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運命の交差点

「……分かれ道ですね、どっちが街でしょうか?」
「どっちに行っても街はあったろ。近い遠いの差はあるだろうが……」

この男……名前は確か篠原とか言ったか。さっきまで肩を借りていたが、今は自分で歩いている。
ここまで来るまでにずいぶん気分が良くなかったが、なんとか普通の状態まで持ち直せた。
いつまでも肩を借りていては、自分の行動に支障が出てしまう。そう思い、途中から自分で歩くようにした。
それに、身代わり過ぎないこいつに、もしもの時情けをかけてしまう可能性も考えてのことだった。

「どっちが近いんでしょうか?ちょっと調べてみます」
「ああ……」

そう言うと、デイパックからPDAを取り出し操作し始める。
地図には、大した機能も付いていない。調べるのは、1分とかからずに終わったようだ。

「西の橋を通っても、このまま東に行っても街がありますよ。距離は……どっちが近いんだろう……」
「どっちでもいい。結局、両方とも街なんだからな」
「確かにそうですね」

出来る事なら、あまり会話を交わしたくない。前にも言ったが、もしもの時にこいつを盾にできなくなってしまうのは困る。
……自分の目的は、優勝することだ。そのためには、他者を利用することも厭わない。
だから、他人と必要以上に深く交流する必要はない。

「……じゃあ、橋を通っていきましょうか」
「分かった」

言われるがままに、橋の方へ歩き出すが、自分の気持ちは、また別の方向に向いていた。
……武器の確保がしたい。
やっぱり、警棒ではこころもとない。もし、銃を持っている相手に出くわしたらどうする?
1度は篠原で防げるかもしれないが、2回目は防げない。そうなると、自分自身が戦うことになる。
もちろん、戦わずに逃走する手もある。だが、敵の前で背後を晒すのはリスクが高い。
しかし、手持ちの武器でそんな脅威に対して対処するのも、またリスクが高い。

(……せめてこいつが、銃でも持ってればな)

せめて銃をこいつがもっているなら、上手く言い包めて銃を自分の物にすることもできる。
だが、持っていない物はどうしようもない。道端に、銃が落ちている可能性も限りなく低い。
さっきの放送で、デイパックが会場内にあるとか言ってたが、この辺りにはそんな物はない。
結局、今の段階ではいい武器を入手することは、結局不可能だと言うことになってしまう。

(あーあ、本当盾くらいにしかなんねえなこいつ)

まあ、何の役にも立たないよりはマシだ。そんな奴、ただの足手まといでしかない。
足手まといと一緒に同行するくらいなら、1人で行動する方が生き残る可能性が上がる。
自分が最後まで生き延びて優勝するためなら、仲間を切り捨てることも厭わない。
例えそれが――自分と同じ書き手さんであっても――倒す。

「行かないんですか?さっきからずっと立ち止まってますけど……」
「ああ、行くよ」








「結構歩いたのう……」
「そうでもないやろ?」

森を抜け、街を抜けて、やっと橋へ辿り着いた。そのまま、欄干に寄り掛かり一息入れる。
自分は、別に街の方に用はなかったが、この男が「どうしても調べたい」と言うから渋々付き合った。
しかし、どうやら探していた奴は見つからなかったようで、ションボリしてはいたが、今はもう立ち直っている。
……この男が探している奴とは、一体どんな奴なのだろうか?街を探し回るほど、信頼されているのだろうか。
だとしたら、かなりの信頼関係が2人の間にある事になる。

「さっき探していた奴は、一体どんな奴なのじゃ?」
「そうやなあ……強くて、情に篤うて、スゴいで」

短く、シンプルな答え。
だからこそ、どんな人物なのかが良く分かる。強くて、情に篤く、スゴい。自分も、そいつに会ってみたい。
しかし、今どこにいるのかは分からない。

(……いつか、会えるとよいのじゃが)
「そろそろ行くで、ボサッとしとったら、ここに置いてくで……!」
「遅れは取らぬわ……む」

僅かながら、殺気を感じ取る。それは、この男も同じようだった。ぎこちない手つきて銃を構え、男の方は、ドスを構える。
辺りは未だに暗闇。所々に街灯がある以外は、明かりはない。
懐中電灯を使うことも考えたが、もしそこから相手に自分の詳しい位置を悟られては困る。
なので、多少リスクを負うことになるが自分の感覚に頼る事にした。多少の衰えはあるが、使えない程では無い。

「……どこにおるんじゃ」
「……分からん。気ぃ付けえよ」

一時たりとも気を抜けない。
敵は、どこから来て何を持っているのかすら分からないのだ。注意する以外出来る事がない。
近くまで来ているのか、遠くでこちらがどう出るのか待っているのか……。全く分からない。
緊張状態が続く中、時間だけが無情にも流れて行く。
いい加減、警戒を解いて早足でこの橋を渡ってしまおうか?と思っていた矢先のことだった。
小さな破裂音の直後、何かが橋の欄干に当たりどこかへ跳ねて飛んで行く。

「逃げるぞっ!!」
「分かっとるわ!!」

この間にも、依然何発もの弾丸が自分たちの周りを空気を切りながら飛んでいる。
どこから飛んで来ているのかが分かれば、そちらの方に銃撃を加えて止めさせることもできるのだが。
それができない以上、今の自分には逃げる事しかできない。

「卑怯な……むうっ!」

気ばかリ焦っていたせいだろう。足がもつれ、気が付くと勢いそのままに欄干から中空へ飛び出していた。
一瞬、何が起こったのか分からなかったが、そのまた一瞬後に全てを理解できた。
……自分は今、橋から落ちようとしている。そして、もうこれを食い止める術はない。

「うああああああ……………」








「さっきの音って、こっちですよね?」
「そうだろ、多分」

やっと橋の上に乗ろうか、と言ったところで橋の端の辺りから銃声らしき音が聞こえてきた。
最初は自分も篠原も動けずにいたが、音が止んだのを確認してから音源の方向に行くことになった。
正直、自分はあまり乗り気ではなかったのだが、断るのも何だったので付いて行くことにした。
……詳しい訳ではないが、銃声の間隔から見るに、連射の効かない銃ではないかと思われる。
連射の効く銃なら、銃声の感覚は必然的に短くなる。しかし、音と音の感覚は長かった。

(あってせいぜいサブマシンガンくらいだろう……)

その程度なら、1度人体を通せば威力はガタ落ちする。篠原を盾にしている内に、自分は逃げてしまえはいい。
それで、自分の命は守れる……簡単なことだ。その時、音のした方から男が走ってくる。
見た目は、まんまヤクザと言った風貌で、どう見ても善人には見えない。

「あの、向こうで何が……」
「そこどけや!!邪魔すんなや!!」
「うわっ!!」

何か聞こうとしていたようだが、その前に会話を遮られ、その上突き飛ばされまでされた。
ヤクザ風の男はかなり急いでいたようだ。おそらく、あの銃声と何らかの関係があるだろう。
しかし、あの男は銃を持っていなかった。と言う事は、あの男は襲われた側だと言う事になる。
襲撃者から何とか逃れ走って逃げて、ここで俺達に会った、と言った所だろうか。

(まあ、興味なんて微塵もねえけどな)

むしろ、その時に殺されなかったのを残念に思うくらいだ。あのヤクザは、多分強い。
そんな強い相手が、自分が戦う前に殺されるのは、やはり好都合だろう。
一応、さっきのヤクザ風の男がどこに行ったか聞いてみる。

「さっきの奴は、どこに行った?」
「土手を降りて行きました」

土手に……。
追っ手から逃れるためだろうか?それとも、武器を川に落としてそれを回収するとかか?
……こんなことを、自分が考える必要はない。わざわざ、他人の心配をする必要はない。
しかし……さっきから妙に人の事を気にしてしまうのは気のせいなのだろうか?

(チッ、何やってんだ俺)

その時。
再度、銃声が聞こえてきた。しかも、今度はかなり近い。もしかして、こちらに気が付いている?
まだ辺りは暗く、この辺りには街灯の明かりは届かない。従って、こっちには気づかな……。
いや。違う。
……篠原は、懐中電灯を付けている。つまり、相手にはこっちの位置が筒抜けになっている。
しかし、自分は懐中電灯を付けていない。今なら、闇に乗じて逃走することもできる。

「銃の音ですよ!近くに、誰かいます!」
「ああ……分かってる」

分かりきったことを大きな声で言うなんて……。この声を聞いた相手は、間違い無く警戒心を抱いたろう。
相手も、こっちがどう出るか見ているはずだ。この状況で逃げ出せすのは、頭のいい判断ではない。
暗いとは言え、激しい動きをすれば、それだけ目立つ。つまり、自分が格好の的になる可能性もあるのだ。
そんな事を考えている内に、相手がようやく視界に入ってきた。

(……クソッ)

さりげなく、かつ自然に篠原の後ろに回る。そして、肩ごしに向こうを覗き見てみる。
……予想通り、拳銃らしき物を持っている。今、弾はどれくらい入っているだろうか?

「死んで貰うぜ、お前ら」
「……じゃあな」

相手が銃を構えると同時に、篠原の背を押して相手の方に押しやる。
その隙に、闇に乗じてとりあえず東に向かって全速力で走り出す。
橋から遠ざかって行くと共に、篠原の悲鳴と銃声も、まただんだん小さくなっていく。

(……何だ、この何かが腑に落ちない感覚は)


【一日目・黎明/C-3の端】
【◆8nn53GQqtY@途中参加者】
[状態]:健康
[装備]:特製特殊警棒
[所持品]:支給品一式、消毒用アルコール
[思考・行動]
基本:表面上は乗っていないように偽る。
1:時間はこれで稼げた、今の内に逃げるか
2:……何か腑に落ちない








自分の足元に転がる、日本人らしき死体。
こいつの名前など知るよしも無いが、今の自分に会ったことが運の尽きだったのだろう。
あの時、懐中電灯を最初から消していれば、こうならないで済んだだろうに……。
死んでしまった今となっては、全てが手遅れだが。

「何か武器持ってるかな……変な機械しか持ってねえじゃねえか」

変な機械を放り出し、辺りの様子を伺う。
……もう1人いたやつは、既に何処かに逃げてしまったようだ。今からでは、もう追えないだろう。
こいつを殺す前に襲った2人組も、どこにいるか分からなくなってしまった。
かすかに水の音がしたから、どちらかが川に落ちたと思うのだが、もう片方の奴が助けに行っている可能性がある。


それにしても、全く自分はついてない。さっきの戦闘で、手持ちの弾をかなり消費してしまった。
今残っている弾は、銃の中に装填されている1発と、マガジンに残っている3発。
自分の考えていた計画では、殺した相手の武器を奪ってだんだん武装を強化したかったのだが……。
肝心の殺した奴が武器らしい武器を持っておらず、自身も調子に乗って弾丸を無駄使いしてしまった。

(予備の弾が欲しいが……無理だろうな……)

そうそう銃弾なんか落ちているはずがない。こんな状況で落ちてる物は、使えない銃弾か薬莢くらいだろう。
そんなものを拾ったところで、せいぜい投げて敵を陽動するくらいにしか使えない。

「……北上してみっか」

なんとなく、北上してみることにする。
ただ、なんとなく北上する。
自分の心を満たすために。
自分を、満足させる為に。


【一日目・黎明/C-3】
【ガイエル・アゼリン@途中参加者】
[状態]:健康
[装備]:FN ファイブセブン(4/10)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:とりあえず、優勝を目指す
1:とりあえず北上してみる
※アノーマリー探知機の存在に気づいていません。また、ルールを確認していません


【篠原一弥@絶体絶命都市2 死亡】
死因:射殺








「ここら辺のはずなんやが……」

川の中を、濡れることも厭わず探し回る。
暗いので良く分からないが、さっきあの爺さんが落ちた場所はこの辺りだったはずだ。
改めて川に入ってみると、結構深かった。正確な深さまでは分からないが、おそらく4~50センチはある。

(……流されたんやろうか?落ちた衝撃で気絶でもして)

もしそうだとしたら、もう見つけることはできないだろう。
下流の方まで流されたとしたら、どこにいるのかを知ることは不可能に近い。

「……やっぱり……流されてしもたんやろか……」
「………勝手に決めるでない」

背後から、あの爺さんの声。驚いて振り向くと、橋の柱に寄り掛かり立っている爺さんの姿が。
生きていた。どうやって助かったのかは分からないが、とにかく生きていた。
ホッ、と無意識に胸を撫で下ろす。

「おう、生きとったんか。一体、何が起こったんや」
「ふむ、そっちでは目に付くからのう。橋の下に隠れるとしよう」
(川ん中におったら、そら目立つわな……)



爺さんから聞いた話をまとめると、こんな感じだった。
あの後川に落ちはしたが、日頃の鍛錬のお陰でなんとか助かった。もちろん、少し腕を痛めたが。
それから、何とか立ち上がりもしも奴が追ってくると困るので橋の下に隠れ、じっと気配を探った。
何度か銃声が聞こえ、誰かの叫び声や悲鳴が聞こえてきた後、静かになった。
そろそろ出て行っても大丈夫だろうか……と、思っていた時に自分が探しに来た。

「もう少し川が浅ければ危なかったがのう……」
「ま、川に感謝するんやな。……そろそろ、川から上がらへんか?」


【一日目・黎明/C-3:橋の下】
【真島吾郎@龍が如く2】
[状態]:健康
[装備]:長ドス@龍が如く2、Mama'sBeads@S.T.A.L.K.E.R.
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:桐生チャンを探して戦う。他はどうでもええ。
1:爺さんが助かって良かったわ
2:この爺さんといっしょに行くか


【藤波栄太郎@途中参加者】
[状態]:健康、ずぶ濡れ、右手打撲
[装備]:ベレッタM92(15/15)@その他
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:ゲームには乗らないが、襲い掛かる者は斬る。
1:この者と一時行動
2:2人が気になるのう……
※ルールを確認していません

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最終更新:2011年10月19日 21:14
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