図書館戦争シリーズ郁×堂上 1スレ584-590その2

1スレ目 584-590その2

夢の中で、君は


絶品と言われる食事もあまり喉を通らないまま終了し、部屋へと向う算段になった。
ここまで来てしまってはもう逃げることは許されない。
今晩は寝られないけれど仕方ない、郁はそう腹を括った。
ドアを閉めると同時に後ろから抱きしめられた。
首筋に堂上の唇が這うのが分かる。
耳朶を軽く噛まれ、郁は思わず小さく声をあげた。
くるんと身体を回転させられて堂上のほうを向かせられる。
と、腰と首を引き寄せられて唇を合わせた。
そういえばキスも久しぶりだな、などと思っていたとき、舌が入り込んできた。
優しいけど激しい舌は、郁が応答することを望んでいるように絡めてくる。
郁も慣れないながらも反応する。

「……んっ……ふっ」

声を堪えるようとすればするほど唇端から喘ぎに似た吐息が漏れ、絡めあう舌と混ざり合う唾液が淫靡な音を奏でてゆく。
反則とも思える舌使いをされた上に、堂上の右手は郁の胸を揉みしだき始めている。
郁の膝は限界を迎えてガクガクと震え始めた。
それに気付いた堂上は郁を膝から掬って抱き上げると、ベッドまで運んで下ろした。
顔の横に両手を付かれ、真剣な眼差しで見下ろされる。
その様子に居た堪れなくなった郁が先に口を開いた。

「ふ、服が皺に」

「すぐ脱ぐから気にするな」

「シャ、シャワーは」

「必要ない」

言い放つと堂上が再び口付けてくる。
さっきと同様に荒々しく唇を塞がれ、息をすることすら憚られるような舌で蹂躙される。

「……ぅんっ……くふっ……」

自分の吐息がまるで喘ぎ声のように響き渡る。
いや、実際堂上の舌に感じ始めているのは紛れもない事実だ。
キスに飽きた唇が、今度は首にまわる。
郁が感じる筋沿いを攻め立てるように、唇と舌が蠢く。
時折、耳を噛まれたり熱い息を吹き掛けられ、郁は気持ちよさから全身を震わせてしまう。
堂上の手は器用に郁の衣服を剥がして行き、あっという間に郁を下着姿に変えた。

「きょ、教官っ……灯り、灯り消してください……」

今はまだ明るい場所で全てを見られたことはなかった。
何度も身体を重ねてはいるが、やはりまだ恥ずかしさが先立ってしまう。
郁にとっては、「その行為は暗い場所で」がいまだデフォルトだ。
しかし堂上はそれを聞こえなかったものとしたのか、ベッドサイドにある調光スイッチには目もくれない。

「……教官っ……暗くしてくださ………んんっ」

再度嘆願した声は、途中で封じられた。
何度も口づけて郁の喉を殺しにかかる堂上の唇。
ひとしきり郁を味わったあと、いつものように真っ直ぐな視線で堂上が口を開く。

「……お前の頼みは聴かない」

「……でも、まだ恥ずかし」

「全部見せろ」

そのセリフと同時に、郁は上半身から全てを剥がされた。
ささやかな胸を捏ねるように揉まれ、その頂は口に含まれては舌で転がされていく。
明るい部屋で、全てを曝け出されていく恥ずかしさと言ったらなかった。
それでなくても女性としての魅力には程遠い体型の自分なのだ。
それが分かっているからこそ、灯りを消してくれるように言ったのに。
なんの羞恥プレイですか、これ。
そんな冗談も脳裏を掠めたが、口に出せるような余裕は郁にはなかった。
執拗に胸を愛撫する堂上の舌と歯と指は、郁の身体の芯までを悦ばせる術を知っていた。
乳首を軽く噛んでは甘く吸い上げる。
その度に、郁は小さな嬌声をあげるのだ。

「やっ……んっ…きょ…かんっ…」

胸を揉む間にも腰をなぞることを忘れない堂上の手が、郁のショーツに伸びる。
郁のそこが既に濡れそぼっていることは十分承知していた。
さっきから、郁が腰をもぞもぞと所在無げに揺り動かしていたから。
実際指を這わせると、布の上からでも判るくらいだ。

「――あっ、だめ、きょうか――ー」

郁が咄嗟に止めようとする前に、堂上の指が下着の中へ入り込んだ。
くちゅ、といやらしい音を立てて、そこは堂上を招き入れる。

「んんっ」

熱くて柔らかくて艶めかしいその中を指で玩ぶたびに、郁は悦びの声をあげる。

「ここだろ?」

郁の一番いい場所は、指が覚えている。
そこを探し当てて指の腹で擦り上げると、

「―――ああっっ」

さっきより一際大きな声で啼く。
その声が聞きたかった、と堂上は内心で呟いた。
3ヶ月もお預け食らわせられたのだ、このくらいの意地悪は許されるはずだ。
もう片方の手でするりと郁のショーツを取り払うと、堂上は郁の秘部へと顔を寄せた。
そうされた側の郁はもうパニックだった。
堂上がこれからしようとしている行為は、郁の限界を超える羞恥の絶頂だ。
必死で抵抗してみるものの、中に収まっている指の動きがそれを許してくれなかった。
堂上がそこを擦り上げるたびに、郁の理性 が削がれていくのだ。

「―――やあっ……み、見ないでくださ」

郁の声を無視して、愛液で淫靡に光るそこに舌を這わすと、苦くて甘い味が口中に広がる。
堂上は溢れ出る愛液を舌で掬うと、上にある小さな突起へと伸ばした。
既に充血して膨らんだその突起を軽く吸うと、郁の身体がビクンと跳ねる。

「――いや、――んんっ、ダメで……ああああんっ」

突起を吸うたびに、郁の中はキュッと指を締め付ける。
適度な強さでその行為を繰り返してやると、郁の膝が戦慄くように震えだ した。
この予兆は。
堂上はさっきよりもやや強めに指で擦り、突起を吸い出した。

「あああっ―――教官っ、……だめぇっ―――」

ひときわ大きな声で啼くと、郁が一気に脱力したのが分かった。
中はその逆に、指をキュンキュンと締めて来る。
蠢く中の余韻に浸っている間もなく指を抜き、堂上は自分の衣服を素早く脱ぎ捨てて、避妊具を自分に被せた。
ぐったりと呼吸を整えている郁に覆いかぶさると、まだ濡れている郁にあてがう。
そうされた郁の方は驚いて抵抗を試みた。
が、

「――ちょっ、待っ……教官、あたし、まだ」

言い終わらないうちに、勢い良く郁の中へと挿入していく。

「あああんっ」

絶頂の余韻はまだ残っていた。
いつもよりキツめの中は、堂上をこれでもかと締め付けてくる。
3ヶ月ぶりの自分としては、どのくらい持たせられるか甚だ自信はなかったが、一度イカせている郁を再度登り詰めさせるのはそんなに困難じゃないだろうと予想は出来た。
いつも通りゆっくりとした動作から始める。
さっきまでの激しい愛撫とは対極的な動きが、郁を焦れさせた。
自分から強請るように腰を押し付けてくる様子に、意地悪心がもたげだす。

「どうした?……腰が動いてるぞ」

言葉で攻めてみたことは無かったが、郁が締めて来たところを見るとこれも有効かもしれない。

「う、動いてなんてっ」

反論してみるものの、意思を失った腰が堂上の動きを求めていることは明らかだった。

「激しくしてほしいのか?」

「そ、そんなこと、無いですっ」

郁の反論は既に肯定だ。
堂上は腰に力を溜めて郁の奥を一突きした。
その途端、郁の身体が震えたのが伝わる。
やはり、もう一度イキたがっていることは明白だ。

「もう一度、イクか?」

「やぁっ……堂上教官っ……意地悪っ……」

「意地悪はどっちだ?さんざん焦らされたのは、……俺のほうだと思ってたが?」

「―――そ、それは―――ああっ」

言い訳をしようとした矢先、再度奥を一思いに突かれ、郁の理性は吹っ飛んだ。

「教官っ―――イカせてくださっ―――もう、欲し……」

『欲しい』とは最後まで言えなかった。
言葉の途中で、堂上の突き上げが激しくなったからだ。
熱い杭が打ち込まれるような感覚が、郁の身体を支配する。
その感覚は堂上の動きが激しさを増す程に郁を虜にしていく。
結合した部分からは、粘着質な音と肌がぶつかる音が響く。
いやらしく響く音は、耳を塞ぎたくなるほど恥ずかしいもののはずなのに、郁にはどうすることもできないのだ。
その音が、郁が堂上を誰よりも求めている証拠なのだから。
貫かれる度に最奥にもたらされる鈍い痛みにも似た快感が、徐々に頂きへと導き出す。

「あっ――だめ、……きょう、かんっ……あ、たしっ―――」

郁の言葉を聞くやいなや、堂上の動きは更に早まった。
そして一気に郁は登り詰める。

「だめっ……ああっ!………――――!!」

先ほどと同様に脱力すると、心地よい疲れが郁を襲ってきた。
だめだ、このままだと眠ってしまう。
この期に及んで寝顔を見られる恥辱と闘おうとした矢先、堂上が一度抜いてから郁の体制をごろんとひっくり返した。
腰を持ち上げられて、立ち膝にさせられる。
―――え? 声にならない疑問は、次の瞬間に答えになる。
あろうことか堂上は、絶頂を迎えたばかりの郁を後ろから再度貫いたのだ。

「やぁっ!教官っ!あたしっ――――」

「俺はまだだぞ」

「そ、んなっ…だって、無理っ………ああああんんっ!」

それでなくてももう既に2回も迎えている。
これ以上は無理だというのに、堂上の動きは容赦がなかった。

「俺はイカせて貰えないのか?」

「だってっ――ああっ!―――これ以上はっ…あたしっ…うううんんっっ!」

ずぶずぶと出し入れされ、さっき打ち抜かれている場所とは違う場所を攻められる。
またも襲ってくる、あの波。
―――ああ、あたしまたイッちゃう―――
絶頂の余韻の最中に、また絶頂を迎えたのは初めてのことだった。
そして、アルコールの力を借りずに意識を失ったことも、初めてのこととなった。

「めちゃくちゃ可愛いんですってね、教官の寝顔」
業務中に話しかけられたと思ったら、柴崎が何かを含んだような表情で近づいてくる。
なんだそりゃ。
誰が言ったんだ。
言おうとしたことが顔に出たのか、柴崎は訊く前に悪びれもせずに答える。

「笠原がそう言ってました」

コイツラが普段どんな話をしているのか、想像が出来ない。
きっと、俺のような男はからかいの種になっているんだろうと思うと、面白くないのも当たり前だった。

「知るか。自分の寝顔なんて見たことないからな」

不機嫌そうに答えると、柴崎が待ってましたと言わんばかりに堂上の答えを受け取った。

「そう、それなんですよ」

「何がだ」

「今回の笠原の悩みです」

「はぁ?」

自分の寝顔が可愛くないと思い込んでいる、だから寝顔を見られるような環境を作りたくない、故に教官ともお泊りなどできない。
これが郁の悩みの種明かしだったことを、柴崎から教えられた。

「大変だったんですよー。すっごくいい夢見てたのに叩き起こされて」

その所為で迷惑を蒙ったことを声高に言う柴崎をよそに、堂上は呆れるのを通り越して落胆している。

「アイツは……どこまでアホウなんだ」

「だから、言ってやってくださいね、あの子の寝顔がすっごく可愛いってこと」

「んなこと、とっくに知っている」

「でしょうねー。でも、毎日拝めるのは今のところ私だけですからね」

「なんだそりゃ」

「同室の特権」

堂上をからかうことに成功したことに満足が行ったのか、見事にウインクを決めたかと思うと柴崎は足早に駆けて行く。
その途中でこちらを振り返り、

「今度ご馳走してくださいねー」

と恩を着せることも忘れなかった。

失神してしまった郁に布団をかけてやりながら、堂上は今回の騒動を思い返していた。
寝顔のことを気にするなんてコイツらしいといえばそれまでなのだが、その所為で我慢させられていたのかと思うと、意地悪してやりたくなるのは許容範囲だろう。
流石に失神させてしまったのは悪かったと思うが、帰りたくないと思わせるくらいに疲れさせてやろうと思ったことは否定しない。
郁の寝顔は、無防備でその分とても無邪気だった。
時々眠りながら微笑んでいるときがある。
そんな時、自分が夢に出ていればいい、と思う。

「そうだ」

ふと、ひとりごちてズボンのポケットから機種変更したばかりの携帯電話を取り出した。
カメラモードに切り替えて、眠る郁を画面に収めた。
柴崎め。
これで俺も毎日拝めるぞ。
初めて郁を被写体にして撮った写真同様に、郁の寝顔は深いフォルダに格納されることとなった。
もちろん、幸せそうに眠っている郁は、まさか堂上が自分の寝顔を撮ったなどとは、夢にも思ってはいない。

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最終更新:2008年09月25日 03:36
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