暗躍するもの

~グリフ大陸~
ゲイン(あの駆動鎧…なんだ。なにか気になる)
グリフ大陸を一人歩くゲイン。自分があの駆動鎧のことを気になる原因がわからないがあの駆動鎧を追わなければならない気がする。
ゲイン(この違和感の正体…なんだ)

(それは私ですの)

ゲイン「だれだ!?」
周りにはだれもいない。だが今確かに声が聞こえた。

(ここですの)

キュィン!

ゲインの体が光を放つ。
ゲイン「なに!?」
突然の事態に驚くゲイン。

シュゥゥン

ゲインの体から光が離れ、1点に集まっていく。それはやがて人の形となっていく。そして…
ゲイン「おまえは!?」
ゲインにはその人物…正確には人ではないかもしれないが。それに見覚えがあった。光が消え、その少女は姿を現す。
ティスシス「やっと出てこれましたの」
ゲイン「お前はヘレティス6!」
ゲインの体から現れたのは消滅したはずのヘレティス6だ。
ゲイン「ヘレティス5を倒したことで全てのレーヴェンズは消滅したと聞いた。なぜ生きている?」
ティスシス「私にもわかりませんの…でもこれの影響かもしれませんの」
そういうとティスシスは自分の胸部へと手を突っ込む。

ズブズブズブ

そこから一冊の本を取り出すティスシス。
ゲイン「その本…確かダーナの持っていた」
ティスシス「黒の魔導書…というものですの」
ゲイン「なぜお前が持っている」
ティスシス「ツァグレーヴェンに吸収されきれなかった私はヘレティス5にツァグレーヴェンが吸収される際、分離されたんですの。その時この本が私の体の一部となって分離されたんですの」
ゲイン「そんなことが…」
ティスシス「そしてヘレティス5の攻撃で肉体が消滅しかけていた私は山の中で倒れていたあなたに憑依したんですの」
ゲイン「俺の肉体の治りが早かったのは俺の能力の力だけでなく、レーヴェンズの再生能力の影響もあったというわけか…」
ティスシス「……私もあなたに憑依することでここまで回復することができましたの。礼をいいますの」
ゲイン「お前に礼を言われる筋合いはない」
ティスシス「冷たいですの。1つになった仲だというのに」
ゲイン「だがこれでお前が生きていた原因は分かった。その本が新しいお前の心臓(コア)となって別の生命体となったというわけか」
ティスシス「そういうことですの…多分」
ゲイン「もう回復したのならば俺には用がないだろう。どこへでも行くがいい」
ティスシス「わかりました…というわけにはいきませんの」
ゲイン「なに?まだ俺に用があるのか?」
ティスシス「あの駆動鎧…あれを追わなければなりませんの」
ゲイン「なぜだ?おまえには関係がないことだろう」
ティスシス「そうでもありませんの。あれから私と同じものを感じますの」
ゲイン「お前と同じだと?」
ティスシス「私に憑依されたあなたも同じ感覚があると思いますの」
ゲイン「俺の感じていた違和感の正体…まさか」
ゲインは自分の感じていた違和感の正体に気づく。ティスシスと今のゲインに共通して感じ取れるもの。それは…
ティスシス「そう。あの駆動鎧からレーヴェンズの気配を感じましたの」
ゲイン「あの駆動鎧もレーヴェンズの変化したものだということか?」
ティスシス「そこまではわかりませんの。でもあの再生能力は私たちレーヴェンズの力から来ているものだと思いますの」
ゲイン「お前のような生き残りがいたということか…」
ティスシス「そうかもしれませんの。その正体を確かめなければなりませんの」
ゲイン「だからお前も俺についてくるということか」
ティスシス「そういうことですの。でももう1つ理由がありますの」
ゲイン「なんだ?」
ティスシス「もうあなたは私から離れられないですの」
ゲイン「何を言っている?」
ティスシスの言っている言葉の意味が分からないゲイン。
ティスシス「あなたも私と同じくこの魔導書で生かされてますの」
ゲイン「どういうことだ?」
ティスシス「あなたの傷はもう治らないくらいの重傷でしたの。それを私が憑依することで蘇生したんですの」
ゲイン「つまり俺もその本がなくなれば死を迎えるということか」
ティスシス「自分の命の源がどこにあるかわからないのは不安になりますの」
ゲイン「だから離れられないというわけか…」
ティスシス「本当の意味で一心同体ですの」
ニコッと笑うティスシス。
ゲイン「受け入れるしかないわけか」
やれやれと頭を抱えるゲイン。だがすぐに覚悟を決めたように冷静な態度を取り戻す。
ゲイン「それで奴をどう探すかだ」
ティスシス「それなら問題ありませんの。レーヴェンズの気配なら私が追うことができますの」
ゲイン「ならばすぐにでもいくぞ」
ティスシス「わかりましたの」

シュゥゥン!!

ティスシスが光となってゲインの体の中に入る。
ゲイン「…どういうつもりだ?」
ティスシス(このほうが移動が楽ですの!)
ゲイン「やれやれだな…」
こうしてゲインとティスシスは駆動鎧を追ってグリフ大陸を進んでいく。そして彼らがたどり着いた場所は…

~グリフ大陸・アイラッド村~
ゲイン「ここに奴が…」
ティスシス(間違いありませんの。あの気配はここで止まっていますの)
ゲイン「まさか再びここに来ることになるとはな」
ティスシス(ゲイン!)

シュゥゥン!

ティスシスがゲインの体から出てくる。

ガキン!

何かがティスシスに向かって攻撃を仕掛けてくる。

ギギギ!!

しかしそれは見えない壁のようなもので防がれる。
ゲイン「おいでなすったか」
駆動鎧「……」
ティスシス「あなたはなんですの?」
駆動鎧「……」
駆動鎧はティスシスの呼びかけに何も反応を示さない。
ゲイン「捕らえればその正体もわかる。今度は逃がさん!」
アーヴァヘイムの碗部ユニットを構えるゲイン。
ティスシス「それもそうですの」
なにもない空間から日本刀のような長刀を取り出すティスシス。

フワッ!

宙に浮くティスシスの体。
ティスシス「いきますの」
長刀を構え駆動鎧に切りかかるティスシス。
駆動鎧「……」
駆動鎧は腕で防御する構えをとる。

ザシュン!

だがその腕は長刀により切断される。
駆動鎧「……」

サッ!

駆動鎧は長刀の直撃をかわす。
ゲイン「もらった!」

ヴン!

粒子ブレードを展開し、ゲインが駆動鎧へと切りかかる。

ザシュン!

その一撃により両足を切断される駆動鎧。

ドサッ!

四肢をもがれその場に倒れる駆動鎧。だが…

バキバキバキ!

駆動鎧の四肢が再生していく。
ゲイン「再生か!」
ティスシス「レーヴェンズならどこかにコアがあるはずですの…そこを破壊できれば」
ゲイン「以前戦った時胴体を破壊したが奴は再生した。あるとすれば頭部か」
駆動鎧「……」
駆動鎧は四肢の再生が終わり、再び立ち上がる。
ゲイン「いくぞ!」
粒子ブレードを展開した碗部ユニットを構え駆動鎧へと切りかかるゲイン。

サッ!

だがその攻撃は駆動鎧に避けられてしまう。
ゲイン「こいつ…反応速度が!」
駆動鎧「……」

シュルル!!

駆動鎧の手から触手が伸び、ゲインを絡み取る。

ガシッ!

触手に拘束されるゲイン。
ゲイン「ぐっ!もはや正体を隠すつもりもないか」

ザシュ!

ティスシスが長刀でゲインを掴んでいる触手を切断する。
ティスシス「やらせませんの」
駆動鎧「……」

バキバキバキ!!

駆動鎧の体から無数の金属の結晶が出てくる。それは駆動鎧の装甲を破壊しながら徐々に大きくなっていく。
ゲイン「なんだ…」
ティスシス「これは…」

バキバキ!!

???「……」
さきほどまで駆動鎧だったものはもはやその面影はない。その姿は無数の金属の結晶に覆われた化物と化していた。

シュルル!!

金属の結晶体から無数の触手がゲインとティスシスに襲い掛かる。
ゲイン「くっ!」
ティスシス「やられはしませんの」

ギギギ!!


ティスシスを中心とするように見えない壁のようなものが触手を遮る。

シュルル!!

だが触手はその見えない壁を包み込むように展開していく。
ティスシス「あっ!」
ティスシスの姿が触手に包まれ見えなくなる。金属の結晶体は触手に包まれたティスシスを自分のもとへと引き寄せようとする。
ゲイン「やらせん!」
金属の結晶体へと粒子ブレードを振るうゲイン。

ガガガ!!

金属の結晶体の表面を粒子ブレードが削っていく。だが表面が削れるだけで中にあるであろうコアにはまったく攻撃が届かない。
ゲイン「ヘレティス6をやらせるわけには…!!」

キュィィン!!

アーヴァヘイムの碗部ユニットの球体が赤く輝く。
ゲイン「リミット解除!!粒子光弾!!」

バババ!!

無数の光の弾が金属の結晶体へと飛ばされる。だが結晶体には大して効いていないようだ。そのままゲインは距離を詰め、両手を結晶体へとつける。
ゲイン「轟覇砲!!」

ドゴォン!!

粒子を圧縮した衝撃が結晶体へと撃ち込まれる。
???「……」
結晶体を覆う金属結晶が壊れ、中に何かが見える。
ゲイン「あれがコアか!」
???「……」

バキバキバキ!!

結晶体はコアを守ろうとするかのように再生を始める。
ゲイン「やらせん!こいつで!」
指を揃え貫手を構え、右腕を前へと突き出すゲイン。
ゲイン「轟迅弾!!」

ボン!!

アーヴァヘイムの碗部ユニットがロケットパンチのようにコアに目掛けて飛んでいく。

バキン!

コアへと突き刺さるアーヴァヘイムの碗部。

パキパキパキ!!

ひびが入り割れていくコア。

パキン!

ビキビキ!!

金属の結晶体にひびが入りボロボロと崩れていく。

ボロボロ

ティスシスを覆っていた触手も崩れ落ちる。
ティスシス「…やったんですの」
あたりに無残に散らばる金属片たち。
ゲイン「のようだな」
金属の結晶体を倒したゲインたちの前にグリフ大陸のEGO隊員たちが駆けつける。
EGO隊員「あれ?例の駆動鎧は?」
ゲインから連絡をもらい駆けつけた彼らだが既に戦いは終わった後だ。
ゲイン「粉々に砕け散った。この残骸があの駆動鎧だ」
リヴァーレ「手間をかけたな」
そこへリヴァーレも駆けつける。
ゲイン「成り行きついでだ。ボルドーのじいさんにもまた世話にならなければならないからな」
地面に転げ落ちるアーヴァヘイムの右碗部を拾い上げるゲイン。
リヴァーレ「後処理は俺たちがしておく」
ゲイン「あぁ。任せる。ん?」
辺りを見回すゲイン。ティスシスの姿がない。
ゲイン「ヘレティス6?」
ティスシス(なんですの?)
ゲインの中から聞こえる声。
ゲイン(いつのまに…)
ティスシス(私の姿が見られればいろいろとややこしそうな気がしますの。というわけでまたあなたの中にお邪魔しますの)
ゲイン(わかった。しばらく休んでいろ)

こうして謎の駆動鎧との戦いは幕を閉じた。だがその正体はつかめないままだ。あの駆動鎧はいったいなんだったのだろうか…

~後日・EGO本部~
ガドゥ「えぇ。そうですか…」
だれかと通信機で会話するガドゥ。
ガドゥ「あれの処置をしていただけたのは助かりますね。サンプルが研究所から姿を消したときは驚きましたから。レーヴェンズの力が色濃く出すぎた結果ですかね。まさか自我をもって動き出すとは…」
なにかの研究の話だろうか。
ガドゥ「ですが向かったのがグリフ大陸で幸いでした。こうしてうまく処理していただけたようですし。えぇ。もう同じ轍は踏みませんよ。そのための手段は用意していますから」
研究室内のカプセルに目をやるガドゥ。そのカプセル内には建築途中の駆動鎧の姿が見える。その姿はどこかあの謎の駆動鎧に似ているようにも見える。
ガドゥ「制御用のAIも構築中です。それが完成すればあとは素体に埋め込むだけ…。こうして稼働データも得られました。完成を楽しみに待っていてください」
通信を切るガドゥ。
ガドゥ「アルバドのAI教育が終了すればあとは実戦での検証ですね。ふふふ……」

to be continued

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最終更新:2018年03月11日 15:23