点呼する孤島

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トゥジャリット。

その言葉の意味は「詐欺」。

それが存在する限り、彼らはこの島から出られない。永遠に。

回転するトゥジャリット。

くるくると。あるいは、ぐるぐると。

しかし何者もそれを目にする事は適わない。

何故ならば――


  そんなものは 存在しない からだ。




山道を下る人影がある。
半袖のYシャツに黒いズボンという、典型的な夏の学生服を纏った少年。
金色の髪と、額に乗せたゴーグルが個性を演出している。
彼の名はアシカという。
パンク歌手を目指す高校生である。



――蝉の音。
青い空と、白い入道雲、繁茂した緑。
木造の校舎。階段。廊下。教室。教師。クラスメート。宿題。机。黒板。窓。バンド。まるで時が止まったような――日常。
日常。
それが突然。気付けば殺し合いの最中である。
更に、見せしめとして殺された男の死。
非日常。

殺し合いも、人の死も、非日常でる。当たり前の話だが、彼の日常にはそんな血腥い物は存在しない。
狂っているとしか言いようのない事態の連続に、彼は頭を抱えた。

しかし、それ以上に彼を悩ませたのは、彼が飛ばされた場所である。
F-地点の火山噴火口付近。要するに、山のてっぺん。
空には満月が出ているとはいえ、真夜中の山道は暗い。基本支給品にあった懐中電灯で足元を照らしても、尚覚束ない。
この条件で山を下るのは正直骨が折れる。
だが、ここに留まっていても仕方が無いのも事実である。
考えてどうこうなるものでもあるまい。そう判断した彼は大きく溜息を付くと、下山する為の一歩を踏み出した。

「う……うわっ!?」
なんとか暗い山道を下り、3合目当たりまで辿り着いたアシカは思わず声を上げた。
それも無理の無い話である。
暗がりの道端に人が倒れていたのだから。
恐る恐る懐中電灯でそれを照らす。
伏せているので顔は分からないが体型からして成人男性であろう。白いスーツに白い髪。
あの時、見せしめとして首を落とされた男がアシカの脳裏をよぎる。
(死んでんのか……?)
誰かに殺されたのだろうか? 有り得ない話ではない。何せこの島は殺し合いというゲームの会場なのだから。
怪我人であればマギを使って癒す事もできるが、正直人前でそれを使うのは気が進まない。
見捨てる、という選択肢もないではない。
しかし――




男の名はバクというのだそうだ。
因みに、見せしめの白髪男とは何の関りもないらしい。まったく紛らわしい事この上ない。

「悪いね……アッシー」

俺の背の上でバクはぐったりとしてそう言った。
といっても、彼はどこにも怪我は負っていないし、ましてや誰かに襲われた訳でもない。
バクもこの山に飛ばされ、そして山道を下っている最中で力尽き倒れたのだと言う。彼が飛ばされたのは5合付近であったのにも関らず、だ。
要するに、この人は体力が全然ないのだ。
あんまりにも青い顔をして「助けてくれ」なんて言うもんだから、おぶってやる事にした。一歩も歩けないんだそうだから仕方ない。
どんだけ体力ないんだよ、このオッサン。
まあ、我ながら甘いと思うがフラフラ状態の奴をこんな場所に放って行く訳にはいかない。マギ剣士の俺とは違って、この人はサックリやられそうだし。
……ん? 剣士? この俺が? 大丈夫か、俺? やっぱ混乱してんだな。しっかりしねえと。

ていうか今更だが、「アッシー」って何だ? アシカのアッシーか? それともまさか足的な意味でのアッシーなのか?



斑目貘。
奇なるギャンブラー。
彼は少年の背に揺られながらほくそ笑んでいた。
もしも彼の手元に「カリ梅」があったのならば、それを己が口の中に放り込んでいたであろう。
自身の思惑が順調に運んでいる証として。

彼の狙いはこのゲームを「喰う」こと。

まずその為に彼が欲したのは協力者の存在。
支給品の一つである首輪探知機によって、山道を下ってくる人間がいるのは予め分かっていた。
そして月明かりの下に姿を現したのは高校生と思しき少年であった。
貘は伏したまま少年の言動を注意深く観察していた。一通り観察が終了するとおもむろに顔をあげて彼はこう言った。
「助けてくれ」と。
無論、相手が殺し合いに乗っている人間である可能性はゼロではない。
もし少年に不穏な動きがあれば、貘は袖口に仕込んでいた小型の拳銃――デリンジャーのトリガーを引くつもりでいた。躊躇なく。
彼は必要とあらば相手を行動不能に陥らせる程度の事はする男である。

しかしそういった彼の策はどうやら大した意味を成さなかったようである。
アシカと名乗る少年は悪ぶってはいるが、根は素直な性格のようだ。お人よしと言ってしまえばそれまでだが。
だが一方で、アシカの簡単な自己紹介を受けた貘は心の中で首を傾げてもいた。
少年の言葉に「嘘」は無い。無いのだが、「本当」でもない。どうにも虚と実があいまいなのだ。
不思議な少年である。言い換えれば、不安定な少年であるともいえる。
この二人の出会いは吉と出るのか、凶と出るのか――。

――それは嘘喰いと雖も今はまだ判らない。



【F-6・山道/一日目・深夜】

【名前】アシカ@夜明けの口笛吹き
【状態】疲労(中) 
【持ち物】ディパック(基本支給品一式、不明ランダム支給品1~3)、

【思考】基本:山を下りる
1:バク重い……
    ※デジャヴュの世界からの参戦ですので記憶があいまいになっています

【名前】斑目貘@嘘喰い
【状態】疲労(小)
【持ち物】ディパック レミントン・ダブルデリンジャー  弾薬×20  首輪探知機(基本支給品一式)

  【思考】基本:このゲームを喰う


15:あたし盗賊 時系列順 17:NEW ADVENTURES IN HEN-TAI
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