~グリフ大陸・アイラッド村への山道~
『…』
山の中に佇む光る球体。その光は今にも消えそうだ。
『…!』
光る球体は何かを見つける。そしてそこへと一目散に飛んでいく。
シュィン!
光る球体は山の中で横たわる男の体へと入っていく。
ザッ!ザッ!
足音が横たわる男のもとへと近づいてくる。
リヴァーレ「ん?」
それはEGOグリフ大陸支部リヴァーレの足音だ。
リヴァーレ「こいつは!」
横たわる男を見て驚くリヴァーレ。
ピッ!
リヴァーレ「こちらスパーダ3。モニカ長官…」
~数日後~
~レムリア大陸・EGO本部~
グリンツ「…そうか。君のおかげで助かった」
だれかと通信機で連絡を取り合うグリンツ。
『いえ。礼には及びませんよ。私にとっても彼らがいなくなるのは困りますからね』
グリンツ「これからも君の助力をしたいところだが…」
『なにかあったのですか?』
グリンツ「今回の件を盾に過激派が現体制への反旗を翻そうと力を強めている」
『それでは…』
グリンツ「あぁ。私がこの座から降ろされる時も近いかもしれん。その時は…」
『わかっています。そこに潜む根源を必ず見つけ出しますよ』
グリンツ「頼んだぞ。それとこれからはあそこを頼るといい。すでに連絡はしてある」
『例のあそこですか』
グリンツ「クリュセルスのEGO能力開発期間…今は民間の研究機関となっているがね。そこの所長なら君の力になってくれるだろう」
『ゲネシスもアサルト・シャドーに破壊されてしまいましたからね。身を寄せる場所を提供していただけるのはありがたいことです』
グリンツ「これが君と会話できる最後の機会になるかもしれん。後は任せたぞ」
『えぇ。今まで支援していただいたあなたのご期待には添えるよう善処します』
~EGO本部・医務室~
アルバド「…」
アルバドの目の前にはベッドに横たわる女性の姿があった。目を閉じ死んでいるかのように眠っている女性。
ガチャ!
医務室の扉が開き、一人の女性が部屋に入ってくる。
???「R3…チフさんの様子はどうですか?」
アルバド「
ガドゥ博士。チフは打ち所が悪く植物状態だそうだ…」
???「チフ・ルドルフ…娘さんがこんなことになるとはお気の毒ですね」
レーヴェンズとの戦いでR3チフ・ルドルフは負傷し、今の状態となっていた。
アルバド「隊長である俺がしっかりしていれば!」
自分を責めるアルバド。そんなアルバドにガドゥが声をかける。
ガドゥ「アルバド隊長。もしかしたら私の研究が彼女の回復に役に立つかもしれません」
アルバド「なんだと?植物状態の人間を回復させることができるというのか?」
にわかには信じられない話だ。
ガドゥ「まだ実験段階ですが…もしも興味がわいたら私の研究室までおいでください」
そう言い残しガドゥは部屋を後にした。
アルバド「チフ…」
ベッドに横たわる娘の顔をみるアルバド。
アルバド「可能性があるのならば…」
~EGO本部・ガドゥの研究室~
ガチャ!
ガドゥ「あら?思ったより早くいらっしゃいましたね」
アルバド「邪魔をする。ガドゥ博士の研究をみせてもらおうか」
ガドゥ「では早速私の研究対象をお見せしましょう。どうぞこちらへ」
アルバド(研究対象?)
部屋の奥へと連れていかれるアルバド。そこには大きな水槽が設置されていた。水槽にはカーテンカバーが掛けられ中が見えない。
アルバド「中に何かあるのか?」
ガドゥ「えぇ。これが私の研究している…」
シャァァ!!
カーテンカバーが開く。
アルバド「なんだこれは!?」
水槽の中では何かの細胞片のようなものが蠢いている。
アルバド「生きているのか…」
ガドゥ「これはレーヴェンズの鎧人形から採取した細胞を改良したものです」
アルバド「レーヴェンズだと!?あいつらはもうすべて消滅したはず…」
ガドゥ「はい。私のところでサンプルとして保存していた検体もすべて消滅しました」
アルバド「ならばこれは…」
ガドゥ「先ほども言ったように改良したのですよ。未元獣の細胞を混ぜた結果、変異が起きこの細胞だけは消滅することなく生き続けています」
アルバド「こんな危険なもの…上の許可はあるのか?」
ガドゥ「はい。ミゲル副長官の許可はいただいております」
アルバド「上の許可が降りているだと…そんなことが」
ガドゥ「それはこの細胞が結果を出しているからです」
アルバド「結果だと?」
ガドゥ「この変異細胞は自己修復を行おうとする習性があります。それを利用することで駆動鎧の修復を行うことができました」
アルバド「それが上に認められたというわけか」
ガドゥ「えぇ。そしてこの変異細胞の自己修復を応用できれば人体の細胞の回復にも使えるはずです」
アルバド「それがおまえの言っていた力になれるということか…」
ガドゥ「そうです。これを使えばチフさんも回復する可能性がありますよ?」
アルバド「まだ実用段階でもないものを使えるか!」
ガドゥ「ですからあなたにこれの研究を手伝ってもらいたいんですよ」
アルバド「なんだと?」
ガドゥ「あなたにこれの試験運用を手伝ってもらいたいのです。試験運用を手伝っていただければ人体への安全性も証明され、問題はなくなります」
アルバド「…試験運用とはなにをする?」
ガドゥ「やっていただけますか?」
アルバド「内容次第だ」
ガドゥ「変異細胞を制御するための人工ニューロンのAIを成長させるのを手伝っていただければ」
アルバド「俺に機械の教育をしろということか?」
ガドゥ「そういうことです。あなたなら適任だと思います」
アルバド「わかった。それならば引き受けよう」
アルバド(これが完成すればチフが回復するのならば俺は…)
~モゴラ大陸・クリュセルス~
ウルズ「またここに来ることになるとはな」
きゅっぱ「だいぶ街の復興も進んだみたいだね」
昴「街の人たちもだいぶ活気づいているようだしね。私にとってはあまりいい思い出のない街だけどね」
ウルズ「俺たちが用があるのはここではないからな。あそこにいくぞ」
昴「あそこはもっといい思い出がないね…でも今はそんなことを言っている場合でもないからね」
3人は街の中を進んでいく。
~クリュセルス奥地・民間研究施設「リオルクラフト研究所」入口~
ウルズ「ついたな」
きゅっぱ「EGO能力開発機関があの事件で廃止され、新しくここに建てられたリオルクラフト研究所か」
昴「
シュウの話ではここに向かえって言っていたけど…」
ウルズ「所長さんに話は通してあるらしい。行ってみようか」
~リオルクラフト研究所・所長室~
所長室に通されたウルズたち。
???「あら?お客さんとは珍しいわね」
所長室の椅子に腰かける女性。年齢的には40代半ばぐらいといったところだろうか。
ウルズ「シュウに言われてここに来たんだが…」
???「シュウ?あぁなるほど。じゃああなたたちが…」
椅子から立ち上がる女性。
リオル「私はここの所長のリオル・ロンよ。あなたたちには研究員たちの寮があいているからそこで生活してもらうわ」
昴「ありがとうございます」
きゅっぱ「ここはなにの研究をしているんだい?」
リオル「今研究に力を入れているのは未元粒子ね」
ウルズ「未元粒子!?民間の研究機関がなぜ?」
リオル「元々私はEGOに所属していたのよ。ミストラルシティの
オリジネイター事件をきっかけに未元粒子の研究をしていたのだけれど、その続きをここに設けた私個人の研究所でおこなっているというわけ」
ウルズ「なぜEGOをやめたんだ?」
リオル「私がいた本部では過激派というのがいてね。最近奴らが急に力をつけ始めて、私の研究成果の一部も持っていかれてしまったのよ。その件がきっかけで私はEGOをやめたというわけね」
きゅっぱ「本部でもいろいろごたついているみたいだね」
昴「一枚岩の組織なんてなかなかないからね」
ウルズ「あんたも大変だったんだな」
リオル「そうでもない。奴らへの怒りのおかげで研究が捗っているわ」
そう話すリオルの目は少し怖い。
ウルズ「な、ならよかった」
昴「じゃあ私たちはしばらくここでお世話になります」
きゅっぱ「まずは部屋に行って長旅の疲れをいやすとするかね」
ウルズ「そうだな」
3人は部屋を後にする。
リオル「さて私もそろそろ本腰をいれて研究にとりかかろうか」
to be continued
最終更新:2018年02月26日 20:15