結利と十也はカレンの指示によりモゴラ大陸にあるタウガス共和国へと向かう。タウガス共和国で起きている謎の事件を解決するために。
~EGOタウガス共和国支部~
十也「EGOミストラルシティ支部所属天十也です」
結利「同じく
来未結利!」
2人はタウガス支部へと到着した。2人を出迎えるタウガス支部の隊員。
EGOタウガス支部隊員「お待ちしておりました!長官がお待ちです!」
2人は隊員の誘導で長官室へと通される。
~EGOタウガス共和国支部・長官室~
???「おぉ!来てくれたか!」
小太りの中年の男性が二人を待っていた。
金「私はタウガス支部の長官を務めている金(キム)だ。天十也君、君の活躍は聞いているよ。」
十也「いや~それほどでも」
金に褒められ照れる十也。
???「あのクリュセルスの一件を納めた立ち役者だと聞いています。そんなあなたが来てくれるなんて心強いですね」
金の隣に立つ男性が十也のことをさらに褒める。
十也「にへへへ」
あまりに褒められ顔がにやける十也。
結利「十也!にやけすぎだよ!」
十也「わ、悪い悪い!」
金「はははは!いいんだよ。君はそれだけの活躍をしたのだから。それでさっそくだが君たちに来てもらった用件を副長官の王(ワン)から説明させてもらうよ」
金の隣に立つ男性が前へとでてくる。
王「タウガス支部の副長官を務めさせていただいている王 黄龍(ワン イーロン)です。よろしくお願いします」
十也「こちらこそ!」
結利「よろしくお願いします!」
王「では今タウガス共和国で起きている事件について説明させていただきます。大まかにはカレン長官からお聞きになっているとは思いますが…」
結利「野良未元獣が人を襲っているって事件ですよね?」
王「そうですね。ですが少しおかしな点があるのです」
十也「おかしな点?」
王「はい。襲われた隊員の一人が一命をとりとめたのですが…その隊員の証言によると襲ってきた未元獣と思われる生物は言葉を発していたというのです」
結利「えっ!?」
十也「人の言葉ってことですか?」
王「そうです」
十也たちは今まで何度も未元獣と戦ってきたが未元獣が言葉を発していたことなんて一度もない。
王「もしかしたらその隊員が錯乱していたせいで聞き間違えただけかもしれませんが…」
金「だが我が支部の隊員たちが何人もこの未元獣と思われる生物に被害にあっている。なかには支部の中でも実力が高かったものもいる」
王「私もなんどか演習で手合わせした人物でしたが、彼がそう簡単に未元獣にやられるとは思えません」
十也「言葉を話すってことからしても普通の未元獣じゃないってことか…」
王「そう考えられます。これ以上の被害を出さないためにもあなたたちの力を貸していただきたいと思いカレン長官へと応援要請を出させていただきました」
結利「相手は謎の未元獣…」
十也「気は抜けないな…」
緊張する二人。
王「それで早速なのですがその未元獣が出没している場所へと向かおうと思います」
十也「そうですね。そんな危険な未元獣がいるなら一刻も早く倒さないと!」
王「ありがとうございます。敵はどんな相手かもわかりません。万全を期していきましょう。我がタウガス支部からも一人あなたたちの力となれそうな者を同行させます。入ってきてください」
???「はい」
部屋の扉が開き一人の男性が部屋へと入ってきた。
王「彼はタウガス支部のエース李 龍静(リー ロンジン)です。彼が十也さんたちに同行します」
李「李 龍静だ。よろしく頼む」
十也「天十也です。こちらこそよろしくお願いします」
結利「来未結利です。よろしく」
王「では高霊山(こうれいさん)へと向かいましょうか」
部屋を出ようとする王。
結利「あれ?王さんも行くの?」
王「あぁ。言い忘れていましたね。私も同行させていただきます」
金「王はタウガス支部の副長官でありながら李と並ぶエースだ。この2人と君たちならこの事件を解決してくれると信じているよ!」
十也「なるほど!よろしくな王さん!」
王「はい。では行きましょうか」
4人はタウガス支部を後にした。そして謎の未元獣が出没するという高霊山へと向かうのであった。
~高霊山~
十也「ここが高霊山…」
十也たちの前にそびえたつ大きな山。深い霧に覆われた山は不気味な雰囲気を醸し出す。
王「ではここからは手分けし探索しましょう」
李「だったら地理に詳しい僕と黄龍は別行動した方がいいな」
王「そうですね。では私は結利さんと共に行きましょうか」
結利「おっけー!」
十也「じゃあ俺は龍静とだな」
李「よろしく頼む」
王「では対象を見つけたら連絡を取り合うようにしましょう。気を付けて」
こうして2手に分かれ、それぞれに高霊山を探索することになった十也たち。彼らは謎の未元獣を探して高霊山の中を歩き回る。
~結利・黄龍組~
結利「霧が深くて遠くまで見えないね」
王「気を付けてくださいね結利さん。どこに敵が潜んでいるかわかりませんから」
視界の悪い山の中。二人は周囲に気を配りながら山の中を進んでいく。
ガサガサ
近くの茂みから物音が聞こえる。
結利「!」
茂みの方に注意を払う結利。
シュン!
突如茂みの中から何かが結利目がけて飛んでくる。
結利「危ない!」
とっさにかわす結利。飛んできた物体は近くの木へと突き刺さる。
結利「これは牙…?」
???「グルルル」
茂みの中から唸りを立てて牙を飛ばしたと思われる者が姿を現す。
結利「なに…こいつ!?」
その生物は結利の知る未元獣とは異なる姿をしていた。体は未元獣のような4足歩行の動物を思わせる姿。だがその顔は人に近いもので口からは先ほど飛ばしたと思われる長い牙が2本生えている。
結利「あれ?」
あたりを見回す結利。いつのまにか黄龍の姿が見えない。
結利「ま、まずい!はぐれちゃった!早くみんなに連絡しないと!」
通信機を手に十也に連絡を取ろうとする結利。しかし…
結利「あれっ?なんで!?」
通信機の調子が悪いのか通信がつながらない。
結利「ど、どうしよう…」
???「エモノ…ミツケタ」
謎の生物が人の言葉を発する。
結利「人の言葉を喋る生物…間違いないね。こいつが例の…」
???「ワレハ檮杌(とうこつ)。ワレラガリョウドニフミコムモノ。ナンビトタリトモイカシテオカヌ」
檮杌と名乗る生物は結利に対して威嚇するような姿勢を取る。
結利「向こうはやる気みたいだね…みんなに通信もつながらない…だったら!」
手にしたアタッシュケースを地面に置く結利。
結利「ドクにもらったこれで!」
アタッシュケースを開く結利。そのなかにあるものを取り出し装着する結利。
結利「今までは十也たちに守られてばっかりだったけど…これからは私も戦う!」
結利が腰に装着したベルトには3本の短剣が納められた鞘が装着されている。
檮杌「イキテハカエサン!」
大きく口を開き結利へと襲い掛かる檮杌。その牙が結利を襲う。
結利「くっ!」
ガキン!
鞘に納められていた短剣を引き抜き檮杌の牙を受け止める結利。
激しい鍔競合いが起きる!
檮杌「グオオ!!」
激しい咆哮を上げ、結利をかみ砕こうとする檮杌。次第に檮杌の力に押され始める結利。
檮杌「オワリダ!」
結利「まだだよ!ドクの造ってくれたフリントブレードの力!見せてやる!」
結利の持つ短剣フリントブレードは片刃の剣、まるで刃の形がカッターナイフの刃のような形になっている。その刃の間にもカッターナイフのような線が入っている。
カチッ!
突如檮杌の牙を受け止めていた刃の部分からフリントブレードの刃が線に沿って外れる。そして
ボン!
それと同時に刃を繋いでいた線の部分から爆発が起きる。
檮杌「ナニ!?」
檮杌の牙が爆発の衝撃により破壊される。
結利「やった!」
フリントブレードは刃がカッターナイフのように外れる仕組みになっている。その刃はスライドし外れるのだが、刃を繋ぐ面が火打石のような構造になっており外れた衝撃で
刃の接続面に仕込まれた炸薬が爆発するようになっているのだ。
結利「どうだ!これで…」
檮杌「ムダダ!」
壊れた檮杌の牙が抜け再び新たな牙が生えてくる。
結利「この程度じゃ倒せないか…だったら!」
手にした短剣を空中に放り投げる結利。さらに腰に携えた2本の短剣も空中へ放り投げる。
結利「私の能力(ちから)で!リンク!」
3本の短剣が繋がり、ブーメランのような形になる。それを手に取る結利。
結利「フリントスラッシャー!いっけー!!」
ブン!
檮杌目がけ勢いよくフリントスラッシャーを投げつける結利。ブーメランのように回転しながら檮杌へと飛んでいくフリントスラッシャー。
ザシュ!
檮杌の体へと刺さるフリントスラッシャー。
結利「よし!ブースターオン!」
ボッ!
フリントブレードに内蔵されたブースターが点火する。ささった部分の刃がブレードから外れ爆発する!
ボン!
そして回転しながら次の刃が檮杌へと刺さり再び外れ爆発する!
ボン!
檮杌「グォ!」
結利「まだまだ!フリントスラッシャーは全ての刃が外れるまでその回転をやめないよ!」
ボン!ボン!ボン!
連続の爆発が檮杌を襲う。激しい爆発に襲われる檮杌。その姿は爆発の炎に包まれ見えなくなる。
結利「これがドクが私専用に開発したフリントブレードの力だよ!」
シュルルル!
柄だけになったフリントブレードが結利のもとに戻ってくる。それを手に取る結利。
結利「リンク!」
結利の物質を繋げる能力により柄の本に刃が戻ってくる。すべての刃が再び柄へと繋がる。
カシャ!
鞘へとフリントブレードを納める結利。
結利「これからは今まで見たいに守られてばかりじゃないよ!」
激しい爆発の中から檮杌が姿を現す。その姿は先ほどまでとは違い、皮膚は燃え落ちよろよろとしている。
檮杌「ワレ…ガ…」
ドスン!
その場に倒れる檮杌。その体から黒い霧を発し、消滅していく。
結利「やっぱりこいつも未元獣と同じ…はっ!そういえば王さんは!?探さないと!」
檮杌と名乗る生物を倒した結利。これで事件は解決した…
かに思われたが…
十也と龍静。2人の前にも結利の前に現れた言葉を発する謎の生物が現れていたのであった。
to be continued
最終更新:2017年04月05日 20:48