窮奇「グルルル…」
背中から生やした翼を広げ十也を威嚇する窮奇。
窮奇「ガオォォォ!!」
次の瞬間、窮奇は地面を駆ける。
十也「速い!」
眼にもとまらぬ速さで十也へと襲い掛かる窮奇。
ガキン!
ブレオナクで窮奇の牙を受け止める十也。
十也「くっ!」
間合いを取る窮奇。
十也「今度はこっちの番だ!」
ブレオナクを構え窮奇へと突撃する十也。
十也「はあぁぁ!」
しかし十也の攻撃は容易くかわされてしまう。
窮奇「遅イ!」
翼を広げ、加速する窮奇。
十也「だったら!ブレオナク!」
ブン!
ブレオナクを窮奇に向けて投げる十也。
十也「空中なら方向転換できないだろ!」
窮奇「無駄ダ!」
足に力を込める窮奇。
ダン!
十也「なっ!?」
何もない空中を蹴って槍をかわす窮奇。
窮奇「武器ヲ投ゲ捨テルトハ笑止!」
そのまま十也に狙いを定めとびかかる窮奇。
十也「へっ!まだだ!ブレオナク!」
よくみると十也の手にはワイヤーの先端が握られている。それを引く十也。
キュイィィン!
ガン!
勢いよく引き戻されたブレオナクの刃が窮奇にダメージを与える。
窮奇「ナニ!?」
予想外の攻撃に驚く窮奇。態勢を崩し地面へと叩きつけられる。
十也「どうだ!」
ブレオナクを手に取る十也。
窮奇「…」
起き上がる窮奇。
十也「こんなもんじゃたいしたダメージにはならないか…」
窮奇「少シ見クビッテイタ。本気デイクゾ!」
尻尾を立てる窮奇。
ジジジジ
尻尾の先にエネルギーが集中していく。
ブン!
尻尾の先にエネルギーの刃が形成される。紫色の光を放つ刃だ。
十也「これは!?たしか…」
十也にはこの紫の光を放つエネルギーの刃に見覚えがあった。
十也「ネオのとこにいた…たしかアレジェーネ!」
アレジェーネと名乗る少年たちが使っていたD・Eブレードそのものだ。
十也「こいつもネオの生み出した未元獣の一体ってことなのか…」
窮奇「グォォ!!」
尻尾の先のD・Eブレードで横薙ぐ窮奇。その斬撃は周囲の木々をなぎ倒す。
ゴゴゴゴ!
倒れた木々が十也に向かって倒れてくる。
十也「うぉ!」
なんとか回避する十也。だがその隙に窮奇の姿が見えない。
十也「どこに行った!?」
キーン
空を切る衝撃音が聞こえる。徐々に近づいてくる音。
十也「まさか!」
上を見上げる十也。そこには遥か上空から凄まじい速度で十也に向かって落下してくる窮奇の姿が!
窮奇「ワガ一撃デ塵トカセ!」
十也「やばい!」
なんとかその場から退避しようとする十也。だがあたりは倒れた木々が散乱し足場が悪い。
窮奇「何ヲシヨウト!」
空中を蹴りながら落下してくる窮奇。
十也「ちっ!」
ブレオナクを遠くの木へと突き刺す十也。そのままワイヤーを使いその場から退避しようとする。
窮奇「逃ガサン!」
空中を蹴り軌道を変える窮奇。
ドゴォォン!!
凄まじい衝撃音があたりに響き渡る。地面に叩きつけられる十也。その上には窮奇が乗っかっている。
十也を中心に地面がクレーターのようにくぼんでいる。それが衝撃のすさまじさを物語る。
十也「が…は…」
普通の人間なら意識を失ってるほどの衝撃だ。かろうじで意識を保つ十也。
窮奇「トドメダ!」
窮奇の尻尾にD・Eブレードが形成される。窮奇に押さえつけられ身動きの取れない十也。
窮奇「グォォ!!」
十也の心臓目がけ振り下ろされるD・Eブレード。
ザシュ!
窮奇の体に突き刺さるブレオナク。
窮奇「グッ!」
ブレオナクを振り払い距離を取る窮奇。
十也「なんで…ブレオナクが勝手に…」
十也の意思とは無関係に飛んできたブレオナク。
???「久しぶりだな…」
十也の頭の中に声が聞こえる。聞いたことのある声だ。これは…
十也「ブレオナクか!」
ブレオナク「そうだ。私との契約を果たすまで死なれるわけにはいかないんでな。少し力を貸した」
十也「でも今まで出てこなかったのになんで急に…」
ブレオナク「私にもわからん。本来なら私は再び眠りについていたはずだった。だが…もしかするとその時が近づいてるのかもしれないな。奴らが…」
十也「奴ら?」
ブレオナク「時が来たら話す!今は眼の前の敵に集中しろ!その時まで私はまた眠りにつく…頼んだぞ!」
そういうとブレオナクの声は聞こえなくなった。
窮奇「グルル…!」
十也「ブレオナクがくれたチャンスだ!ものにして見せる!いくぞ!『AS(アクセラレート・シフト)』!」
十也の鎧が赤熱化し赤く輝く。
窮奇「グォォォ!!」
十也へと突撃する窮奇。
十也「さっきまでのようにはいかないぜ!」
窮奇の視界から消える十也。
窮奇「!?」
十也「こっちだ!」
窮奇の背後から声が聞こえる。その方向へと振り向く窮奇。
ガキン!
窮奇の体が抑え込まれる。4本の刃が展開し龍の口のような形となったブレオナクにより捉えられる窮奇。
十也「どんなに素早くても捕えてしまえば!」
ブレオナクのワイヤーを引く十也。十也のもとに窮奇が引き寄せられる。
十也「はぁぁ!」
右足を高く上げ、その足先に未元粒子の力を集中する十也。
十也「くらえ!」
十也のもとへ窮奇が引き寄せられた瞬間、ブレオナクを外す。その直後、十也のかかと落としが窮奇へと直撃する。
窮奇「ギャウ!」
十也「ブレイク・エンド!」
十也の足に集中した未元粒子の球が窮奇の体を包み込む。
カッ!
ドゴォン!
次の瞬間激しく爆発する粒子の球。
窮奇「ギャォォ…」
爆発に呑み込まれる窮奇。その体は黒い霧を発しながら消滅していった。
十也「よし…なんとかなったか…」
鎧を解除する十也。
龍静「十也!」
そこへ龍静が駆けつける。その隣には黄龍と結利の姿もある。
十也「みんな…無事だったんだな…」
結利「なに言ってるの!十也が一番無事じゃなさそうだよ!」
龍静「急いで下山しよう」
黄龍「そうですね。山を下りれば、救護部隊もいます。行きましょう!」
~数日後~
傷がいえた十也と結利はタウガス共和国を後にした。彼らの活躍によりタウガス共和国で起きていた謎の未元獣たちは倒され平穏が戻った。
だが謎の未元獣の正体は謎に包まれたままこの事件の幕は閉じる。それを知るのはこの事件を仕組んだもののみなのだ…
~タウガス共和国・
王黄龍の家~
自宅で椅子に腰かけくつろぐ黄龍。
黄龍「まさか四凶獣がこうも簡単にやられるとは…」
???「天十也たちの力を甘くみすぎていたんじゃないか?」
黄龍の部屋の片隅に佇む少年が話しかける。
黄龍「そうですね。せっかく君にもらったデータをもとに造った四凶獣のうち3体が居なくなってしまいました」
???「そのわりにはあまりショックを受けていないようだね」
黄龍「えぇ。本命はまだ生きていますからね。この子をまだ出さなくて正解でした。改良の余地ありですね」
???「それはよかったね。じゃあ僕は行くとするよ」
部屋を出ようとする少年。
黄龍「どちらへ?」
???「僕の協力者は君だけじゃないんだ王黄龍。なにかと忙しいのさ。このデータをほしがる奴も多いからね」
黄龍「確かに未元獣の製造データは魅力的ですからね。私みたいな人間にはね。では協力感謝します。アージ・アレジェーネ」
アージ「君の造る新たな未元獣。楽しみにしているよ」
アージは部屋を後にした。
黄龍(彼がどんな思惑で私にこのデータを与えたのかはわからないが私にとっては願ってもないチャンス。存分に活用させてもらいますよ)
to be continued
最終更新:2017年04月09日 23:44