チャリーン、チャリーン……パンパン……
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【詳細プロフィール】
【名前】鯊倉尭尾
【性別】男
【年齢】17歳
【職業】高校2年生
【身体的特徴】平均的な身長。黒髪。
【性格】クラス内ではムードメーカー的存在。
ビビリ。
【趣味】神頼み
【特技】特になし
【経歴】普通の家に生まれ、普通に暮らす。
目立った経歴は一切ナシ
【好きなもの・こと】おみくじの大吉
【苦手なもの・こと】おみくじの凶
【備考】自称、運がいい人。
座右の銘は、逃げるが勝ち、負けるが勝ち
神社に来るときは大体不安なことがある。
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参拝をすまして、ファミレスに直行。
久しぶりに友達と遊ぶ日、何事もありませんように……
「ごめん! 待ったか!」
「おせーぞ! 鯊倉! なにしてたんだよ!」
「いや、ちょっと神社に……」
「また、参拝? 飽きないねえ……、そんなに神頼みが好きなの?」
「しとかないと不安でさぁ……」
「まぁ、いいや。行こうぜ!」
「おう!」
こうして、三人の友達とともに、彼はゲームセンターに向かった。
まずは三人の友達の名前を紹介しよう。
男子:大異裏央(おおこと りおう)
高校3年生で、もちろん俺の先輩。
このグループのまとめ役で、リーダー的存在。
男子:禅納智果(ぜんのうち はて)
高校2年生で、俺の同級生。
いつもニヤニヤしててうざい。
かなりチャラ目の人間。しかし、ナンパが出来ない残念な二枚目
女子:己界錘(こさかい つむ)
高校2年生で、俺の同級生。
このグループの紅一点。黒のロングヘアで、素晴らしいスタイルの持ち主であり……以下略
そして俺、鯊倉尭尾。
詳しくは詳細プロフィールを参照だ。
いつも、俺はこの3人とつるんで、遊ぶことが多い。
大抵はゲームセンターに行き、勝負や競争とかそんなことをして、遊び倒す。
春は花見、夏はプールとか海、秋はゲームセンター、冬はスキー場とかで遊ぶ。
何もないときは前述した通り、ゲームセンターに行く。
今日はその日。
――――ゲームセンター到着
「おい、今日はやけに人が多くないか?」
「確かに多いな……ナンパのしがいが……」
「私がいるからさせないわよ」
禅納智果、この男の趣味はナンパである。
気に入った女性を見つけると、すぐに自分の物にしたくなるから困ったもんだ。
しかし、この趣味のせいで、この禅納智はこのグループに入ることになった。
最初は禅納智はこのグループに入っておらず、途中からこのグループに入った。
理由? 考えればすぐに分かる。
「もしかして……神が来ているのか?」
「神ってなんだ?」
「禅納智……お前それくらいも知らんのか?」
「先輩は知っているんですかか?」
「……そんなもの知っている。チェーンソーを使うと一発で死ぬアレだろ」
「それは魔界塔士Sa・Gaのかみです」
「じゃあ、あれか? 」
「ドラゴンクエストⅥの神です。もしかして、知らないんですか?」
「……はい」
先輩、知らなかったのかよ……。まぁ、分かってたけど。
とりあえず俺は神について説明をすることになった。
言っとくけど、知らないやつは滅多にいないぞ……
「良いですか? 神というのはゲーマー界では知らぬものはいない、三人の人のことを言います。
といっても、ゲーマー界に限らず、一般の人も知らぬ人はあまりいません。
ですから、先輩と、そこの阿呆はかなり希少種ですよ?」
「「……」」
二人して黙り込む。
一方、己界は苦笑しながら俺の説明を聞いていた。
どうやら、唯一、己界は神について、知っているらしい。
「さて、神はゲームのジャンルの数だけ存在します。
アクション、パズル、シューティング、格ゲー、RPG、メダル、恋愛シュミレーション……などなど。
そして彼らのほとんどは、一部を除き、高校生です。
なぜ分かるのか。それは彼らが全員ブログをやっているからです。ここまではOKですか?」
「「はい」」
「続けますよ。神に会ったときはすぐに分かります。
レートが恐ろしく高い、レベルが半端ない、負けたことがない。主なのがこれ。
このゲームセンターで分かりやすいのは……メダルとシューティングと格ゲーですかね。
あと、今日はなんかの大会がありましたしね。
探します?」
「「はい」」
おい、お前ら、はい以外のやつはないのかよ……
すると己界が、笑みをこぼしながら、俺のほうに近づいてきた。
「鯊倉くんって、ゲーマー?」
「違うわ。これは一般常識や」
「そう、ならいいんだけど……大丈夫ね? なにもないよね?」
「いや、大丈夫ですって……」
「そう……」
一体俺は何を心配されたんだ……
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そんなこんなで、恐らくこのゲーセンにいるだろう「神」を探すことになった。
目印としては、人が多く集まっているところだ。
「神のプレイには、無駄な動きが全くないし、スコアも非常に高いです。
故に、プレイに見入って多くの人が集まるわけです。
そのプレイの凄さに拍手をする人がほとんど……いましたよ」
鯊倉が指をさした方向を、三人は同時に見る。
普通のガンシューティングゲームの台、ただし画面を見ると驚くべき光景が広がる。
寸分の隙のないプレイ、ノーダメージ、これほどまでに完璧なプレイを三人は見たことがなかった。
そして、ステージが終わり、スコアの集計。
見事、新記録更新。
そのプレイを見ていた、観客者からの拍手喝采が、しばらく続いていた。
プレイしていたのは高校生だった。
「あれが、シューティングゲーム界の神です。次行きましょう」
「え? もう行くの?」
「思い出したんです。今日はパズルゲームの大会があるって。ぐずぐずしていると終わります。急ぎましょう」
「分かった。早く行こう!」
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パズルゲームの大会とは、テトリスの大会だった。
行ってみると、すでに決勝戦だった。
「あれがパズルゲームの神、娯中宇佐丞(ごうち うさじょう)。別名、宇佐嬢です」
「変な名前だな。別名もそのまんまだしさぁ。あ、でも可愛いな。ほんとに神?」
「本人は名前をひどく嫌っていますがね。ホントに神ですよ」
実際にネットでこんな美人が、本当にゲーマーなのかと疑われたくらいだ。
だが、事実である。
童顔でグラマーだし、喋りもどこか幼い。
それゆえに、人気も高く、ファンクラブも存在する。
一部の人間からは、キャラを作っているなどと言われているが。
「んで、あれは本当に人がプレイしているのか?」
「はい。そうです」
機械のように精密なプレイで、無駄がない。
あっという間に、段が作られ、ブロックで埋め尽くされる。
相手のほうもかなりの実力者だが、処理が追いついておらず、ギリギリで持ち堪えている状態だ。
結果、善戦したものの、宇佐嬢の圧勝だった。
「まぁ、当然の結果か……よし、行って来る」
「なにをする気かしら?」
「決まってんだろ! ナンパだ!」
「おい! 待てい!」
しかし、ナンパすると決めたら禅納智は止まらない。
脱兎の如く駆けて、宇佐嬢に接近。
そして、その数秒後、何人かの男に禅納智は取り押さえられた。
「このように、ナンパしようとあらばこのファンたちに取り押さえられますから注意してください」
「わかったわ……」
「わかったぜ……」
禅納智はその内、開放されるだろう。
俺らは別の神を探すことにした。
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結局その日は二人の神以外、見つからなかった。
「結局遊ばなかったな~。ずっと神探しをしていたな」
「まぁ、二人いただけマシですよ。先輩」
「最初の目的と大分違かったけど、楽しかったしよしとしましょう」
「じゃあ、帰りにファミレスに寄るか?」
「行きましょう!」
「そうね。行きましょう」
「決まりだな!」
こうして三人はファミレスに向けて歩き出した。
「俺はァ!?」
一人、禅納智の叫びがこだました。
三人が見えなくなると、途端に、ニヤニヤ顔を禅納智はやめた。
いつもの冷たく、厳しい顔に戻っていた。
「まぁ、いいか。却って好都合だし」
そう禅納智は呟くと、携帯電話を取り出して、ある番号にかける。
しばらくすると、通話が終わったらしく、携帯電話をしまう。
そして禅納智はそこから姿を消した。
数日後――――――鯊倉尭尾 行方不明
一ヵ月後――――――禅納智果、大異裏央、己界錘、娯中宇佐丞 行方不明
最終更新:2012年05月09日 20:04