「…やっぱりここは、本物の新富製薬だ」
2Fでソファに腰かけ、思案を巡らせる速水。
到着してから休むことなく敷地内を見て回った…新薬研究棟を除いて。
新薬研究棟は――半ば予想通りだったが――ロックされていた。
まあ、あそこの警備が厳重なのは今に始まったことではないから、別にガッカリしないが。
(新薬研究棟に入れなかったのは残念だけど…一体、どうやったらこんな事が出来るんだ)
これは、新富製薬に到着する前に、街にある民家を見た時も思ったことだ。
街にある民家も、詳しく調べた訳では無いが、一応内部を確かめてみた家もあった。
見る家全て、ついさっきまでここで人が生活していたかのような感覚があった。
新富製薬のような建造物はともかく、民家の生活感までコピーするなんて…そんなことできる訳がない。
(訳が分からない…一体何なんだ)
ここに来て、調べてみれば少しでもヒントが得られるかと思ったのに。
逆に、謎を増やしてしまうことになってしまった。
新富製薬をどうやってここに建てたのか?
どうやって民家の「生活感」まで作ったのか?
そもそも……こんな芸当を、本当に「人」が出来るのだろうか?
◇
ボロい神社を離れた後、人通りの多い場所を探して一番近い街にやってきたが。
人の気配が、無い。
たくさんある民家の中にいるのかも知れないが、1つづつ探していたら夜が明ける。
それに、そんな事をして、何処にも人がいなかった時の事を考えると……。
(やっぱり、デカい建物から調べるのが定石なのかな)
とりあえず、近くにある「新富製薬」とやらを調べてみることにした。
今いる場所から、歩いて1分かかるかどうかの距離だ。
そんな事を考えている内に、敷地の入り口らしき所に辿り着く。
敷地内も街同様暗く、視界は悪い。
良く見える所は、自分の持つ懐中電灯で照らした場所くらいだ。
(広そうだなぁ、まあ民家を見て回るよりいいや)
とりあえず、一番近い建物に入ろうとした時、誰かがそこから出てくる。
その出て来た人物も自分に気づいたらしく、こちらに近づいてくる。
「……あの」
近づいてきたのは、白衣を着た痩せ型の男。
その姿は、何となく知的な印象を見た者に思わせる。
しかし、気になるのは左目に巻かれた包帯だ。
ここに来る前に、誰かに襲われて怪我でもしたのだろうか?
「君は……誰だ?」
「あ、えっと……◆8nn53GQqtYです」
「……?」
白衣の男は唖然としている。まあ、無理もないことだろう。
普通に考えて、こんな名前の人間がいるはずがないのだから。
とは言え、本名は思い出せないんだからどうしようもない。
「あなたは?」
「……僕は、速水佑司だ」
「一体、こんな所で何してるんですか?私と同じで、誰かいるか探してたんですか」
「いいや、ちょっと調べ物を……」
そう言い終わると、2人の間をちょっと気まずい空気が。
このままでは色んな意味でマズいと思い、一か八か同行を持ちかけてみることにした。
「……私と、一緒に行きませんか?1人よりいいでしょうし」
「君がいいのなら、一緒に行こう」
思っていたよりあっさりと了承してくれた。
少し悩んだり、もしかしたら断られることも考えていたのだが…。まあ、いい。
ヘタに長々と考え込まれても、こっちとしても面倒だ。
「この中にはなにかありましたか?」
「いいや、特に役に立ちそうな物は無かったよ」
◇
道を歩きながら、会話を交える2人。
「そう言えば、何で速水さんはここを調べてたんですか」
「…自分の知る企業と同じ名前だったから、気になって。それで調べたら、あることが分かったんだ」
「あること?」
さっき考えた結果を、◆8nn53GQqtYに伝える。
最初は半信半疑で聞いていたようだったが、結局困惑した表情で黙ってしまった。
やはり、突拍子すぎただろうか?
「私では、いまいち分からないですね…Yc氏とかなら何か分かるかもしれないのに」
「…Yc氏?」
「私の知り合いです、すごく冷静で頭もいいんですよ」
「そんな人なら、新たに何か分かる可能性がある。でも、どこにいるか分からないな。君は、知っているのか?」
「いいえ、どこにいるかは……でも、会場内を歩いて行けばいつかは会えるかもしれませんね」
確かに、隅から隅まで探せばいつかは見つかるだろう。
しかし、それでは時間が掛かり過ぎるし、第一どこに殺しあう気のある人間がいるか分からないのだ。
そんな状況で、不用心にそこらを歩いて回るのは危険だ。
「……とりあえず、近くの民家に入ろう。路上に立っているより安全だ」
「ですね」
◇
近くの適当な民家を選び、中に入ろうとするが、鍵が閉まっているのか開かない。
「鍵が閉まってる」
「本当ですね……でも、そのバット使えば壊して入れるんじゃないでしょうか」
見た目に反して、結構大胆な発想だな、とちょっと驚く。
人は見た目じゃないとは言うが……。
「壊すのは簡単だろうけど、壊した後の始末に困るよ。この扉を壊してしまうと、今度はこちら側が鍵を使えなくなってしまう」
「あ……確かにそうですね」
「他に入れる場所が無いか、調べてみよう。裏口とかなら、開いているかもしれない」
何かあってはいけないと思い、2人で家の周りを回る。
窓から中を除いてみるが、真っ暗で良く分からない。
「この窓も……鍵がかかってる」
「こっちの窓も駄目ですね」
そうしている内に、裏庭らしき所に出る。
ちょっと広めの空間で、砂利も敷いてあり、そこそこいい庭だ。
もしかしたら、裏口なんかがあるかも知れない。
辺りを見渡してみると……やはり、あった。
(……鍵がかかってなければいいんだが)
祈る気持ちで、ドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。
……ドアは、ゆっくりと音を立てながら開いた。
「よし……入ろう」
「分かりました」
自分が先頭に立ち、ゆっくり家の中に入って行く。
家の中は、静まり返っている……一瞬、入るのをやめようかとも思うくらい。だが、ここまで来た以上入らない訳にはいかない。
1歩1歩……できるだけ、周りに気を配りながら歩く。なんだか、とてつもない時間をかけて短い距離を歩いている気がする。
そうしている内に、何とかリビングらしき所に到達する。
窓から入る月の光が、一部を照らしている以外は真っ暗で何も見えない。
(明かりは、明かりのスイッチはどこだ)
壁を懐中電灯で照らして行くと……あった。
すかさずスイッチを入れるが、明かりは灯らない。
「壊れてるんでしょうか?」
「さあ……だが、ここの明かりは点かないみたいだ。懐中電灯で我慢しよう」
【一日目・深夜/D-2:民家】
【速水祐司@絶体絶命都市2】
[状態]:健康
[装備]:組長のバット@龍が如く2
[所持品]:支給品一式、不明支給品(確認済み)
[思考・行動]
基本:何故こんなことになっているのか調べる。
1:何故電気が…
2:気になる事が多過ぎる
3:「Yc氏」と呼ばれている人に会いたい
【◆8nn53GQqtY@非リレー書き手】
[状態]:健康
[装備]:
[所持品]:支給品一式、説明書、予備弾×2、ロケットランチャー@コマンドー
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らない。
1:Yc氏と連絡を取ってみたい
2:とりあえず、速水さんに付いて行ってみよう
3:書き手さんたちは…どうしようかな
最終更新:2011年08月19日 20:39