~聖ラウズレイ王国・入口付近~
???「ここを落とせばモゴラ大陸は全てEGOの管轄となるわけだ」
仮面をつけた少年が話す。
ライアード「えぇ。魔導都市メルディア=シールと火の国アルバンダムはEGOタウガス支部との協定を結んでいます。あとはここを抑えればモゴラ大陸の制圧は…おっと言葉に気を付けないといけませんね」
それに応答するライアードはわざとらしく言葉を選ぶそぶりを見せる。
???「わざとらしいね。EGOとすれば世界中の戦力を掌握して一つとすることが目的なんだろうからさ。そのために逆らう邪魔者は排除するって考えだろうしね」
ライアード「あなたはEGOのやり方に疑問は持たないのですか?」
???「ふっ。そんなのどうでもいいよ。僕には僕の考えがある。EGOとして力を振るえればいい。(僕の目的を果たすためにね)」
ライアード「そうですか。ではラウズレイ王国との交渉と行きますか」
???「あぁ。交渉が決裂した場合は実力を行使させてもらうとするよ」
~ラウズレイ王国・謁見の間~
ディサイブ「そなたがEGOからの使者か」
ディサイブの前に立つ少年。
???「はい。EGO本部直属部隊ガーディアン。
アインです」
アインと名乗る仮面の少年は淡々と話しを続ける。
アイン「ラウズレイ王国はどうしてもEGOに加盟しないおつもりですか?」
ディサイブ「その話はなんども断っているはずだ。我々はEGOに加盟しなくとも自国を守っていくだけの力を持つ」
アイン「ならばこれが最後の通達です。どうしても加盟していただけないのならば我々も手を考えなければなりません」
ディサイブ「それは脅しか?」
アイン「そうとってもらっても構いません」
ディサブと
アインの間に不穏な空気が流れる。
ディサイブ「世界を守る機関であるEGOがそのような態度をとるなど…」
あきれる様子の
ディサイブ。
アイン「ふ~…」
それに対しため息をつき、首を横に振る
アイン。
ディサイブ「EGOはずいぶんとふざけた態度をとるのだな」
アイン「そうだね。素直に応じてくれればこんな態度も取るつもりはなかったのだけれど」
そういうと
アインは指を鳴らす。
パチン!
それを合図に謁見の間の扉が開く。
アイン「僕は我慢弱いんだ。どうせ本部ももとからこうするつもりだったんだろうからその通りにさせてもらうさ」
開いた扉の先には血まみれで倒れた憲兵の姿があった。
ディサイブ「なっ!?」
憲兵の姿に驚く
ディサイブ。だがそれ以上に驚く事態が目の前にあった。
ライアード「くっくっくっ。おひさしぶりですねディサイブ・ラウズレイ」
憲兵を倒したと思われる男の姿がそこにはあった。そしてその男は
ディサイブにとっては因縁の相手であった。
ディサイブ「ライアード!なぜおまえが!?消滅したはず…」
オリジネイター偽りのライアード。オリジネイターシステムが消滅した今彼ももう存在しないはず。その彼が今
ディサイブの目の前にいるのだ。
ライアード「私はそもそも
オリジネイターではなかったのですよ」
ディサイブ「なんだと!?ならばそなたは…」
ライアード「私の本当の姿それはEGOの職員ということです」
ディサイブ「そなたがEGOの隊員ならば…ラウズレイ王国を混乱させたのはEGOの差し金だったというわけか」
ライアード「ふふっ。それは違いますね。あれは私の独断で行ったことです。そしてEGOの職員というのも私の勝手な妄想です」
ディサイブ「何を言って…」
ライアードのとりとめのない話に惑わされる
ディサイブ。
アイン「こいつとディサイブ・ラウズレイ。あなたが知り合いだったとはね。まぁでも関係はないか。重要なのは結果だ交渉は決裂ということでラウズレイ王国はEGOが強制的に支配させてもらう!」
ライアード「そういうことです。今は私の役目を果たしましょう。EGOとしてね」
指と指の間ににナイフを構えるライアード。
ディサイブ「EGOに屈する気はない!そしてライアード!そなたはわが手で必ず倒す!」
ライアード「ふふふ。出来るものなら!」
アイン「盛り上がってるところ悪いけどこの国は抑えさせてもらう」
ダダダダ!!
足音とともにEGOの隊員たちが部屋へと押し入ってくる。その隊員たちは見た目が若くまるで少年兵のようだ。
ディサイブ「どうやってここまで押し入った?シュルツ・セイバーたちはどうした!?」
ライアード「彼らには少しばかり夢を見ていてもらっています」
ディサイブ「夢だと?」
ライアード「偽りの幻想に捕らわれた彼らが夢から覚める時にはすべてが終わった後でしょうね」
ディサイブ「そなたの能力か…だが」
玉座から腰を上げる
ディサイブ。
ディサイブ「シュルツ・セイバーをあまり見くびらないほうがいい」
ドゴォン!!
レオン「殿下!」
ミリア「ご無事ですか!」
レオンとミリアの2人が
ディサイブのもとへ駆け付ける。
「うぉぉ!!」
謁見の間の入り口のほうから聞こえる咆哮。
アーガン「聖槍ゲイボルグよ!わが眼前に立ちふさがる敵を貫け!」
アーガンが謁見の間に押し入ったEGO隊員たちを次々と倒していく。
ライアード「幻想を打ち破るとは…大した精神力ですね」
ディサイブ「日々の鍛錬で鍛え上げられたわが騎士たちの力はそなたに易々と倒されるようなものではない」
レオン「ライアード!なぜ貴様が生きている!」
モニカ「こいつがライアード…聖国を混乱に陥れた張本人。でも死んだはずなんじゃ…」
ライアード「くふふ。確かにあの時は焦りましたよ。ですがそのおかげでさらなる高みへと昇ることが出来ました。感謝しますディサイブ・ラウズレイ」
ディサイブ「そなたに感謝される筋合いなどない!聖国に仇なすそなたらを排除する!『ジ・ラウザー』!我が眷属の力をこの手に!聖剣アロンダイト!」
ディサイブの手中に出現する大剣。
レオン「聖斧パラシュ!」
ミリア「聖鎌アダマス!」
武器を構えるレオンとミリア。
アイン「聖国の騎士たちの力お手並み拝見といこうか。ゆけ!」
EGO隊員たちが
アインの指示に従うように
ディサイブ、レオン、ミリアへと突撃していく。
ミリア「どれだけ数がいようと!」
レオン「練度が足りなければ敵ではない!」
それを軽々と打倒していく3人。そして…
アーガン「隊員たちはこれで片付いたようだな」
入り口付近で戦っていたアーガンもすべての隊員たちを倒し部屋へと入ってくる。
レオン「残るはお前とライアードのみ」
ディサイブ「聖国に仇なした罪は重い。その身で償ってもらうぞ」
アロンダイトをライアードに向けて構える
ディサイブ。
ライアード「だそうですが?」
アイン「ふん。まだ勝った気でいるのは早いよ」
ムクッ!
倒れたEGO隊員たちが起き上がる。
ビキビキビキ!!
体に負った傷がふさがっていく隊員たち。
レオン「なんだと!?」
アイン「第2ラウンド開始と行こうか。実戦経験も積めたことだしあれを使ってみようか」
隊員たちは腰から筒状の武器を取り出す。
ヴン!!
その筒から粒子の剣が展開される。
ディサイブ「あれは!」
レオン「粒子の剣…」
ミリア(昔見たマンガで見たことが…まるでガン●ムに出てくるビームサー●ル!)
アイン「いけ!」
アインの声を皮切りに隊員たちは
ディサイブたちに襲い掛かる。
アーガン「聖槍ゲイボルグ!」
アーガンの槍がEGO隊員を貫く。だが…
隊員「…」
隊員は意に介せずアーガンへと粒子の剣を振るう。
ザシュン!!
次の瞬間切り落とされている隊員の腕。
アーガン「これは…」
ミリア「ご無事ですかアーガン卿」
ミリアのアダマスによる一撃が隊員の腕を切り落としていた。隊員から槍を引き抜くアーガン。
隊員「…」
その場に倒れた隊員は自分の腕を拾い切断された部分に繋げようとする。
隊員「…」
ズルズル…
切断された箇所が徐々に繋がっていく。そしてアーガンにより貫かれた腹部も徐々に修復していく。
レオン「不死の部隊…」
ミリア「こいつら…人間じゃないの!?」
アイン「お前たちのようなやわな人間とは違うのさ!」
ディサイブ「これだけの戦力…ましてや痛みも感じず肉体が再生するものたち。まともに戦ったのでは勝ち目はない…」
「殿下!あきらめてはなりません!」
部屋の外から聞こえる声。その声の主は…
ラインハルト「遅ばせながら参戦いたします!」
ディサイブ「ラインハルト!」
ライアード「元聖国最強の騎士ですか。片腕を失い、シュルツ・セイバーとしての力も失ったあなたにこの状況を打破できるのですか?」
ラインハルト「聖剣エクスカリバーは使えずとも今の私だからこそできることもある!」
そういうとラインハルトは自身の左手を地面に当てる。
ラインハルト「不滅の刃よ!我が手に力を『デュランダル』!!」
ゴゴゴゴ!!
地面から左手を上げていくとそこから剣が出現する。その剣を手に取るラインハルト。
ラインハルト「我が愛刀『デュランダル』がお前たちを裁く!」
剣を手にEGO隊員たちに向かっていくラインハルト。
ザシュン!!
デュランダルで次々と隊員たちを切り裂いていくラインハルト。
アイン「無駄だよ。そんな攻撃じゃこいつらは倒せない」
隊員「…」
隊員たちの傷が再生しない。ラインハルトにより傷を負った者たちはその場に討ち伏している。
アイン「なんだと!?」
想定外の事態に驚く
アイン。
ラインハルト「不滅の剣『デュランダル』はその攻撃も不滅。その攻撃を受けたものはダメージを負い続ける」
レオン「さすがですラインハルト卿!」
ミリア「これならいける!」
アーガン「よし!我らはラインハルト卿のサポートに回るぞ!」
ラインハルトと連携して次々と隊員たちを倒していくシュルツ・セイバー。
アイン「くっ…」
仮面に隠れ表情は読めないが焦っている様子の
アイン。そんな
アインの様子を見てライアードが声をかける。
ライアード「このままでは作戦失敗ですかね?せっかく用意していただいた部隊も全滅してしまうかもしれませんね」
アイン「そんなこと言われなくてもわかっている!まさかこちらの想定以上の力を持っていたとは…」
ラインハルト「身の程を知ったのならおとなしく引け!そしてこれ以上この国に害をなさぬことだ」
アイン「何を勘違いしている?」
ラインハルト「なに?」
アイン「僕が想定していたのはわざわざ僕自身が戦わなくてもお前たちを倒せると思っていたことだ。こうなれば僕自身がお前たちの相手をしてやる!」
アインは両腕を交差させる。
アイン「D・Eフェザー!」
バシュン!!
アインの背中から粒子の翼が生える。
ディサイブ「なんだあれは!?」
ミリア「エネルギーの翼!?」
空中へと優雅に浮遊する
アイン。交差させた両腕を大きく開く。
アイン「D・Eフェザー・シューター!」
ババババ!!
粒子の翼が無数の小さな羽根型の弾となり
ディサイブたちに向かって発射される。
ミリア「くっ!聖盾イージス!」
ミリアの手に出現する巨大な盾。
ミリア「私の後ろに!」
ミリアの後ろに隠れる一同。
ババババ!!
無数の羽が聖盾イージスに打込まれる。だが聖盾イージスはまったく壊れるそぶりはない。
ミリア「この聖盾イージスはいかなる攻撃も通さない!いくら攻撃したって無駄よ!」
アイン「ふっ。それはどうかな?」
ミリア「なに?」
ジジジ…
聖盾イージスが徐々に歪んでいく。そして…
バシュン!
ミリア「え!?」
消滅する聖盾イージス。
ディサイブ「聖器が!?消滅しただと!?」
ライアード「ほぅ」
アイン「まだまだだ!」
ババババ!!
次々と撃ちだされる羽。
ラインハルト「くっ!」
レオン「聖斧パラシュ!」
アーガン「てやぁ!」
各々の武器で羽を防御するレオンたち。
ジジジ…
バシュン!
レオン「なに!?」
ラインハルト「デュランダルが!?」
アーガン「消えた!?」
それぞれの武器が消滅する。
アイン「武器がない騎士が戦うことはできない!終わりだ!」
レオン「まだだ!メイネ・マシェト・フュア・ディン・ケーニヒ!(我が力は王のために!)」
キュィン!!
レオンの手の中に出現する光輝く剣。
レオン「『エクスカリバー・セーベスト』!!」
アイン「何をやっても無駄だ!」
ババババ!!
粒子の羽がレオンへと襲い掛かる。
レオン「聖剣よ!その力で!」
ドシュン!!
聖剣を構えるレオンの前に壁でもあるかのように粒子の羽が阻まれ消滅する。
アイン「障壁か…」
レオン「守護騎士の力。見くびるな!」
ライアード「余興はここまでです」
ディサイブ「なに!?」
いつのまにか
ディサイブの背後に回っていたライアード。
ブチ!
パリィン!!
レオン「はっ…」
レオンの『エクスカリバー・セーベスト』が砕け散る。
ライアード「やはりこれが…」
ライアードは
ディサイブの首元から奪ったペンダントをまじまじと眺める。
ディサイブ「返せ!」
ディサイブはライアードが奪ったペンダントへと手を伸ばす。
フッ!
姿を消すライアード。次の瞬間、その姿は
アインの隣へと移動していた。
ライアード「真実の射手の力の源というわけですか」
ディサイブ「それは代々聖国に引き継がれてきた家宝だ。そなたが持っていいようなものではない!」
ライアード「なるほど。ですがあなたの言うことをきくつもりはありません。これがなければあなたはその力を使うことはできないのではありませんか?これを奪った直後彼の剣が消えたのがその証拠です」
ディサイブ「くっ…」
レオン「殿下…」
ミリア「これでは…」
焦りを見せる
ディサイブたち。その様子からライアードの発言が確信をついているであろうことが容易に想像できる。
アイン「くっくっくっ。なるほどね。ならもう王様たちに反抗する手立てはないというわけだ」
ライアード「チェックメイトです」
アイン「外の騎士たちも僕の別動隊が抑えているころだ。ラウズレイ王国はEGOの傘下になってもらうよ」
ディサイブ「すまない…みなのもの。わが国民たちよ…」
~EGO本部・副長官室~
ピピピ!!
オウリギン「通信か…」
アイン『ラウズレイ王国はEGOの参加となった。国王とシュルツ・セイバーはどうする?』
オウリギン「彼らにはまだ利用価値がある。幽閉しておけ」
アイン『了解した』
アインとの通信が切れる。
オウリギン「次はグリフ大陸か。まずはカリナン公国。そこから攻めるとするか」
トントン!!
副長官室の扉が叩かれる。
オウリギン「入っていいぞ」
ガドゥ「失礼します。例の部隊が完成しましたのでご報告にへと」
オウリギン「そうか。いいタイミングだ。実戦投入の舞台はカリナン公国だ。すぐに向かわせろ」
ガドゥ「はい」
to be continued
最終更新:2018年07月09日 21:35