~グリフ大陸・カリナン公国入口~
衛兵「ん?」
国の入り口を衛る衛兵の目に見慣れぬものが目に止まる。
衛兵「なんだ…あれは?」
その目に映ったのは黒い鎧。
ガシャン…ガシャン…
重厚な音を立てその鎧は衛兵の元へと近づいてくる。
衛兵「と、とまれ!」
鎧は衛兵の呼びかけに応じる様子もなく前へ前へとその歩を進める。
衛兵「呼びかけに応じぬならば!」
ザシュ!
懐に携えた衛兵の剣が黒い鎧へと刺しこまれる。…はずだった。
ガキン!
だがその予想に反して剣は金属に弾かれるような音を立てる。
衛兵「なに!?」
黒い鎧「…」
黒い鎧はその右手を衛兵へと向ける。そして次の瞬間…
ババババ!!
その右手から放たれた無数の弾丸が衛兵の体を貫いた。
衛兵「ぐふっ…こいつは…まさか駆動(パワード)…鎧(スーツ)…」
黒い鎧「…」
ドサッ!
その場に倒れる衛兵。
ガシュン!ガシュン!
その黒い鎧の後ろから同じ姿をした無数の黒い駆動鎧が姿を現す。
無数の黒い駆動鎧の中の一体が言葉を話す。それに通信相手が答える。
ガドゥ『えぇ。あなたの教育のたまものですわ。これだけの数の駆動鎧を同時制御できるほどに処理能力が向上するとは…。』
???「ふん。ではこれよりミッションに入る。カリナン公国を制圧する」
~カリナン公国~
カリナン公国に現れた無数の黒い駆動鎧。それにより国内各地が制圧されていくカリナン公国。そしてこの事態に彼らが動き出す…
スライ「シャイニーマジック『フォースキャリア』!」
トニー「ライトニングボルト!」
ドゴォン!!
二人の攻撃により駆動鎧たちが弾き飛ばされる。
スライ「なんなんだこの駆動鎧たちは!」
トニー「わかりません…いったいだれが何の目的で…」
???「我々に歯向かうのならばここで始末させてもらう」
スライとトニーの前に現れた駆動鎧の一体が言葉を発する。
スライ「こいつ…さっきまでの駆動鎧たちとは違う…」
トニー「あなたたちは何が目的でカリナン公国を襲うのですか?」
???「我々はEGO本部直属部隊ガーディアンだ。カリナン公国にはEGOの管理国となってもらう」
スライ「なんだと!?こんなやり方認められると思っているのか!?」
???「重要なのは結果だ。どのような過程であろうとその結果が全てだ」
トニー「くっ。力押しというわけですか…」
???「行け!」
黒い駆動鎧の呼びかけに応じるように無数の駆動鎧たちがスライとトニーへと襲い掛かる。
スライ「どれだけ数がいようと!シャイニーマジック!『フォース・キャリア』!」
トニー「ライトニング・ボルト!」
ドドドド!!
スライとトニーの攻撃が次々と駆動鎧を蹴散らしていく。
???「なっ!?これだけの数の駆動鎧を2人で倒しきるか…さすがといったところか…」
ピピピ!!
駆動鎧へと通信が入る。
ガドゥ『このままでは彼ら2人に全滅してしまいそうですね。どうするのですか?』
???「どうもしない。俺がこの状況を好転させる。AIS(エーアイエス)に邪魔をさせるなよ」
ガドゥ『それはあなた次第です』
ブゥン!
黒い駆動鎧の目が怪しく光る。
???「このアングルフの力を最大限に引き出して見せる!」
ドドドド!!
黒い駆動鎧アングルフの背中のブースターが勢いよく稼働する。
バシュン!!
直後アングルフの姿がスライとトニーの眼前から消える。
スライ「どこに消えた!?」
トニー「くっ!」
あたりを見回す2人。だがアングルフの姿はどこにも見当たらない。
ドドドド!!
だが彼らの近くら聞こえるブースターの稼働音。それはアングルフが確かに近くにいるということを示していた。その音が聞こえる場所…そこは…
トニー「上ですか!」
上空を見上げるトニーとスライ。そこには大型の銃を構えているアングルフの姿があった。
???「UW(アルティメット・ウェポン)R(ランチャー)モード」
ガコン!!
アングルフの持つ銃の銃口が開く。
ダダダダ!!!
その銃口から無数の銃弾がスライとトニーに向け発射される。
スライ「くっ!」
トニー「うわっ!」
上空からの攻撃を何とかかわす2人。だがその攻撃により2人の周辺は砂ぼこりに覆われる。辺りを見渡すこともできないほどの砂ぼこりが周辺に立ち込める。
スライ「くっ!なにも見えない…」
ブゥン!
怪しく光る眼がスライを捕らえる。それはアングルフのセンサーだ。
???「まずは一人!仕留めさせてもらう!」
ガキン!
アングルフの持つ大型の銃が変形し剣となる。
???「UW(アルティメット・ウェポン)B(ブレイド)モード!」
大型の剣がスライへと振り落とされる。
ザシュ!
大型の剣がスライの体を両断する。2つに分かれるスライの体。
スライ「ふっ…!」
不敵な笑みを浮かべるスライ。その直後スライの姿が消える。2つに割かれたはずの彼の姿がどこにも見当たらない。
???「消えただと!?」
スライ「こっちだ!」
アングルフの背後にスライが出現する。シャイニーマジック『スペリオル・ミラージュ』によりその姿を誤認させていたのだ。
スライ「てりゃぁ!」
ダン!
スライは拳が駆動鎧へと打ち込む。だが…
ガシ!
その拳はアングルフの手につかまれる。
スライ「ぐっ!なんだこいつの力!?」
グググ!!
スライの拳が握りつぶされると思うかのほどの力がアングルフの手に込められる。
???「このまま握りつぶしてくれる!」
スライ「ぐぁぁ!!」
トニー「やらせはしません!ライトニングボルト!」
ドゴォン!
雷がアングルフに降り注ぐ。
???「ふん。雷などこのアングルフは通さない」
トニー「効きませんか…でも!」
グググ!!
スライの拳をつかんでいたアングルフの手が開いていく。
???「なに!?」
トニー「電気を帯びた物質なら操ることができます!今のうちですスライ!」
スライ「すまないトニー!」
アングルフから距離をとるスライ。
???「一筋縄ではいかんか」
ガドゥ『どうでしょうか。AISに任せてみては?』
???「奴には学習だけさせておけ。よけいな真似はさせるな!」
ガドゥ『それはあなた次第です』
???「ふん。ゆくぞ!」
巨大な銃剣UW(アルティメット・ウェポン)を手にスライ、トニーへと襲い掛かるアングルフ。
トニー「また雷を浴びせれば…ライトニングボルト!」
ドゴォン!
空から降り注ぐ雷。
???「あたりはしない!」
それをアングルフは回避しながら
2人へと迫る。
スライ「だったら!シャイニーマジック!ライトウィップ!」
光の鞭をアングルフへと放つスライ。
バシン!
光の鞭がアングルフを捕らえる。
???「ぐっ!」
身動きを封じられるアングルフ。
トニー「やりましたねスライ!」
スライ「あぁ!これで奴の動きは封じた!」
???「まだだ!」
地面へとUWを向けるアングルフ。そして次の瞬間!
ドゴォン!
衝撃音とともにあたりに地面の残骸が宙を舞う。
スライ「地面に向けて銃を撃ったのか!?」
トニー「奴の姿が見えません!」
あたりを舞う土砂によりアングルフの姿が見えない。
スライ「姿が見えなくともこのライトウィップで拘束している限りは…ん?」
違和感を感じるスライ。
スライ「ライトウィップの先に感じる重さがやけに軽い…はっ!」
光の鞭を引き寄せるスライ。
スライ「なに!?」
そこには鞭に拘束されたアングルフの腕だけがあった。
スライ「本体がいない!?」
トニー「いったいどこに…」
ジャキン!!
スライとトニーの後ろに突き付けられる銃口。
???「消えろ!UWR(アルティメットウェポンランチャー)モード!」
ダダダダ!!
ゼロ距離から放たれる無数の弾丸。とっさに回避行動をとる2人であったが…。
スライ「ぐっ…」
トニー「うっ…」
そのすべてを回避することはできず重傷を負ってしまう。
スライ「あいつ…さっき取れた腕が…」
アングルフの壊れたはずの腕が修復している。
トニー「修復能力まであるというんですか…」
スライとトニーの二人は力尽きて倒れてしまう。
???「ミッション完了だ」
ガドゥ『ご苦労様です。AISもあなたのおかげでだいぶ戦闘経験を積むことができました。感謝します』
???「…これより帰投する。残りの制圧はブランクどもに任せる」
~EGO本部・副長官室~
オウリギン「カリナン公国の制圧も完了か…グリフ大陸も残すはあそこを制圧すれば…」
部屋に立てかけられている地図に目をやるオウリギン。
オウリギン「地縛民…彼らが住むノワール地区。あそこを責めるのみか」
ライアード「失礼しますよ」
オウリギンの部屋に突如ライアードが姿を現す。
オウリギン「ライアード。何の用だ?」
ライアード「いえ大した用事はないのですが…あなたのやろうとしていることに興味がありましてね」
オウリギン「私のやろうとしていることだと?ミゲル様の目指すEGOを作ることになんの興味がある?」
ライアード「くっくっくっ…そうですか。では失礼します」
そういうと一瞬にして姿を消すライアード。
オウリギン「奴め…何を考えているか読めん奴だ…だが計画の支障になるというのならば誰であろうと容赦はしない」
to be continued
最終更新:2018年12月31日 15:00