アットウィキロゴ

EX-ST.2

日常とはとかく平凡でつまらないものだ、と言いだしたのは誰か。
あらかた、日常に浸かり過ぎてもはや日常にあきあきしていた人間だろう。
人間、誰しも何かに飽きると、すぐに新しい物を欲するものだ。
それが、例え1度失くしたらもう手に入らないような、貴重な物でも。






「よっ。元気?」
「元気?って言っても大学でいつも会ってるじゃん」
「まぁそう言うなって」

古びた喫茶店。
まさに、年季の入ってるような店。
全てが、調和の取れた、心地よい空間。

「一体、何の用事なの」
「いやそれがさ……お前、野村和也って奴、知ってるだろ?」
「知ってる。失踪しちゃったんだっけ?結構騒ぎになってたけど……それがどうしたの?」

野村和也。
1年くらい前に、急に姿を消したまま、消息不明のまま大体1年経過している。
彼らの通う大学の後輩だった男。あまり交流はなかったようだが。

「いや……あれから色んな説が出たろ?拉致とか自殺とか。UFOに連れ去られたってのもあったな」
「色々あったねぇ……で、今更何でその事を?」
「ちょっとした、噂を耳にしたんだ。そいつは……『バトル・ロワイアル』に巻き込まれてる、って」
「……本気?」
「俺だってマジとは思ってねえよ。いくら何でも非現実的すぎるからな」
「だよねー」

彼らは知る由もないだろうが、大体この推理は的を得ていた。
しかし、この真実を知ることはないだろう。
――――1人を除いて。

「……さて。レポートやろうか」
「あれ、佑司まだ終わらせてなかったの?」
「そうなんだよー!期限明後日までなのに、まだ半分も行ってないしさあ」
「……つまり、手伝ってくれってことでしょ?」
「そうなんだよ!頼むよ、おごるからさ」
「……仕方無いなあ」

刻一刻と、時間は進んで行く。
彼らに襲い掛かる、悲劇に向かって。






数日経ったある日のことだ。

「……そういや最近、佑司を見かけないな」
「確かに……病気かな」
「いや、そんな話聞いてねえよ。あいつが授業サボるなんてそうそう無い事だしな」
(……何だろう。この胸騒ぎは)

第6感とでも言うべき感覚だった。
既に、事態は悪い方向へ進んでいるが。
全て、後手後手になっているのを、彼は知らない。

「ちょっと何か飲んでくるよ」
「そうかー。気を付けろよ、洋介」
「つっても、そんな距離無いけどな。ハハハ」


……彼の日常は、ここで途切れている。

―――続く

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年03月03日 23:07
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。