空に......澄み渡る雲。今日も天気がいい。そんな空の雲の上にそれはあった。雲の上に浮かぶ島。その島には塔のような建造物がある。
???「ミストラル号の暴走事件。やはりあれは特異点の影響ですか…」
金髪の男は語る。男の問いに少年が答える。
少年「本来なら車掌の男が起こしたあの事件は多数の死者を出す大事件で終わるはずだったんだけどね。発生要因が変わったせい?」
金髪の男「いえ、それは関係ないでしょう。世界は少々の変化など呑み込んで進む。まるで無駄なあがきだと言わんばかりにね。」
黒髪の男「そうだな。それは俺たちが一番よくわかってることだ」
金髪の男の発言に黒髪の男は賛同する。
少年「やはり特異点…」
金髪の男「時間は限られています。私たちの役割を果たすためにも次の手を打ちましょう。さて…」
金髪の男はあたりを見回す。そこには少年、黒髪の男の他に2人の人影が見える。
???「おい!だったら俺がでるぜ!」
名乗り出たのは筋肉質な体格をした男。
金髪の男「あなたがですか?」
筋肉質な男「なにか不満か?」
金髪の男「いえ。それがあなたの判断ならば。私たちの目的は同じですから。」
筋肉質な男「へっ。じゃあ、いってくるぜ!ちっとばかしこの世界の奴らの実力を見させてもらうとするぜ!」
筋肉質な男はそういうと塔を飛び出し島を走り抜ける。そしてそのまま島の端っこから飛び降りた!地上が見えないほどの高さだというのに。
筋肉質な男「さーて!俺を失望させるなよ!」
そのまま男は地上へ向けて落ちていった。
少年「あいつをいかせてよかったの?」
金髪の男「えぇ。問題ないでしょう。」
黒髪の男「だが奴の力は強力だ…。今は…」
黒髪の男は部屋の片隅にある機械に目をやる。
黒髪の男「50%…。それでもどうか…」
金髪の男「それでやられてしまうようであればその程度だったということ。もとよりその程度であれば私たちが来た意味がありません」
少年「それもそうだね」
金髪の男は高らかに宣言する。
金髪の男「さぁ。新たな世界を始めましょう!」
~EGOミストラルシティ支部~
ネオ「今日は特に異常はないみたいだね」
隊員「えぇ。やはり平和が一番ですね。」
ネオ「いやぁ~。カレン君からの説教もないし実にいい日だ!空も青いし…ん?」
モニターで空を見たネオは何かに気づく。
ネオ「あれ?なんか落ちてきてないかい?」
隊員「あれは…隕石!?」
モニターに映し出された映像には空からものすごい速度で飛来する物体が。その物体はミストラルシティの街中へと落下する。
ネオ「至急調査班をむかわせてくれ!」
隊員「はい!」
~ミストラルシティ隕石?落下地点~
上空から飛来した物体は地上にぶつかるとものすごい衝撃波を発生させた。周辺のビルのガラスは割れ、近くにいた人々は吹き飛ばされる。
一般人A「なんだ?隕石!?」
一般人B「こんな街中にふってくるなんてあぶねぇなぁ!」
ざわつく人々。
一般人C「ちょっとまて…おい、あれひとじゃないか?」
隕石と思われる物体の落下地点には人影があった。
筋肉質な男「あ~。さすがにいてぇなぁ。あの高さから降りてくるもんじゃねぇなぁ」
隕石だと思われた物体はなんと人だった。筋肉質な男ははるか上空から生身で降りてきたというのにピンピンしている。
筋肉質な男「さーて!はぁぁぁ!!」
男は両足に力を込める。そのまま飛び上がり周辺のビルへと体当たりをする。崩れ落ちるビルたち。
筋肉質な男「はっはっはっ!早くでてきやがれよ!」
体当たりを続ける男。たちまちあたりはガレキの山と化していく。
EGO隊員「な、なんだ!あいつ能力者か?」
隕石の調査に訪れたEGO隊員が到着する。
EGO隊員「おい!そこの男!とまれ!」
筋肉質な男「あん?俺に言ってるのか?」
EGO隊員「止まらなければ撃つぞ!」
銃口を男に向ける隊員。
筋肉質な男「いいねぇ!やってみな!俺を止めたいなら力づくでだ!」
男は隊員のほうへと近づいてくる。
EGO隊員「各員!発砲準備!」
男は止まる気配がない。
EGO隊員「やむを得ん!撃てー!」
隊員たちから放たれる銃弾。男にすべての弾が命中する。
EGO隊員「馬鹿な男だ…各員、男の死体を回収し…なに!!」
無数の銃弾を受けた男は倒れない。それどころか傷一つない。
筋肉質な男「おいおい!この程度かぁ!つまんねぇなぁ!」
EGO隊員「う、撃てー!」
筋肉質な男「おせーんだよ!」
一瞬にして隊員たちの背後に回り込む男。そのまま隊員たちを一掃する。その実力差は圧倒的だ。
筋肉質な男「もっと強いやつはいねぇのか?この街をこのまま破壊してしまうぜ!」
???「おい…」
青い髪の女が男の前に立ちはだかる。
筋肉質な男「なんだ?おまえが俺の相手をしてくれるのか?」
???「いいだろう。私の部下をかわいがってくれた礼をさせてもらおうか!」
青い髪の女は言葉を続ける。
カレン「EGOミストラルシティ支部の力をなめるなよ!このカレン・ネティスが貴様の息の根を止めてやる!」
~~~
筋肉質な男「ふん!」
男のパンチが炸裂する。
カレン「軽い!てりゃぁぁ!!」
カレンのカウンター。
筋肉質な男「くっ!」
鋭く重い一撃が男を襲う。
筋肉質な男(なんだ、こいつ。…この力、本当に人間か?)
カレン「どうした?口ほどにもないな。」
筋肉質な男「はぁ~あ。しょうがねぇなあ。こんなところでやられるわけにもいかないからな。」
カレン「なんだ…」
筋肉質な男「俺の力を少し見せてやるよ!ぬぅぅん!!」
力をためる男。
カレン「馬鹿が…そんな隙だらけ見逃すはずがないだろ!」
カレンの強烈な蹴りが男の顔面に直撃する。
カレン「あっけなかったな…」
勝利を確信するカレン。しかし直後男の腕がカレンの足をつかむ。
カレン「なっ!?」
そのまま放り投げられ、地面にたたきつけられるカレン。
カレン「ぐはぁ!」
全身に痛みが走る。強烈なダメージだ。
筋肉質な男「おいおい?ちょっと力を出したらこの程度かい?」
カレン「な…ぜだ?私の攻撃は…たしかに」
カレンの蹴りは男の顔面を直撃した。並大抵の人間ならその一撃で即倒するほどの攻撃だ。
筋肉質な男「あぁ。くらったぜ!だけどなぁ。俺にはそんなダメージ通らねえんだよ!俺の能力『超再生』のまえにはな!」
カレン「なん…だと!?」
筋肉質な男「俺に力を出させるとは大した女だ。冥途の土産に教えてやるよ。俺はオリジネイターの1人、強靭のバインザー。」
カレン「オリジネイター…?」
バインザー「ん?あぁそうかお前たちに言ってもわからねぇか!あばよ!地獄でも達者でな!」
バインザーは拳を振り下ろす。その一撃は先ほどまでよりもかなり早い。カレンはその攻撃をよけるのに間に合わない。直撃を覚悟したそのとき!
トニー「ライトニング・ボルト!」
雷がバインザーに直撃する。しかしバインザーはピンピンしている。まるで効いていない。。
バインザー「なんだぁ?」
トニー「やめなさい!僕が相手です!」
騒ぎを聞きつけ通りがかったトニーだ。彼がバインザーの前に立ちはだかる。
バインザー「いいねぇ!まだまだやれそうじゃねぇか!ここは!」
カレン「君は確か…トニーか」
ミストラル号暴走事件の際、その名前と写真を目にしたことがあるカレン。
トニー「はい!ここは私に任せてください!」
カレン「いや…やつの力は強力だ。私が戦う!EGOの一員として、この街で奴みたいなのに好き勝手させるわけにはいかないからな!」
トニー「EGO!?あなたはEGOの方だったんですか!」
まさかEGOの戦闘隊員に女性がいると思わなかったトニー。いや、まて。確かミストラルシティのEGOには青髪の女性隊員がいるって聞いたことがある。確か彼女は…
トニー「氷の女王(ブリザード・クィーン)!?」
カレン「そんな名でも呼ばれてるようだな」
バインザー「氷の女王(ブリザード・クィーン)?随分たいそうな名だが大した力もないのに粋がってんじゃぁねえぜ!この雑魚が!」
カレン「雑魚…だと?それは私に言っているのか?」
バインザー「あぁ!そうだぜ?そんなこともわかんないんなんてオツムも弱いみたいだな?」
カレン「そうか…」
トニー「なんです?なんだか急に寒く…。はっ!まずい!」
とっさにトニーは後ろに下がる。
バインザー「なんだ?」
急激に気温が下がった気がする。彼らの周辺の温度が急激に低下している。普通ならあり得ないこの事態の原因をトニーは知っていた。
トニー「氷の女王…これが彼女の能力…」
ミストラルシティのEGOにいる青髪の女性隊員。過去にミストラルシティで起きた犯罪集団による銀行立てこもり事件。その事件を解決したのが彼女だ。
犯罪集団は能力者の集団でEGOの隊員たちも突入のタイミングを掴めず手を焼いていた。そんな時、一人の女性隊員が銀行内に入っていった。
数分後、彼女は人質たちを連れ、銀行から出てきた。EGOの隊員たちが銀行に入るとそこには犯罪集団のメンバーが意識を失い倒れていたという。
逮捕された犯罪集団のメンバーの証言によると、銀行に青髪の女が入ってきたと思ったら急激に寒くなり、いつのまにか気を失ったということだ。
その青髪の女性隊員こそがカレン・ネティス、その人である。彼女は顔色一つ変えずにこの事件を筆頭に、様々な事件を解決したということから
いつしか氷の女王(ブリザード・クィーン)とよばれるようになったのである。
雷を操る能力者であるトニーにはなんとなくわかっていたのである。彼女が似たような気候や天気を操るような能力者じゃないのかと。
バインザー「少し寒くなったがだからどうした!いくぜ!」
バインザーはカレンにむかって距離を詰め攻撃をくらわせる…はずだった。しかし
バインザー「足が動かない!?」
自分の足元を確認する。両足が氷に覆われ凍結している。
カレン「どうした?オツムの弱い雑魚をたおすんだろ?やってみろ」
バインザー「これがてめーの能力か!」
トニー「氷を操る能力!」
カレン「そう。私の能力『クリュスタロス』はすべてを凍らす。これでお前は身動きをとれん!」
バインザー「ちっ!」
カレン「どんなにダメージが通らなかろうがその体を凍らせて動きを止めれば関係のないことだ。これでお前は終わりだ!」
バインザー「ぬん!」
バインザーの姿が消える。
カレン「なに!?」
バインザー「後ろだぜ!」
バインザーの拳による一撃がカレンに直撃する。その衝撃で吹き飛ばされるカレン。
トニー「なんで!?奴の足は凍らせられて身動きをとれなかったはずじゃ…はっ!?」
バインザーの足を見てトニーは状況を理解した。バインザーの足は皮膚がはがれズタズタになっている。
トニー「まさか、あいつ無理やり氷の拘束から抜けたのか!」
バインザー「氷による拘束ってのはいい考えだったが、ちと甘かったな。こうして皮膚ごと剥いちまえば抜けられるからな。そして!」
バインザーの両足に皮膚が再生する。
バインザー「俺の『超再生』があればこの程度のダメージ関係ないぜ!」
カレン「私の能力での拘束は無意味か…ならば、トニー!」
トニー「えっ!なんですか?」
カレンはトニーの耳元でなにやらささやく。
トニー「できなくはないですけど…それではあなたが!」
カレン「奴を倒すにはこの方法しかない!頼むぞ!」
トニー「…」
少し考えた後トニーは決断する。
トニー「わかりました!」
バインザー「なんかの作戦会議か?だが無駄だぜ!俺にはお前らの能力なんて効きやしねぇんだよ!」
カレン「そうだな。能力が効かないのならば肉弾戦で相手をするのみだ!」
バインザー「はっはっはっ!いいねぇ!俺にこんだけやられても戦意を失わないのはほめてやるぜ!だがいつまで耐えられるかな!」
カレンとバインザーの激しい攻防が繰り広げられる。
一進一退の攻防。しかしバインザーはその能力によりどんなダメージも回復してしまう。
対するカレンは蓄積されたダメージがその体に異常をきたす。
カレン「くっ!」
膝をつくカレン。
バインザー「おらおらどうした!?威勢がいいのは口だけか?」
カレン「はぁはぁ…」
バインザー「この程度か…。つぎはそっちのやつも片づけるか」
後ろにいるトニーのほうに目をやるバインザー。
バインザー「あん?なんだ?」
トニーの状態をみて不思議がるバインザー。
トニー「はぁ…はぁ…」
戦ってもいないトニーが息を切らし疲弊している。
バインザー(なんであいつはあんなに疲弊している?そもそもなぜ目の前のこいつがピンチになっても戦わない?)
不可思議な状況を疑問に思うバインザー。その様子を見てカレンは語る。
カレン「おい、どうした?私を殺すんじゃないのか?」
バインザー「あぁん?てめーみたいな雑魚はどうでもいいんだよ!それよりも…はっ!」
バインザーは気付いた。カレンの行動のおかしさに。カレンはなぜさっきから戦いに能力を全く使わない…。だがそんなこと俺の能力の前には!
バインザー「てめーら!なにを企んでるかわからねぇがその前に倒せば関係ないことだぜ!」
カレン「そうかな?」
バインザー「なに?」
カレン「お前はオツムの弱い雑魚に負けるということだ!」
上空を指さすカレン。
バインザー「空が!?」
氷に覆わている空。普通ではありえない現象。それを可能にする能力者が目の前にいた。
バインザー「お前の能力か!だがこれに何の意味が!」
カレン「『クリュスタロス』を解除する!」
空の氷が消える。
バインザー「なんだ!?」
空からまばゆい光が発せられる。太陽の光?いや違う…あれは雷だ!しかもその雷は一つではない。無数の雷がバインザー目がけて降り注ぐ。
トニー「うぉぉ!『ライトニング・ボルト』!」
バインザー「なにー!?」
無数の雷がバインザーに直撃する。その体は黒く焼け焦げ、煙を上げている。
カレン「トニーの能力で生成した雷を私の氷で空中に固定した。この量の雷を受けては体組織はボロボロ、再生が追い付かないほどのダメージだろう。」
トニー「なんとか…うまくいきましたね…」
能力の過剰使用により疲弊しているトニー。
カレン「よくやってくれた。感謝するぞ、トニー!」
トニー「いえ、あなたこそあんな奴の相手を能力も使わないでやるなんて…。でもこれで…」
黒焦げたバインザーのほうを見るトニー。これだけのダメージを負ったのだ。その体のダメージは回復する気配がない。
カレン「とんでもないやつだったな。そういえば奴の言っていたあれは何だったのだ…」
トニー「あれってなんです?」
???「オリジネイター…」
どこからか聞こえた声。その声は黒こげのバインザーから聞こえる。
カレン「まさか、まだ動けるのか!?」
あれだけのダメージを受けてバインザーはまだ戦う気でいる。
バインザー「ここまで…おれがやられるとはな…てめーらに敬意を表すぜ!そしてこれが俺の…」
???「強靭のバインザー!そこまでです!」
トニー「なんです?」
空から声が聞こえる。空を見上げるカレンとトニー。雲の中からそれは現れた。島だ。その島には塔のようなものが見える。
その島の前方に立体映像が映し出される。そこには金髪の男が映っている。
金髪の男「バインザー。引きなさい。」
バインザー「ちっ…しかたがねぇか。あばよ!お前たちとの戦い楽しかったぜ!」
バインザーはその姿を消した。
トニー「なんなんです?あの島は?」
カレン「島が空を飛んでいる…あんなものが存在するのか…」
金髪の男「みなさん。始めまして。私は栄光のグローリー。」
ミストラルシティ上空に現れた飛行島からの立体映像。その映像はミストラルシティに住む全ての人々の目に止まった。
にろく「あれは…」
ナル「ピエタ連邦の記憶で見た塔…に似ているね」
ディック「何が起きているんだ…」
グローリー「私は栄光のグローリー。『世界を始める者(オリジネイター)』の1人です。あなたたちにはこれから数々の試練が訪れるでしょう。
それを乗り越えたものたちを我々は歓迎します。さぁ、あなたたちの力を、希望を!我々に見せてください!」
オリジネイターと名乗るグローリーの立体映像はそこで終わった。そして飛行島も上空へと消えていくのであった。
この映像を十也も目撃していた。
十也「オリジネイター…栄光のグローリー…」
突如現れた謎の飛行島と『世界を始める者(オリジネイター)』と名乗る集団。彼らの目的はいったい…
to be continued
最終更新:2016年09月24日 22:38