初任務!謎の事件を調査せよ

ネオによるEGO能力研究機関の占拠。この事件は表向きはクリュセルス支部の暴走という形で世間に公表された。
この件で戦力のこうして終着を迎えたと思われたネオの反乱だったが、彼が残したものは世界に混乱をもたらす予兆となるのであった。

~タウガス共和国~
タウガス共和国。この国でもその余波が一つの事件をもたらそうとしていた。

EGO隊員A「報告があった場所はここら辺のポイントだな」

タウガス共和国に設置されているEGO支部の隊員はとある場所の探索に来ていた。

EGO隊員B「間違いない。だが本当にここにいるのか?」
EGO隊員A「できればいないでほしいものですけどね…」

ガサガサ

隊員たちの横の草むらが揺れる。注意を払う隊員たち。

EGO隊員A「ゴクッ」

息をのみ銃を構える隊員。

ピョン!

EGO隊員B「!」

草むらから飛び出してきた生物。それは野生の兎だった。

EGO隊員A「なんだ…驚かせやがって…」
EGO隊員B「見間違いだったんですかね…戻りますか」

隊員の一人が現場を後にしようと背を向ける。その時…

ガブッ!

EGO隊員A「えっ…」

隊員の一人が姿を消した。一瞬の出来事だ。

EGO隊員A「お、おい!どこにいった!返事をしろ!」

???「ココ…ココダヨ…」

声が聞こえる。

EGO隊員A「どこだ?」

???「ココ…ダ」

ポタ

隊員の頬に上から何かが落ちてくる。

EGO隊員A「なんだ?」

頬をぬぐう隊員。

EGO隊員A「こ、これは…血!?」

頭上を見上げる隊員。

???「ココ…」

そこには見たことのないような化物が口から血を滴らせ、隊員のことを見据えていた。

EGO隊員A「う、うわぁぁ!!!」

銃を構える隊員。だが…

ガブッ!

隊員が銃を撃つよりも早くその異形の化物は大きく口を開き隊員へとかぶりつく。一口で丸呑みにされてしまう隊員。

バリゴリボリ

異形の化物はそのまま闇夜に紛れ姿を消した。

~EGOミストラルシティ支部・長官室~
十也「天十也到着しました!」
結利「同じく来未結利!」

カレン「来たか」

長官室に呼び出された十也と結利。
カレン「喜べ。お前たちの初任務だ」
十也「任務!とうとう俺の出番ですか!」
カレン「そうだ。お前たちにはタウガス共和国に行ってもらう」
結利「えっ!?いきなり左遷…」
十也「そんな…」
初任務と浮かれた直後に急激に落ち込む二人。
カレン「話は最後まで聞け!お前たちの任務はタウガス共和国での調査協力だ」
十也「調査協力?」
カレン「そうだ。タウガス共和国のことは知っているな?」
結利「全然」
十也「同じく」
カレン「くっ!まずはそこからか…」
しぶしぶと二人に説明するカレン。
十也「へ~。なるほどクリュセルスと同じ大陸にそんな大きな国があったなんてな」
カレン「タウガス共和国は周辺国とは違い独自の歴史を歩んできている国だ。それゆえその国独特の文化が発達してきたそうだ」
結利「すごいね~。カレン長官は物知りだね!」
カレン「バカ者!これくらい一般常識だ!」
結利「すいません…」
頭を下げる結利。
カレン「では本題に入るぞ。タウガス共和国では最近謎の生物による被害が起きているらしい。その調査の協力をお前たち2人に行ってもらうというのが今回の任務だ」
十也「謎の生物?」
カレン「先方がお前たちを指名してきたのはその生物の正体。それが関係しているということだ」
結利「もしかして…それって!」
カレン「そうだ。おそらく未元獣と思われる」
十也「未元獣!?」
カレン「そういえばお前たちは知らなかったな。ネオの造った未元獣。奴らを完全には処理しきることができなかったのだ。指揮官が居なくなり統制を失った未元獣たちは野良未元獣として各地に身を潜めている」
結利「それがタウガス共和国に現れたってこと…」
十也「だから俺たちが呼ばれるわけか」
ネオとの戦いで未元獣と何度も戦っている十也たちなら対処に適していると判断されたのだろう。
カレン「そういうことだ。状況は理解したな」
十也「あぁ!じゃあ行ってくるぜ!」
カレン「ちょっと待て」
十也「?」
カレン「タウガス共和国へ向かう前に技術研究部へ寄っていけ」
結利「技術研究部?ってどこだっけ?」
十也「あ~たしか…」
ミストラルシティEGOを始めとした各支部に新たに設置された部署だ。
カレン「そこの部長がお前たちに話があるそうだ」

~EGOミストラルシティ支部・技術研究部~
十也「失礼します!」
???「やぁ。」
部屋に入ると髪を後ろで束ねた穏やかそうな男性が2人を出迎えた。
結利「へ~ここが技術研究部…」
部屋の中は様々な武器やデータを羅列したボードで埋め尽くされていた。
マードック「僕はここの技術研究部の部長として配属されたマードック・ロン。よろしくね天十也君と来未結利君」
十也「よろしく。俺のことは十也でいいよ」
結利「私も結利で!」
マードック「未元獣の混乱を治めた英雄たちからそんなことを言われるなんて光栄だね。」
十也「英雄だなんてそんな!」
結利「照れるなぁ」
マードック「謙遜することはないよ。君たちはそれだけのことを成しえたんだから」
十也「だとしてもそれは俺たちだけの力じゃなかったさ。みんなの力があったからこその結果だったと俺は思ってるよマードック」
マードック「ふふふ。君は思った通りの人物だね。そんな君だからこそみんなが力を貸してくれるのかもしれないな。それと僕のこともドクでいいよ」
結利「でもドクも新しく設立された部署の部長だなんてすごいよね!」
ドク「そんなことはないよ。これはいわゆる島流しみたいなものだからね」
十也「島流し?」
ドク「本部は未元獣の一件で戦力の一極集中に危機感を覚えたみたいでね。」

クリュセルスに設置されていたEGO最大の能力研究機関ユグドラシル。そこをまるまる占拠されたことで起きた未元獣事件。
同じ事態を避けるためにも本部は各地の研究機関の規模を縮小し、その人材を各地の支部へと配属したのであった。

ドク「その結果、新たに設立されたのが技術研究部ってわけだよ」
十也「じゃあドクも元々は別の場所に?」
ドク「うん。僕は元々EGOの戦闘用装備を開発する機関にいたんだけどね。今回の件でミストラルシティ支部に配属されたんだ」
結利「ひどい話だね!」
ドク「まぁ元いた場所から離されるのは悲しいけれども、何も悪いことばかりじゃないさ」
結利「というと?」
ドク「こうして君たちみたいな気持ちのいい人に出会えたからね」
十也「ドク…」
ドク「それに専用の部署を用意してもらえたんだ。研究を続けることはできる。これからは君たちミストラルシティEGOの力になれるよう全力を尽くさせてもらうつもりだよ」
結利「心強いね!」
ドク「で、そろそろ本題に移ろうか」
十也「本題?」
ドク「君たちをここに呼んだ理由さ」
結利「あ~すっかり忘れてたよ!」
ドク「実は本部から各支部の技術研究部にあるデータが送られてきたんだ」

ピッ!

部屋のモニターの電源を入れるドク。モニターに映し出される映像。
十也「これは?」
ドク「本部で試験的に開発した武器…なんだけどどうにもうまく機能しないらしくてこれを機能させるために各支部にデータを送るから改良し試行錯誤しなさいっていう課題なんだよね」
十也「なんだか難しそうだな。でもどうしてそれが俺たちと関係が?」
ドク「実はこの武器のうまく機能しない部分っていうのが未元粒子のエネルギー化の機能なんだ」
結利「未元粒子のエネルギー?」
ドク「そう。未元粒子はあの場所にいた君たちの方がよく知っているよね」
ネオが語った能力の元となる粒子。それが未元粒子だ。
ドク「嘘か本当かわからないけどEGOは崩壊したユグドラシルからネオ長官が残した特殊な技術のデータを回収したらしいという噂がある。それが…」
十也「未元粒子のエネルギー化」
ドク「そういうことだね。でも実用段階には至っていないってところかな。だから僕は別の方向からアプローチをかけることにしたんだ」
十也「別の方向?」
ドク「武器に粒子エネルギーを乗せるのは難しそうだから、能力者に合わせた武器の作製を施策してみようと思ってね」
結利「どういうこと?」
ドク「能力を持つものがその能力を最大限に生かすための武器。でもそれじゃあ本部の求めているものとは違うんだけどね。」
十也「じゃあなんでそんなものを造るんだ?」
ドク「十也、僕はね。自分が造った武器が正しく使われることを望んでいる。誰かを不幸にするためじゃなく、人を助ける力となるための武器を造りたいんだ。だから本部は必要としていなくても僕はそういう武器を造ろうと思ったんだ。今そこに必要としてくれそうな正しい力をもつ者がいるからね」
結利の方を見るドク。
結利「えっ?わたし?」
ドク「結利。君の能力についてはEGOのデータベースで確認させてもらったよ。それで…」

ドス!

ケースを取り出すドク。
ドク「これは僕が試験的に造ってみた結利専用の武器が入っている。これは僕からの君へのEGO就職祝いだ。受け取ってくれ」
結利「えっ!いいの!?」
眼を輝かせる結利。
ドク「君なら僕の武器を正しいことに使ってくれるだろ」
結利「うん!約束するよ!」
ドク「十也。君にも何か力になれそうなものが造れれば連絡するよ」
十也「ありがとうドク!」
結利「ありがとう!」
ドク「これが僕の仕事だからね。二人ともタウガス共和国では気を付けて!」
十也「あぁ。なにがあるかわからないからな。用心していってくる!」

ドクからの餞別を受け取りタウガス共和国へと向かう十也と結利。
そこで二人を待ち受けるモノとは…

to be continued

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最終更新:2017年01月09日 20:05