十也VSルー!明かされるブレオナクの秘密!

~アイラッド村・入口~
対峙する十也とルー。
ルー「その剣…厄介だな」
十也の手にもつ剣グラムは反重力装置を備えている。それにより刀身部分が反発する磁石のようにほかの物質を弾くことができるのだ。
十也「これならお前の触れたものを溶かす槍も効かないぜ!」
ルー「そうだな…ならば。来い!」

シュイン!

ルーの手の中に槍が出現する。それは4本の刃を持つ槍。そして十也には見慣れた槍だ。
十也「ブレオナク!」
ブレオナク『十也…』
ルー「こいつもお前にご執心のようだな」
十也「ブレオナクを返してもらうぞ!」
ルー「前に言ったのを忘れたか?これは元々我々の物だ」
十也「それは過去のことだ!今は俺の相棒だ!」
ルー「ブレオナクと会話できるほどに信頼関係は築いているようだが…それともお前がこの男をそそのかしたのか?ダーナの時のように」
ブレオナク『…』
ブレオナクはルーの質問に答えはせず、黙っている。
十也「そそのかした?何を言っている?」
ルー「お前はブレオナクのことをわかってはいない。こいつが何者なのかも」
十也「ブレオナクは前の所持者だって…」
ルー「前の所持者か…それは言いえて妙だな。うまく丸め込んだようだな」
ブレオナク『違う!私にそんな気は…』
十也「どういうことだ…」
ルー「冥途の土産に教えてやろう。ブレオナクは意思を持つ槍。だが正確には違う。ブレオナクという槍の中にこの男の意思が閉じ込められている」
十也「それが前の所持者の…」
ルー「いいや。こいつは我らの裏切り者。ゴウニュ。それがこいつの名だ」
ブレオナク『…』
十也「ゴウニュ…」
ルー「我らトゥアハ・デ・ダナンはそもそもにしてダーナの力に惹かれ、集まったメンバーだ。その一人がこのゴウニュだ」
ルーは話を続ける。

ゴウニュは鍛冶の力に秀でていた。ダーナは我らにふさわしき武器を造るようゴウニュに命じ、造られたのが四至宝。
精霊石(リア・ファル)、クレイヴ・ソリッシュ、大釜、ブレオナクの4つだ。
我々はその四至宝の力で世界を手中に納めるため、戦いに明け暮れた。だがそんなある日ゴウニュは我らから抜けると言った。
ダーナに止められたゴウニュは従う振りをし、ダーナへと攻撃を仕掛けた。だがそれはダーナに届くはずもなかった。
ダーナの怒りに触れたゴウニュはその魂をブレオナクへと封じられたのだ。

ルー「これがこいつの正体だ」
ルーの口から語られたブレオナクの正体。それはトゥアハ・デ・ダナンのメンバーの一人であった。
十也「ブレオナクがゴウニュ…」
ブレオナク『私はダーナの野望についていけなかった…他者を排除し、世界を支配するなど』
ルー「ならなぜ四至宝を造った」
ブレオナク『ダーナのことをわかっていなかった…あいつがそんな人物だとは思っていなかった…』
ルー「それは言い訳に過ぎない。我らを裏切ろうとしたお前のな。そしてあの時の恨みを晴らすため、お前はこの男を利用したのだろう」
十也「そうなのか…」
ブレオナク『違う!十也信じてくれ』
ルー「ふん。お前のような裏切り者をだれが信じる」
十也「俺は…」
ブレオナク『…』
十也「ブレオナクを信じるよ」
ルー「なんだと?話を聞いていなかったのか?」
十也「それはあくまで昔の話だろ。それにブレオナクが俺を利用しようとしていたとしても、俺はこいつに何度も助けられた」
ブレオナク『十也…』
十也「だからやっぱりこいつは俺の相棒だ!」
ルー「そうか。ならばその相棒の力で死ぬがいい」
ブレオナクを手に十也へと切りかかるルー。
十也「くらうかよ!」
グラムを構える十也。

ガキン!

ブレオナクの刃が4枚に展開する。展開した刃がグラムを挟みこもうとする。反重力装置によって耐えるグラム。
ルー「お前が進化させたブレオナクの力に慄け!」

バシュン!

ブレオナクの刃部分が射出される。グラムを挟みこもうとしているまま、十也ごと吹き飛ばす。

ドゴォン!

地面へと打ち付けられる十也。
十也「ぐっ!」
ルー「好機」

ガキン!

ブレオナクを2つに分離させ十也へと迫るルー。
ルー「この双槍で!」
十也「くっ!」
立ち上がりグラムで槍を受け止める十也。だがルーの双槍による連撃はグラムで対処するには限界がある。徐々に押されていく十也。

ガクン!

態勢を崩す十也。
ルー「もらった!」
十也「くそ!」
咄嗟にグラムを構えようとするが…

バキン!

グラムの柄から刀身が切り落とされる。
十也「グラムが!」
ルー「終わりだ!」

ザシュン!

ブレオナクによる突きが放たれる。それは鋭く速い一撃。それが貫くものは…
十也「グラニ!」
グラニが十也とルーの間に割って入るように飛び出してきていた。ブレオナクにより貫かれるグラニ。

ボン!

爆発とともに激しく燃え上がるグラニ。
十也「俺をかばって…」
ルー「命拾いをしたな。だがもうお前を守るものはない。今度こそ終わりだ」
ブレオナクを十也へと突き立てるルー。

ブン!

十也へとブレオナクが振り下ろされる。その一撃を今の十也に防ぐ術はない。
十也「くそ…」
今までの戦いの日々が十也の頭に再生される。
十也(走馬燈…なのか)
死を目前にした人はそれを見るという。こころなしかルーのブレオナクを振るう姿もゆっくりと十也の目に映る。その走馬燈の中…ネオとの戦いが映る。

ネオ「今のヘレティス2にできるのは物質の粒子化及び粒子化した物体の再構築ぐらいが限界なんじゃないかな」

十也(それが俺にできること…でもそれはあの時の俺にできる限界…)
数々の戦いを経てきた十也。それは彼自身の力をも高めているはずだ。
十也(限界は誰かがきめることじゃあない!俺自身が!)

バッ!

右手を開き突き出す十也。
ルー「それでブレオナクは防げん」
十也「来いブレオナク!」

シュゥゥ!!

ブレオナクが光に包まれる。そして

シュン!

光となり消えるブレオナク。
ルー「なっ!」
自分の手に持っていたはずのブレオナクが突然消え驚くルー。

ガシン!

十也の手の中にブレオナクが握られている。その事態を見てさらに驚くルー。
十也「くらえ!」
突然ブレオナクを奪われ、態勢を立て直す暇もないルー。

ザシュン!

ブレオナクによる一撃がルーに直撃する。
ルー「がはっ…」
腹部を貫かれその場へ膝をつくルー。
ルー「何が…起きた」
十也「ブレオナクは返してもらったぜ」
それがブレオナクだったからかは定かではないが、他人の持つ物の粒子化に成功した十也。
ルー「こんな…ことが…」
十也「こいつは俺の相棒だ!どんないきさつがあろうとそれは変わりはしない!」
ブレオナク『十也。おまえ…』
ルー「だが肉体は仮初の器…ダーナの力で」

???『魂の輪廻…その行いは進化となりえん』

ルーの頭の中に声が響く。
十也「この声…なんだ!」
それは十也にも聞こえているようだ。

???『人類の進化…それは空想の産物。これ以上の進化は望めない…』

ルー「な…にが…」
ルーの体が朽ちていく。

???『蝕む存在…それは排除せねばならない…』

朽ち果て塵と化すルー。それと同時に先ほどまでの声が聞こえなくなる。
十也「いまのは一体…」
ブレオナク『十也。礼を言う』
十也「えっ!どうしたんだ新たまって」
ブレオナク『私を信じてくれたからだ。私はルーの言う通りの人物だ』
十也「でもそれはダーナがそれだけひどいことをしようとしたからだろ」
ブレオナク『お前はいいやつだな。お前に出会えてよかったよ』
十也「どうしたんだよ?さっきからお前変だぞ?」
ブレオナクの言葉はまるで何かを察しているかのようだ。
ブレオナク『十也。お前と話をできるのもこれが最後になる』
十也「何を言っているんだよブレオナク!こうしてお前を取り戻したじゃあないか!」
ブレオナク『私と出会った時からお前はいつだってお前はまっすぐだったな』
十也「いまさら何を…?」
ブレオナク『トゥアハ・デ・ダナンのダグザは四至宝を自らの手元に置く力を持つ。ルーが消えたことを察知すればすぐにでも私は奴に回収されるだろう』
十也「なんだって!じゃああいつらをすぐにでも倒さないと…」
ブレオナク『これでお別れだ。お前と過ごした日々は楽しかったよ』
十也「なんだよ!お別れって!今まで一緒に戦ってきたじゃあないか」
ブレオナク『ダーナを倒せば黒の魔導書の力で生き伸ばされている私の魂は消滅する』
それはこの戦いを勝利すればブレオナクの意思が消えることを意味する。
十也「そんな…」
ブレオナク『いずれにしてももうお前と会うことはない』
十也「だけど…」
ブレオナク『いつまでも甘えるな!天十也!』
十也「!」
ブレオナク『私がいなくなってもお前には頼れる仲間がいる。彼らを大切にしろよ』
十也「…わかった。お前との約束…守るよ」
ブレオナク『来たか…じゃあ後は頼んだぞ十也!』

シュン!

ブレオナクが消える。ダグザにより回収されたのだろう。その場に一人残された十也。
十也「…ブレオナク。お前のことは忘れない!今は俺にできることをやる!」
アイラッド村へと駆け出す十也。ブレオナクとの別れと思い出を胸に彼は戦いへ終止符を打つため先へと進んでいく。

~アイラッド村へと続く山~
きゅっぱ「これで終わりかい」
メルト「ここにはもう敵はいないみたいですね」
結利「よし!先にいこう!」
アサルト・シャドーの隊員たちを退け先へと進む3人。そんあ彼女たちの前に人影が現れる。
結利「あれは…」
きゅっぱ「昴!」
それは途中はぐれた昴だった。彼女は脇腹に銃弾を受け負傷しているようだ。すぐに治療に入る結利たち。
昴「よかったよ。あんたたちと合流できて」
きゅっぱ「こっちもなんとか敵を退けたところさ」
メルト「これ以上敵が来たらどうしようかと…ってわぁぁ!」
急に大声を上げるメルト。
結利「どうしたのメルト?」
メルト「ま、まずいです!敵さんに囲まれてますよ!」
辺りを見回すとアサルト・シャドーの隊員たちが取り囲むように隊列を組んでいる。
きゅっぱ「ちっ!次から次へと!」
結利「やるしかなさそうだね…」
度重なる戦いで疲労困憊の一同。だが敵は待ってはくれない。アサルト・シャドーの隊員たちが彼女たちに襲い掛かろうとする。

パン!パン!

銃声が山の中に響く。だがそれはアサルト・シャドーのものではない。突如鳴り響いた銃声に気を取られた次の瞬間。

AS隊員「ぐぁ!」
AS隊員「なんだ!?」

アサルト・シャドーの隊員たちが次々と倒れていく。何が起きているのか理解できない結利たち。そして…

???「久しぶりだね」

彼女たちの前に一人の女性が姿を現す。
結利「あなたは!」
きゅっぱ「あんたがいるってことはこれは…」
???「そうだね。僕も仲間とここにきている。彼らは先へと進んでいってしまったけど。あなたたちの護衛は僕がするよ」
メルト「たった一人でですか?」
???「僕の能力ならそれが可能だよ。僕から離れないで」

突如現れた女性を加え、山を進んでいく一同。
新たに表れた彼女たちは戦局にどのような変化をもたらすのか。

to be continued

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最終更新:2018年01月21日 22:56