変革の兆し!動き出す者たち!

~EGO本部・長官室~

ドン!

乱暴に開かれる長官室の扉。入ってきたのはEGOの隊員たちだ。
グリンツ「…来たか」
ミゲル「驚きもせんか。まるでこうなるのがわかっていたようだな」
EGOの隊員たちの後ろからミゲルが姿を現す。
グリンツ「お前はもともと私のやり方には反対していたからな。いずれこうなるとは思っていたよ」
ミゲル「未元獣事件と今回のレーヴェンズたちの騒動の責任を取ってお前には退任してもらうよ。あとは私が全て引き継ごう」
グリンツ「力だけでは新たな火種を呼ぶことになるぞ」
ミゲル「そういってきたお前の結果がこれだ。力なくして正義は存在しえない!」
グリンツ「やはりお前とは分かり合えそうにないな」
ミゲル「最後まで余裕だな。だがその余裕ももう続かない」
グリンツ「どういうことだ?」
ミゲル「お前の協力者…シュウといったか。あいつの身柄もそろそろ抑えられるだろう」
グリンツ「なぜそのことを知っている!」
ミゲル「協力者がいたのはお前だけではないということだ」
グリンツ「くっ…だがそううまくいくかな」
ミゲル「最後まで強がるか。まぁいい。グリンツを更迭しろ!」
EGO隊員たち「はっ!」
グリンツ(あとは頼んだぞシュウ…)

~レムリア大陸・山岳地帯~
ヴァイス「ターゲット補足!」
レイジ「いたか」
ヴァイスの長銃がとらえた先にはシュウの姿が。
ヴァイス「あのシュウって男。こちらにはまだ気づいていないみたいね」
レイジ「ならばこのまま捕えに掛かるぞ」
ヴァイス「でもなんであの男を捕えろなんて…」
レイジ「腑に落ちない点もあるが…」
レーヴェンズとの戦いでもシュウは大きく勝利に貢献していた。そんな彼を捕えろと言われた2人。
レイジ「任務を果たすのが俺たちの役目だ」
ヴァイス「…そうね」

ジャキッ!

長銃を構えなおすヴァイス。
ヴァイス「行くわよ!」

パァン!

長銃から放たれた弾丸がシュウの肩を打ち抜いた。
ヴァイス「あれ?」
かに思われたがシュウは何事もなかったかのように歩を進めている。
ヴァイス「狙いはズレていない。確かに当たったはず…」
レイジ「あいつの能力か…だとすればまずい!移動するぞ!」
ヴァイス「えっ?」

ゴゴゴゴ!!

いつの間にか2人の背後に黒い小さな空間が形成されている。
ヴァイス「これって!」
レイジ「奴はもう俺たちに気づいている!」

パァン!

黒い空間から先ほどヴァイスが放った銃弾がヴァイスに向かって放たれる。

バスッ!

ヴァイス「うっ!」
ヴァイスの肩をかすめる銃弾。
レイジ「ヴァイス!」
ヴァイス「大丈夫よこれくらい!」
シュウ「今のをとっさに避けるとはやりますね」
レイジ「なに!?」
いつのまにか2人の近くにいるシュウ。
シュウ「EGOのR部隊が私に何の用ですか?」
レイジ「お前を捕えろとの任務だ」
ホルダーからナイフを取り出し構えるレイジ。
シュウ「なるほど…彼の言っていた通りの状況となったようですね。私のこともばれていると思ったほうがよさそうですね」
レイジ「おとなしく捕まってくれれば危害は加えない」
シュウ「残念ですがそれは飲めない相談です」
レイジ「ならば…拘束させてもらう!」
レイジがその場にしゃがむ。するとその後ろにいたヴァイスが長銃をシュウに向けて構えていた。
ヴァイス「さっきのお返しよ!」

パァン!

長銃から放たれる銃弾。

ヴン!

だがそれはシュウの前方に展開された小さな黒い空間に飲み込まれてしまう。
ヴァイス「さっきの銃撃もそれで!」
シュウ「またお返ししますよ」

ゴゴゴゴ!!

ヴァイスの上方に小さな黒い空間が形成される。そこから先ほど撃った銃弾がヴァイスに向かって放たれる。
ヴァイス「くっ!」
間一髪それを避けるヴァイス。
レイジ「空間同士はつながっているということか。近接攻撃ならば!」
シュウの眼前へと間合いを詰めていたレイジ。手にしたナイフでシュウへと切りかかる。
シュウ「それでも同じことです」
ナイフの軌道に腕が入るくらいの小さな黒い空間を形成するシュウ。
レイジ「ちっ!」
とっさに自分の態勢を崩し、空間に手が入るのを防ぐレイジ。
レイジ「これは…」
手にしていたナイフを見ると空間に入った部分が削り取られたように消滅している。自分の手があの中に入っていればそのまま腕を持って行かれていただろう。
シュウ「あなたたちでは私には勝てませんよ。おとなしく引き下がって頂けると助かるのですが」
レイジ「こちらも仕事だ。そういうわけにはいかん。『狼の眼(ウォルフス・アーケ)』!」

キュィィン!!

レイジの両目が青く光る。それはまるで獲物を狙う狼の目のようだ。
レイジ「ヴァイス!」
ヴァイス「おっけー!いくわよ!シュルゲン・イェーガースプレッドモード!」

バシュン!!

長銃から無数の散弾がレイジとシュウへと放たれる。
シュウ「自分ごと私を狙わせるとは…」
レイジ「問題ない!」
レイジはナイフを持ち替えシュウへと切りかかろうとする。

ヴン!

だがシュウは前方に散弾を防ぐため自分の体を覆うほどの大きさの黒い空間を展開する。そこに吸い込まれる散弾。
シュウ「どれだけ攻撃をしようとも私には効きませんよ」
レイジ「それはどうかな」
シュウ「ん?」
シュウの背後から聞こえたレイジの声。シュウが振り返るとそこにはレイジの姿があった。
レイジ「あの散弾はお前の視界をふさぐためだ。俺の攻撃。こちらが本命だ!」
レイジは自身の能力で散弾を避けながらシュウの背後へと回り、この攻撃チャンスを作ったのだ。
レイジ「決める!」

ザシュン!

シュウの左腕をナイフが切り裂く。
シュウ「くっ!」
レイジ「このまま決めさせてもらう!」

バッ!

ナイフを回転させ逆手に持つレイジ。
シュウ「仕方がありませんね」

ゴゴゴゴ!!

シュウの右手の中に小さな黒い球が形成されていく。

フワッ!

それがレイジの手に向かってゆっくりと飛んでくる。
レイジ「そんな攻撃!」
『狼の眼』を発動しているレイジにはすべての動きがゆっくりに捉えられる。この程度の速度ならば動きを捉えてかわすのは容易だ。だが…

ググググ!!

レイジ「なんだ…」
自分の体がその黒い球体に引き寄せられる。攻撃をしようとしていたナイフを持った手もその黒い球体に引き寄せられていく。ものすごい力に引き寄せられるレイジの体。
シュウ「この距離ではもう逃れられませんよ」
レイジ「くっ!ならば!」

ピン!

腰につけていた手りゅう弾のピンを何とか引き抜くレイジ。
レイジ「ただではやられん!」


カッ!

当りを激しい閃光が包む。その直後!

ドゴォン!

激しい爆発が起きる。
ヴァイス「レイジ!」
ヴァイスの眼前に広がる爆風。シュウとレイジの姿は見えない。
ヴァイス「レイジ…」
レイジの安否を気にするヴァイス。
爆風が収まるとそこには…
ヴァイス「えっ…!?」
2人の姿はなかった。
シュウ「こちらですよ」
ヴァイスの背後から聞こえる声。ヴァイスが振り向くとそこにはレイジを抱えるシュウの姿があった。
シュウ「間一髪でしたね。まさか自爆してくるとは思いませんでした。危ないところでした」
レイジ「なぜ俺を助けた?」
爆発の瞬間、シュウは自身の能力で空間移動を行い、危機を脱したのだ。
シュウ「あなたがこんなところで死ぬことはないと思ったからですよ」
レイジ「読めないやつだ…(あんな隠し玉があるならば最初から使えば俺たちを倒すのは簡単だったはず…最初から俺たちとまともに戦う気はなかったということか…)」
ヴァイス「レイジ!無事でよかった~!」
レイジに駆け寄るヴァイス。
レイジ「助けてもらった礼だ。お前のことは見逃す」
シュウ「そうしていただくと助かります。ですがあなたたちはこのまま戻るつもりですか?」
レイジ「なに?」
シュウ「どうやらEGO内部で不穏な動きがあるようです。任務に失敗して戻ればあなたたちもどうなるかわかりませんよ」
ヴァイス「そんなことどうしてあなたが知ってるの?」
レイジ「……(シュウの言っていることはあながち間違いではないかもしれない。最近の本部の動きは妙だ。それにアルバド隊長も…)」
R3が重傷を負ってからアルバドとは連絡もとれていない。R部隊の隊長を外れ、どこかの部署に配属になったらしいが…。
レイジ(シュウを捕えろというのもなにかこいつがいると都合が悪いことがあるということか…)
シュウ「あなたたちもうすうす気づいているんではありませんか?」
レイジ「だとしてもそうするわけにはいかない」
シュウ「それはこの会話も本部に通信されているからということですか?その点は問題ありませんよ」
ヴァイス「どういうこと?」
シュウ「あなたたちとの戦いの最中に通信機は破壊させてもらいました」
レイジ「いつのまに…」
自分たちの装備している通信機をみるとシュウの言っている通り確かに破壊されていた。
シュウ「選択するのはあなたたちです。無理強いはしません」
レイジ「俺は…」

~EGO本部・長官室~
EGO隊員「ミゲル長官!」
ミゲル「今はまだ副長官だ」
EGO隊員「はっ!申し訳ありません。R部隊との連絡が途絶えたポイントに向かったところR1、R2の者と思われる隊員証と所持品などを発見しました。おそらくはもう…」
ミゲル「そうか…下っていいぞ」
EGO隊員「はっ!」
敬礼し部屋を出るEGO隊員。
ミゲル「シュウの始末に失敗したか。一筋縄ではいかんな」
???「ですが我々がいればもう時間の問題でしょう」
部屋の扉を開け、入ってくる人物。それに続くように数人の人物が部屋へと入ってくる。
ミゲル「来たかオウリギン
オウリギン「これからはあなたの右腕として今まで以上に力を尽くしましょう。同志たちとともに」
ミゲル「各所の協力者たちも集結したか」
オウリギン「はい。タウガス支部は副長官である彼が主導してことを運んでくれます」
王黄龍(ワン・イーロン)「はい。お任せください」
オウリギン「グリフ大陸支部は彼が」
リヴァーレ「任せて下さい」
オウリギン「本部での新型の駆動鎧及び武装の開発も順調に進んでいます」
ガドゥ「ヒルデ社長のご協力であと数日で完成する予定です」
ヒルデ「なにとぞこのままごひいきにお願いしますわ」
ミゲル「その少年は?」
一人仮面をつけた少年がメンバーの中にたたずんでいた。
オウリギン「彼は技術提供者です。彼のおかげで新技術の開発が大きく捗っております」
ミゲル「そうか。これで準備は整った。新たなるEGOを我々の手で!」
天高く右手を伸ばしこぶしを握るミゲル。
ミゲル「我々の正義が世界の秩序となるのだ!」

to be continued

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最終更新:2018年03月18日 14:21