4:萎える日常なら、鍵を開けて…
親類に変人が多いと自身は普通でもそう言った人種に見られる事が多い。
黒牛獣人の青年、浅井清重もそう言った悩みを抱えていた。
父親も母親も祖父も祖母も、兄も従兄弟も淫乱。
清重自身は至って普通で性欲も決して強く無いのだが親類が揃って淫乱なら彼も否応無しにそう見られる。
もっとも最近では「自分はそう言った星の下に生まれてしまったのだ」と諦念を抱き始めていたが。
ダァン……ダァン……。
「銃声?」
森の中を歩いていた清重は銃声を聞き身構える。
危険だとは思ったが銃声のした方向へ行ってみる事にした。
「……!」
木陰に隠れ様子を伺う。
倒れている女性、その荷物を漁る外国人風の男。
先程の銃声からして、あの男が女性を撃ち殺したのだろうか。
しばらくして、男は何も取らずに去って行った。
「……」
男が完全に立ち去ったのを確認して、清重が倒れている女性に近付く。
女性は兎の獣人だった。
まだ息はあるようだがもはや虫の息。
胸元が真っ赤に染まっていた。
「おい、大丈夫、か?」
どう考えても大丈夫では無いがそう言わずにはいられなかった。
「……ぃ……にたく……い……よ……」
本当にか細い声で何か言った直後、女性は息絶えた。
恐らく「死にたくない」だと思われるが。
「……マジかよ……」
初めて人の死を目の当たりにしショックを隠せない清重。
開かれたままの目を閉じさせる。
気が引けたが、女性のデイパックを確認する。
基本支給品の他、入っていたのは消毒用エタノール。
先程の男はこのエタノールを役に立たないと判断したのだろうか。
「……すみません、これ貰っていきます」
しかし清重は何かに使えるかもしれないと思い、エタノールを持って行く事にした。
自分の支給品は肉切り包丁、少しでも役に立ちそうなら貰っておきたい。
「……行くか」
女性の死体を野晒しにしておくのも気が引けたが、どうにも出来ないので、清重は軽く手を合わせその場を去った。
【西岡千春 死亡】
【早朝/E-4森】
【浅井清重】
[状態]:健康
[所持品]:基本支給品一式、肉切り包丁
[思考]:脱出手段を探す。
◇◇◇
「今更人殺しなんか怖くねぇよ……」
支給されたモーゼルC96拳銃を手に持ち森の中を歩きながら、レジナルド・バークリーは呟く。
「やってやる……優勝すんのは俺だ……」
傍から見ても不安定な様子で、レジナルドは獲物を捜す。
【早朝/E-4森】
【レジナルド・バークリー】
[状態]:精神不安定
[所持品]:基本支給品一式、モーゼルC96(8/10、装弾クリップ2)
[思考]:優勝する。
【浅井清重】 あざい・きよしげ
19歳の大学生。黒牛の獣人。浅井きららの遠縁にあたる(本人もきららも知らない)。
親類ほぼ全員が淫乱だが彼は至って普通。
【西岡千春】 にしおか・ちはる
20歳の大学生。兎の獣人。
高原正封、久保遼平と同じ大学(面識無し)。
RPGツクールで様々な作品を作っているツクーラー。
【レジナルド・バークリー】
27歳の冒険者。賞金稼ぎ。利己中心的な性格で群れる事を嫌う。
生き残る事を優先し余り危険な事には手を出さない。
最終更新:2012年06月07日 10:47