どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
「なんだ、松下の奴まだ生きてやがるのか」
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
「どうせ殺すから良いんだけどな……はぁ、俺のキルスコアは未だ1か。不甲斐ないねえ」
自らの内部で、どんな激しい運動をした時よりも激しく波打つ鼓動を、樋之上壊は感じていた。
そして同時に理解していた。
狐神桐雄との一戦での『再構築』、葵崎蜜柑との修行での『削る力』。
二つの進化を経た魔術の怪物は今、いよいよ更なる化け物への変貌を遂げようとしていることを。
只でさえ手に負えない力が、冗談抜きで世界を破壊できるレベルまで上昇するだろうことを。
もっとも、その代償は決して安くない。
心臓が一度脈打つだけで耐え難い激痛が樋之上を苛み、巡る血液は熱湯のように熱い。
地獄の拷問を受けている感覚だったが、それを樋之上壊は涼しげな顔で受け流し、保っている。
「優勝狙うんならあの詐欺師女にも死んでおいて欲しいんだけどな……ま、無理か」
口ではそう嘯くが、実際葵崎が何処の誰とも知れぬ輩に殺されていたなら興醒めも甚だしい。
樋之上壊に唯一黒星をつけた化け物を凌駕する魔物を、自らの手で仕留めねば気が済まない。
不可能ではない。
上限があるかも分からないこの『進化』の果てに、『嘘』を削りきるだけの力を手に入れるだろう。
確信があった。このまま自分が終着点に到れば、正真正銘の無敵、絶対に等しい存在になれると。
だからこそ、灼熱の血流に耐え、鼓動の暴虐を甘んじて受け続けている。
「―――はは。雨雲の旦那、見てるか? 悪いけど、アンタの目的ごと潰しちまうかもな」
事実上の雇い主である白宮雨雲への忠義など微塵もなく、あるのは破壊への欲望と、強さへの渇望。
破壊に特化するあまり守ることを失った化け物は、堕落しきる道を選んだ。
いや――とっくの昔に、道は間違ってしまっている。
後は堕ちるところまで堕ちて、最下層の地獄で、最大級の破壊を手に入れるのみ。
どくん。
一際強い鼓動がして、流石の樋之上も意識を奪われそうになる。
が、彼をして不味いと思わせるだけの苦痛は一度きりで終わりだった。
鼓動が平静を取り戻し、灼熱の血流もいつしか冷めている。
「――――終わったか?」
誰にともなく問う。
返事がないことを肯定の意味であると解釈し、獰猛にその口許を歪める。
完成したわけではない。これで終わりではない。
あくまでこれから起こるだろう爆発的な進化に耐え得るよう、身体を変革し終えただけ。
故にここから先は――――
「んじゃ始めようぜ。冥土の導き手は引き受けた」
――――絶望の幕開けだ。
【樋之上壊@殺人犯】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、不明支給品1
[思考]
基本:愉しむ。
※葵崎との戦闘で、『削り取る力』を獲得しました
最終更新:2012年06月30日 22:09