~レムリア大陸EGO本部・長官室~
オウリギン「ガドゥ、
アイン準備はできているか?」
ガドゥ「はい。カミナ工業に手配させた駆動鎧とAISの同調は良好。問題ありません」
アージ「僕の部隊も調整は済んだ。いつ奴らが来ても迎え撃てる」
オウリギン「それぞれ配置につけ。」
アージ「オウリギン。本当に奴らは来るのかい?各支部を制圧したとはいえ、これだけの戦力を備えたEGO本部を襲撃しようとしてくるなんてよほどの命知らずのバカとしか思えないけどね」
ガドゥ「テロリストとは予想外の行動を行うものです。だとしてもこれだけの厳重な警備。私たちが出るまでもないかもしれませんがね」
オウリギン「あまり奴らを舐めないほうがいい。お前たちも煮え湯を飲まされたはずだ」
ガドゥ「そういわれますと返す言葉もありませんね」
アージ「ちっ!
エミス…あいつは僕の手で始末してやりたいところだよ」
オウリギン「その機会もありうる。決して気は抜くな。テロリストどもをせん滅するまではな」
ガドゥ「わかりました。私はヴォルケインの最終調整に入ります」
アージ「僕も奴に始末できる機会が得られるのを期待して待つとするよ」
部屋を後にする2人。
オウリギン「今やガーディアンも2人のみ。黄龍は敗北し、マオは行方知らず。それでも兵力差は圧倒的に我らのほうが上。テロリストどもの指揮を執っているのは間違いなくお前だろう。さぁ、どうでる
今寄咲ツバメ」
ビービービー!!
本部内に響き渡る警報。
オウリギン「来たか…」
EGO隊員からの通信がオウリギンに入る。
EGO隊員「本部に向かって直進してくる大型トレーラーを確認。ミストラルシティ支部のものと思われます!」
オウリギン「本部の正門を死守しろ!こちらの兵力ならば物量で押し切れる!」
EGO隊員「えっ…なに!?オ、オウリギン長官!トレーラーの周囲に無数の駆動鎧を確認!対象をモニターに映します!」
長官室のモニターに映し出される駆動鎧たち。
オウリギン「この駆動鎧…スパーダシリーズとは違う。ん…?」
駆動鎧の肩に刻印された紋章が目に留まるオウリギン。
オウリギン「これは…カミナ工業の!」
~EGO本部正門前・トレーラー内~
ツバメ「約束通り来てくれたわね」
ツバメが通信する相手がトレーラー内のモニターに映し出される。
ヒルデ『えぇ。私は約束は違えません。今寄崎社長、これで契約は成立です。例の約束をお忘れなく』
ツバメ「いいわ。今寄崎グループの総資産の3割が協力条件。後ほどカミナ工業に振り込むわ」
ヒルデ『ありがとうございます』
ツバメ「でもそれもここを生きて超えることができたらね」
ヒルデ『あなたたちに加担した今、EGOを倒せなければカミナ工業もお尋ね者となってしまいます。その事態は防いでもらいたいものですね』
ツバメ「あいかわらずまわりくどいわね。あなたが私たちに協力したということは、負ける気はないということでしょう」
ヒルデ『さすが今寄崎社長。私のことをよくわかってらっしゃいますね。ですが保険というのは常に備えておくものですわ。もし敗北したら誰かに罪を擦り付ければ、それで終わりです』
ツバメ「…面白い冗談ね」
ヒルデ『ふふふ、冗談はさておき本題に入りましょう。カミナ工業製の駆動鎧パワードファイターはAIでの無人稼働が可能な駆動鎧です。指定されたAIルーチンにより行動を決定しています。今はあなたたちのトレーラーがEGO本部に到達するまでの障害を排除するよう設定されています』
ツバメ「それで問題ないわ。本部に侵入してからは私たちの仕事だから」
ヒルデ『アフターサービスもしっかりさせていただきますわ。AIには侵入後のトレーラーの防衛を最優先させます』
ツバメ「随分と気前がいいわね」
ヒルデ『今後とも御贔屓にしていただきたいと思いまして』
ツバメ「いいわ。よろしく頼むわ」
ヒルデ『では』
ヒルデとの通信が切れる。
ツバメ「ふぅ~」
肩を下すツバメ。
ツバメ「今寄崎グループの経営を考えると莫大な損害ね…してやられたわヒルデ=カミナ!でもいまはそんな場合じゃないわね!いくわよ!」
ドク「スパーダ2、ASRU(アタックスパーダリベルタユニット)発進準備!」
ボルドー「各システム異常なし!発進じゃ!」
レイジ「スパーダ2リベルタ出る!」
モニカ「ラピッド・レアーリ発艦!」
リヴァーレ「シェリング・アルマト発艦!」
バン!
トレーラーから発進するレイジたち。
レイジ「EGO本部へ突入する!」
~レムリア大陸・カミナ工業本社社長室~
ヒルデ「ふぅ」
優雅に紅茶を飲むヒルデ。
ピピピ!
社長室に通電だ。
秘書「ヒルデ社長。EGO本部より通電です」
ヒルデ「いいわ。繋いで」
社長室のモニターに映し出される電話の相手。それはオウリギンだ。
オウリギン『ヒルデ・カミナ。裏切ったか』
ヒルデ「人聞きの悪い。私はあくまで商売相手としてEGOと付き合っていただけですわ。」
オウリギン『テロリストに与するほうがメリットが大きいということか』
ヒルデ「さすがは頭の切れるオウリギン長官ですわ。ミゲル前長官を謀略により葬っただけのことはあるわね」
オウリギン『テロリストに与するなど…。カミナ工業の歴史もここで途絶えるな』
ヒルデ「そうかしら?自慢じゃないですが私はこういう時の判断は間違った試しがありませんの。それに…」
オウリギンを睨みつけるようにして話を続けるヒルデ。
ヒルデ「ミゲル前長官はカミナ工業を贔屓にしてくださったお方。あの方のおかげでカミナ工業はここまで成長できたといっても過言ではありません」
オウリギン『なるほど…お前の私怨も含まれているというわけか』
ヒルデ「それに私たちが行っている軍事産業はいわば戦争屋。混沌とした世界でこそ膨大な利益が出る。EGOによる世界統一などなされてしまえばこちらの商売はあがったりですわ」
オウリギン『そちらがお前の本音か』
ヒルデ「そういうわけで今のEGO…オウリギン長官にはご退場ねがいますわ。では、もう会うこともないでしょう」
オウリギン『お前の思惑通りにいくと思うな。いずれ奴らはお前のような戦争屋にも牙をむく』
ヒルデ「その点はお構いなく。ここで散るあなたには関係がないことですから。そうなったときに私が対処します」
オウリギン『世界を知らぬ小娘が。その思い上がりはいずれ痛い目を見るぞ』
ヒルデ「そうはならないように善処いたします。では」
オウリギンとの通信を切るカミナ。
ヒルデ「人は争いを辞めない生き物。だからこそわがカミナ工業は潤う。人がいる限りカミナ工業は存在し続ける、必ず。」
~EGO本部正門前~
ドゴン!ドゴン!
レイジたちとカミナ工業の駆動鎧たちがEGOの隊員たちと激しい戦闘を繰り広げる。その間を縫うように走るトレーラー。
ツバメ「見えたわ!あれが本部の入り口!」
その目前に迫る本部の入り口。
ツバメ「このまま突っ切る!」
トレーラーはスピードを落とさず本部の入り口へと突き進む。
バリィン!
本部の上階のガラスが割れるとともにそこから何かが落ちてくる。
ダン!
地面へと着地するそれは…
十也「あれは…駆動鎧か?」
見たことのない駆動鎧。本部の新型だろうか。
バッ!
両手を前に構える駆動鎧。
ボルドー「このままじゃ衝突するぞ!」
ダン!
トレーラーを両手で受け取める駆動鎧。
ドク「この駆動鎧…なんて力だ!」
ツバメ「このままじゃ…」
レイジ「Bブレード!」
ザシュ!
レイジが駆動鎧に切りかかる。態勢を崩す駆動鎧。それによりトレーラーはスリップしながらも本部へと突撃していく。
ゴゴゴゴ!ガシャン!
それを追うように数体のパワードファイターが本部へと突入する。
~EGO本部・1階エントランス~
ツバメ「みんな無事?」
トレーラーの外へと出た一同。
モニカ「はい」
リヴァーレ「問題ない」
ドク「なんとかね」
十也「これでなんとか本部に入ることはできたな」
ボルドー「わしとドク、モニカ長官、リヴァーレと
ヴァイスはレイジたちのサポートをトレーラーで行う」
ヴァイス「任せて!」
モニカ「先ほどの駆動鎧も気になりますからね」
ツバメ「じゃあ私と十也はこのままオウリギンがいるであろう長官室へと向かうわ」
十也「たった2人でか!?無茶だ!」
ツバメ「2人じゃないわ」
キュィィン
数体のパワードファイターが十也たちのもとに集まってくる。
ガコン!
パワードファイターの装甲が展開し、中に入っていた人物たちが現れる。
きゅっぱ「ったく!駆動鎧ってのはなれないね」
にろく「俺たちの性に合わないのはしょうがないさ」
エミス「自動で動いてくれるのは便利でした」
昴「駆動鎧はいつぞやの奴を思い出してしまっていいものじゃないね」
ウルズ「ガーランドか?過去にあまりこだわっても仕方がないさ」
十也「みんな…」
ウルズ「よう十也。ツバメから聞いていたがお前が無事でよかったぜ。っても俺よりもこいつが一番お前の生存を聞いて喜んでいたけどな」
ウルズが親指で指さすほうを見るとそこにいたのは…
結利「十也!!」
バッ!
十也へと抱き着く結利。
十也「わわわ!!」
急に抱き着かれた十也は態勢を崩しその場に倒れる。
結利「みんな心配してたんだよ!本当に…」
結利の顔は今にも泣きそうな表情をしている。
十也「ごめんな。心配かけた」
結利「本当に…よかった」
結利の眼もとに涙が浮かぶ。それを拭うように右腕で両目をこする結利。
ツバメ「感動の再開を喜んでいる暇は今はないわ。全員がそろった今、最終ミッションスタートよ!」
十也「あぁ!EGO…それを牛耳るオウリギンを倒す!」
ツバメ「世界の平和を私たちの手で取り戻すのよ!」
to be continued
最終更新:2019年09月11日 22:20