オールスタープリキュア!ガールズSSサイト内検索 / 「複数48」で検索した結果

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  • 複数48
    The Last Nut(前編)/一六◆6/pMjwqUTk 「人の不幸は蜜の味。嘆いて育て。悲しく育て」  ノーザが歌うようにそう言いながら、植木の根元に液体を注ぐ。  青い水差しの口から流れ出るのは、濁った黄土色の不幸のエネルギー。だがそれは、いつものようになみなみと注がれはせず、すぐに糸のような細い流れになると、やがて滴となって、植木鉢の半分も満たさぬうちに止まった。 「あら……もうお終い?」  ノーザが残念そうに呟く。不幸のゲージが破壊された今となっては、これが最後の不幸のエネルギー。植木はいつものように、ゴクゴクと音を立てて注がれた液体を吸収したが、枝先に現れたのは、いつもの半分にも満たない、小石のようにごく小さなソレワターセの実だった。 「ふん、まぁいいわ」  ノーザの真っ赤な爪が、葉のほとんどない、干からびたような枝に伸びる。最後に出来た小さな実には...
  • 複数42
    Trick or Treat!/一六◆6/pMjwqUTk 「ねぇ、シフォン。今日のハロウィン・パレードは、シフォンも仮装して参加する?」  美希がリンクルンを片手に、何だか得意げな様子でシフォンに問いかける。ラブの膝の上で、今まさにおやつを食べようとしていたシフォンは、それを聞いて嬉しそうに声を上げた。 「ハーローウィーン!」  ピルンにどこまでその気があったのかはわからないが、今日のおやつはハロウィンにぴったりのパンプキン・パイだ。それをしっかりと両手で抱えて、シフォンはくるりと祈里の方を向くと、キュアキュア……とおしゃべりを始めた。 「キー!」  祈里のリンクルンからキルンが飛び出して、シフォンの頭の上をくるくると回る。 「……そう、わかったわ。あのね、美希ちゃん。シフォンちゃん、クマちゃんの格好の上に、何か可愛いお洋服が着たいんですって」 「ふぅん、なかなか注...
  • 複数41
    ハッピー・ハロウィン/一六◆6/pMjwqUTk 「ふむ。何だか様子がヘンだな」  西隼人の姿でクローバータウン・ストリートを歩きながら、ウエスターはつぶやいた。  今日はここで、大きなイベントがあると聞いてやって来た。が、どうも町の様子がおかしい。いつもとは違う不思議な格好の人影が、やたらとたくさん、通りを闊歩している。まるで町の人たちの大半が、この怪しい格好の生き物たちに入れ換わってしまったかのようだ。 「ひょっとすると……どこか他所のパラレルワールドの奴らが、インフィニティを奪いに来たのか!」  そう思って見てみると、彼らの格好は、何だかやたらとオドロオドロしい。黒いフードをかぶり、ガイコツのような虚ろな目をしている者。目の周りを真っ黒にして、口から牙を覗かせている者。ニカッと大きな口を開いた、カボチャの頭をしている者まで……。 「ふん、インフィニティを奪うのは、こ...
  • フレッシュ:複数キャラクター【1】
    ...げられるんだろう。 複数48 The Last Nut(前編) 一六◆6/pMjwqUTk “クリスマス”それは、世界中が愛に包まれる日。されどそのモノは、創造主からも見捨てられ、誰からも必要とされず、ただ他人の姿を真似て彷徨うのだった。 複数49 The Last Nut(中編) 一六◆6/pMjwqUTk 与える喜びに満ちた日に、奪うことのみに生を許されしモノよ。不完全な肉体。造物主に見放され、既に尽きたる運命。彼のモノが最後に見る夢は? 複数50 The Last Nut(後編) 一六◆6/pMjwqUTk 「天に星、地に花、人に愛」幸せの形は様々で、だからこそ、世界はこんなにも美しいのだろう。聖なる日に生まれた、新たなる命よ。今度こそ――祝福あれ!
  • 複数4
    「ブルンのチカラ」/◆BVjx9JFTno なあシフォン、聞いてくれるか。 今日の話やねんけどな。 兄弟から連絡があってな、またドーナツ食べ放題にしたるから 芸やって客集めてくれと。 ワイも男や。兄弟の頼みは二つ返事や。 そんで意気揚々と公園に向うたら、なぜかピーチはん、 パッションはん、ベリーはん、パインはんも居ててん。 何や、あたしらも手伝うからドーナツ食べ放題にさしてくれ言うて、 兄弟もノリノリで、じゃあ100人にさばいたら食べ放題にしたるわって。 そしたらまあ、やることがえげつないわ彼女ら。 ベリーはんがブルン呼んで、みんなに制服着せたってん。 ピーチはんはピンク、パッションはんは赤、ベリーはんは水色、 パインはんは黄色、それぞれの色と白のストライプで、 同じ色の帽子もかぶって、白のエプロン...
  • 複数43
    はじまりの日/一六◆6/pMjwqUTk 不思議な気配を感じて 私は目を覚ました あたりの空気が うっすらと色をまとっているような そんな気がする むっくりと起き上がり 木々の間に見える 狭くて高い空を眺めた やがて キー! という声と共に 飛んできた小さな影 一直線にこちらへ向かってくる 四体の妖精たち 元気一杯先頭をきる ピルン 澄ました顔して続く ブルン 大きな目が笑ってる キルン 嬉しそうに後を追う アカルン どうしてだろう 私は彼らを知っている 生まれたときから……いや、生まれる前から? 私と深く結びついている 大切なオトモダチ 四人で追いかけっこをするように 私の頭上をくるくると回る姿 それをぽかんと見つめる私の耳に とぎれとぎれに 声が聞こえてきた ……幸せ…… ……完璧…… ……信じて…… ……がんばる...
  • 複数45
    四人で肝試し/一六◆6/pMjwqUTk 「よいしょ、っと。これで全部~?おばあちゃん。」  ラブが大きな段ボールを、折り畳み式の長机の上に担ぎ上げる。せつなは浴衣の袖を気にしながら、その中身を机の上に並べ始めた。  箱の中に詰め込まれているのは、色とりどりのリボンで結ばれた、小さなビニール袋の山。中には様々なお菓子が入っているのだが・・・これがどうにも、きれいなラッピングとまるで釣り合っていない。  ドクロや悪魔の人形が付いたハッカパイプ。ハワイアンブルーやショッキングピンクのどぎつい色に、紫のマーブル模様が入った、何とも怪しげな水飴。極めつけはビニールの中身の半分以上を占める大きさのドーナツで、これがどこからどう見ても、目玉そっくりなのだ。 「いくらお祭りだからって、ここまでやる必要、あるのかしら。」  美希がビニール袋から、さりげなく目をそらす。 「うん、ホントに...
  • 複数49
    The Last Nut(中編)/一六◆6/pMjwqUTk 「あらぁ?」  部屋の奥から姿を現したノーザは、そこにある植木を見て、首を傾げた。 「サウラー君。この木にもうひとつ、小さなソレワターセの実が残っていたはずなんだけど、あなた知らないかしら?」 「いいえ、僕は見ていませんが」  ちょうどソファに座って本を開いたところだったサウラーが、本のページから目を離さずに、山となった角砂糖の隙間から紅茶をひと口啜る。 「そう。おかしいわね……」  ノーザは右の掌を、問題の実がついていた枝の先端に翳した。そして、少し驚いたような表情をしてから、今度は楽しそうにほくそ笑んだ。 「あら。あの子ったら、あの町に行ったのね? 仕事熱心なのは結構だけど、命令も無しに自分で考えるのは感心しないわぁ」 「ソレワターセの実が、自分で? それで、あの町というのは四つ葉町のことですか...
  • 複数44
    三人でおみくじ/一六◆6/pMjwqUTk 「うわぁ、やっぱりお正月は人が多いよねっ! この神社にこんなに人がいるところなんて、お正月以外には見たことないよ~」 「こら、ラブ。そんなにはしゃがないの! ここに初詣に来るのは初めてじゃないんだから」 「だって、美希たん。いつもは家族で来るから、三人で来るのは初めてだよぉ。あ! 綿あめの屋台が出てる!」 「ラブちゃん、まずはお参りをしてからね。ほら、あそこで手を洗って」  はしゃぎまくるラブを、呆れた顔でたしなめる美希。苦笑しながら、準備良くコートのポケットからハンカチとお賽銭用の小銭を取り出す祈里。  中学一年生の三人は、初めて三人だけで、地元の神社に初詣にやって来た。  三人それぞれに何事かを一心に祈ってから、お正月だけは開く社務所で、お守りや破魔矢を見る。そのうちラブが、おみくじを引こうと言い出した。 「せーの...
  • 複数47
    錦繍/一六◆6/pMjwqUTk (モミジ狩りって、モミジの葉っぱを集めるって意味じゃないのね)  ラブとあゆみに付いて細い坂道を上りながら、せつなは心の中で呟いた。  家族でキノコ狩りに行ったの、とクラスメイトの由美が話していたのは、先週のこと。獲物が動物じゃなくて植物などを採集するときにも「狩り」と言うのだと知ったのは、そのときだ。  四つ葉町から少し離れたこの丘陵は、せつなには初めての場所だった。丘の斜面は雑木林になっていて、木々はそれぞれの秋の色に染まっている。 「きれいでしょ? せつな。ンフフ~、あのねぇ、この丘のてっぺんまで上がるとね……」 「ラブったら! それ以上言っちゃ駄目よ。せっちゃんをびっくりさせるんでしょう?」  キラキラした目で嬉しそうにせつなを振り返るラブを、あゆみがやんわりとたしなめる。せつなは怪訝そうな、でも期待に満ちた眼差しで、二人...
  • 複数46
    ポッキーゲーム/一六◆6/pMjwqUTk 「ねえねえ。トランプ終わったら、今日は変わったものでゲームしようよ!」  パジャマパーティーで集まった四人が、ラブの部屋で賑やかにババ抜きをしていたとき。ラブが赤い箱を右手に持って軽く振りながら、満面の笑みで言った。 「ちょっとラブ~。アタシたちでポッキーゲームやろうって言うんじゃ……」 「ピンポ~ン! 学校で、由美に教えてもらったんだ。美希たんは知ってたんだね。面白そうだから、やってみようよ!」  ひと目で展開を察して軽く止めようとした美希は、ラブの無邪気すぎる答えを聞いて絶句した。  周りを見れば、祈里は何だか赤い顔をして下を向いているし、せつなに至っては、不思議そうな顔でラブとポッキーの箱を見比べている。 (全く……。それなら言い出しっぺにやってもらおうじゃないの)  密かにそう思った美希だったが、次に聞こ...
  • 複数40
    雲の名前/一六◆6/pMjwqUTk 「わっ!せつな、どうしたの?」  いつものように玄関を飛び出したラブは、そこに突っ立っているせつなの背中に、危うくぶつかりそうになった。 「ラブ。今日の空、なんだか不思議よ。海みたいに青くって、ほら、白い波まで立っているみたい。」  新学期が始まって一週間。二人の頭の上にあるのは、いつの間にか夏のベールを脱いだ、高く澄んだ空の青。ちょうど見上げた辺りに、まるで薄い反物を広げたような、雲の模様が見える。 「ああ、うろこ雲だね。」 「うろこ雲?」  首をかしげるせつなに、ラブはニコリと笑って説明する。 「うん。なんかさ、魚のうろこみたいに見えるでしょ?あれはね、秋によく見える雲なんだよ。」 「そう。なんだか本当に、大きな魚が空を泳いでいるみたいね。」  感心したようにそう言って歩き始めるせつなの腕を、ひんやりとした空気がなでる。こ...
  • ⇒一六◆6/pMjwqUTk
    ...げられるんだろう。 複数48 The Last Nut(前編) 一六◆6/pMjwqUTk “クリスマス”それは、世界中が愛に包まれる日。されどそのモノは、創造主からも見捨てられ、誰からも必要とされず、ただ他人の姿を真似て彷徨うのだった。 複数49 The Last Nut(中編) 一六◆6/pMjwqUTk 与える喜びに満ちた日に、奪うことのみに生を許されしモノよ。不完全な肉体。造物主に見放され、既に尽きたる運命。彼のモノが最後に見る夢は? 複数50 The Last Nut(後編) 一六◆6/pMjwqUTk 「天に星、地に花、人に愛」幸せの形は様々で、だからこそ、世界はこんなにも美しいのだろう。聖なる日に生まれた、新たなる命よ。今度こそ――祝福あれ! 複数2-1 小さなラブと、星空の妖精 一六◆6/pMjwqUTk 小さなラブが星に描いた、大きな愛のある願い。大きくなったラ...
  • 複数5
    「ひめぐみ」/◆BVjx9JFTno 髪を、念入りにとかす。 ゆうべの念入りなトリートメントが 功を奏し、輪のような艶が出た。 赤いワンピースの上に、 白のボレロを合わせる。 ハート型のペンダントがついた、ネックレス。 透明な赤の、カットストーンブレスレット。 リンクルンの入ったポーチを下げる。 鏡の前に立ち、微笑んでみる。 精一杯、おしゃれを頑張ってみた。 「行ってきます」 ひとりで、家を出る。 商店街は、すでに活気がみなぎっている。 「せつなちゃん、おはよう!  おめかししてきれいだね!」 パン屋さんの大きな声に、 まわりの人が私に注目する。 「ホント、かわいいわ」 「デート?うらやましいなぁ」 「あ、ありがとうございます」 会釈する私の顔が熱い。...
  • 複数7
    「とりかえっこ」/◆BVjx9JFTno 寝息が、重なっている。 美希たんの部屋。 お母さんが仕事関係の旅行に 行っているので、美希たんの家で お泊まり会になった。 せつなとブッキーは ぐっすり眠っている。 体を起こす。 もうひとつの、起きる影。 寝る前、美希たんとお互いのことを 話してるうちに、エッチな話になった。 美希たんの愛撫で、 悦ぶブッキーの姿。 あたしも、さわってみたい。 あたしと美希たんの心の中に、 悪だくみが生まれた。 とりかえっこ。 美希たんと、寝ている位置を 交代する。 ブッキーの寝顔が、 すぐそばにあった。 たわわな胸が、 パジャマを押し上げている。 裾がめくれ、かわいい おへそが見えている。 ...
  • 複数28
    『幸せの赤いカギ(中編)』/夏希◆JIBDaXNP.g  また夢を見た。  心臓が痛い。呼吸が苦しい。  前髪が顔にへばり付いて気持ち悪い。  前にぐっすり眠れたのはいつだったかと思い出す。  毎日が幸せであればあるほど、夢見が悪くなるような気がする。  どうして……考えて自嘲する。  怖いのか……私は。  人々の幸せを奪ってきた私が、今の自分の幸せを失うのが怖いのか。  虫のいい話だと思う。  今こうしてる間にも、私がした事で苦しんでいる人が居るかもしれないというのに。  暗い考えを振り払って着替える。今日は汗は気にしないことにした。  今からダンス練習が待っているからだ。 「そうよ、せつなちゃん、その調子。痛いくらい体をいっぱいに使って表現してね」  リズムに乗って体を動かす。心地よい汗が心の不安を洗い流してく...
  • 複数27
    『幸せの赤いカギ(前編)』/夏希◆JIBDaXNP.g  ラビリンス――メビウスの居城。  巨大なスクリーンに映し出されるナケワメーケとプリキュアたち。  ウエスターの召還した強大な力を持つ怪物。その攻撃がことごとく空を切る。 “キュアパッション”  常にプリキュアの先陣に立ち、攻撃を一手に引き受ける。疾く、鋭く、そして躊躇いが無い。  類まれなる運動神経と瞬発力。そして他のプリキュアと一線を画す――覚悟。 “プリキュア・ハピネス・ハリケーン”  美しき舞がナケワメーケを霧散させる。そして駆け寄る仲間たち。  悲しみと決意を湛えた真紅の瞳が、スクリーンを通じメビウスを見据える。  メビウスの右手が真横に振られ、スクリーンが閉じた。 「クラインよ、イースの生体コードはまだ解析できんのか」  静かな口調...
  • フレッシュ:複数キャラクター
    フレッシュ:複数キャラクター【1】(50話保管) フレッシュ:複数キャラクター【2】(50話保管) フレッシュ:複数キャラクター【3】
  • 複数30
    『祈里の船上パーティー(前編)』/夏希◆JIBDaXNP.g  舞い上がる砂塵。吹き付ける熱風。ジリジリと肌を焼く灼熱の日差し。  とても秋の夕暮れとは思えない。同じ世界とは思えない。そこは名も無き砂漠の片隅。命の存在しない荒野。  ザンッ! ザンッ! ザンッ!  足場の悪さなどまるで意に介せず高速で移動する赤い疾風。その姿が突然消える!  直後――加速された砂のつぶてがパインを襲う。  回避しようと思うが砂に足を取られて動けない。辛うじて両手で目を守った。 「遅い! こっちよ」 「きゃあ」  無防備の脇腹に衝撃を感じて吹き飛ばされる。手加減されているからか痛みはあまり感じなかった。  次の瞬間にはまた姿を見失った。  落ち着いて! と自分に言い聞かせる。  姿が見えないなら上空か背後に決まっている。砂は上からは落ちてこない。...
  • 複数31
    『祈里の船上パーティー(中編)』/夏希◆JIBDaXNP.g 「いいなあ、ブッキー。今頃、キラキラのお姫様なんだろうな~」 「大丈夫かしら。ブッキーもなんだか不安そうな顔をしていたわ」 「可愛いのに自信が伴わないのよね。しょぼんとしてなきゃいいけど」  船出を見送った人々も去り、静かになった港。せつなの提案でシフォンを遊ばせながら祈里の帰港を待つことにした。  晩秋の冷たい海風が止まることなく吹きつける。美希はシフォンにセーターとマフラーを出して着せた。 「待って……なんだか様子がおかしい。船体に蔦のようなものが巻きついているわ」 「えっ? ここからじゃ船の形すらわからないよ」 「せつな、それって――」 「ええ、間違いない。ソレワターセよ! ラビリンスが現れたのよ」 「ほんまや、クローバーボックスも反応しとるで!」 「行こう、みんな! せつ...
  • 複数8
    「灯った火」/◆BVjx9JFTno シャワーの温度を、 少し下げた。 それでも、体の熱は さめない。 どのくらい、シャワーを 浴び続けているだろう。 荒れ狂っている、 体と、心。 美希ちゃん以外に、 抱かれた。 美希ちゃんも、 私以外を、抱いた。 背徳感。 羞恥。 悲しみ。 色んな感情が渦巻く中、 快感だけが、突き上がってきた。 心と裏腹に、体は 愛撫に反応した。 自分から、腰を浮かせて ラブちゃんの指を受け入れた。 見られながら、 激しく、乱れた。 その興奮は、 今もおさまっていない。 流しても、流しても、 あふれ続ける泉。 愛撫を求めて、 硬く尖る乳首。 早鐘を打ち続ける胸。 お...
  • 複数6
    「一日の終わりに」/◆BVjx9JFTno 電車の振動が心地良い。 夕方のやわらかな日が、 車内を照らしている。 ラブは長時間の着せ替えで疲れたのか、 席に座るなり、眠り始めた。 後ろ向きに船をこいでいるため、 窓ガラスに後頭部をぶつけ続けている。 私と美希、ブッキーはそれを見て 声を殺しながら笑う。 我慢すればするほど、おかしさは倍増し、 私たちは涙をため、肩を叩き合いながら 声を出さずに笑い転げた。 ひとしきり笑った後、屈託なく笑えるように なった自分に、少し驚いた。 闘いの中で向き合った、 私の、ほんとうの気持ち。 幸せに、なりたい。 笑顔に、なりたい。 この時、私は管理国家ラビリンスの 民であることを、捨てた。 契約が切られるかのように、私の命は ...
  • 複数1
    「告解:Confession」/◆BVjx9JFTno 寝室には3人の寝息が響いていた。 2段ベッドの上にラブが寝ている。 私は下。 もう1つの2段ベッドには 美希とブッキーが寝ている。 今日は合宿初日で練習もハードだったし、ナケワメーケとの 闘いもあり、3人とも夕食後は倒れ込むように寝てしまった。 私は、まだ眠っていない。 みんなが眠るのを待っていた。 ゆっくりと体を起こし、静かに寝室を出る。       【告解:Confession】 大切な友達、ラブ、美希、ブッキーと共に ダンスが出来たら、どんなに楽しいだろう。 でも、 あの人にしてきた罪が 重く、のしかかる。 公園で紹介されたときも 私は顔を見ることができなかった。 今、伝えなければ。 ...
  • 複数2
    「Stay Together」/◆BVjx9JFTno 「近いうちに、素晴らしい幸せが訪れます」 占い館での占いは、正直、でたらめだった。 この世界との接点を持ち、そこから人々を不幸に していけば良いと考えていた。 でも、心の中で、景色は少しだけ見えていた。 それがラビリンスで培われた能力かどうかは解らない。 今、何が見えるのだろう。自分の未来。 水晶玉をイメージする。 目を閉じ、集中する。 私の、未来... ぼんやりと、見えてくるものがある。 ...... 日が傾きかかっている。 久しぶりに来た桃園家は、あの頃と全然変わっていない。 もうプリキュアにはなれないが、アカルンが力を残してくれ、 この世界とのつながりを持たせてくれた。 私はラビリンスに戻り、管理国家からの...
  • 複数36
    蒼の喪失(中編)/一六◆6/pMjwqUTk 「9831・・・ 9832・・・」  占い館の一室。  ダンベルを両手に持って、筋トレに励むウエスターのつぶやきだけが、部屋に響く。サウラーは、相変わらず読書に余念が無い。  ふいに、壁の一角がぐにゃりと歪んで、ノーザが姿を現した。 「9833! 9834! 9835!」  露骨に顔をしかめたウエスターの、ダンベルを動かすスピードが一気に上がる。  サウラーも、ノーザの方を見ようともせず、角砂糖をてんこ盛りにした紅茶を、一口啜った。 「二人とも、今日は冷たいのねぇ。」  からかうようなノーザの口調に、ウエスターはキッと顔を上げ、丁寧語も忘れて怒鳴った。 「当たり前だ!おかしなソレワターセを作って、勝手なことをしやがって!」 「あら、何のことかしら?」 「とぼけるな!プリキュアになったイースの記憶を奪えるソレワターセ...
  • 複数35
    蒼の喪失(前編)/一六◆6/pMjwqUTk 「ラッキー・クローバー! グランド・フィナーレ!!」  少女たちが、右手を上げて高らかに叫ぶ。  その中央、凛として見上げる八つの瞳の先にあるのは、巨大な水晶に閉じ込められた、ソレワターセの姿。 「はぁ~~~~!!」  少女たちの気合とともに、水晶はみるみるうちに直視できないほどの輝きを放ち、中から断末魔の叫びが上がる。 「シュワ、シュワ~・・・」  そして。  パン!パン!パン!と三つの乾いた破裂音を残し、ソレワターセは跡形もなく消滅した。 (要するに、四人の気持ちが揃わないと使えない技、というわけね。)  ウエスターの報告を思い出して、ノーザはフン、と鼻をならした。 ―――メビウス様が、しびれを切らしておいでです。そろそろインフィニティを手に入れなければ、如何にあなたといえども、お叱りを受けますよ...
  • 複数3
    「自由ね、貴方たち」/◆BVjx9JFTno 勢いよく吹き出る泡が、アタシの肌を刺激する。 やっぱりジャグジーって最高。 今日はみんなでスーパー銭湯に来ちゃった。 いろんなお風呂があって、つい長居しちゃう。 露天もあって、お風呂ロケの練習も出来るの。 これでお肌も卵みたいにつるつる。 湯上がり美人の完成だわ。うん完璧! ちょっとラブ! 露天に出るならタオルくらい巻きなさい! 開放感って何よ! バンザイポーズとかしないの! せつなも真似しないでいいから! え?日本の伝統?全然違うから! ブッキーも電気風呂で変な声出さないで! あらやだ アタシったら鼻血が。 あぁ気持ち良かった。 湯上がりさっぱりだわ。 湯上がりにはヨーグルトがいちばん。 おなかもきれいになって、体の中...
  • 複数9
    「First Christmas」/◆BVjx9JFTno 加湿器の音が、 やけに大きく聞こえる。 静まりかえった部屋。 糸が擦れる音と、 息づかい。 黙々と、手を動かす。 「たはーっ!難しいぃぃ!」 「きゃっ!」 「わっ!」 「もう...急に叫ばないでよ!」 力が抜けたように、みんなが笑う。 「だいぶ、出来てきたね」 「やっぱり、ブッキーは上手だよねぇ」 「ううん、みんなもすごく上手になってるよ!」 「そ、そう...? 結構、練習したんだ...」 「ブッキーの教え方が、上手だからよ」 「ブッキー先生の、おかげだよ!」 ひとつひとつ、糸を重ねていく。 細かい棒の動かしかたも、 何とかサマになってきた。 家族に贈るクリスマスプレゼントを、 手編...
  • ⇒◆BVjx9JFTno
    カテゴリー名【フレッシュ:ラブとせつな】 レス番号 作品タイトル 作者 備考 ラせ1-1 【笑顔:Smile】 ◆BVjx9JFTno あの頃の私は、自分の心からも胸の痛みからも目を背けて、ただ無表情だった――。「せ~つなっ!二人でもう一度、プリクラ撮ろうよっ!」今度は私、ちゃんと笑えるかしら……。 ラせ1-2 「My First ....」 ◆BVjx9JFTno ひょんなことから、バレンタインデーにラブと三度目のプリクラ。一度目は、心を塗り潰していた。二度目は、ラブに助けてもらった。だから今度は、自分からこの想いを……。せつなのそんな決意が、思いもかけない小さな奇跡を生むことに!ラせ1-1から、しばらく後の二人。 ラせ1-3 【夜想曲:nocturne】 ◆BVjx9JFTno ピアノの調べが心に届き、激しい雨を降らせる。蘇る葛藤と痛みと喪失、そして雲間から射し込む一筋の光――。せつ...
  • フレッシュ:複数キャラクター【3】
    フレッシュ:複数キャラクター【3】 レス番号 作品タイトル 作者 備考 全2-477-1 『フレッシュプリキュア!31.5話:せつなとシフォン 大好きな町を守れ!』 一六◆6/pMjwqUTk さっき、「ありがとう」ってラブは言いかけていた。すべてはメビウス様のために。そう――感謝の言葉なんて存在しない世界で育った私に。頭の上に乗ったシフォンが、私と同じ目線でこの街を見つめる。馴染めているとは言えないけれど、守りたい――何があっても。行きましょう、シフォン。今度は私達が―― ※出張所(Twitter)フォロワー1500人達成感謝企画・正副管理人による1500文字SS競作(140文字×10+100文字)参加作品です。 全2-477-2 『逆襲のイース』 夏希◆JIBDaXNP.g 「メビウス様のためなら、私は死をも恐れない。名誉も要らない。ただ――ただひとつだけ――!」プリキュアを破り、...
  • 複数18
    巡る季節と彼女達~冬・春~/一路◆51rtpjrRzY  桃園家。蒸し暑い夏の夜。  寝苦しさに何度もベッドの上で寝返りを打つ私の耳に、部屋のドアをノックする音が届いた。 「へへ……せつな、起きてる?」  返事を待たずに開いたドアから顔を覗かせるラブ。 「起きてるわよ……今夜は一段と暑いんですもの……眠れないわ……」 「ホントだよねー…ね、ちょっと話でもしない?どうせ夏休みだし……少しくらいの夜更かしならいいでしょ?」 「そうね……少しくらいなら」  気候すら管理されていたラビリンスとは違い、この世界は四季の移り変わりを感じさせてくれる素敵なところ。  だけど、如何せんこう暑くてはそれすら恨めしく感じてしまう。  現在進行中のラビリンスの改革にはそういった所も取り入れていきたいわね……でもやはり自然を管理するのは良くないし……。 「...
  • 複数12
    「くらべっこ」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY クローバーの四人はダンスレッスンの後、シャワーを浴びて着替え中。 ミユキが手配してくれたスタジオはシャワーは二つしかない。 まずせつなと祈里。今はラブと美希が使っている。 そして、ロッカールームでの事。 「ねえ。せつなちゃん、ちょっといい?」 むにゅっ!! 「へ?ちょっ!!ーー何っ?!」 むにゅっ!むにゅっ!むにゅっ! 祈里がせつなの胸をブラの上から無遠慮なまでに揉みしだく。 今にもブラの中まで手を突っ込みそうな勢いだ。 「ちょっ、ちょっと!ブッキー!!」 「やっぱり!」 「何がっ!?」 「感触がね!全然違うのっ!」 「…………は?」 祈里は両手でせつなの胸を鷲掴みにしながら、キリッとばかりに顔を上げる。 「前か...
  • 複数23
    【彗星のかけら】/恵千果◆EeRc0idolE  ここは美希の部屋。夜が更けてしんとした中、ふいにリンクルンが鳴りメールが来たことを告げる。  その音で美希が目を覚ます。  ん…メール…?こんな時間に誰だろう。訝しく思いながら美希がリンクルンを開くと、差出人は祈里だった。 『きっともう寝てるよね』  文面から、申し訳なさそうにしている祈里の顔が浮かび、美希は思わず微笑みながら急いで返信する。 『起きたわよ。どうしたの?』  返信してすぐ、折り返すように着信がある。美希が起きたことを知り、祈里がかけて来たのだった。 『こんな遅くにごめんなさい。窓を開けて、空を見て!お願い』 「わかったわ」  祈里に従い、窓を開けると、ひんやりした冷たい夜の空気が入り込んでくる。見上げるとそこには満点の星空。 「うわ…すごい星ね…」 ...
  • 複数38
    Witness ~目撃者~/一六◆6/pMjwqUTk 悲しみと喜び。絶望と希望。苦悩と癒し。不幸と幸せ。 それらは単に、相反するものではない。 苦悩が幸せの始まりになったり、悲しみをきっかけに希望が訪れたりすることもある。 それに気付けた今だから、私は語ることが出来たんだろう。 かつては思い出したくもないと思っていた、私の過ちの記憶。 でも実は、大切な絆へと繋がっていた、私たちの始まりの記憶を。 Witness ~目撃者~  あの最終決戦から、早いもので1年半の年月が流れた。四ツ葉町のところどころに残っていたラビリンス襲撃の跡も、今ではかなり修復され、目立たなくなっている。  夏休み真っ盛りの四ツ葉町公園。じりじりと照りつける太陽に負けず、セミたちがその短い生を、これでもかと響かせる。 「はーい美希たん、お待たせ!カオルちゃんのドーナツ...
  • 複数10
    「雨のち紙テープ」/◆BVjx9JFTno ダブルの部屋なのだろう、 無駄に広い部屋だった。 ベッドに転がる。 いつも掲載させてもらってる、 ファッション雑誌の、クリスマスイベント。 読者のための集いなので、 読者モデルも、当然参加。 断るわけには、 いかなかった。 読者の女の子たちと一緒に 握手会や、記念撮影。 無難に、こなした。 気分が悪いことにして、 打ち上げを中座した。 宿泊予定のホテルに、 ひとりで戻る。 普通の、ビジネスホテル。 クリスマスイブに使うお客さんが 少ないのか、部屋の変更も簡単にできた。 他の宿泊客が、近くに 居ない部屋を、お願いした。 人恋しいのに、 人と会いたくない。 なぜかは、わかっている。 ...
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    【ゲームの勝敗】/恵千果◆EeRc0idolE  誰が言い出したのか、わたしたち4人は今日も集まっていた。  場所はいつものところ。桃園家のラブちゃんの部屋だ。 「今日はポッキーゲームをする日だって決まってるんだよ!」 「そうなの? どうやってするの?」 「ポッキーを両端から食べるの。長く食べた方が勝ち。途中で止めた人は罰ゲームだからね」  何も知らないせつなちゃんに、やり方を説明するラブちゃん。罰ゲームの内容なんて聞くまでもない。  そんなラブちゃんを、美希ちゃんは面白そうに眺めている。どうして教えてあげないんだろう。そんなのは嘘なんだって。  だけど、そんなの決まってる。せつなちゃんの唇に口づけたくてたまらないラブちゃんに、ほんの少し肩を貸しているだけ。  そんな美希ちゃんを黙って見ているわたしもまた、ラブちゃんに味方している美希ちゃんと同罪だ。...
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    「天然」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY 色々あった1日。夕暮れの町を浴衣姿の少女が4人、肩を並べて歩いている。 ハプニングも多かったけど、終わり良ければ全て良し。 夏の思い出としては中々悪くない1日だよね。 止まる事のないお喋りに花を咲かせてると、ふと川縁の柵から身を乗り出し 困った様子の数人の子供達が目に入った。 「どうしたの?」 祈里が声を掛ける。聞けば、縁日で買ったひよこの入った籠を ふざけあっているうちに川へ落としてしまったらしい。 4人も柵から覗くと、土手の下を流れる川の中ほどに流木が 枝を突き出していて、丁度上手い具合に籠が引っ掛かっている。 幸いひよこも濡れてはいないようだ。 いつもなら土手を下りて川に入れば難なく取れるが、今日は数日前まで 降り続いた雨で水嵩がかなりましている。 普段は流れも緩やかで子供の遊...
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    【心込めて】/恵千果◆EeRc0idolE ~月曜日~ 美「やっほーブッキー、ん?それ何編んでるの?」 祈「美希ちゃん!…あ、あのね、マフラーなの」 美「自分の?それとも誰かの?」 祈「その、えっとぉ…プレゼント用…かな」 美「そっかー。綺麗な蒼色ね。こんなの貰える人、うらやましいな」 祈「そうかな…」 ~水曜日~ ラ「あれ~ブッキー、何してるの?」 祈「ラ、ラブちゃん…ちょっと編物なんかしてて」 ラ「うわ~上手だよ~可愛いピンク色!ねぇねぇコレ誰の?」 祈「プレゼント用なの」 ラ「いいな~あたしも欲しいな~」 祈「えへへ…」 ~金曜日~ せ「ブッキー、それなあに?」 祈「せ、せつなちゃん…えと、編物っていって、この針で毛糸をこうすると、色んなものが作れるの」 せ「ふぅん、初めて見たわ。毛糸っていうのね...
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    巡る季節と少女達~ピーチとパッションのサンタクロース大作戦~/一路◆51rtpjrRzY プロローグ***  ―――あなたは、サンタクロースを信じますか? 「パッション、準備は出来た?」 「ええ…後は服だけだけど……けどピーチ、本当にするの?何かちょっと恥ずかしいような……」 「ダメダメ。こーゆーのは気分から作ってかないと……そーしないと余計恥ずかしいよ?さあ脱いで脱いで!」 「ちょ、ちょっと!ひ、一人で脱げるから!……取りあえずそういうものなのね……せ、精一杯頑張るわ……」 「……と、いいみたいだね。じゃあパッション、こっちに来て……」 「あ、あんまり見ないで……や、やっぱり少しまだ……」 「へへ、可愛いよ。隠さないで全部見せて……」 「あ、ぴ、ピーチ……だ、駄目……」 「―――うん!どこからどう見ても立派なサンタさんだよ!よーし!じゃあ皆に...
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    『白鳥のボート』/夏希◆JIBDaXNP.g  桜が散り始める。  四葉町に新緑の季節が訪れる。  いっせいに新芽が吹き出し力強く育つ。  道端では名も無き草花が誇らしげに咲く。  憩いの丘には、シロツメクサの花が絨毯のように広がった。 「はやく~はやく~。美希たん、ブッキー、せつなぁ。こっちこっち~」  休日を利用して、四ツ葉町の公園の外れにピクニックに来ていた。  この季節特有の緑の匂い。生命力に満ちた薫りに誘われるようにラブが駆け出した。 「どの口で言うのかしら……。約束の時間に三十分も遅れたのはラブとせつなじゃない。まったく」 「まあまあ、美希ちゃん。わたしは待つの嫌いじゃないよ。心配するのは嫌だけど、ちゃんと連絡あったし、ね?」 「ごめんなさい。美希、ブッキー。起こして返事あったから安心してたんだけど、寝直してるとは思わな...
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    「クリスマスに雪は降るの?」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY 12月に入ってからラブの落ち着きがない。 元から落ち着きなんてあるのか?と問われると反論のしようもないのだが、 いつもにも増して言動もオーバーリアクション気味だ。 まるで靴にバネでも仕掛けてあるのでは?と疑いたくなるくらい、 普通に歩いていても踵が地に付いてない。 「だって!!クリスマスなんだよ!!」 少し落ち着いたら?とせつなが呆れたり、苦笑いする度に ラブはそう答える。 全く答えになっていないのだが、それ以外に答えようがないらしい。 確かに言われてみれば落ち着かないのはラブだけではない。 美希や祈里、クラスの友人も何だかいつもより笑顔が増え、 お喋りしていても、いつの間にか話題はクリスマスの事になっている。 そして、気が付けば町全体がソワソワと浮き足立ち、赤と...
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    『幸せの赤いカギ(後編)』/夏希◆JIBDaXNP.g  かつて、私が工事現場で召還した最強のモンスター。  苦痛でコントロールを乱し破れたが、その本来の力はどれほどのものだろうか。  勝てるわけが――ない。  イースで勝てるなら、そもそもそんなモノを呼び出したりしていない。  落ち着け! と自分に言い聞かせる。勝利という最善を得られないのなら、次善を勝ち取るのみ!  次の望み、それはこの子の安全。ならば、せめて、せめて時間を稼ぐ。 「お願い。どこでもいい、逃げて! 早くっ」  奴の意識を引き付けるべく、挑発しながら側面に回りこむ。蹴りを放とうとしてバランスを崩す。  先の戦闘のダメージで、軸足が効かなくなっていた。  これでは――戦えない……。  ――轟!!  ドリル状の腕が私を襲う。体をひねって直撃は回...
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    【浴衣萌え】/恵千果◆EeRc0idolE クローバーことラブたち4人は、とある温泉旅館に来ていた。 トリニティのコンサートにバックダンサーとして招かれ、 ギャラがわりにもらった宿泊付き新幹線チケット。 それと銀週間とを利用して、皆で旅行と決め込んだのだった。 「温泉って私初めてよ」 「しかも、こーんな豪華な料理旅館に宿泊できるなんて、  アタシたちって超ラッキーじゃない?」 「ご馳走いーっぱい食べようね!」 「ラブちゃん、ヨダレ拭いて…」 豪華な料理の数々に4人は眼を見張り、 目でも舌でも味わいながら次々と平らげてゆく。 合間に飲んだのは、種類も様々な美味しい缶ジュース…のはずだった。 実はそれらは、隣室のOL達が頼んだ缶チューハイ。 誰がどう間違えたのか、クローバーの部屋に運ばれた沢山のアルコールは、 何も知らない...
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    【世界中の誰よりもスペシャルな君へ】/恵千果◆EeRc0idolE 1.ラブ  今日は日曜日。しかも特別な日曜日。  ラブはオーブンの前で待機中。 「3・2・1。出来たー!」  チン!という音がするやいなや、ラブは蓋を開け、中から熱々のものを取り出す。  火傷しないように気をつけながら、粗熱をとるために網の上に載せてゆく。  まだ熱々のそれらから漂う香ばしい匂い。焼き加減も申し分ない。  んー美味しそう。これならきっと、幸せゲットできそう!心の中でそう呟いてラブはにんまりした。 「焼けたの?ラブ」  洗濯を終えたあゆみが近づいてくる。 「うん!見て見て上出来!」 「ホントね~。これなら売ってるのにもヒケを取らないわ。誰にあげるの?」 「な・い・しょ!」 「ま!勿体つけないで教えなさい。お母さん誰...
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    『祈里の船上パーティー(後編)』/夏希◆JIBDaXNP.g 「ここは――どこ? わたしは死んでしまったの?」  深い霧に覆われていて足元すら見えない。酷く疲れているのに、足が重くない。まるで体重そのものが無いかのように。  ホワイトタイガーさんはどこ? わたし一人――なの? 美希ちゃん……ラブちゃん……せつなちゃん。  わたし、勝てなかったよ。ごめんね。  霞む視界の先に人影が現れる。二人? ううん、五人。今、わたしが一番会いたい人たちだった。 「謝ることはないわ、祈里。あなたはよく頑張ったわよ」 「そうだ、お父さんも鼻が高いぞ」 「お父さん? お母さん? どうして――わたしがプリキュアだってことを知ってるの?」 「ここは夢の中の世界だからだよ、ブッキー」 「無理しすぎよブッキー。後はアタシ達に任せておきなさい」 「ごめんなさいブッ...
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    どんぐりころころ/一六◆6/pMjwqUTk  少し青さを取り戻した空が、何だか今日はいつもよりまぶしい。そう感じた。  ラビリンスの首都に、新しく造られた公園。まだ木々こそ生え揃っていないものの、草花の緑が、風にやさしく揺れている。 「おねえちゃん。それ、なあに?」  ふいに幼い声に呼ばれて、少女は立ち止まった。  腰に付けた白い携帯ケース。そこからはみ出した、赤と金に彩られたストラップに、小さな女の子の目が釘付けになっている。 「これ?」  少女はケースから携帯を取り出すと、屈み込んで女の子と目線を合わせた。  好奇心に満ちた大きな瞳。その目が、あの幸せな街の子供たちに、よく似た光を放っている。それを心から嬉しく思いながら、 「これはね・・・」  少女は、ゆっくりと話し出した。   どんぐりころころ  その歌を教えてもらったのは、歩き始...
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    ハッピー☆セット/一路◆51rtpjrRzY  秋も深まり木々の葉も散りつつある、ある日の公園の練習場。  何やら沈鬱な表情を浮かべた彼女が、一人あたしの元に来たのは、レッスンを終えて皆が帰った後の事 だった。 「ミユキさん、ちょっと話したい事があるんですけど……」 「―――美希ちゃん……何かあったの?」  その様子に尋常ならざるものを感じ、あたしは帰り支度をしていた手を止める。  練習の時から、何かいつもと様子が違うと思ってたけど……。覇気がないというか……。  いつもの美希ちゃんなら、どんなにハードな練習をした後でも、こんな顔はしないはずだわ。  でも今目の前にいる彼女は、何やら黒いオーラを纏っているかのようにどんよりとしていて……。 「―――今度のダンスの事なんですけど……あたし、上手く踊る自信がないんです………」 ...
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    「特別な夜だから」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY 今夜はクリスマスイブ。桃園家でのクローバーのクリスマスパーティーは 大盛況の内に幕を閉じた。 因みに桃園夫妻は親孝行な娘達の画策…もとい心暖まる進言より、 ラブが産まれて以来初めての二人きりのクリスマスデートに出掛けている。 そんなワケで、四人でのパーティーは大人の目を気にする事なく 適度にハメを外して楽しんだ。 そして友達として思う存分楽しんだ後は、今夜は特別な夜。 恋人達の時間に突入するべく、まだ名残惜しさを引きずりながらも解散。 後はそれぞれのカップルに別れての聖夜が始まる……。 はずだったのだが。 「せつなっ!ちょっと待った………って、行っちゃったよ…。」 ラブの止める声も届かない内に、アカルンで飛んで行ってしまったせつな。 恐らく、今あの二人は忘れ物どこ...
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    二人ぼっちのクリスマスイブ~たまには、こんな聖なる夜~/一路◆51rtpjrRzY  照明を落とし、キャンドルを灯した薄暗い部屋の隅には、色とりどりのオーナメントに飾り立てられた小さなツリー。  いちごと生クリームでデコレーションされたケーキを中央に、テーブルの上にはチキンやジュース、それとノンアルコールのシャンパンが置かれて、お揃いのグラスが二つ。  それを手に取り、お互いにちょっと傾け、縁をカチン!と合わせて、乾杯。  今この部屋にはあたし達二人だけ……そう、こう言ってしまえば理想に描いた通りなのよ……ロマンチックこの上ないものね。  ただ一つだけ、問題なのは――……。  あたしの気持ちも知らないように、パパパーン!!と部屋に派手に響き渡る音と、舞い散る紙テープ。 「メリークリスマス!美希たん!!」  クラッカーを手にした彼女はそう言って、に...
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    The Last Nut(後編)/一六◆6/pMjwqUTk 「ちょっとあなた、どうしたの!? 大丈夫?」  由美が、店の前でうずくまっている女の子に駆け寄る。女の子――千香は喘ぎながら身体を起こすと、助け起こしてくれた由美の手を掴んだ。 「ラ……ラブおねえちゃんと、せ、せつなおねえちゃんが……」 「え……ラブと東さん!? 二人がどうかしたのっ?」  由美が驚いて、千香に問いただす。 「わ、わ、わたしのニセモノが、ふ、二人に、会いに……」  ハァハァと荒い息を吐きながら、それでも何とか事の重大さを伝えようとする千香。 「それってひょっとして……さっきテレビでやってた……?」  由美が呆然と呟くのと、二人を遠巻きにしていた人々が騒ぎ始めるのが、ほぼ同時だった。 「えっ!? じゃあ、今度はこの子のドッペルゲンガーがっ?」 「やっぱりそうか! さっき、この子と服装も背...
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