでに、PDAを取り出し名簿を出す。

「君の知り合いは…この中にいる?」
「…あ、美樹本さん」
「その人が、君の知り合い?」
「はい…結構大柄で、腕力とかもあるから、多分、大丈夫だと思いますけど…鈴谷さんは?」
「…誰もいないわ」

…咄嗟に嘘をついてしまった。
表情から見て取れるように、この子は裏表のないような子だ。
だからこそ、知り合いの事について聞かれると面倒だ。
「クロノス・ジョウンター」の話をしても、到底信じてもらえないだろう。
完全にかは分からないが、ともかく信用してくれたのだ。その関係を壊したくは無い。

「そうですか…そこに置いてある封筒は、どうしたんですか」
「これは、私のデイパックの中に入ってた物よ。君も、何か入ってるんじゃないかしら」
「…確認してみます」

そう言うと、自分の前で、デイパックをごそごそさせる。
中から取り出したのは…無骨で粗野な印象を見た者に与える銃。

「じゅ、銃…!」
「…!」

動揺を隠し切れない。
こんな、危険な物まで用意出来るなんて…個人でできる範囲を越えている。
どうやら、一筋縄ではいかなそうだ…。

【一日目・深夜/E-2】
【矢島透@かまいたちの夜2】
[状態]:健康
[装備]:AK-47(30/30)
[所持品]:支給品一式、不明支給品、AKマガジン×2
[思考・行動]
基本:人殺しはしたくない。
1:何で、こんな物が…
2:鈴谷さんと行動する。
※本編終了後からの参戦です

【鈴谷樹里@クロノス・ジョウンターの伝説】
[状態]:健康
[装備]:防弾チョッキ
[所持品]:支給品一式、ウオッカ4本@S.T.A.L.K.E.R.、5万円入り封筒@オカルト(この謎解けるかな?一日限定)
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてしたくない。出来れば黒幕も調べたい
1:銃まであるなんて…
2:この子(透)と行動する
※過去から戻ってくる途中からの参戦です

≪支給品紹介≫
【ウオッカ@S.T.A.L.K.E.R.】
鈴谷樹里に支給。
言わずと知れたロシア人の魂でありロシア人の血。
ゲーム中では体に溜まった放射能を取り除く効果があるが、同時に酔ってしまうので使い勝手はあまり良くない。

【5万円入り封筒@オカルト(この謎解けるかな?一日限定)】
鈴谷樹里に支給。
◆uA7Hz14RQgが隠したとされる封筒。
無くなってたのは、もしかして支給品にされたから…かもしれない。

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最終更新:2011年08月12日 20:28
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