自分に彼女が出来ないことを理由にカップルを憎み、彼らに対する過激な妨害・破壊活動を行う学園非公認団体「しっと団」。
彼らにとって、カップルが街に溢れかえるバレンタインデーの存在は、
終戦記念日と同様面白くないものであった。
いかにしてバレンタインデーをぶち壊すか。彼らは考えに考え、ある一つの作戦を閃く。
「バレンタインデーの習慣において重要な役割を果たすチョコレート
その原料であるカカオの供給を止めてしまえばいいのではないか?」
その作戦は採用され、しっと団は海賊船をチャーター。
主なカカオ供給元である
シナハント方面からのカカオ輸送船を片っ端から襲い、カカオを強奪するという暴挙に出たのだった。
作戦は順調に進んだかに見えた。しかしある時襲った輸入船の船倉で、しっと団員は幼い獣人たちが囚われているのを発見する。
なんとその輸送船は、本来の物品輸入の裏で人身売買に手を染めていたのだ。
予想外の事態に困惑するしっと団員たち。しかしその間に騒ぎをかぎ付け、領海にあたるジン海上警察が駆けつける。
するとカカオを積んだ海賊船は、しっと団を見捨て一目散に逃走。しっと団は輸送船に取り残されてしまう。
海賊行為に加え、あわや人身売買の嫌疑までかけられ、彼らはもはや絶体絶命と思われた。
しかし、捕えられていた獣人たちが「この人たちが助けてくれたんです」と証言してくれたことにより、彼らは海賊から一転ヒーローの如き扱いとなる。
結果、海賊行為に関しては特別に不問となり、しっと団は無事ニジューラに帰還する。
そこで彼らが見たものは、通常よりも格安の値段で販売されているチョコレート達であった。
カカオ強奪に加担した海賊が通常のレートよりも安く、大量にカカオを売りさばいたためである。
結果、バレンタインデーは例年以上に賑やかなものとなり、しっと団の思惑は見事に打ち砕かれることとなってしまったのだった。
その徒労感、絶望感を想像するに、筆者も涙を禁じえない。
ちなみに今回の件で救い出された獣人と一部のしっと団員の間にフラグが立ちそうになったようだが、
ある者は自らの手で、またある者は他の団員によってフラグをへし折った模様。
孤高の集団「しっと団」、彼らに明るい未来はあるのか。
最終更新:2008年07月06日 04:18