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日常 ~高原正封と久保遼平の場合~

【日常 ~高原正封と久保遼平の場合~】

人間の青年、久保遼平は友人の高原正封から貸して欲しいと頼まれていたテレビゲームのソフトが入ったビニール袋を持ち、
大学の療の通路を歩いていた。

「あいつの部屋は、確か…」

扉の部屋番号を確認しながら足を進める。
そして目的の部屋の扉の前に到着した。
呼び鈴のボタンを押すが何故か鳴らない。

(あれ? 鳴んねえ……仕方ねぇ、入ろう。そうだな、黙って開けてしまいましょう、クケケケ)

ちょっとした悪戯心が芽生えた遼平は、正封の部屋の扉のノブに手を掛けた。
鍵は掛かっておらず、あっさりと開く。

(開いたな、靴はあるから、いるよな?)

抜け足差し足忍び足で、音を立てないように中へと入る。
寮の個室は入口を入ってすぐに小さな台所があり奥に部屋がある。
トイレと風呂は共用である。

(寝てんのかな)

そっと入口の扉を閉め、遼平は奥の部屋へと続く扉へ歩く。
そして部屋の扉をゆっくりと開いた。

「……」

開けた隙間から様子を伺った遼平は言葉を失った。
確かに正封はいる、背中しか見えないがあぐらをかいてテレビを見ている黄色い狐獣人の青年が見えた。
だが、下半身は何も身に着けていない。
右手が忙しそうに動き、ハッ、ハッ、と息が荒く、彼の傍には丸めたティッシュが幾つか落ちていた。
耳には犬科獣人専用ヘッドフォンがはめられそれはテレビに接続されている。
テレビに映し出されているのは、全裸の人間の男女がベッドの上でまぐわっている映像。

「……」

正封青年が何をしているのかは明白であった。

(…俺には気付いていないみたいだな、声掛けたら絶対驚くよな…)

「はぁ、ハァ、ハァ、あっ、またっ、い、いくっ…」

(お)

正封が艶を帯びた声を発した直後、傍に置いてあったティッシュの箱からティッシュを素早く抜き出し、
そして股間の辺りを押さえて「うぅっ」と呻き、正封はしばらく身体を震わせた。

「……~~ッ、あぁ、あ~~~……ふぃ~……」

(気持ち良さそうな声だしやがって…)

「あーえがったえがった……もう四回目だけど、出るなぁ」

(四回ってお前wwwww)

「…さてそろそろ片付けるか、今日、遼平の奴がゲーム持ってきてくれる筈だし」

「持ってきたぜ、正封君」

「えっ」

ヘッドフォンを外した正封に、遼平の声はしっかりと届いた。
そして、自分の背後にいた遼平の存在に、正封が完全に気付く。

「よぉ、元気だねー四回とは」
「………………………………………………」

正封はヘッドフォンを外しただけで、テレビの映像は流れたまま、丸めたティッシュもそのまま、
射出直後で萎えた己の象徴も露出したままである。友人の前で。
しばらく状況が飲み込めず硬直していた狐の青年は、状況を理解すると同時に、


「AHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!??????」


絹を裂くような絶叫が大学の療に響いた。


◆◆◆


「だから悪かったって~」
「うるせえよこのボケ!! 馬鹿!! アホ!! 何考えてんだおめぇは、ああ!?」

顔を真っ赤にして涙目で激怒する正封に半笑いで弁解する遼平。
むろん遼平に反省の気などほとんど無いのだが。

「だって呼び鈴押しても鳴らなかったんだもの、電池切れてんじゃね?」
「携帯で確認するなりノックするなり出来んだろうが!! 何でそこで無断で入るって選択出来るかなぁ!?」
「つーか、お前も鍵ぐらい掛けとけよ、シコるんならよ」
「うっ……」
「お前ヘッドフォンしてAV見てたんだろ? じゃあノックしても駄目だろ、携帯だって掛けたんだよ実は。
でもお前携帯の電池切れてんじゃねぇの?」
「じゅ、充電忘れて……」

思わぬ反論を受け、急に勢いが無くなってしまった正封。

「まあ、悪かった。悪かったよ、でも大丈夫だって、男なら誰でもやる行為なんだから」
「それ、友達に見られたら嫌だろうよ……恥ずかしいっつの」
「しかしお前、イク時結構可愛い声してんのなwww」
「言うな!! む、ぐううう……」

恥ずかしくてたまらない、穴があったら入りたい気持ちとは正にこの事なのだろうと、
顔を真っ赤にし涙目になり、遼平の笑い声を聞きながら、正封は思っていた。
以降、正封は自分を慰める前に必ず戸締りを確認するようになった。


【終劇】

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最終更新:2012年01月22日 20:20
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