~EGOミストラルシティ支部~
十也「カレン長官!シティ内の不良グループの鎮圧完了しました!」
カレン「よし。これでシティ内の治安も保たれるだろう」
最近シティ内で暴れていた能力者不良グループチームO(オー)。十也と結利はその鎮圧任務へと就いていた。
Oのリーダー、オタクダは全身から針を出す能力を持った能力者だった。彼は以前十也に倒された恨みからさらなる力を身に着け、十也へと復讐を果たそうとしていた。
だが数々の戦いを経てきた十也にはそんな彼の力では歯が立たなかったらしい。
結利「レーヴェンズのこともあってか最近EGOに対する人々の目も厳しい気がするね」
カレン「そうだな。だからこそ我々が市民の安全を確保しなければならない」
未元獣やレーヴェンズの襲来によりEGOの力を疑問視する人々が増えてきているのは事実だ。
それに最近は国単位で怪しい傭兵契約を結ぶ組織などもあるようでEGOの力が衰退に向かう一因となっている。
カレン「EGOは世界を守るための機関だ。地球全域に支部があるのもこの世界を守るためだ。だが未元獣のような未知の脅威が現れた現在、我々の対応が遅れているのは否めないな」
十也「ネオの造った未元獣…それと並行世界から現れたレーヴェンズ。こいつらは予想のつかない存在です。それに対応できないのはしょうがない気がするけど…」
イレギュラーな存在には対応できない。それは通常の組織なら当たり前のことかもしれない。だが民衆は結果を評価する。できないとわかっていてもそれは関係がないことなのかもしれない。
カレン「人々に必要とされなければEGOは存在できない。それが私たちの組織だ。私たちがしょうがないと思っても民衆はそれを認めてくれないかもしれない。いや認められないのかもしれないな」
結利「EGOも大変なんだね」
カレンの発言に感想をのべる結利。
十也「他人事のように言っているけど結利。おまえもその一員なんだからな」
結利「そうだったね。仕事がなくなったら生活もできない!私もEGOの一員として評判が良くなるよう頑張るよ!」
改めて自分の立ち位置を確認する結利。彼女は未来から来た存在だがこの時代ではEGOの隊員。組織のために働かなくてはならない。
結利(あれ?そういえば…EGOって…)
自分がいた未来の時代。そこにもEGOという組織は存在していた。だがそれは起源の
オリジンによって壊滅してしまった。
結利(将来的には壊滅する組織ってこと?でも起源のオリジンは倒したから…でも倒したのは未来でEGOを壊滅させた後にこの時代にオリジンが来たあとだから未来は変わらないのかな。それとも過去でオリジンを倒したことで未来は平和になるのかな?)
頭の中でグルグルと考えを巡らす結利。
十也「どうした結利?」
そんな結利の様子を不思議に思った十也が声をかける。
結利「あっ…んっとEGOのためになにかできることはないか考えていたんだ」
カレン「ならば私たちにできるのはミストラルシティの治安を維持することだ。そのために全力を尽くせ」
結利「わかりました!」
十也「はい
結利(そういえば私のいた時代のEGO本部の長官…オがつく名前だった気がする。EGOに対して興味はなかったから詳しくは覚えてないけど。今のEGOの長官ってグリンツ=ノードンって人だから、いずれ違う人に代わるんだろうな…)
結利がいた時代に今の長官が生きていたらそれは人間の寿命をはるかに超えた存在だ。そんな人物がいるはずはないのだが結利はそんなことに気が付かないまま独自の考えを巡らすのであった。
~EGO・グリフ大陸支部~
ゲイン「ここでの生活にもだいぶ慣れたな」
成りいきでグリフ大陸支部へと身を置いていたゲイン。
???(そうですの)
ゲインの体の中から声が聞こえる。
ゲイン「ヘレティス6か」
黒の魔導書の力で死を免れたヘレティス6はゲインの体を依り代とすることで肉体を再生した。依り代とされたゲインもまた黒の魔導書の力でその命を生かされているのだ。
ティスシス(ゲイン。私のことはティスシスとよんでもいいんですの)
ゲイン「断る」
ティスシスの発言を冷たくあしらうゲイン。
ティスシス(これから一緒に生きていくなかですの。もっと『ふれんどりー』になりたいですの)
ゲイン「まったく…あのレーヴェンズの一員とは思えんな」
ティスシス(あれは祖であるツァグ・レーヴェンの意志ですの。今の私は私という存在。これからは自由に生きたいですの)
ゲイン「…俺もお前に(正確には黒の魔導書にだが)生かされている存在だ。少しはお前の意志を尊重してもいいのかもしれんな」
ティスシス(そうですのゲイン!もっと私のことをたたえたほうがいいですの!)
ゲイン「……(こいつには調子を狂わせられるな…)」
ティスシスの自由奔放な子供のような性格に調子を狂わせられるゲイン。
ティスシス(ふっふっふ!無駄ですの。言葉を発せずとも一心同体であるあなたの思いは言葉を発せずとも私にはわかりますの)
だがゲインのそんな考えもティスシスには筒抜けだ。
ゲイン「…面倒だな。だが受け入れるしかないか…こいつがな」
ティスシス(そうですの。仲良くいくですの)
なかばあきらめ気味にため息をつくゲイン。そんなゲインのことを見つめる人物の姿が…
EGOグリフ大陸支部隊員「あの人…」
ゲインのことを見つめるグリフ大陸支部の隊員。そのまなざしは疑惑の目で満ちている。
EGOグリフ大陸支部隊員「まただ…やっぱりおかしい…」
今の彼を見てその疑惑は確信へと変わる。そう…それは…
EGOグリフ大陸支部隊員「あの人…独り言がすごい!」
EGOグリフ大陸支部のなかではゲインはしばらく独り言がすごい謎の人物として語り継がれたとか……
~EGOグリフ大陸支部・長官室~
モニカ「どうですか?ここでの生活は慣れましたか?」
ゲイン「あぁ。おかげさまでな」
モニカ「それはよかったです」
EGOの本部には秘匿してゲインを匿っているグリフ大陸支部。それはモニカの独断によるところが大きい。
モニカ「
ボルドー技術長の話ではあなたの武器の修復ももう終わるそうです」
ゲイン「ならばおれもそろそろここを出ていかないとな」
モニカ「そのことですが…あなたはここにいてくれて構いません」
ゲイン「なに?」
ゲインがここにいることが知られればそれは大きな問題となる。アサルト・シャドーの隊員をEGOが匿っていたとなれば大問題となりかねない。
モニカ「組織としてはあなたのことを匿っていることがしれれば問題かもしれません。ですがどこにも身寄りのないあなたに出て行けというのは酷なことです」
ゲイン「そんなひとりの感情で決めていいのか?組織の中で独断するのは褒められたことではない。その結果組織に綻びが生まれる可能性もある」
モニカ「これは私の独断…なのかもしれませんがそれ以上に私の考えるEGOなのです」
ゲイン「というと?」
モニカ「EGOとは地球に住まう人々を守るための組織。そのなかにはあなたも含まれているはずです」
ゲイン「お人よし的な考え方だな。お前の付き人がいたら断固否定しそうな…ん?そういえばあいつはいないのか?」
ここで初めていつもモニカ長官のそばにいるはずのリヴァーレがいないことに気づくゲイン。
モニカ「彼は本部の定例会に行っています」
ゲイン「定例会?」
モニカ「はい。本部で定期的に開催される各支部の状況報告会です。各支部の副長官が本部へと招集されるんです」
ゲイン「なるほど。だからあいつの姿が見えないわけか」
モニカ「ちなみにこの定例会は全世界で中継されていますよ。良ければどうぞご覧ください」
ピコン!
長官室のモニター内に映像が映し出される。
モニカ「あれ…」
映し出された映像に違和感を感じるモニカ。
ゲイン「どうした?」
モニカ「おかしいですね…本来なら定例会には本部長官が出席しているはず…でもグリンツ長官の姿が見えませんね」
ゲイン「なにか他の用事があったんじゃないのか」
モニカ「いえ…それはありえません。この定例会は各地に分散しているEGOにとっては重要な会議。本部の長官が出席しないなんて…」
ゲイン「なにかあったのか…」
定例会に対しモニカが疑問を感じていると…
アナウンサー「では続きましてEGO本部ミゲル・ジリオ副長官より重大発表があるそうです」
モニカ「本部副長官から重大発表!?そんなの聞いていないわ」
突然の出来事に驚くモニカ。
ゲイン(支部の長官が聞かされていない重大発表…一体なにが…)
~EGO本部・会議室~
大勢の記者に囲まれる人物。EGO本部副長官ミゲル・ジリオ。彼は落ち着いた様子で言葉を発する。
ミゲル「私はEGO本部副長官ミゲル=ジリオです。この度みなさんに重大なお知らせがありこのような会見を開かせていただくこととなりました」
ミゲルは淡々と話しを続ける。
ミゲル「まずはみなさんにあやまらなければなりません。未元獣やレーヴェンズの襲撃に遅れをとり多くの犠牲者を出してしまったことは我々EGOの不徳のいたすところです」
世界警察を名乗っておきながら多くの犠牲者を出したEGOは多くの人々からの不平・不満を受けている。
ミゲル「この謝罪の言葉だけでは皆さんに対する謝罪に足りないのは百も承知です。ですから我々もそれ相応の対応をすることにしました」
ミゲルは苦しそうな様子で話を続ける。
ミゲル「この数々の不祥事の責任をとり、現長官グリンツ=ノードンはその任を降りる事となりました」
ザワザワ
どよめく会場内。
ミゲル「これからは私ミゲル=ジリオがEGO本部長官としてその責務を果たします」
~EGOグリフ大陸支部・長官室~
モニカ「本部長官が解任!?そんな話まったく聞いていません!?」
突然の事態に驚くモニカ。
ゲイン「支部の長官に通達もなく頭がすげ変わるなど異常な事態だな」
モニカ「ミゲル副長官は何をする気なの…」
ミゲルの突然の発言に不信感を募らせるモニカ。
ゲイン「その真意はこの会見を見ていればわかるかもしれんな。奴がやろうとしていることも…」
~EGO本部・会議室~
ミゲル「新長官として就任した私が地球に住まう人々の安全を保障します。そのためにこれまでのEGOとは違うということを証明して見せましょう」
記者A「といいますと?」
ミゲル「各地の支部の戦力の大幅な見直しをします。それと本部直属の治安維持部隊ガーディアンを設営します」
記者B「ガーディアンですか?」
ミゲル「はい。各支部の意向に捕らわれることなく世界各地を転々としながら各地の治安を守るための部隊です。ガーディアンの設営が完了すれば未元獣のような未知の脅威にもこれまでのEGOよりも急速な対応が可能となります」
記者C「そんなことが可能なのですか?」
ミゲル「その準備は以前より進められてきました。ですが前長官の意向によりなかなか前へと進むことができないプロジェクトでした。私が長官となった今このプロジェクトを前面に押し出すことでこの地球に住まう人々の安全を保障します」
ミゲルは力強く自分の右手を握る。
ミゲル「我々EGO…Earth Guardians Order(地球を守る秩序)。その真の意味での力を今人々に理解してもらうため全力を尽くす所存です!」
ミゲルの圧倒的な気迫に気圧される記者たち。だがそれがミゲルが本気で取り組もうとしていることを証明することに他ならない。
ミゲル「生まれ変わったEGO。その正義を地球の皆さんを守るために全力を持って振るわせていただきます」
~EGO・グリフ大陸支部長官室~
モニカ「長官の解任に新たな戦力ですか…頭がついていきません…」
当然の事態に困惑している様子のモニカ。
ゲイン「組織の改革か…奴の言葉だけを聞いていると気持ちがいいものに聞こえるな」
モニカ「私も転属ですかね。新長官の考えならばこれからここグリフ大陸支部もどうなるかわかりません」
ゲイン「大規模な組織改革は綻びが生まれやすい…あの新長官はどうするつもりかだな…」
~EGO本部・会議室~
ミゲル「私の決意表明はここまでにして…本題に入ります」
記者A「本題…ですか?」
ミゲルの長官就任が重大発表ではないらしい。ほかにもっと重大ななにかがあるのだろうか。
ミゲル「未元獣とレーヴェンズに関する情報を精査したところ判明した事実があります」
記者B「それは?」
ミゲル「まずは未元獣についてなのですが未元獣は人為的に造られたものです」
記者C「誰かが造ったということですか?」
ミゲル「その質問に答える前にレーヴェンズの件を話しましょう。レーヴェンズは何らかの生命体であることが確認されております。その生命体はこことは違う世界から来たのではないかと推測されています」
記者C「違う世界ですか?」
ミゲル「はい。それは…並行世界です」
記者C「並行世界?」
ミゲルの発言に驚く記者たち。
ミゲル「数々の証拠から並行世界があるであろうことはほぼ確実です」
記者A「その証拠とは?」
ミゲル「我々の世界には存在しないはずの技術。レーヴェンズ(正確にはアサルト・シャドーだが)がそれを持っていました。そして未元獣もその並行世界の技術で生み出された物だと思われます」
記者A「今の発言から推測すると私たちの住んでいる世界はその並行世界から狙われているということですか?」
ミゲル「そうかもしれません」
ザワザワ
他の世界が存在するという事実は記者たちを驚愕させた。だがそれ以上にその世界が自分たちの住む世界を攻撃してきているとなれば驚愕を通り越して恐怖を感じる。
ミゲル「ですがみなさん安心してください」
記者B「安心なんてできないでしょう!並行世界が存在していたとして、その世界が私たちのことを滅ぼそうとしているなんて…」
ミゲル「並行世界からの使者がこの世界に来ているのです。彼を捕えればすべてが収束するはずです」
~EGO・ミストラルシティ支部~
カレン「本部長官が変わっただけでも驚きなのに並行世界か…」
本部での会見をモニターで見ていたカレン達。
結利「あれカレン長官も知っていたんじゃなかったですか」
十也「俺のことも分かっていますよね」
カレン「あぁ。並行世界のことはネオの件で知っていたがそれを全世界に知らすというのはいかがなものかと思ってな」
そんなことをしても世界を混乱させるだけのような気がする。
カレン「それに並行世界がこの世界を狙っているなんて余計民衆の不安をあおるだけだ」
十也「並行世界はレーヴェンズによってもう壊滅しているらしいし、そんなことはないんだけどな」
結利「あの新長官さんはなにを言ってるんだろうね」
十也「それに並行世界からの使者って…レーヴェンズもアサルト・シャドーも倒した今そんなのいないだろう」
カレン「ミゲル新長官が言うんだ。なにか確証があるのかもしれない」
~EGO本部・会議室~
ミゲル「その彼の名は…」
ミゲルの口から語られる人物の名…それは…
ミゲル「天 十也(あまつ とうや)。彼こそがこの世界を侵略しようとしている並行世界からの使者です」
to be continued
最終更新:2018年06月19日 21:54