図書館シリーズ手塚×柴崎 2スレ250-261

2スレ目 250-261

休前日の夜

定時に仕事が終わり、私服に着替える。
仕立のよい、柔らかい素材のワンピース。この日のために選び抜いた勝負下着は極上の絹だ。
「・・・セオリーよね」
一泊のお泊りセットを持って、駅へ向かう。早上がりだった手塚が、オープンカフェで自分を待っているはずだ。

いた。

整った顔立ちに、鍛えぬいた身体。コーヒーを片手に本に集中している手塚は、かなり目立つ。
ちらちらと、視線を送る女性がいることに気がつかないのか、気がついていても無視しているのか。
そっと後ろから近づこうとしたが、気配を察したのか手塚が顔を上げた。
眩しいものを見るように、目を細める。「おつかれ」読んでいた文庫にブックマークをはさみ、ビジネスバッグの外ポケットに丁寧にしまう。
「移動に時間がかかるんだ。急がせて悪いけど、行こう。」
立ち上がり際に柴崎の手荷物をとってくれる。・・・スマートだわ。

唐突に、堂上夫の見舞いに行ったときの光景がよみがえった。人に歩調を合わすなんてしたことない人だったのに。
ふふ、と笑う柴崎に、2人分の切符を取り出しつつ手塚が怪訝な顔をする。「なに?」
「手塚も大人になったなぁ、と思って」
照れ隠しに、手塚の腕に自分の手を絡めた。

基地から電車をのりかえつつ、2時間弱かかって2人が到着したのは、北鎌倉だった。
駅前のレストランバーでおそい夕食をすませ、ここからは、タクシーだ。
柴崎は観光で鎌倉を訪れたことはあるといっていたが、まったく土地勘はなさそうだ。

手塚は手馴れた手つきで、カードキーと暗証番号を入力し、柴崎を案内する。
「ねぇ、ちょっと。これ、普通の分譲マンションじゃない?」
不審顔の柴崎は、エレベーターに乗るのを躊躇している様子だ。
「親戚の持ち物なんだけど、今マレーに駐在中で。」手を差し出して引き寄せる。
ポカンとしている柴崎がかわいらしくて、キスをしたい。・・・セキュリティカメラで中継されてちゃできないな。
「ときどき空気の入れ替えにきてるんだよ」

勢いで外泊宣言をしたものの、どうすればいいのか正直相当頭を悩ませた。
柴崎を喜ばせるにはどうすればいいか。
ねらいは、外れなかった、と思う。
招き入れたリビングの、突き当たりに見える夜の海に柴崎がベランダで声を上げている。
「うわぁ、すごいね、すごい眺めだね、手塚!」輝く瞳と満面の笑み。

窓という窓をあけ、電灯や家電の機能を一通りチェックして、リビングにもどるとまだ、柴崎はベランダにいた。
手すりに寄りかかり海風に髪をなぶらせている後姿をそっと抱きしめた。
どちらからともなく、唇をあわす。

唇を離すと、少し気まずい間があいた。
手塚の胸元に頭をあてる。「首がいたいわ。精一杯伸ばさないと届かないから」
「俺も。あちこち折りたたまないと、とどかない」目を合わせて、くすくすと笑う。
「・・・シャワー使う?」手塚の声が、湿り気を帯びて耳に届く。

ソファでくつろぐ手塚の後姿を、ちょっとだけ、恨めしげににらんだ。
実は、鎌倉へ行くと聞いてリゾートホテルか老舗旅館に泊まると思い込んでいた。
浴衣常備と思っていたので、夜着など持ってきていない。

初めて抱き合うと言うのに。

全裸にタオル・・・手馴れているみたいで絶対やだ。かといって、ワンピースを着直して出るのは不自然だ。
・・・これじゃあ、笠原とレベル変わらないわ。
浴室で途方にくれていると、ノックの音がした。「大丈夫?」引き戸は開けずに、手塚が声を掛けてきた。

「ホテルじゃないなら、先に言ってよ・・・こんなときなのに着るものがないなんて、間抜けにもほどがあるわ」
扉の向こうで、手塚が声を上げてわらう。
「笠原と同じレベルってことに気がついて、目の前真っ暗よ」自分も可笑しくなってきて、声を合わせて笑った。
手塚の気配がいったん消えて、戻ってくると、細く引き戸が開けられて、Tシャツが差し出された。
「ないよりマシ、だろ?」素直に受け取って、かぶる。

やっと、浴室から出てきた柴崎をみて、おもわず半身引いてしまった。一言で言うと、扇情的。
実際何サイズ違うのか半そでシャツと言うのに肘まで隠れてしまっているし、襟ぐりは大きすぎて、鎖骨が完全に出てしまっている。
テニスのスコートぐらいのすそから細く白い足がすっきりと伸びる。
タオルに包まれた頭はたぶん、バツの悪さを隠すためだ。
「・・・ありがと」そそくさと手塚の前を通り過ぎてリビングのローソファに座り込んで、ひざを抱えるさまも可愛らしいじゃないか。

手早くシャワーを浴びて出ると、柴崎は同じ格好で窓の外を眺めていた。
くしゃくしゃと頭を撫でてから、腕をつかんでローソファの上に立たせると、二人の背丈はほぼ同じになった。
「これなら、首が痛くならない」
まだちょっと、むくれた顔に手を添えて、キスをする。最初は唇を合わせるだけ。歯列を割り、より深く。
柴崎の二の腕が、するりと首に巻きついてきた。細くて、柔らかい感触。
細い背中に手をまわすと、ぬれた髪の感触が手にまとわり付いてきた。
「・・・ん」少し、身をよじって唇を離す。柴崎の、下唇が濡れてひかっているのがたまらない。
ひざ裏をかかえて横抱きにし、宝物を運ぶように、寝室へ移動した。

・・・俗に言う、お姫様だっこよね、これ。
なんだかとても恥ずかしくなり、手塚の首にしがみつく。
「じっとしてないと、落ちるよ」手塚の声がつま先まで響き渡って、それは性的な刺激に直結するので、耳まで血が上ってくるのが自分でもわかる。
処女じゃあるまいし、どうしてこんなに動揺しなきゃいけないの!

自分だけ恥ずかしいのは悔しいので、すぐそばにある耳たぶに吸い付く。
反対側の耳も、手でなぞる。「ぁ、こら、柴崎」上ずった声はすごくセクシーで、耳に甘い。
欲望をストレートに感じさせるのに、ちゃんと自制する。
この抑制することを覚えている男をのたがを、はずしてみたい。
首筋へ唇を移す。少し下がると、あのときの傷がある。
すぐ近くにもうひとつ。順番に傷を確かめながら指と唇を這わす。
時折、息を詰めたり、ため息をつく手塚が愛おしい。

いつの間にか、ベッドに下ろされていることに気がついて驚いた。
そおっとTシャツの中に入り込んできた手は大きくて暖かかくて、決して私を傷つけることなく肌の上を移動していく。
こんな風に大事に扱われたことなんか、ない。
泣きたい気分でもう一度手塚の首に手をまわし、引き寄せてキスをする。何度も。

Tシャツを脱がせてしまうと、間接照明の中に上品な光沢の下着に包まれた柴崎の肢体が浮かび上がる。
「明かりを落として」柴崎は恥らって目を合わせようとしない。
肌をいためないように下着を取り払う自信がなくて、指先が震えた。
「いやだ。」ブラジャーを取り外すと、形の整った乳房がまろびでた。
「ちゃんと、見たい。」
なんの刺激も与えていないというのに、先端がつんと立ち上がっているのが見えた。

無意識に隠そうとする柴崎の手をとって、バンザイをするように固定する。
その手首の細さと、自分の身体の中にすっぽりと納まってしまう身体。
全てがやわらかい曲線で構成されていて、想像以上に細くて、白くて、息を呑む。
力加減ひとつで、簡単に壊してしまいそうだ。

「・・・手塚」
かすれた声に視線を顔に移すと、泣き出す寸前のような潤んだ瞳で見つめられていた。
吸い込まれるように唇を貪り、細い腰に手を回した。
触れる柴崎の身体は、どこもかしこも柔らかくて、しっとりと手に馴染む。

おずおずと胸を這う唇や、ゆっくり大腿の内側を撫でる手が、じわじわと私の体温をあげていく。
なんというか、その。・・・気持ちがいいのよ、とっても。
私は今まで性行為で具体的に快感を感じたことはなかったのだと、改めて実感する。
絶えず与えられる電流のような刺激に耐え切れず、吐息が押し出されていく。

足の間に入り込んだ手塚の手が、繊毛を柔らかくかきわけ充血した襞をかきわけて最奥に到達する。
そこは、自分でも分るほど熱く、潤ってしまっている。

あぁ。気持ち・・・いい。

繊細な指の動きに、思わず口にした素直な言葉に手塚の手が止まった。
「やめないで」
上目づかいでこちらの反応をうかがう、その眼差しは子犬のようでいたいけ。
思わず手塚の頭に手をやって引き寄せる。
この人にも私と同じように気持ちがよくなってほしい。

引き締まった背中の筋肉に沿って、指を滑らす。
手が届かなくなるところまで背骨に沿って指を下ろしていくと、肩甲骨の下辺りを通り過ぎたときに手塚の腰がぴくっと動いて、大腿に当たった。
それは昂ぶっている、と分かる感触を残してはなれていき、満ち足りた気分になった。

怒張した自分自身に触れられて、その大胆さと刺激の強さとに慌てた。
形をさぐるように、細い指が行き来する。
「すごいわ、手塚」
ため息のような吐息が胸元に当たる。胸元に吸い付く唇の感触に怒張の勢いが増す。
これ以上触られていたら、呆気なく果てそうだ。そうじゃなくてもいい様に焦らされ続けてきたことだし。

片膝の裏に手を入れて持ち上げる。ぴく、と白い腿が痙攣しているのが目に入った。
身体の下で待ち受ける小柄な身体は体重をかけると壊してしまいそうで、躊躇してしまう。
視線を合わせて、柴崎が微笑む。「大丈夫、案外タフにできてるのよ」
・・・お見通しか。
「手塚が与えてくれるものなら、何でも受け止めるわ。大丈夫よ。」

何があっても、この愛おしいひとに苦痛をあたえることがあってはいけない。
大事にする、と誓ったのだ。

ゆっくりと彼女を損ねることがないよう、ゆっくりと足の間に割り入っていく。
よく潤った泉は、まるで誘うように奥へ奥へと導いてくれる。
「ん・・・あ」
仰け反る柴崎の白いのどに目がくらみ、包み込まれる快楽に全身から汗が噴きだした。

予想以上にきつい。自分の胎内は、手塚のモノでいっぱいに満たされている。
さっき、この手で確かめたとき、実は大きさにたじろいだことは、手塚に黙っておこうと思う。
ゆっくりとコトを進めてくれるのはうれしいのだけど、そのもどかしさとか、恥ずかしさが私の快楽の後押しをしていることに気がついているのかしら。

やっとのことで胎内に手塚を納めて、一息つく。
手塚はすぐには動かずに、感覚がなれるのをまってくれている。やさしさに、泣きたくなる。
もう大丈夫。言葉には出さず、背中にまわした手に力をこめた。
「ちょっとだけ、力ぬいて」
耳をなぶる手塚のかすれ声に、どぎまぎしてしまう。

「そんな風に、しっかり締上げられたら、俺、もたない」
切なげにゆがむ表情と、切羽詰った声。
その時初めて、手塚に余裕がなくなっていることに気がついた。
全身がしっとりと汗にぬれ、目が潤んで光っている。
どうしようもなく欲情して、自分から手塚の腰に、足をからめた。

ゆっくりと、自身を引き抜く。
「ん。・・・・は・・・・ぁ」おしころした吐息が耳に甘い。
柴崎の両足をしっかりと抱えこみ体勢を整えて、もう一度彼女の中に押し入いる。
「あぁっ」
十分に深いところまで入り込み、ゆっくりとしたストロークで動きはじめた。

のけぞる白い肌に唇をよせ、夢中で吸う。
横から果実のような乳房に手をかけると、不自由な体勢で柴崎が身をよじり、その瞬間ひときわ大きな嬌声が上がった。

おもわず動きをとめて彼女の顔を覗き込んだ。
浅い呼吸と濡れた瞳、半開きの唇とむせるような彼女のにおい。
赤く上気した顔は、快楽をはっきりと浮かべていて、たとえようもないくらい美しい。
「じらさないで、お願い」すがり付いてくる柴崎の手が煽るように背中で蠢いた。

リミッターが、振り切れた。

次第に早くなる抽送のペースを、自分で制御できない。
絶え間なく柴崎の唇から漏れ出す吐息が自分の名を呼んでいることを聞き取ったとき、限界が訪れた。

静かな室内に、海風が吹き込む。
夜に冷やされた風は、熱い時間をすごした2人の体をすこしだけ冷まして吹き抜けていった。

すっぽりと手塚の腕の中に包まれているのは、なんて気分がいいのだろう。
初めて身体を重ねたというのに、この満足感は何なの?

わたしは、今までこんな穏やかな愛情を持てるとは思っていなかった。
感謝をこめて、回された手に口付けを落とす。
「柴崎?」
耳に注ぎ込まれる声はあまりに近く、甘い。
「ありがとう、大事にしてくれて、っていうキスよ」
回された手に、力がこめられる。心地よさに、眩暈がする。

ちゃんと、幸せね、わたし。

すうすうと寝息を立てる柴崎の髪をそっと梳く。

いままで、付き合ってきた女性たちに、つくづく申し訳ない。
自分がいかにいい加減な人間関係を結んできたか、よく分かった。
こんな気持ちを持てたのは、この腕の中の人のおかげだ。
感謝したいのは、こっちだ。

室内に吹き込む海風が彼女の体温を奪いはしないか、心配になって立ち上がる。
窓を閉めて、カーテンを引き、再び彼女のいるベッドへ戻る。
起さないように隣に滑り込むと、細い手があたりを探るように動いていた。
引き寄せられるように彼女の手に自分の手を重ねると、するっと腕ごと巻き込まれて再び抱え込む格好になった。
その仕草が幼くて、思わず頬が緩む。
柴崎の寝息に呼吸を合わせていると、幸せな眠りがすぐに訪れた。

タグ:

図書館手柴
+ タグ編集
  • タグ:
  • 図書館手柴
最終更新:2008年09月30日 22:33
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。