1スレ目 699-700
ベッドの上で向かい合っていたのが、キスに夢中になっている間にいつの間にか押し倒されていた。
浴衣などあってないようなもの。初体験時にいきなり上半身を剥かれた衝撃に比べれば、ゆっくり乱されていく今の状況などなんてことはないと思ってしまう。
エスカレートする舌の動きに翻弄されながら、身体のあちこちを撫でられる心地良さに心すら任せた。
堂上の大きな手が太股に伸びたところで、唇を離される。
「……そういえば、あのとき痴漢にはどこを触られたんだ?」
「ふぁ……?」
何の話かすぐに思い出せなかったのは舌の感触に浸っていたせいもあるだろうが、それ以上に郁にとって痴漢事件は過去の出来事であり、今更悔やむほど重要なことではなかったから。
なのに堂上は、なぜ今掘り起こすようなことをいうのか。
「なんで、今、そんなこと……」
「俺が触る前に触られたんだ。改めてお清めさせろ」
お清めって、そんな。
確かに変態の手など汚らしく耐えられるものではないが、あれからどれほどの時間が経っていると思っているのか。それでなくともあの日は風呂で念入りに洗ったというのに、この期に及んでさらになにを清めると。
そんなことを言い返す前に、堂上は郁の美しい片足を軽々と肩に担ぎ、日に当たらず白く輝く内太股へと唇を当てた。
「きょ、教官、そんな、今更」
「今更でもいいだろう、気分の問題だ」
「でも、パンスト穿いてましたし!」
「あんな薄い生地で何が防げる」
何を言っても止める気はない堂上の舌が柔らかな肌を滑った。郁 の若い肌は唾液を弾きながらも、濡れたそれに敏感に反応する。
「ぁんっ!やっ……」
「足も敏感だな。そんなに感じるのか」
当初は本当に清めるつもりだったのが、郁の素直な身体に堂上のなにかが刺激される。
それは子供染みた悪戯心に似ていたのかもしれない。ゆえに堂上は、その感情に従い足への愛撫を本格的にする。
太股から膝裏、ふくらはぎを焦れるような速さで辿り、震える指先へと到着するころには郁の呼吸はすっかり上がっていた。
「やぁ……きょうかん、そこは……」
僅かな抵抗など意味を成さない。それは郁もわかっているはずなのに、残った理性は抗わずにはいられない。
指の一本一本を丁寧に舐められ、間すら余すところなく愛される。その行為自体から堂上の想いの深さが伝わるようで、嬉しくて堪らない。
それに加え自慢の部位から快楽を与えられることに激しい羞恥を感じた。速く走れればそれでいいはずの部分なのに、彼に触れられただけでこんなにも気持ちいい。
「そんなとこ、舐めないでっ……」
「恥ずかしいからか?それとも気持ちいいからか?」
どちらも言い当てられ、頬に熱が上った。見つめてくる顔を見ていられなくて、きつく瞼を閉じ、両手で顔を隠す。
堂上は舐め尽くした足を下ろし、再び太股を撫で上げる。もう彼が触れていないところなど残っていなかった。
耳元に寄せられた唇が、低く言葉を囁く。
「俺だけのものだ。もう誰にも触らせるな。お前は、俺の手だけ覚えていればいい」
自分が好きな人のものになる。
その幸せを郁に教えたのは、堂上ただ一人だった。
最終更新:2008年09月25日 03:37